ポケモン廃人、知らん地方に転移した。【完結】   作:タク@DMP

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第54話:姉弟対決

 ※※※

 

 

 

 ──幼い頃から、人には見えないものが見えてきた。

 周りの人は皆、それを先代の再来と言ってわたしを持て囃した。

 だけど、本当は恐れられていたことだって知っていた。

 

「うっふふふ、そう? 楽しかったんだね」 

「ねえヒメノちゃん、誰と喋っているの?」

「友達が出来た。皆にも──」

「──でも、ヒメノちゃん、そこには誰も居ないよ?」

「そ、そうだよ、ヘンだよ」

「っ……」

 

 町の子供が、わたしと距離を取っていくのは分かった。

 ノオトや、カゲボウズが居ないとわたしは本当に一人だったかもしれない。

 

「……カゲボウズ。今の子が見えていたのは、わたしだけ?」

「カゲゲゲ……」

「……そう」

 

 でも、ノオトはすぐに友達が出来てしまう。

 わたしはそれを、間近で眺めているだけだった。

 

 

 ※※※

 

 

 

 頑張れば、認めて貰えると思っていた。

 他の地方で修行すると自ら申し出た。

 父も母も、驚いていたけど──餞別と言わんばかりにわたしにタマゴをくれた。

 

「姉貴! オレっちのタマゴから、カラミンゴが産まれたんだよ! ピンクですっげーんだよコイツ」

「ミミッキュ! ミミッキュなのですよ!」

「えーっ!? 良いなぁ!? すっげー強いポケモンじゃん!! 未来のキャプテンに相応しいポケモンだよ!!」

「ふふっ、そう言われると照れるのですよー」

 

 あの頃は本当に楽しかった。

 ノオトがいつも隣に居たから。

 ポケモンも近くに居てくれたから。

 そのうち、わたしも自分の霊感を受け入れられるようになっていた。

 でも──それからどれくらいだっただろう。

 父と母が事故で亡くなったと聞いて、サイゴクに急遽戻らねばならなくなったのは。

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 ──父と母の葬儀からしばらくしただろうか。

 ヌシ様の託宣が行われた。

 次のキャプテンを決める儀式だ。

 先代の祖父が死んでから、誰も彼もキャプテンに選ばれなかったので、皆驚いていた。

 だが選ばれるとすれば皆、わたしが選ばれるだろうと信じていた。しかし──

 

「はぁぁぁーっ!? オレェ!? 何で、オレも……!?」

「これノオト様! 神聖な信託ですじゃ!」

「で、でも、だけど……!? キャプテンは姉貴だけで十分っしょ!? 何で──」

「エリィィィス」

「ノオト。それがヌシ様の選択ならば黙って従いなさい」

「ハイ、スイマセン……」

 

 本当はあの時。

 わたしが一番不服だったのを、ヌシ様はきっと見抜いている。

 でも、教えてくれなかったのはヌシ様だ。

 わたしはゴーストポケモンの言葉が分かる。

 

 ──トモニワカチアイ、ササエアエ。

 

 意味が分からなかった。

 

(歴代のキャプテンは皆一人だった……わたしだけじゃ……不足だというの……? わたしの霊力は歴代一のはず──)

 

 それでも”イッコンのキャプテンらしく”振る舞えば、いつかは認めてくれると思った。

 そこからは修行の日々が始まった。

 霊力を更に高め、ヌシ様との連携を強める為に一緒に山に籠り、そして──強いキャプテンだった祖父を倣い、それに近付けるよう頑張った。

 

(おじい様なら、きっとこうする)

 

「──常に鍛錬を怠らないことですよ」

 

(おじい様なら、きっとこう言う)

 

「──外来種の駆逐を。一匹残らず根切にするのですよ」

 

(おじい様なら、きっと──)

 

「──あ、姉貴、さっきの挑戦者泣いてたッスよ!」

「ノオトは甘すぎるのですよ」

「で、でもぉ! 厳しすぎるのもどうかと思うッスよ! 大体試練に使うポケモンも強すぎなんスよ、あれじゃあ勝てる訳ねーッスよ」

「ではノオト。代案を出すのですよ」

 

