ルフィに「ちゅー」の概念を教えたのは……素晴らしいツイートから妄想した話
シロップ村④の冒頭部分引用あり。
ルウタ
独占欲強めルフィ。
ルフィの感情が重い。重い!あとちゃんとは書いてないけどたぶんこのルフィは微妙に病んでる。
展開なんてない。序破急というか急しかない。
以上。
メリー号の船首まで連れてこられて、後ろから抱っこされて、ルフィの足の間に座ってる。
なんで?
なんでよ?
いきなりなんでよ?
まあルフィがいきなりなのはいつもの事だけどさー!
あーあ、夕飯の後、ナミと一緒にサンジの用意してくれたデザートつつきたかったのに……!
私の顔のスグ後ろに振り返る。
恨みを込めて見上げたら、悪戯っぽい顔でにししと笑うルフィ。
「なぁウタ。俺またお前とちゅーがしてェ」
な──何言ってんだこいつっ!?
ギョッとして固まった私をルフィが不思議そうな顔で見下ろしてくる。
なんでそこで不思議そうなの!?
そしてなんでその発想に至ったの!?
「いいだろ?」
よくな──あ、あ、あ……っ。
「『まて』」
「いいぞ」
勢いよく顔を背ける。正面を見る。海広いなー! ──そうじゃ、ない!
まて。
待て待て。
待って。
ねえ待って!!
ま゛って゛っっ!!
確かにそんな事をした覚えはある。
あれはそう、酔ったシャンクス達に唆されるまま囃し立てられて引くに引けなくて勝負しててそれでえええええあああああああーっっ!!
ノーカン──ノーカン!!
ノーカンなの!! あれは!! アレをカウントしたくないの!! ノーカウントなの!!
「もういいよな」
なんで真剣な声なの!?
なんで、真剣なの!?
ねえ!?
え? なんで? いま? 急に? どうして?
だいたいこんな目立つ所でなんて──!!
「こんな所でって思ってるだろ。けどよ、俺の体でお前が俺の腕ん中に居るのは見えてねェよ」
ウタが能力使って知らせでもしねェとよ、なんて……ズルい言い回しで煽られる。
「そんな事、しねェだろ?」
からかうように、確信を込めてルフィは私を包み込む腕に力を込めた。
【あの時みたいに。けど、あの頃よりもっと】
日が沈む寸前の、夕刻。
いつもの顔で、いつもの声で、いつも通りにいきなりだった。
船首まで勢いで連れてこられて。
麦わら帽子を押し付けられて。
代わりとばかり。
アッサリとヘッドホンを奪われて。
メリー号の船首に座らされて。
後ろから抱きすくめられて。
唐突とはいえ渡された麦わら帽子を、まさか海に落とす訳にはいかない。
放す訳にはいかない麦わら帽子を持たされた時点で、片手を塞がれたのだと察するべきだった。
大胆に回してきたルフィの腕が私の腰と、もう片方の手を巻き込むように抱いてきて、両腕を塞がれてようやく察したのだ。
いつものルフィじゃないって。
「ウタ」
「……っ」
耳元に、唇を感じた。
耳の裏が熱い。
吐いた息が吹きかけられる。耳蓋が溶けそうなくらい、熱を感じる吐息。
繰り返されて、それがほんの少しずつだけ荒くなる。
身体が勝手に震える。
力が抜ける。
ルフィの背に、もたれてしまう。
腰に回されたルフィの指先が蠢く。シャツの裏へ、私の肌に、直に触れる。
手のひら全部で、腰のラインをさすられる。
少しだけくすぐったいけど、触られるうち、もっと触って欲しくなる。
意識が溶けていく。
「ウタ」
声はいつもの声じゃ無い。暖かい日差しを思わせる大好きな声ではない。
冷たくて暗い深海、暗がりから引きずり込むような囁き。
「なあウタ」
熱くて、冷たくて、深い。
何故か抗い難い呼び掛けに背筋が震える、スカーフの下で喉が動く。
その喉に指が這わされる。
触られているはずなのに消えそうなくらい繊細に。
そしてそっと撫でられる。
首筋を、鎖骨の少し上を、顎のラインを端からを。
丁寧に、丹念に指が這う。
ゆっくりと、優しく、掌に私の首が包まれる。
「ウタ」
俺を見ろよ、と言われているような。
