新時代を、それでも   作:ずーZ

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5話 シェルズタウン③

 

 

 

 

 

 ……驚いた。

 話には聞いていたけど、逆らう人間に一切の容赦もない。

 これが規律に厳しいっていうだけならともかく、言う事を聞かないから殺す? 

 なんて、なんてバッカみたいな理屈なんだろ! 

 

「……生意気な面で俺を見やがるじゃねえか」

 

 ゾロはともかく、コビーも怒った顔で睨み返してるなんてちょっと意外……いや、コビーはなんだかんだそういうとこあったか。

 

「いいだろう、貴様ら全員を今ここで銃殺刑とするっ!! 全隊構えぇっっ!!」

 

 出入口に並んだ海兵達から一斉に銃口を向けられる。

 直後に「ひぃっ」なんて隣の悲鳴は聞こえなかった事にして、よーし! 

 この大人数相手はいつ以来だろ、まずは──ってえぇえゾロ?! 

 

「やってみやがれぇっ!!」

 

 縛り付けられてた丸太をぶん投げた?! 豪快っ!! 

 

「うわぁああーっ!」

 

 一部がそれで吹っ飛ぶ……うわー馬鹿力だー。

 なにあれルフィと同じくらい? 

 しかも丸腰なのに走り込んで回り込もうとしてるし、そんなんで特攻掛けちゃうのー!? 

 相手側まだ一部しか崩れてないよまだ構えてる人いるーっ!? 

 に、似てる、変なとこ……もしゾロが仲間になったら増えるんだね()()()()()が。

 

「大佐、ゾロがっ!?」

「ふんっ、死に急ぎの破れかぶれだ。お望みの通りやつからやれっ!」

 

 ん? もしかしてゾロ、これ狙った? ──なんでもいーや! 

 こっちから注意が逸れたの丸わかりっ! 

 今のうちに走り寄りながらっ、そーれ摩訶不思議、宙に浮かぶ大音符をご覧あれ! 

 ポンッ!! とわざと大きく音を立てて隊列正面に大きな大きな音符を生み出してー! 

 

「なんっ!?」

「おんぷ……?」

 

 はい注意をまた今度はゾロから逸らしたとこで──起爆っ! 

 鍵盤を殴り付けたような大音量が鳴って音符が爆発! 

 中からパンパンに詰まっていた無数の小音符が一気に飛び出して、ちょっとした嵐みたいに海兵隊に襲いかかった! 

 

「んな!? なんだありゃ……?」

 

 視界の端でビックリしたゾロが巻き込まれないようにか足を止めてる。

 まあそのまま突っ込んでても平気だったけどね、だって、

 

「うぁぁぁー!? あ、ん? んん??」

「ぐあああいたー、く、ない? 痛くないな、なんだ?」

「……目に当たっても痛くない? 触ってるけど触れてるのかこれは」

 

 あれは、ダメージにはならない。

 小音符だろうが大音符だろうがモチーフの通りなのか、私の能力、どうにも不思議な事に攻撃性は皆無っぽいのである。

 けーどー! 

 

「うぉお!? コイツこんな傍まで……!?」

 

 ふふーん、遅い! 

 まとめて、両手先から伸ばしたこの五線譜で! 

 

「今度はなんだぁぁあ──っ!?」

「ひ、光の線がぁぁあー!?」

「ちぃっ、さっきからまさか悪魔の実の()()()なのかっ!? この俺も巻き込んで、俺を誰だと──!!」

 

 音符の嵐に目を奪われていた所に悠々と線を走らせて絡めて絡めて、宙に手足を張り付けにして、全体拘束完了っ、と! 

 

 よしよし決まった良かった……複数人相手だと簀巻きに出来なくて楽譜になっちゃう点はやっぱり()()()()()()()()()()()けど、ふぅ、とりあえず一安心。

 

「こりゃあまさか、悪魔の実の能力ってやつか? 何が何だかわかんねえが……俺が突っ込んだ意味なくなっちまったな」

 

 あと少しで飛び込める位置まで駆け抜けていたゾロが、中空を見上げて驚いたように言う。

 宙に浮く楽譜になって悶えている海兵達はあのモーガン含め、身動きが取れないでいる。清々しいね。

 

 こんなに簡単にやれたのはゾロの捨て身の突撃があったからだったし……『陽動』とだけ手帳に書いて親指を突き出し、ありがとうって拝んだら半目を返された。

 伝わらなかった? 分かりづらかったかな。ま、いっか。……ん。

 

「──を」

 

 ふぁ……アクビが。……後は、ルフィが来るまでこの眠気に耐えて合流したら逃げるだけだ。

 でも久しぶりだったなぁこの人数相手。これは早く合流しないと、結構早く眠気が──んんっ?! 