 うーんうーん、とノオトは考えた末に──

 

「ヌシ様の力を借りるのはどうっスか? ヌシ様がよく使うコピーと挑戦者を戦わせるとか!」

「ヌシ様の得意技を利用する? ……確かにそれなら挑戦者の力量を大きく上回ることはないのですが……考えておくのですよ」

 

 だがノオトの案は思いのほか好評で──今に至るまで続いている。

 それを知ったとき、わたしは少しふさぎ込んだ。

 

(いけない……わたしがしっかりしなきゃいけないのに……ノオトに助けられるなんて……)

 

 ──そんなある日の事だった。

 

「ヒメノ様は怖いんだよなあ……」

「先代のやり方を真似してるんだろ?」

「……先代みたいにならないか心配だなあ。あれじゃあ誰も付いて来ないよ」

「その点、ノオト様は霊感は無いけど……人助けはすっごくしてるし、努力家だし」

「ああ。ヒメノ様に追いつこうと無茶な特訓ばっかするから、目が離せないけど……」

 

 それ以降も、似たような話は何度も別の場所で聞いた。

 おやしろで、町で好かれているのは、わたしより劣っているはずのノオトだったことに気付いた。

 

(……怖がらせてしまったのは事実なのですよ……誰も付いて来ないのは、キャプテンとしてマズいのですよ)

 

 それからは、出来るだけ()()()()()()()()()振る舞うようにもした。

 ノオトはよく笑う。誰にでも笑いかけている。

 わたしもあんな風に笑えれば、誰にでも認められるキャプテンになれるのだろうか。

 

「──ヒメノ様、何考えてるか分からなくって怖いんだよな……」

「あー分かる。笑顔は増えたんだけど、目は笑ってないんだよ」

「言葉の節々に圧を感じるし……」

「……」

 

 一体何がいけないのか分からない。

 わたしは何も分からなくなった。

 どうすれば良いのか分からなくなった。

 そうしているうちに、やるべき事はどんどん増えていく。

 

「姉貴ー、どうしたんだよ。元気なくねーッスか?」

「いいえー、何でもないのですよー」

「……そうかぁ? 姉貴最近明るくなって、人当たりも良くなったッスから。無理してんじゃねーかなって」

「お気遣いなく、なのですよ」

 

 そんな時にでも、ノオトはお気楽だった。

 こっちの苦労も知らないで。霊感も無いくせに。

 

「姉貴、困った事があったら何でも言ってくれよなー。今は頼りなくても、オレっち、姉貴に頼られるような強いキャプテンになってみせるッスから!」

「はいー、その時は是非お願いするのですよー♪」

 

 ──ノオト。貴方に一体、わたしの何が分かるというの?

 

「結局のところ。わたしの事を分かってくれるのは、オバケさん達……皆だけなのですよ」

 

 薄暗い自室に、ゴーストポケモンが集まる。

 その時が、一番心を安らかに出来る瞬間だった。

 

「ジュペッタ、ミミッキュ……ヒメノは少し疲れたのですよ……」

「ケタケタ……」

「みみっきゅ……」

「貴方達の声が、一番落ち着くのですよ」

 

 わたしはきっと、あまり良くないトレーナーだと思う。

 普段あれだけ厳しくしごいているのに、部屋に戻ったらこうして甘えて、何て都合が悪いトレーナーなのだろう、と何度思っただろう。

 だけどオバケさん達はウソを吐かない。ありのままのわたしでも受け入れてくれる。

 特にミミッキュは可愛がった。父さんと母さんの形見だから。

 それもあって、わたしを本当に親のように慕ってくれる。

 

「みみっきゅ! みみっきゅ!」

「……ん。ありがと、なのですよ。ミミッキュ……大好きなのですよ」

「ケタケタケタ!!」

「ああ、嫉妬しないでジュペッタ。貴方は立派な相棒なのですよ」

 

