新時代を、それでも   作:ずーZ

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サブタイに深い意味はありません()






12話(なおしびれを切らすとウタ手ずからヤル)

 

 

 

 

 

 2艘の小船でいく私達4人の旅は、今日も順風満帆! 

 ナミの航海術はすごい。ほんの数日一緒の船に乗り合わせてよく分かるし、凄すぎていっそ分からなくなるくらいすごい! 

 進路の話は見聞きして実際に船を動かしてれば分かるのだけど、風と波の変化を先読みして時々で舵を切って帆を調節しているのは説明されてもさっぱりだ……コレが天才って言うのかな。

 

「♪」

 

 ナミが加わってからの航海日誌を綴る私の手は踊るよう。

 凄腕の航海士、ナミのおかげで予定よりずっと速い航行だ。

 

 ちょっと前じゃ考えられない……このまま進めば数日のうちに村のある島に行けるなんてさー! 

 いやったー! 

 どのくらいで次の島に辿り着けるって自信満々に断言してくれるナミのこの安心感! 

 んもー頼れるー! 

 航海士ナミさいこーっ! 

 

「お、島が見えるぞ」

 

 隣の小船からのルフィのセリフは、ペン先を踊らせる私の気持ちをガラリと変えた。

 島……島か。そっか、島が見えるとこにあるのか。

 ルフィが手を翳して見ている方向には、確かに小さく島影が見える。行こうと思えばすぐにでも船を漕ぎ着けられそうな距離感。

 

 行ってみたい。

 

 すごく行きたい。理由なんかない、すんっっごく行きたい。うずうずして髪の毛が上下する感覚がある。

 でも、でもなー……ナミ、許してくれるかな? 

 

「ん? この辺の島はたしか……ウタ、地図ちょうだい」

 

 頷いてポーチを開ける。

 この辺りの地図海図は常にこのウェストポーチに入れてあったはず……よしこれだ。

 

「ありがとう。……うん」

 

 うん。ナミの顔に興味の色は見えない。これは行かないってナミは言うだろう、とても残念。仕方な──あ。

 

 ナミが確認してる合間、進んでいく小船が見えてしまった。

 

 私は我慢出来るけど、ルフィが止まるはずないか。……オレンジの町で宝について相談してきたのはなんだったんだろう。いやそう毎回続かないだけかな。

 ま、とにかく! 船長のルフィが行くなら行くしかない! きっとナミもそうする! だって仕方ないもの! 

 さーてじゃーえーと……。

 

「やっぱ無人島ね。行くだけ無駄無駄。このままの進路を維持しま──」

 

「あの島にはなにがあるんだろうなー」

「何だっていいさ。俺は船長が行きてえなら付き合うだけだ」

 

「おいこらーっ! 無人島なんだから何も無いわよっ! ルフィー! ゾロー!」

 

 ナミが顔を上げた時には、軽快に漕いで島へと向かっているルフィとゾロ。

 思い切り叫ぶナミ。

 ゴソゴソゴトゴトしている私。

 

「勝手なんだからアイツら! ウタ、能力で戻るよう伝え、ってアンタもかー!」

 

 ぐるりと勢いよく振り返ったナミに、オールを用意していたら怒鳴られた……え? 

 ええ!? ルフィ達はもう向かってるのにダメ?! 行かないの!? そんな!! う、ううでも行きたい! ルフィだけずるい! 

 手帳を出すのももどかしく、能力でこの気持ちを宙に描く! 

 

「『私も行きたい!!』」

 

 お願い事をする時や頼りたい時は、ただ言葉だけ伝えてもダメ。

 しっかりと、気持ちを込めて目を見詰める。上目遣いだとなおよし! ──そうだよね、マキノ! 

 

「う、う。あのねえそ、そんな目で見てきたって……」

「『お願いナミ』」

「だからっ、……ああもう分かった分かったわよ! そうね。どうせアイツら止めるのも今更だしねっ。ええ良いわよさあ行きましょうよほら連れてけーっ!」

「っ!」

 

 やったー! ありがとうナミー! ハグー! 