 

「この俺を、誰だと思ってるぅうっっ!!」

 

 うっそ…… モーガンが五線譜を引き裂いて、一緒に張り付けにしていた海兵達も落っこちていく。

 自力で抜けられるなんて……あーそうか、旅立つ頃のエースも最近はルフィも、強度のある簀巻き状態でも力ずくで抜けてたっけ。

 

 五線譜()()()のままだと、あの2人程じゃなくてもそれなりに力があれば抜けられちゃうか。

 

 体勢を整えられず小さく悲鳴を上げながら誰もが落ちていく中、唯一しっかりと着地したのはモーガンだけ。

 あのガブと同じ位の体格でその身のこなし、でかいだけの見掛け倒しかと思ってた。

 はあ……大佐って肩書きが付くだけある。

 うう、眠たい今、相手するには厳しいかな……

 

「全隊っ! なにをもたついているとっとと起きてゾ「──ロケットォオッッ!」んん゛──っっ?!」

「た、大佐ーっ!?」

 

 ──あ、良かった。

 がなり立てるモーガンの背中に見慣れた姿が飛び込んでいって、高速であの巨体が吹き飛ばされた。

 モーガンを吹き飛ばした、その見慣れた姿に力が抜けていく。

 

 衝突の勢いで土煙がもうもうと舞う中、スタスタとルフィが近寄ってきた。

 それにしてもなんで刀? を3本も背負ってるんだろ。

 あれのどれかがゾロのなのかな? 

 

「よ! 無事だなウタ」

 

 土煙の中から現れたルフィがニッと笑いかけてきて、なんだか不思議と感極まって返事の代わりにハグ! ──樽の中じゃ久しぶり過ぎて恥ずかしかったのに、勝手に身体が動いたような感覚だった。不思議。

 

 ほんの少しギュッとしてすぐ離れた所で「ぶっ飛ばしてきて!!」の意を込めて拳を突き出す。

 

「任しとけっ! にししっ!」

 

 拳を合わせてすぐ、踵を返しコビーの所まで駆け足で戻った。

 

「う、ウタさん、凄かったです! けどどうしてこっちに戻って……ウタさん? あの?」

 

 ごめんねコビー。

 無視してる訳じゃない、っていうのも背中を向けて顔も合わせないんじゃ伝えられない。

 こんな時ばかりは声を出せない自分がイヤになるなあ。

 今はちょっと()()がしてて、私、()()()出来ない。誰にもこの顔を見られたくない。

 

 だってどうしても……悔しいから。

 

 土煙が晴れていく中、体勢を整えつつある海兵達を前に平然と何事か話しながら近寄る2人。

 そして不意にアッサリと刀を3本ともゾロへと放り投げるルフィがいて。器用にそれらを受け取り抜刀して……両手と口に刀を装備して()()()? へと武装したゾロがいた。

 

「海軍と戦ってるならもう海賊みたいなもんだよな、ゾロ!」

「いきなり派手派手しく現れたかと思えば楽しそうに言いやがる。そらこうなりゃ俺だってお尋ね者、海賊になるならないもお前の言う通り変わりはしねえな」

「よっしゃー! んじゃあ」

「だが、条件がある。俺の条件は──」

 

 会話をしながら、遅いかかって来る海兵達をお互いが薙ぎ倒している。

 

 ゾロが3本の刀を巧みに振るって、四方からの攻撃を捌いて八方を切り刻む。

 ルフィはゴムゴムの実の能力で伸びる手足を振り回す、その勢いはさながら嵐だ。

 

 互いの技に感動と驚愕を示し合い、息を合わせていく。あの光景は私には少し眩しい。

 ルフィ、ホントに強くなっちゃったもんね……嬉しいし頼もしいけど、どうしても。

 やっぱり──()()()()()()()()()()()()悔しいな。

 

「おいテメェらこの女の頭を吹き飛ばされたくなき──」

 

 ……っるっさいわね!! 

 五線譜、簀巻き、地面に転がし、からのっっ! 

 

 ローキック(股間)! 

 ローキック(股間)! 

 ローキック(股間)! 

 

「ゃあのおぉ゛、んぶほお、ごお゛ぉ゛ぉ……っ!?」

 

 ……はぁ、はぁ! 

 誰だったのよいきなり出てきて! 銃突きつけて! このヒョロヒョロケツアゴッ!! この! このっ! 

 

「……執拗に……踏み続け……ぼ、ぼくは何も見てません」

「い、意外におっかねぇなアイツ……」

「しししっ! やるだろウタも!」

 

 ふう! 落ち着いてきた。っていけないいけないっ、あまりにイヤなタイミングだったからついイラついて……なんか、周りが妙に静かなのはなんで? 

 

 ──実はモーガン本人が倒されてて『モーガンの支配から解放されたー!』という海兵達が武器を捨てて喜ぶムードの中、私がケツアゴもといモーガンの息子を激しく蹴り倒していた事で空気が凍り付いていたとか。

 

 ……ゲラゲラ笑うルフィ以外全員が無言で内股気味に視線を逸らすの、めちゃくちゃ恥ずかしかったです……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 










評価感想ありがとうございます!最初のプロローグのウタも今やこのくらい内面は明るいです!けど、曇らせ、はまたどっかで入れるからその時もニヤニヤして待ってます!
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