新時代を、それでも   作:ずーZ

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今日は2つ投稿、された時にはRED12回目を観てます。副音声は良いぞ!!
毎週日曜日までに書き溜めて放流する方向にしてみる。







30話 バラティエ④

 

 

 

 

 

 

 

 サンジは撃たれこそしなかったものの、起き上がったパティから殴り倒され、他のコック等によって取り押さえられた。

 

「サンジ、お前の言い分も分かるとこはあるさ。だが海賊相手に良心振り撒くような行為、俺は認めねェぞ! 東の覇者海賊クリーク? なんぼのもんだっ! おめおめと、海賊に脅されたからって一々素直に従ってちゃ“戦うコックさん"なんざ呼ばれやしねェって見せてやらあっ!!」

 

 飯が欲しいなら鉄のデザートでもどうだ! と、螺旋階段の柱から引っ張り出したバズーカを、パティは躊躇なくクリークに向けて撃ち込んだ。

 クリークに直撃し、爆音が轟く。

 店の外まで吹き飛んだクリークに、コック達は勝利を確信した。

 

()はあるがマズイな、今のデザートはよ」

 

 だが、爆煙が晴れた時、直撃したにも関わらず健在なクリークを見てどよめきが奔る。

 全身を隠していたコートは吹き飛び、その下から現れたのは黄金色の鎧。

 バズーカが直撃したというのに、その鎧には焦げ目1つも見当たらなかった。

 

「んだあの鎧はっ!?」

「バズーカ砲を受けて無傷なんて有り得ねェだろ……」

「狼狽えんな! 下っ端の野郎はあの様、他の手下共は動けねェのなら俺たちの敵は実質アイツだけだっ! そうだろパティッ!」

「おうともっ! カルネのバカの言う通りだ、飛び道具が効かないなら、直接ぶっ叩くまでよっ!」

 

 カルネがパティへと、槍のようなサイズのフォークを投げ渡す。

 バズーカを放り投げそのフォーク受け取ったパティに、身長程あるナイフを持ったカルネが並び立つ。

 そうだその通りだ、と他のコック達も各々が似たような武器を構えていく。

 

 誰からともなく、駆け出した。

 

 大勢が走り寄ってくる光景に、ただ気だるげにため息を吐いたクリークは鎧の機構を作動させる。

 素早く鎧の一部分がスライドした。

 

「たかがコックが、鬱陶しいわっ!!」

 

 肩当て、腕部、腹部から10数以上の銃口が現れ、それら全てが一斉に火を噴いた! 

 面を制圧する銃撃。

 射線上と察知したルフィがウタの腰を抱いて瞬時に屈んだ直後、距離を詰めていたコック達の全員が悲鳴をあげて床に転がった。

 

「無駄だっ! お前ら木っ端がいくら徒党を組んだ所で、半端な武器を担いだ所で! この俺の鎧に仕込まれた数々の武装、この最硬の鎧、この俺自身の強靭な肉体があれば、無も同然っっ!!」

 

 突き付けるような宣告に、撃たれ呻くコック達は根っからの反骨心からの怒りを抱く。

 しかし、バズーカ砲を無傷で受け切り、10数人から襲われても一瞬で蹴散らされて、にわかに湧き始めた恐怖から歯噛みした。

 その心が折れ始める音が聞こえているかのように、クリークは鼻で笑う。

 

「分かったか。誰も、俺に逆らうな」

 

「ご大層な鎧を自慢するのは構わねェが、俺の店をこれ以上壊してくれるなよ」

 

 静まったバラティエに、義足で床を打ち鳴らす足音が響く。

 成人程に大きい袋を肩に背負い堂々と現れたゼフの姿を見て、口々にコック達はオーナー・ゼフと呟いた。

 

「ゼフ──ゼフだと? まさか生きていたのか……!」

 

 クリークがその名を聞き、反芻して改めて唸るようにゼフを見詰める。

 そんなクリークに一瞥だけ向け。ゼフは周りで銃創を抑える者達に、奥に引っ込んでとっとと手当してこいとだけ言い捨てると、淡々とした足取りで歩み寄る。

 ドサリと、肩に背負っていた大袋をクリークの目の前に置いた。

 

「要望通り100人分の水と食料だ。とっとと持って行きな」

「──オ」

 