 

「ふきゃっ」

 

 ! ……ナミ、やわい。

 それも当然だった。服の上からでもハッキリ起伏が分かるくらいだし──ちょっとだけ羨ましい。

 

「ちょ、ちょっとなん、もうウタ!」

 

 いきなり抱きつくな! と言われて離れる。

 伝わったのが嬉しくてつい……手を合わせてペコペコ頭を下げた。

 

「ビックリしただけよ。……もう気にしてないからいいわ。それよりほら、行くんでしょ?」

 

 つい抱き着いても苦笑い1つで許してくれて、急な回り道にもやれやれ言いながら付き合ってくれるって。

 ナミやさしい……いや感動してる場合じゃなかった。そうと決まれば追い掛けないと! 

 こういう時は、戦士のみんなに頼るに限る! 

 

「って、なになになに?! こ、こいつらどっから現れってああっ帆と舵がやだっオールまで抑えられ……まった待った、なんで息ぴったりに漕ぎだして……ん? コイツらみんな音符っぽい頭して──ウタ、コイツらってまさか」

 

 親指を立ててスマイルを送る。

 さあ、船首にまで飛び跳ねまして! 

 だいぶ先を行くルフィ達の乗る小船を、そのずっと先の島を見据える! 

 皆! もっともっと思いっ切り! 

 漕いで漕いで! 漕げ漕げえー! GOGO!! 

 

「うわっぁあウタこれ」

 

 揺れが大きくなる! 一気に船が動き出す! 

 よしよーし、ぐんぐん加速していけー! 

 一番乗りは私達だー! 

 

「うぅんっ!? く、ちょっと速、揺れれえっ!?」

 

 ん? 速いのはともかくそんなに揺れてるかな? 

 私はこのくらいの揺れなら空飛ぶ時と比べて……アレも慣れるまで苦労したな……平気だけども。

 チラッと横目で後ろを見ると、ナミは船縁にしがみついて悲鳴を上げている。そうか意外と揺れてるらしい──けどナミちょっと楽しそうな悲鳴だから良しっ! 

 

「コラァッ! 今絶対なんか都合よく解釈しひゃぉあぉっ!?」

 

 波音と風音でなんも聞こえないやー! 

 わーい! 

 

「ん? おお早いなアイツら……ありゃなんだ。ウタのやつが船首でカッコつけてるくらいだから敵じゃねェだろうけど」

「ウタの能力で出した黒んぼだな──しまった! 急ぐぞゾロ!」

「あ? なんで?」

「追い抜かれちまうだろ!! 先に上陸すんのは、勝つのは俺だー!!」

「いつの間に勝負になってんだお前ら……あーあ、仕方のないやつだったく」

 

 お、速度上げた。ふ、でもそんなんで戦士とオールを追加できる私に勝てるかなっ!? 

 さあさあおいでおいで皆! 

 そして、漕げ漕げ漕げ漕げー!! 

 

「ははやぁははやいぃぃいい!? ち、ちょっとは加減しなさ、ゥウタちょぅっ、んウタアアァァーッッ!?」

 

「ふんふんふんふなぁああーっ!? オールも黒んぼも増やしてやがる! ずりぃぞウターッ!」

「へーあんなことも出来たのか、便利だなありゃ」

 

 遅い、遅いよルフィ! 

 いけいけいけいけGOGO!! GOGO!! 

 このまま一番乗りだー!! 

 

「んがー! ウタのやつムカつく顔で笑いやがってー!」

「速いが……アイツ、あんなにトばして。この後のこと考えてんのか?」

 

 んんー! 吹き付ける海風が気持ちいいっ! 

 いいぃぃいやっっほぉぉおおーっっ!! 

 

 

 …………

 

 

 う。ダル、ねむ……つら。

 ゆ、指先、重ぃ……。

 

「そうね、そうよね。あんたアレ(ルフィ)の幼馴染だもんね。ええ、あの場面で好きにさせた私が間違ってた」

「……~、……っ~」

「ふんっ、ほらほら、人を困らせて楽しんでたバツよ。途中チラチラ私の顔見てニヤニヤしてたの、気付いてたからね?」

 

 あーうー。ニヤニヤしてたか。そしてそれをきづかれてた……。んっー、ほっぺたぐりぐりするのやめへー。

 

「あ。ようやく来たわねルフィ達も」

 

 私のほっぺたをぐりぐりしながら顔を上げたナミが言う。

 少しして、バシャバシャと海岸線を走るルフィの足音はすぐに近付いてきた。

 