俺を見てよ、と言われているような。
切なげに名前を口にされて、口から小さく吐息が零れる。
声に振り返れば奪われる、分かっていながら、奪って欲しくて振り返った。
「……、っ」
口元に押し当てられる柔らかな感触。
込み上げる幸福感を深く感じたくて、目を閉じていた。
啄むように吸い付かれる。
されるがまま。
何度も。
何度も。
僅かな間隔すらもどかしくなってくる。
手が使えたら、と。
離れないで、と。
体が勝手に、求めていた。
「ウタ……」
まだ切なそうな、けど嬉しそうな声だった。
◆
ゆっくりと横になっていくウタ、その頭に手を差し伸べてルフィは己の膝を枕にさせた。
極々自然な仕草。それも、壊れ物を扱うような、繊細な手つきで。
今日、島に来てからここまでのルフィからは想像の出来ない。一連の動作全てに、優しさが溢れているようだとウソップには思えた。
「へぇ? 大事なんだなウタが」
明らかにそういう関係なのだろうと、眠るウタに配慮した小声で、ウソップの口からつい揶揄う文句がまろびでた。
「ああ、そうだな」
「……」
偲ぶ声。同い歳位のルフィからとは思えないほどに、深い声。いっそウソップには慈愛すら感じられた。
何かしら照れ文句でも出るか、あっけらかんとさもわからん! とした言動でも出て、顔が赤いぞとでも笑うか、この鈍感めと呆れるか、という流れになるかと思いきや……コレである。
──え? 誰だコイツさっきまでと別人じゃね?
……己の嘘に大仰に驚き、飯屋に駆け足で飛び込み、周りの目も気にせず食事をかっ喰らい、カヤの屋敷に堂々と乗り込んで船をせびっていたあの飄々とした態度はどこへ?
内心でウソップが戸惑いに戸惑う最中。
ルフィは続けて麦わら帽子をおもむろに手に取り、穏やかに寝息を立てるウタの目元を日差しから隠すような事までしてのける。終始、微笑みながら。
呆うとして見ているだけのウソップに、ルフィは一瞥を向けて薄く笑う。声量を落として、唇を微かに震わせる。
「男のお前は、あんま見ちゃダメだぞ」
「え?」
目は何度か見た陽気な彼のまま、けれど、口元の笑みはいっそ──妖艶で、冷ややかだった。
「俺のだ」
「は」
唐突な、所有を意とするセリフ。何を、というウソップの当然の疑問は、ルフィの手元を見れば瞭然だった。
「俺の仲間は誰のものでもない、俺のものでも勿論ない」
でも。
「ウタは、俺のだ」
そして。
「俺は、ウタのものだ」
ウソップが目を瞬かせると、嘘のように、先程までの別人のような雰囲気は消え失せていた。
「どしたウソップ、そんなに見ても見せてやんねーぞ?」
「見たくて見てる訳じゃねーよ……重いんだなお前実は」
「しししっ。それエースにも言われたっけな」
「誰だそりゃ」
「俺の兄ちゃん!」
「え、兄貴いんのか。ってか兄貴にもそんな態度だったのかよ」
「渡したくねェからな」
あっけらかんと宣言する態度に、何か言うのも馬鹿らしくなるウソップだった。
◆
それとなーくナミとサンジをキッチンに留め。
グーグーと夜警に備えてか単にいつも通りにか寝ているゾロを確認して。
船室の小窓をチラッと覗いて、ウソップは表情に出さずウンザリした。
まーだ船首で堂々とイチャイチャしてるルフィとウタを、目の毒だと、なんで俺が気を回さないととウソップはくたびれ切ったため息をつく。
早いとこ日が沈んでくれたらよく見えなくなるし、船室からナミとサンジが出ないよう話を振らずとも良くなるのだが。
「……あの日あんな場面に遭遇しなきゃなぁ」
「なんか言ったウソップ?」
「どうした随分と疲れたツラしてんな」
「へへ、いや、持病の”お節介を焼かないと死んじまう"病がよ、へへ」
テーブルに伏せって空々しく笑うウソップに、何言ってんだこいつと目を向けながらも、気を使って2人は無視を決め込むのだった。
ルウタ書きたかったんです(遺言)
冷笑するルフィとかいう妄想が好きですまない(追伸)