 オーナーッッ!? 驚愕と悲鳴に店内が満たされる。

 その行為が何を意味するのかと言い募るコック達を一顧だにせず、ただゼフはいっそ憐れむような目でクリークを見た。

 

「この船を奪いに襲って来る……そりゃァ()()()()()()()()()()の話だ。50隻による海賊艦隊を謳うコイツの部下が、高々100人なんざある訳ねェ。そうだろう偉大なる航路(グランドライン)の落ち武者よ」

 

 落ち武者──東の覇者へ向けるにはあまりにかけ離れた呼称にコック達がざわめき。一方、無言でクリークは眉間に皺を寄せ、蹲ったままのギンは頭を抱えて震え出す。

 偉大なる航路(グランドライン)──その航路の名が出てきた事で、ルフィ()は初めてこの騒動に興味関心を持って耳を傾けた。

 

「落ち武者とはな……だがな! 落ち延びた先で貴様に会えたのは僥倖だ──コックにして海賊の、無類の大海賊()()()()()ッ! 貴様は持っているはずだ、偉大なる航路(グランドライン)を1年かけて渡り、記した、その貴重な情報、航海日誌を! そうだろう!?」

「ふんっ……ああ、持っているとも。俺と、俺のかつての仲間との間に遺されたもんだからな。俺にとって、この船同様、無二の宝さ。それで? お前はどうしようってんだ」

「もはや片足の、ただのコックに落ちぶれたジジイには宝の持ち腐れだ。俺に差し出せ! 今度こそ偉大なる航路(グランドライン)を制覇し、この俺が海賊王となる為に!」

 

()()()()()なら、ちょっと待て」

 

 対面する2人の話を突如としてルフィが遮った。

 周囲から場違い極まるとばかりの目を向けられながら、そんなもの毛ほども気に留めずルフィは堂々と胸を張る。

 

「海賊王になるのはお前じゃない、この俺だ!」

 

 未だ少年の域を出ぬルフィを見て、クリークの訝しげにひそめられていた眉がその言葉で怒りに歪んだ。

 

「ああ゛? 恐怖で頭が麻痺したか。お前みたいなガキが海賊王になるなんざつまらん冗談をぬかしやがって、引っ込んでろ!」

 

「冗談? バカはお前だ。冗談で海賊王になるなんて言う訳ねェだろ、俺は本気で言ってんだ」

 

「……そんな給仕崩れのナリで本気とはな。俺はガキだろうと殺すつもりでいると教えてやらないとダメか?」

 

「そりゃ無理だ。だって、俺の方が強いからな」

 

 明らかに、空気が重くなる。

 場違いなほど底抜けな笑顔を崩さぬルフィに、クリークの怒気が膨らむ。

 何も言えぬままコック達が固唾を飲んだ。

 

 高まる緊張感からの沈黙を破る声は、一角のテーブルからもたらされた。

 

「戦闘だってんなら俺もやろうかルフィ」

「俺のことは気にしなくていいぞ……」

 

 ルフィが動かないならとただ座して待っていたゾロが飄々と声を上げ、密やかにウソップは身を小さくする。

 ウタもまた目線を鋭くクリークに向け、ルフィの背後に歩み寄った。

 

 そんな3人にルフィは視線を少し向けて、ヒラヒラと軽い手振りをしながら「いいよ、いらね」と呟くと。

 改めてクリークに向き直る。

 

「アイツも1人だ。なら俺1人でいい」

「──怒りも通り越すと呆れるとはコレだな。バカにこれ以上付き合ってられるか」

 

 大袋を担ぎ上げ、クリークは自らの船へと足を向けた。

 

「俺の目的は言った通りだ。船を明け渡し、航海日誌を差し出せ。部下共が動ける様になってここに戻ってきた時、もしも残っている奴がいたら」

 

 容赦なく殺す……! 

