階段を駆け下りた二人はドアを蹴り飛ばす勢いで甲板へと駆け出す。
「ありました!」
積載貨物の中から目的の箱を発見したのは桜の方。
「二人分入ってる?!」
夕奈が声がした方向へと駆け寄る。箱の中に入っていたのは二種類のストライカーユニット。
一組は扶桑のベストセラー、零式艦上戦闘脚。
もう一組は三式戦“飛燕”の生産遅れをきっかけに生まれた、急ごしらえの傑作機である五式戦闘脚。
視線を空に向けるとこちらに攻撃を加えていたネウロイに向かって戦闘機の編隊が突撃してゆく光景が。
「零式が来た!だとすると空母は近い・・・」
夕奈の呟きを聞いた桜が海上に目を向けると、水平線の向こうに豆粒大の船の姿が。
しかし、ストライカーの発進用カタパルトどころか、水上機用のレールもない商船から離陸は不可能。方法を考えるいるその間にも囮役の戦闘機が次々と撃墜されて行く。
こちらに向かって放たれた攻撃から守るため、一機が敵の射線上に滑り込み直撃を受け爆散する。
その光景を見た瞬間、桜の目つきが変わる。
「“田門軍曹”、この箱を掴んでいて下さい。あちらに向けて飛びますので」
宣言するや否や使い魔の薩摩犬の耳と尻尾が彼女に出現する。直後、それなりの重量のあるはずの箱が紙風船のようにふわりと宙に浮き上がる。
「届けえぇぇぇ!」
絶叫と同時に甲板を駆け抜け、夕奈をぶら下げたまま飛び降りる。
「えっ?ってえええ!」
戸惑う夕奈。直後、追い風に乗った二人はフワフワと空母に向け飛ばされる。
瑞鶴の飛行甲板後方、エレベーター直上に着地と同時に、エレベーターが格納庫へと下がる。格納庫内では整備班の手で発艦用装置が用意され、バラバラになった木箱からストライカーが装置へ据え付けられる。
双方のユニット装着後は、安全のための各種手順もすべて省略、九九式二号二型改13mm機関銃を担ぎ、前後に並んだ二人をエレベーターが飛行甲板へと押し上げる。
『田門夕奈、出る!』
零式の心臓、栄エンジンが唸る。
『鳥濱桜、行きます!』
続けて五式のマ112エンジンが呼応する。
悠々と滑走する零式の後を追い、甲板ギリギリで五式が発艦する。
ぶっつけ本番で発艦に成功した二人。先行する戦闘機隊を追いかけ、その先へと突き進む。
さらに勢いに任せ、ネウロイに肉薄。速度で劣る零式が後ろに回り込まれるが、速度で勝る五式戦が急降下で機関銃を乱射。表面装甲が削られ、コアと呼ばれる赤い結晶が露出。夕奈が反転し狙おうとした瞬間、後方から飛翔した弾丸がコアを貫通、ネウロイは崩壊する。
振り向いた二人の目に映ったのは白詰襟の士官服のウイッチが二人。
次回《顔合わせ》