新時代を、それでも   作:ずーZ

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※戦闘回でお茶を濁す。話は進んでません。
※ノリでオリジナル技が生まれたのでオリ技注意








9.5話 ゾロ

 

 

 

 

 

 

 

 バギー海賊団の持つ宝と偉大なる航路(グランドライン)の海図を奪ったウタとナミは、猛獣使いのモージとその相棒のライオン、リッチーに襲われた。

 だが、擬似的な飛行能力を駆使するウタとあと一手を埋めたナミの咄嗟の活躍により、あっという間にモージとリッチーを沈めるのだった。

 

 そしてそれよりも前。ルフィとゾロはというと。

 

 

 …………

 …………

 

 

 ルフィとゾロ、道化のバギー一味とが争う酒場の中。

 外から、次から次へと押し寄せるバギー一味。

 バギー側はその数こそは圧倒的だが、戦闘に関しては稚拙に過ぎた。

 ルフィとゾロはかすり傷1つなく健在であり。一方で、道化のバギーの一味達はそこかしこで倒れている。

 

「おいおいおいおい! ハデに暴れて、ハデに俺の部下たちをのしてくれたようだなァ、テメェら」

「我々バギー一味を相手によくもこんなマネを……この屈辱はキッチリ返さねばなりませんね船長」

「バ、バギー船長っ!!」

「カバジさぁぁんっ!!」

「お頭たちだぁあーっ!!」

 

 惨憺たる様相のバギー一味が、階上から降ってきたその2つの声に、振り返って喜悦の声を上げる。

 威勢の声だけでもはや及び腰の連中を切るにも辟易していたゾロもまた、バンダナの下の目をその2人へと向けると脱力感に襲われた。

 

「ここはサーカスかよ」

「なんだあいつら? 変な顔に、ってうわー器用な奴だなあっちのやつ」

「ピエロと曲芸師ってか」

「宴にはもってこいだなー」

「あのな……」

 

 戦っていた手下の誰もが妙なメイクをしているとは思っていたが。

 階下まで降りてきた「バギー船長」と呼ばれている男の顔はまさしくピエロのそれであり、その隣で「カバジ」と呼ばれる男は曲芸でもしているかのように一輪車に乗ったまま階段を降りている。

 ルフィは呑気に「へー」と感心しているが、ゾロは敵にそして今は味方にも頭が痛くなる思いだった。

 

「そこの三刀流はゾロと呼ばれているそうだが、貴様が海賊狩りのゾロで違いないか?」

 

 階段を降りたカバジとバギー、その位置は入口付近にいるルフィとゾロとはカウンターを挟んだ関係にあった。

 カウンター越しにカバジからのまさかの名指し。場違いな曲芸師から声をかけられますます頭が重くなったゾロは……その曲芸師が剣を抜いた事でたちまち剣士の意識に切り替えて構えた。

 

「そうだな。名乗った覚えはねェが、そう呼ばれてんのは俺の事だ」

「! ふふふ……っ! ならばお前はバギー一味が参謀長にして剣士、この曲芸のカバジがお相手しよう! ──確認ですが船長、ヤツは俺がやって構いませんね?」

「ああ構わねえ。ただしカバジ、ここまで舐めたマネしてくれた相手だ。ドハデに決めろいっ!」

「御意っ」

 

 一輪車に乗ったまま、カバジが剣を構える。それ自体は眉を顰めたくなるぐらい奇妙奇天烈な振る舞いながら、抜刀から構えまでの所作は至って滑らかである事をゾロは認めていた。

 

「どうすんだゾロ」

「退いてろ。ふざけた格好だがありゃ確かに剣士だからな。剣士相手なら俺がやる」

「んじゃ任す。応援でもしようか?」

「何も要らねェよ。アレが剣士なのは確かだが、なに、()()()()()

「──ふんっ、威勢良し。それでこそだ海賊狩り……っ!」

 

 異音。一輪車に乗ったままカバジが跳んだ音だった。

 

「曲技”酒乱手裏剣"!」

 

 カウンターを大きく跳び超えて迫るカバジが、眼下にいるゾロへと左指先に挟んだ酒瓶を放る。

 3本の酒瓶。正確に飛んで来る酒瓶を無造作にゾロは叩き落とし、その瞬間を狙い済ました上段からの振り下ろしにもしかと応じる! 

 剣と刀が激突。落下の勢いを載せた大上段を、真正面から事も無げにゾロは受け止めた。

 

「景気よく投げやがって! どうせならジョッキで寄越さねェか」

「はっ、はははっ! 次も景気よく行くから許せ、海賊狩りっ!」

「景気よく、次はツマミでも投げようってか?」

「いや?」

 

 激突時こそカバジ有利の鍔迫り合いだったが、しかし今少しで均衡を打ち払えるとゾロが力を込める! 