 殺意と怒気を漲らせて言い残し、クリークは去って行った。

 

「……すまねェ、サンジさん、俺、おれァこんなつもりじゃっ」

 

 床に這いつくばったままギンが涙ながらに謝り出す。

 サンジ……その名に、コック達が色めき立つ。

 

「そうだよサンジ、サンジィイッ!」「そうだお前が元はと言えば!」

「あの下っ端に飯を与えた結果がコレだぞ何考えてんだよあんた!?」

「しまいにゃオーナーまであんな……!」

「どうしたってんですかオーナーもよぉっ!!」

 

 クリークに率先して食糧を渡したサンジとゼフに非難の声が向く。

 

「済んだことをギャーギャーほっかえすなボケナス共っっ!!」

 

 一喝に、押し黙った。

 

「……テメェらがそう吠えてられんのは、この広い海で、限界を超えた飢えの恐怖を知らねェからだ。何時助かるとも分からん中で、日を追う事も忘れ、水も食糧も無いまま、海をただただ眺めて過ごすしかねェ、──そんなクソッタレなあの地獄を知らねェからだ……!」

 

 重々しい感情が籠っていた。

 怒りではない、悲しみでもない。

 腹の底でいつまでも消えない苦しみ、それこそが滲み出たような言葉だった。

 

 突然のそんな暗い言葉に困惑するコック達をゼフは見渡して、凪いだ雰囲気に鼻を鳴らすと親指で裏口を示した。

 

「……そら、四の五の言う暇はもうねェ。あのクソ野郎が部下引き連れて戻ってくる前に、逃げてェ奴はとっとと失せろ」

 

 

 

 ◇

 

 

 

「……残りますよオーナー、俺達は」

「この店以外に行く所なんてねェんだ」「俺もそうさ」「ああ」

「残って、アイツらと戦わせて下さい!」「俺も戦うぞ!」「海賊の好きにはさせたくねえよな?」

 

 ……コックって覚悟が決まった人しかやれないのか。

 

「……アンタら、なんで誰も逃げねェんだよ。首領(ドン)の力を見たってのに、なんでだ!? 簡単だろう船捨てて日誌渡しゃあ助かるんだぜっ!? なのに立ち向かおうだなんざ、みんな死ぬようなもんだろうが!!」

 

 ギンが、心底分からないと言う風に声を上げる。

 私としてはギンこそクリークの部下なのに、なんでそこまで必死になって止めようとしてるのかの方が分からない。

 

「へっ、いくらでもかかってこいってんだ」

「サンジさん……」

「ギン。腹空かせたやつに飯を作る、コックとして俺が俺に決めたもんは果たした。だがこっから先、来るのは腹一杯になった略奪者。それがたとえどんな奴だろうと、どこの誰だろうと関係ねェ。この店を狙う以上、お前が相手だろうと、俺は躊躇なく蹴り殺す」

 

 ……そんなサンジを遠目に眺めて、ルフィが喜んで私達に「いいだろあいつ!」と言っている。

 まあ今ならルフィの言いたいことはわかる。

 後はそう、ナミに軽々しく……あ、そうだナミ。

 

「な? な?」

「ぃやいやルフィさんよぅ、だからとっととこっからよぉ……」

 

 ニコニコのルフィとブルブルのウソップのやり取りの横で、聞きたいことを聞こうとゾロと目を合わせる。

 

「ん?」

「『ナミはどうしたの?』」

「ああ、あいつは昼飯済ませたらとっとと船に戻ってったきりだが……まあ心配しなくてもあいつなら平気だろ。自分の身は自分で守れるさ」

 

 それはそうだけど。

 直接ここで巻き込まれなくて良かったと微笑むべきか、ほんの少しでも今に会えなくて寂しいと嘆くべきか。

 いっそナミの護りに船に行くべきか。

 

 ただ、まあ。

 

 ゾロの言う通り、あんなに大きなガレオン船が着けられたのだ。

 なにかあったなーくらいに警戒はしてるだろうし、何かあればナミならちゃんと身を守る、か。

 

「あ、そういえば──なあギン! お前ら偉大なる航路(グランドライン)に行って逃げ帰ってきたんだって? 何があったんだ?」

 

 ふと。

 いつもの調子でルフィが気さくに声をかけて。

 聞かれたギンは、なぜか、いきなり、頭を抱え出した。

 

「……()()()()()

 

 絞り出すような呟きだった。

 わからねェ? 行って来たのにわからねェってどういう? 