 

 

 ※※※

 

 

 サムイ、クルシイ、ツライ……。

 サムイ。サムイサムイサムイサムイサムイサムイサムイサムイ──

 

 

 あの日から、ずっと、ずっとこうだ。

 

「あああああ!! やめてぇえぇぇ!! もう、わかった、わかったからぁ」

 

 呪いだ。

 きっと、これは呪いの類なんだ。

 

「ケタケタケタ……」

「大丈夫、大丈夫なのです、ジュペッタ……」

 

 サムイ。サムイサムイサムイサムイサムイサムイサムイサムイ──

 

「ひぃっ……!!」

「ケタケタ!?」

「やめて、やめてミミッキュ……!!」

 

 今も、この瞬間も、ミミッキュは苦しんでいる。

 昼夜問わず、いつでも、ミミッキュの苦しい声が聞こえてくる。

 心配されたくなくて、他の誰にも言っていない。

 だって悪いのはわたしだからだ。目を離したわたしの所為でミミッキュはこうなってしまったのだ。

 だけど、限界だった。頭が割れそうで、おかしくなってしまいそうだ。

 その度にミミッキュのボールを遠ざけようとしたが、結局罪悪感は湧くばかり。

 

「ごめんなさい……ごめんなさい!! ごめんなさい!! ごめんなさい!! ごめんなさい!!」

 

 夜中、ずっとわたしはミミッキュに謝っている。

 

 

  

 サムイ。サムイサムイサムイサムイサムイサムイサムイサムイ──

 

 

 涙が出てきて止まらない。

 そのうち、眠れない日の方が多くなっていった。

 

 

 

「ごめんなさい!! ごめんなさい!! ごめん……なさい……!!」

 

 

 

 許さない。

 許さない許さない許さない。

 

「寒いよね……苦しいよね……辛いよね……」

 

 あの子を、こんな目に遭わせた憎い奴らも。

 

「わたしが……わたしが、終わらせて、あげるからね……」

 

 情けない、わたし自身も。

 

 

 

 

 

 

 絶対に、許さない。

 

 

 

「ケタッ……ケタケタケタケタケタ──ッ!!」

 

 

 ああジュペッタ。

 わたしの可愛い呪い人形。

 どうか──あの子の無念を晴らしましょう。

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「本当だ!! 警邏のポケモンの方が100倍しつこい!!」

「だって、あの姉貴のポケモンッスからね!!」

 

 

 

 カゲボウズとゴーストの群れがメグル達を追いかける。

 彼らの”くろいまなざし”で逃げようにも逃げることもできなくなり、ジャラランガの”スケイルノイズ”、そしてバサギリの”がんせきアックス”で追い払っても次々に集まってくる。

 そればかりか、他の手持ちもカゲボウズに纏わりつかれてしまい、動けなくなっている始末。

 

(姉貴の怨みを吸って、カゲボウズは倒れても復活する──まさにゾンビッス──!)

 

「くそっ、こんな所で足止めかよ……!」

「ケケケケケ」

 

 べろん、と舌を出したてるてる坊主のようなポケモン・カゲボウズは倒しても倒しても湧き止む気配が無い。

 更に、舌に触れると身体が痺れて動かなくなるらしく「絶対に触れてはいけない」とノオトからは念押しされていた。

 

「とは言ってもこの数はどうなってんだよ……!」

「野生の個体まで引き連れてるんスよ、こいつら……! カゲボウズは怨みを吸うポケモン、姉貴の怨みはおやしろ中に蔓延してるから、それを吸いに……」

「要はWi-Fiの集団只乗りじゃねーかよ! 最悪なんだが!」

「あーなんかそう言われると最悪度増してきたッスね、こいつらぁ!!」

 

 と言っている間にもカゲボウズの数は次々に増えていく。

 メグル達の身体にも彼らは纏わりついており、次第に身体が重くなっていく。

 