 その時、ふっ……とカバジは自ら距離を置いた。

 

「おいおい」

 

 ゾロの体勢は磐石のまま、ゆえ、それは隙だらけに退く間抜けの所業であった。

 追撃で決めるべく()()()()と床を踏み込み、重心を乗せるゾロ。カバジはただ一輪車で退がりながら、口元を覆う襟巻きをどけた。

 

「"鬼──」

 

 トッた──とゾロは確信を込めて三刀の柄を握り締め噛み締めて、高速の踏み込みと3連の剛剣で打ちのめす三刀流剣技が1つ”鬼斬り"を仕掛ける! 

 

「曲技”焼け酒おやじ"!」

 

 その寸前、ゾロはカバジの吊り上がった口腔に信じ難い()を覗き見た。

 

「なっ──っっ!?」

 

 光……火をカバジは酒の飛び散る床へと噴射し、床の酒を踏んでいるゾロを巻き込み引火した! 

 

「うわぁああカバジさんなんて事を!!」

「逃げろ逃げろ逃げろー!」

「あ、ちちちたちーっ!!」

「ゾロ……!」

「がっはは! 実に実にハデじゃねェかカバジィッ!」

 

 燃え上がる焔に包まれるゾロ! 

 そこかしこで既に倒れ、割れていた酒瓶にも次々と引火し炎が広がった! 

 成り行きを見守っていたバギー一味が悲鳴を上げて逃げ出す! 

 ルフィが剣と剣の戦いとは思えない展開に息を呑む! 

 バギーがオーダーの通りハデに仕上げていくカバジを高笑いして賞賛する! 

 混乱の坩堝の中、そう仕立てたカバジが哄笑する! 

 

「ふっははは! 苦しかろうロロノア! 火達磨は苦しかろう! 焼け死ぬのは悔しかろうっ!! 

 だが俺も剣士の端くれ、せめてお前を剣士として楽にしてやる! 曲技"山登ろう”!」

 

 素早い動きで壁を一輪車で走り上がり、天井すらも一瞬走り、広がりつつある焔の真っ只中を見下ろす! 

 悶え蹲って居るのだろうとゾロの位置にアタリをつけ、跳ねて、剣を構え、落ちる! 

 

「曲技"一輪刺し”──コレにて散れロロノア・ゾロォオッッ!!」

 

 垂直降下の一刀、全体重を乗せ確殺の念を込めた一撃!! 

 

「三刀流”火炎・──」

 

 風が、炎が、吹き荒む。

 

「龍巻"──っっ!!」

 

 ゾロにまとわりつく火。

 床を舐め尽くさんとする焔。

 宙にいたカバジ。

 天井から上の2階の床。

 

 それは、それら全てを薙ぎ払った。

 

「え……は──?」

 

 空へと高く吹き上がって消えゆく炎の残滓に、()()から差し込む日差しに、呆然と声を上げたのは誰だったか。

 すでに火災の熱は無い。カバジの曲技もゾロの剣戟も何も無い。

 あるのは直前の光景から、誰もが想像出来なかったこの結末に沈黙している静寂──それもカバジが落下した衝撃音で破られた。

 

「か、か、カバジさん……」

「な、なぁあ……!」

「……っひ」

 

 物言えず、全身を火傷と刀傷に覆われ、瓦礫の上に力無く横たわるカバジ。

 

「ようルフィ。口開けてねェで、──俺は()()()()()()ぞ、お前は()()()()?」

「にっしししっ! おう! んじゃあ()()そうするっ!」

「そうしてくれ。見た所あっちのピエロが船長なんだろ。さっさとアレ倒してくれ。俺はその辺で服でも探してくる」

「わかった! でも迷子になるなよ!」

「その言い方はやめろ……」

 

 焼けたバンダナを外し、三刀を納め、ルフィと軽口を叩き合うゾロ。

 裸足かつ上半身裸で煤けた格好だが、ぺたぺたと確かな足取りでどこぞへと衣服を求める姿は平然そのもの。

 

 ゾロvsカバジ、勝負の決着は誰の目にも明らかだった。

 

「で、俺はお前をすぐぶっ飛ばすぞ! ゾロに負けてらんねェからな!」

「舐めた口叩きやがる! お前が俺を? ハデバカがっ、お前が俺に殺されるんだよ! 腹の立つ麦わら野郎っ!」

 

 ゾロの奮い立つような勝利に笑うルフィと、ここまで追い込まれて額に青筋を浮かべるバギー。

 新たな闘争の気配、その激しさを予感したバギー一味は天井の失せた酒場から脱兎の如く逃げていった。

 

 

 

 

 

 











もうちょい戦闘前の情緒が欲しかった。力不足で入れられなかったのが悔しい。
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