 私だけじゃない。誰もが疑問符を頭に浮かべるような返しだった。

 

「? 何がわからねェんだ? 行ったお前がわからねェんじゃ、誰にもわかんねェぞ?」

「へ、へへ、へへへ……誰にわかってもらえるか、知らねェが──ありゃ、俺達クリーク海賊団が偉大なる航路(グランドライン)に入って7日目のことさ」

 

 ギンは悪夢を語るような声色で、「50隻の艦隊が、たった1人の男の手で壊滅させられたんだ」と、信じ難い話を語りだした。

 

「あの男の、あの鷹のように鋭い目……! あの目だけは、こうしてる今でも簡単に思い出せて、震えが止まらなくなるんだよ……っ!!」

 

 その男に襲われる最中、大嵐に襲われたことでむしろ助かったのだと。偉大なる航路(グランドライン)から、5000人ほど居た船員を100人近くにまで減らして、命からがら逃げ帰ってきたのだとギンは語り終えた。

 

「ああ……鷹の目の男だな、そりゃァ」

 

 現実味のない話、だというのに思い当たる話だと、ゼフさんが口を開いている。

 隣で、ほう……とゾロが深く息をついた。

 

「鷹の目……」

「え、な、なんだ? 知ってんのかよゾロ?」

「誰だそいつ?」

 

「俺の野望のため、探してる男さ」

 

 ルフィとウソップの問に、白鞘の刀を握り締めたゾロは、どこか遠くを見詰めるようにして答えた。

 へーとなりながら頷いて。

 

 はて、と脳裏に過るものがあった。

 

「……?」

 

 ……鷹の目……たかのめ……なーんか聞き覚えが、あるような……ないような。

 

 シャンクスの船にいた頃なのは確かなんだけど。

 

 鷹のような鋭い目……そんな怖い目付きの人に会ったことは無い。

 ただあの頃、慌ただしくその名を口にするヤソップやルゥ達皆がいた……気がしなくもない。

 

 何時になく険しい顔でシャンクスがいなくなって。

 そして数日、あるいは一週間近く会えなかった事が度々あった。

 鷹の目の男、が関係してるかわかんないけどそんな事もあった。

 

 そしてベックやライムジュースとか皆から交替で代わる代わるに囲まれて、しばらくの間部屋から出して貰えなかった事が……あったような。

 ……しばらくシャンクスに会えなくてめちゃくちゃ泣いてばっかりだったのってあの頃だったのかな? 

 あれ何歳の頃だっけ……ヘッドホンを貰った頃にはそんな事があった覚えはないからそれより前でしょ……いつだろ? 

 

「くーっ! 楽しみだなウタ! やっぱり偉大なる航路(グランドライン)はすっげぇえとこみたいだぞ!!」

「危機感ってねェのかよお前にゃよ……!」

「『なんの話?』」

「聞いてねェとかこっちも大概だった!? あぁあん、こんの幼馴染共はよォ……!」

 

 ……むむ。なによ、面白くない事を言う口を持ってるじゃないウソップ? 

 

「『ルフィと一緒にしないでよね。今は確かに考え事しちゃってたけど、普段は私の方がずっっとしっかりしてるでしょ? 失礼しちゃうわ』」

「んでっ。な、なぜほっぺたをつまむんだよ?」

 

 失礼なことを言う口だから。

 

「んん〜? おいこらウタ、俺だってもう船長だぞ? 今だって、きんちょーかんをもって話を聞いてた! 俺の方がしっかりしてる! なぁなぁウソップそう思うだろ、なっ!?」

「は、ってんんへべっ!? はんへほはへはへっ(なんでおまえまでっ)!?」

 

 はぁああ? 誰が誰よりしっかりしてるって? 

 

「『私の方がしっかりしてるっ! 言ってやってよウソップ!!』!」「んっ」

「俺だって、言ってんだろ! ほらウソップお前そう思うだろ!?」「べぇえっ」

 

 譲れない気持ちを込めて「あ゛あ゛っ」じっと睨み合う。

 ここで先に「んぷん゜っ」目を逸らしたらこれは負けだ! 

