突然のことに呆気にとられる二人。
「初戦闘、お疲れ様でした。色々言いたいことはお互いありますがもう一仕事お願いしますね」
栗色の髪の少女が言う。雰囲気や仕草から生真面目そうな印象の漂う彼女は、対物ライフルを担いでいるので、先ほどの狙撃の射手だと思われる。
「そういうことなんで。あなた方は私達の後ろに付いて離されないように飛行して下さい」
こちらは腰まで届く黒髪を後頭部で結い上げた少女。
しかし先輩二人は後ろの新人より自分たちの都合とばかりにハイペースで飛行していく。
~
先輩隊員の後方を飛行し、滑走路に降り立った二人。
前へ立つのは少佐の階級章から判断するに隊長クラスの士官ウィッチ。
全力の戦闘に、急ぎ足での基地までの帰還で疲労困憊だが、二人は慌てて姿勢を正し敬礼する。
「田門夕奈軍曹です。よろしくお願いいたします、少佐」「扶桑皇国陸銀所属、鳥濱 桜軍曹であります!」
「ようこそ私達の部隊、七七五航空隊へ。加澤 翔(かざわ・しょう)階級は少佐。基地司令として代表してお二人を歓迎します」
部下からの敬礼へ辺礼を返す。
「さて、ここからの案内は戦闘隊長、鈴野風音(すずの・かざね)大尉がお二人を基地まで案内しますので」
「はあ、分かりました」「ハッ!了解であります少佐」
方や疑問半分の返答、片やビシッとした姿勢に、見事な敬礼。こう見えてもガチガチの陸軍式である。規律にうるさい陸軍との違いが明確に出る。
そう告げられるも、何がなんだかわからないままだが、やってきた整備兵にストライカーを預け、
桜と夕奈二人は続く。
「あの・・・鳥濱さん、もう少しフランクに出来ませんか?陸軍さんが規律に厳しいのは解りますけれど・・・」
風音の発言は上官らしからぬ腰の低い物言いである。
「・・・努力いたします」
桜は申し訳無さそうに返答する。
滑走路の端には木造の大きな格納庫、その奥には一瞬ここが扶桑本国と錯覚するような木造五階の旅館らしき建物が。
「正面はここを利用する中継部隊用や高級士官の方の宿舎です。基地司令部と私達の宿舎はこの裏です」
三人はぐるりと建物を迂回しつつ、運動場を突っ切りその先に見えてきたのは学校のような外観の二階建ての建物と、その隣に建つ若干大きめの二階建ての木造建築。
「右が司令部、左が宿舎です」
司令部も相当年季物だが、隣の宿舎もかなり年季物のようである。
「古いですよね、ここ。宿舎はどこかの温泉旅館の本館と別館を移築したらしいですよ」
風音の説明を聞くが、正面の建物とのギャップに若干戸惑う二人。宿舎がとにかく古いのだ。年季がある、のではなく随所に老朽化が進んでいるのが感じられるのである。
いろいろ気になることはあるが、基地の案内はあっという間に進んでゆく。
次回《海軍爆撃隊》
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~イメージモデル紹介~
田門夕奈
森田勝三 飛行学校卒業後四週間で、ゼロ戦での被弾後片翼状態での帰還を達成した。スラバヤ沖似て戦死。
鳥濱 桜
特にイメージモデルとした人物はいませんが、知覧出身として、名前は特攻の母として知られる食堂の女将、鳥濱トメさん、そして特攻の象徴である桜を掛け合わせています。