「"”」これ。
ケータイの機種のせいかちゃんと正しい並びになってるのか分かりませんで。本当に修正報告ありがたいですわ
「がぁあっ!?」「くぞ絡まっでァィデェ゛っ!」
「だぁあうざったいんだよこの黒いのォっ!!」
「ちっくしょこの変な音符も鬱陶し゛いダァあ゛」
「あの女コックだ!」「あの女能力者がァ゛っ」
「ははっ! 戦いやすいぜェ!」「おらっ、くらえ海賊っ!」
「こりゃあとで美味いもん作ってやらねェとな!」
「ありがとよウタちゃーん!」
下から手を振られて、バラティエ2階のテラスから振り返した。
店内を荒らさないように、とのサンジのはからいで展開された広い足場……バラティエの設備
海からその広い足場に続々と上がってくるクリーク海賊団を、この場所から俯瞰しつつ。
主に黒子達で、そして時々音符や流線で。槍のようなフォークやナイフで武装して立ち向かうコックさん達を、ひたすら、無心で私は援護し続けている。
ヒレの上は、コックさん達の手で
敵に銃持ちがいないのが幸いだった。
遭難してたって話だし、加えてあのミホークのやつに船を破壊されたせいかな?
弾切れか、銃の整備不良か。
なんだっていいけど、遠距離攻撃持ちが実質クリークだけで、そのクリークもだいたいルフィが抑えてる現状。
一味の相手は、私とコックさん達の独壇場だった。
水上も水上で、バラティエの
「やっちまえパティ! カルネ!」
「いけぇ2人とも!」
あれ、動くんだ。……乗ってみたいな、どうせならルフィと。
あの可愛らしいバラティエの顔部分が水上を泳ぐように進み、砲撃を繰り返してガレオン船の残骸に陣取るクリーク一味を蹂躙していく。
その勢いでクリークに突進して……真正面から受け止められて投げ飛ばされた。
……バラティエのあの顔部分、ちょっとした家サイズはあるのに!?
いや、クリークの腕力に驚いてばかりもいられない!
店へと飛んでくる
「ああ待った待った。ありゃ任しときな、ウタちゃん」
そんなセリフを私の耳に届いた直後、サンジが高々と跳び上がって、巨大な魚を文字通り一蹴し、大きく弾いた。
お、おお、……すごい!
サンジは2階にいる私よりずっと高い位置まで跳んで蹴り落としていた。
跳躍力も、あのサイズを軽々と蹴り飛ばす力も……とんでもない脚力だ!
「あっぶねェじゃねェかサンジ!?」
「もっと労れよバラティエの貴重な戦力なんだぞ俺らはよ!!」
「どうせお前ら無事だからいいだろうが」
煙を吹く
そんな2人なんてどうでもいいとばかりの塩対応をしたサンジが、くるりと私に向き直ってへらりと笑った……なんで?
「ウタちゅぅぁあんっ! 店と君を、あぁアッサリと護って見せたぜいっ! おれかっこよかったろぉおっ!?」
やっぱりその態度が私どうしても苦手だなあ!
不要だったとはいえ、まあお礼は言わないとね助けてもらったわけだし……ここは「ありがとう」のスタンプを描いておこう! デフォルメしたゾロの顔付きで!
「うぉなんだこ、りゃ……」
驚いた後に複雑な顔をした気がするけどこれでよし。あとは知らない!
「ぅぐあっ!」「っづ、ぁ」「ぅううあああっ」
しまった目を離しすぎた!