 

「雑用もウタちゃんも、なんっつーノーテンキな事を……」

 

 遠くからの声にハッとした。

 ……しまったコレじゃまるで同レベルじゃん。

 

「っっていい加減にしろぉおいっ! はなせや、はぬあぁせや! ったくくよぉおくぬやろうがぁああア゛アダダダ……ぅああ、ふぉおおいてぇええっ!!」

 

 両腕を振り回すウソップから離れた。

 そんなに大げさに痛がらなくてもさぁ……。

 一言くらい謝れよ!? なんて喚くウソップの前辺りに「ごめんね♡」と言ってる私の顔をデフォルメしたスタンプを描いた。

 

「扱い軽っ!? ……よくできてるなこれ」

「んん? これウタか? へーぇ似てんなァ!」

 

 2人の反応に私自身満足しながら、隣のゾロに結局何の話だったかを聞こうと振り返る。

 私を見るなり苦い顔をしてそっぽを向くから、流線を椅子に引っ掛けてこっちを向かせた。

 

「うぉっ、ご、強引な……! 俺まで巻き込むな!」

「『ゾロは私の方がしっかりしてると思うよね? あとなんの話してたの?』」

「………………偉大なる航路(グランドライン)って所はいつなにが起きてもおかしくねェ所だって、あの爺さんから教わっただけだよ」

 

 ゼフさんがね。ふんふんと頷く。

 いつ何が起こるか分からない、つまり冒険の匂いがする! って訳ね。

 そりゃあルフィがはしゃぐよ、そんな話聞いたら。

 

「『それでゾロ、私の方がルフィよりさ』……? ……っ!」

 

 ……あ゛。

 

「俺の野望のため、俺が世界一の大剣豪になるため、鷹の目の男が居る偉大なる航路(グランドライン)に、必ず行かねェと……!!」

 

 うわゾロひっど! 目を閉じてやがる……っ! 

 なんで無視すんのさ……むう。

 

「──今の話聞いてそれでも行く理由が()()とは、お前相当なバカか? 野望のためなら死んだって構わねェとか言いそうだな」

 

 ゾロの言葉が聞こえたらしいサンジが、小馬鹿にしたように言ってくる。

 いきなり横からゾロへとそんな事を言われて、……ルフィにも言われた気がしてムッと来た。が、サンジの後ろのオーナーが目に入って、気になってしまった。

 

 あの怖い顔で物言いたげに、こっちを向くサンジ、その背中を見詰めている。

 なんだろう? 

 

「確かにお前の言う通り、俺はそうさ。だがバカは余計だ」

 

「あ?」

 

「剣士として最強を目指す。そう誓った時から、命はとうに捨てている。そんな俺をバカと言っていいのは、それを決めた俺だけだ」

「──しし、俺も俺も!!」

「もちろん私もだ。勇敢な海の戦士として当然だな」

「…………ふーん?」

「…………」

 

 なんかウソップがウソっぽい言い方をしてる。シロップ村や私を護ろうとした時は命がけで、勇敢な戦士をしていたと思うんだけどそこまでの覚悟はまだないってこと? それともノリなのか。

 

 それにしても……ゾロの野望か。

 

 野望、夢、願い。

 私もいつかこの旅の中で、()()を思い出せればいいな。

 

 それから、そう時間は経たず。

 

 ……ォォオオ────ッッ!! 

 

 海賊達大勢の雄叫びがバラティエ店内を震わせた。

 

「なんっって雄叫び!」「来るぞ!」「来やがれ!」

 

 敵が来る。100人近い敵が来る。

 だけどこっちにはルフィもゾロも、なんだかんだいい援護をしてくれるウソップもいる。

 私は能力で全体の補助のため、海賊達の邪魔を主体に立ち回ろう。

 コックさん達も皆も、なるべく怪我をさせないように! 

 

 私が、皆が、コックさん達も。全員の目線は一緒。

 窓の外、海賊達が飛び出してくるであろう巨大なガレオン船を凝視していた。

 

 海に轟く異音と共に、半ばから、海と共に、その巨大な姿が()()た。

 

「──は」

 

 誰かが、息を吐き出すように、ただ声を漏らした。

 全員の目線の先。

 メリー号よりも何十倍もある大きさの巨大帆船が、不自然な形で、ど真ん中からへし折れたのだ。

 

「なあああ──!?」

 

 全員が見て、叫んだ。

 巨大ガレオン船が崩壊していく衝撃で大波が立ち、バラティエが大きく揺れた。

 

 

 

 

 

 








東の海ね。
クロとね。ドン・クリークとね、アーロンがね、すきでね……クロなぁ。
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