「ちくしょー! あんなのずりぃぞウタ! ……あれナミ、ウタは?」

「ここよここ」

「ここ? ……何やってんだウタ」

 

 相変わらず頬をナミの指先で弄られながら、船を覗き込んできたルフィを甲板に寝転がったまま見上げる。目が合った。

 ……えへへー、私の勝ちだからねルフィ。

 

「俺は負けてねェ!」

「いきなりなに言ってんのアンタ」

「で、何そんなとこで寝てるんだウタは?」

「はしゃいで能力使いすぎたんでしょ。着いてバンザイして飛び跳ねたと思ったらコレよ。こうやって先の事考えない当たり、さすがアンタの幼馴染ね」

「ああスゲーだろウタは」

「ニコニコすな。褒めてないからっ」

 

 えへへ。うえ。

 

「だから褒めてない、ニヤつくなっての。うりうり」

 

 うーあー。体がだるいし眠いし逃げられないぃ……。

 うう、眠い、このまま寝たい。

 

「そういやゾロのやつ来ねえな。寝てんのかな?」

「寝てるならほっといたら? まだ火傷治りきってないし」

「それもそうか。んじゃ行くか」

「行くってどこによ」

「探検だ」

 

 ──! そうだった……無人島探検! 

 

「探検? あんたね、ってウタ?」

「にっしっし、やっぱりウタも行きてえよな」

「それでこの無人島までわざわざ? 2人揃って物好きなんだからもう……」

 

 私も、私も無人島探検……したいっ!! 

 重く感じる上体だけでも起こしながら、ルフィに向かってプルプルする手を付き出す。

 連れてけーという意思をちゃんと汲み取ったルフィが「おーし行くかウタ」と笑って私の手をぎゅっと掴んでくれた。

 さすが幼馴染! 話がわかる! 

 

「よっと、これでよし!」

「え」

 

 ルフィにかかれば楽々! そう、ゴムの腕をグルグルーって私の腰に巻き付けて、ひょいっと軽々持ち上げてしっかり担いでくれちゃうんだから! 

 わーい楽ちん。これで探検にも付いて行ける──ん? 

 あれ? …………むう! 

 

「はあ。……ルフィ、それは辞めてあげて」

「え? なんで」

「付き合いの浅い私にも分かるくらい、すっっごい不満そうな膨れっ面でアンタの背中睨んでるわよ」

「へー」

 

 叩ける体力があるなら叩きたいこの背中! 女の子を肩に担ぐな! 

 もうそういう所ホントにルフィってばか「おお」ん? 

 

「ホントだ、変な顔してんなウタ」

 

 背中に顔を垂らしてきたルフィと目が合って、顔が引き攣って体が震えた。

 ……仰け反って首を伸ばしてまで覗き込んでくるな! さすがにきもちわるいそれやだぁーっっ!! 

 

「気色悪いわっ!」

「んごっ」

 

 代弁ありがとう! そして脳天直撃アッパー拳骨ナイスナミ!! 

 

「探検には付き合ってあげるわよ、アンタら2人だけにして目を離したらどこで何しでかすか分かったもんじゃないし! 

 で、ウタを連れていくなら、そんな荷物みたいに担がないの。せめて背負え」

「な、なんか怖ぇぞナミ」

「早く」

「あ、はい……」

 

 おおお、ルフィがたじたじになるなんてそうは見れない。ナミカッコイイすごい……! 

 

「よっと、コレでいいか?」

 

 ルフィの顔の横で、親指と人差し指で輪っかを作って「OK」と伝える。

 ナミのおかげでちゃんと背負って貰いまして、ぜんっぜん力入らないままだから完全に体を預けている。ちょうど肩あたりに頭を乗せてるから……におう。

 まーた昨日体拭かなかったんだね。まったくもう今はナミもいるのに。

 まあルフィだから仕方ない。どこかタイミング見つけてちゃんと拭くようまた約束させないと……こういうガキっぽくて世話の焼ける所は昔から変わらないんだから。

 けどなんにせよ、これでようやく探検にいける! 

 

 

 

 

 

 

 









まさかガイモン出せないとは思わないやん?(森にすら入ってない)
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