痛烈な悲鳴に目を向けると、丸い盾のような物を鎧の様にほぼ全身に纏う大男が、両手の丸盾で黒子達を、コックさん達を蹂躙し始めていた。
「おっしゃあっ! さっすがだぜパールさん!」
「やっちまえパールさーん!」「いよっ盾男っ!」
歓声を上げるクリーク一味にパールと呼ばれてる大男は、最後の黒子を殴ってたちまち消滅させ、さらにとその隣にいたコックさんへ殴りかかっていく。
咄嗟に流線を飛ばし、その腕を絡めとった。
「んん? なんだいこの戦は? 絡まって引っ張って、鬱陶しい、なあっ!」
う、げ。
パールは一息、力を入れただけで強引に流線を引きちぎった。
その隙に狙われていたコックさんは距離を取れたけど、あれは厄介だ。
パワーを感じさせる大柄で、しかも鎧を纏っているその見た目。
私の能力とすこぶる相性が悪いなあ。
「おっと、ハッハハ。し損じてしまった。逃げるなよコック共!」
「そう好き放題させるかよっ」
サンジが果敢に飛びかかり、あの脚力からの蹴りでパールを抑えに行った。
両腕の盾で軽々と防がれたけど、サンジは気にも留めていないのか続けてさらに続けて攻め立てていく。
連続した前蹴り、小刻みのステップから左右のキック、果ては床に手を着いてクルクル、いやギュルンギュルン? 回って回転を乗せた蹴りとか。
洗練された格闘技のような蹴り脚もあれば、まるで曲芸みたいな技を繰り出している。
変幻自在でかつ素早く、威力もあるのか。パールは下手に受けれないでいる。
体格差も装備の重量のせいもあってか、サンジが徹底的に押している。
あれは盾が無かったらアイツとっくにやられてるんじゃ……?
速い乱打が立て続く。
敢えて盾を蹴って揺らし、軸足部分の盾を蹴って、揺さぶっていく。
そうやってパールの盾の鎧から顔部分が露出させ、鋭い蹴りで的確に狙っていくのが傍目に分かる。
お互いその場を動かない。だけどサンジの蹴り足だけが繰り出されて、パールは防ぐのに手一杯にならざるを得ない様子だった。
「ちぃっ、こっ、の! 面倒臭いっ! 無駄だっていい加減、分かりなよキミィッ!!」
「反撃出来もしないヤツが言うことじゃねェ、なっ!」
「こんな、手も使いもしない横着者、にぃ……づぁっ?!」
抉るような蹴り上げ。重々しい反響音が蹴りの威力を物語った。
呻き声を漏らし、跳ね上げられた両腕の下から引き攣ったパールの顔が晒される。
「そら防いでみろ盾男」
その瞬間、私の目じゃ追えない速さで、サンジの身体がパールの懐で深々と沈みこんでいた。
そしてまた瞬間的に、跳ねるような勢いで仕掛けていく。
「
盾のない顎へと、サンジの踵が突き刺さり、パールの顔が跳ね上がった……その後頭部に、なんでかルフィが降ってきて激突した。
「うわあっ!」
「へぶっ」「へ?」
激突……だけに留まらず。パールの顔面が強く押し出されて、丁度その目の前に掲げらていた両腕の盾にぶつかった。
傍目にも痛そうな音に顔を顰める。
なんていうか、ツイてない流れっていうか。びっくりしたー、とか言って立ち上ってるルフィがまったく気にしていないのがまた……。
「あ……あ~、災難だ、な?」
目の前で見ていたサンジも思わずだろう、そんな声をかけている。
敵ながら、一部のコックさんからいっそ失笑すらされてる光景に、私もつい同情の念が込み上げる。
しかし不思議なのは、盾に顔面をぶつけた状態でプルプルとパールが震え出したことだった。
なんだか鼻と口元を拭って呆然としてブツブツブツブツ……呟いてる様だけど、2階からだと詳細は分からない。
「あ、あ……
あ、ちょっとだけ聞こえた、けど。
血? ……血がなんだろ? 何をしてるんだろアイツ。
「血? 血!? ま、ずくないか?」
「血が出たんだマズイ、やばいぞっ」
「パールさん大丈夫ですよそんなのかすり傷かすり傷!」
「バカッ! 傷とか言うなっ!」
「お前こそ言うなよ!?」
海の中から様子を伺っているクリーク一味が、口々に何事か騒ぎ出す。
聞こえた言葉からすると、あいつは傷と血がイヤってこと?
海賊なのに何をそんな繊細な感性を……。
ガツン! ガツンッ! ガツンッ! ガツンッ!
「ぬわっ!?」「なんだあいつ……?」
「いきなりなんだコイツ」
「……盾を打ち鳴らして何しようってんだ」
……いきなり、何度も何度もパールが両手の盾を激しく、激しく、暴れるように打ち合わせている。
訳のわからない行動に困惑する私達。一方、クリーク一味が慌てて止めるようパールに声かけているが、当の本人は聞く耳持たずで暴れ続けている。
もしかしてあれパニックになってる? あの程度でなんだって……
「危険だ、こいつら、危険だ、ダメだ、このままじゃああアブねェ危ねェあぶねェっ!! このままじゃあ危険すぎる、危険すぎる、危険すぎるぅぅううぅぁぁああ──っっ!!」
訳わかんない事を叫んだと思ったら、炎を纏ったあぁああっ!?
