近海の主をぶっ飛ばしてそう経たず。
急に眠ってしまったウタを慌てて船室に横にして、しばらくして。
ルフィには航海術などまったく分からないので、海流海風に任せに任せ、流されて流されるまま。
やがて、運悪く大きな嵐に見舞われたのだ。
更には追い討ちの如く、この小さな漁船では確実に沈むであろう大波が迫った。
一か八かの賭けに出ざるを得なかった。
ルフィは辛うじて、ゴムの体の自分とウタならば入れる樽を見繕いその中に飛び込んだ。
徐々に徐々に大きく、より大きくなって迫り来る波音に真っ暗闇の樽の中で身を硬くしながらも……どうしてもルフィは腕の中にいるウタの
「もしかして
何時も、ウタは長袖にロング丈のスカートやベルボトムタイプのズボンといった、体の線が見えない服ばかりを着ている。
何時も、マフラーやスカーフ、ストールのいずれかを必ず巻いている。
何時も、靴は必ずといっていいくらいにブーツを履いている。
何時も……ここ何年もの間、どんなに暑くても、
──まーた
旨い旨い色んな食い物を、ウタと一緒に腹一杯食おう! ……そんな光景を夢想して、ルフィは静かに笑った。
力を込めたら砕いてしまいそうなウタの体を、そっと、けれども、しっかりと抱き締めて。
「っっ!?」
大波の衝撃に、荒れ狂う波に、上も下も分からないほど激しく揺さ振られて。さしものルフィも意識を失ってしまった。
◆
ウタは
ルフィが、近い。具体的には密着してるとしか思えない位で、ウタの顔のすぐ傍から寝息が、というより吐息が首に──っ。
……それに、真っ暗で何も見えない。
蒸し暑くて汗をかく、というのはベタつくのもあるが臭いというのがこの状況だと色々な意味で悶絶しそうに辛く。
そもそも、単純に狭すぎて体の節々が痛かった。
足はほぼ動かせない、手は肘から先を辛うじて動かせるくらいである。
とにかく、今は。
寝ている所申し訳ない気持ちはあるがルフィを起こして、どうにかこの状況について聞くしかない。
「~っ、……っー」
顔をつつくなりすれば起きるだろうと腕を上げ……られなかった。ルフィにしかと抱え込まれている。
改めてそんな体勢にあると自覚するも、そんな場合ではない!
グッと
「zzz……に、にくぅ」
「……」
が、起きる気配なし。ただ
「……──、~っ……」
あとはそうなると、
「んん~ぬ……zzz」
「……っ」
ウタの顔のすぐ傍、寝息を立てるルフィの、
ほんの少し、そこを塞げばすぐ起きるだろう、と。
さすがに気恥しさと──申し訳なさが込み上げた。だが致し方なしと、ウタはすぐ傍から聞こえるルフィの寝息に耳を傾け位置に当たりをつけ、ゆっくり、ゆっくり、暗がりの中の
「ウタぁぁ……し……ぅぶだ」