「誰も俺に近づくなぁあっ! ファイアーパール、大特典っ!」
「うわっちぃいっ!?」「コイツ……ッ!」
両手を上げて何かを放ったパールを中心に、更に炎が広がる。
その範囲からルフィとサンジが跳び退いた。
チラッと一味の声が聞こえたけど、あれがジャングル育ちで培った猛獣避けの自衛の炎?
よくわかんないけど、随分と過酷な環境で育ったようで! ……野生育ち。
私やルフィは人のこと言えないかも?
「まずいぞ消せ消せっ!」「消せーっっ!!」「野郎何考えてやがるっ」
そんな事を考えてる場合じゃなかった!
皆が焦っている通り、もしも店に回って、引火でもしたらと考えると戦いどころじゃないじゃんっ!
あのパールとかいうヤツ、やっぱりパニック状態なんじゃないの!?
考える頭があれば強奪しようとしてる船を燃やすなんて有り得ないでしょ……!
消火、ああでもあいつも抑えないと! これ以上に火を強められたら最悪消せなくなる!
敵は炎に囲まれてる。なら遠距離から仕掛けられる私が適任、だけども……!
私の戦闘スタイル、というか私の能力とは相性最悪だ。
アイツをどう抑えようかと内心頭を抱えた時、躊躇なく炎の中に飛び込んでパールに踊りかかっていくサンジに目を疑った。
「ぅうおっ!? き、きさま、この炎の中、飛び込んでくるなんて正気かよっ!?」
「炎が怖くて
「ぐっ……! いぶし銀なセリフをふかしやがるっ!」
お、おおおおっ! すごいっ──ッハ。
いやいやいやいやだから感心してる場合でもないって!
文字通り火中に飛び込んだサンジがパールを抑えてくれた。となればやることは消火!
水というか海水を大量にぶっかけるくらいしか思い浮かばないし、その方法も
音符でルフィを突っついて呼びながら、能力で空に
「んあなんだ暗、く!?」
「なんだぁああっ!?」
何人も帆の下でもがいてるけど敵ばっかだしどうでもよし!
そして目論見通り
うっわコレおっっっっっっもぉぉおお……っっ!!
──私の能力、流線や音符に黒子達には、決まった性質のようなものがある。流線は巻きつければ絡めて引っ張る性質があって、おかげで非力な私でも対象のサイズに関係なく巻きつけたり引っ張ったりの扱いに苦は無い。
ただやっぱり
綱状に束ねた流線。
それを引っ張る両腕への負荷が、想像を遥かに超えていた。
歯を食いしばりながらそれでも引っ張る。
「手ェ貸すぞウタッ!」
待ち望んでいた声。
ルフィが私の背中から手を回して、私の手繰る流線を握りしめた。
「これ引っ張りゃいいんだな! よぉおおっしゃぁあっ!」
おおおお、やっぱりルフィも腕力すっごい!
一気に引っ張り上がった帆がバラティエのヒレの上に大量の海水をばら撒く。それを見届けて流線と帆を消した。
「ぅうおっとと」「なん……ぷあはっ!?」
ちょっとした勢いのある波のように押し寄せた海水が、炎をまたたく間に鎮火していく。
サンジは波から上手く逃げたけど、火元のパールは頭からずぶ濡れだ。あれでしばらくは火を起こせないだろう。
ホッとしながら、協力してくれたルフィに振り返ろうとして、まだ半ば抱きしめられてて思うように動けなかった。
……まあいいか。
首だけで振り向いてルフィの顔を見ながら、労いを込めてポンポンと頭に触れた。
「お、おれの火が、火、ひ、あ、──あ゜っ」
労いでルフィの頭に触れた直後。
ニコッとしながらぎゅっとされる。
そんな状況じゃないでしょうがと眉をひそめると、「ん?」とか言いながら首を傾げたルフィが、ぎゅっとしてくる腕により力を込めてきた。
だーかーらー……!