「このやろ……離れやがれ!」

「ひぃぃ、舌を近付けるなッス……!」

 

 

 

 

「──ふるーる!!」

 

【アブソルの バークアウト!!】

 

 

 

 次の瞬間、甲高い怒鳴り声が周囲に響き渡る。

 ジャラランガのスケイルノイズでも離れなかったカゲボウズ達は一気にその統率を崩して、ばらばらと空中に舞い散り始める。

 何が起こった、と周囲を見渡すと壁の向こうから走ってくる小さな獣の影。

 驚くメグル達の前に現れたのは──あの子アブソルであった。

 

「ふるーる!」

「アブソル!? お前、ポケモンセンターに居ろって言ったのに!」

「しめたッス! アブソルは邪を討ち払う神聖なポケモン! アブソルの一吼えはカゲボウズにとって最大の天敵!」

 

 腕を交差させ、ノオトが叫ぶ。

 ジャラランガが鱗を最大限に震わせ、全体に音波を共鳴させた。

 

「耳があるなら塞ぐッスよ──”スケイルノイズ”!!」

 

 けたたましい鱗の音が響き渡り、空中に散らばっていたカゲボウズ達は豆鉄砲を食らったように一度静止したかと思うと、地面に次々と落下して気絶するのだった。

 

「──お、おー、すげー!」

「今のうちッス! さっさと先に行くッスよ!」

 

 と言っている間に、後ろの方から更に追加のカゲボウズ達がおかわりでやってくる。

 げんなりしながら足を止める彼らだったが、その群れにアブソルが立ちはだかった。

 

「ふるるるーる!!」

「──アブソル……此処は任せて良いのか!?」

「小さいけど戦闘センスは抜群……此処は頼むッス!」

「無理しちゃダメだからなー!」

「ふるるるー♪」

 

 ぴょんぴょん、と何故か跳んで喜んだ後──キッ、と鬼気迫るあの表情になったアブソルは再びカゲボウズの群れ目掛けて甲高い怒鳴り声をぶつけるのだった。

 そうしていくうちに、第三御殿まで残りは大きな庭園を1つ挟むのみとなる。

 門を開け、中に押し入ると、やはりというべきか彼女はそこに立っていた。

 

「おやおやおやー、誰を心配してこんな所にやってきたのですー?」

「姉貴……!」

 

 ヒメノの顔からは朗らかさが消え失せ、すぐさまボールを目の前に放り投げる。

 現れたのはドラパルト。彼女が信頼する幽霊竜だ。 

 元より手加減するつもりなど最初から無いのだろう。

 

 

 

「キェェェェェェェン!!」

 

 

 

(ドラパ……!? 姉弟揃って600族かよ!? レベル的に今の俺が勝てる相手じゃねえ……だけど、引き下がれない!)

 

「これ以上先は行かせないのですよ。元より有象無象には期待していないのです」

「ヒメノちゃん……! アルカはテング団じゃねえんだ。返してくれねーかな」

「最早テング団かどうかだとかそういった段階は過ぎ去ったのですよ」

 

 虚ろな目で彼女は口角を上げてみせる。

 

「ヒメノは、ヒャッキの民全てに復讐するため、兵を挙げることにしたのですよ」

 

 二人は戦慄する。

 脅しなどではない。本気でこの子ならやりかねない。

 

「何言ってんだ──戦争でもしようってのか!?」

「……目ェ覚ますッスよ、姉貴。幾らミミッキュが大事でも、あいつの為に戦争起こしたらテング団以下っしょ」

「霊感が無いノオトには分からないのですよ。あの子の痛みは。苦しみは」

「ああ、分からねえッスよ」

 

 前に進み出たノオトは、いつになく真剣な眼差しだ。

 

「でも……姉貴だって分からず屋だ!! 今、謂れの無いあんたの怒りを受け止めてんのが誰なのかも分かんねえのかよ!!」

 

 ノオトはジャラランガの入ったボールを投げる。

 奇しくも、大器晩成なドラゴンタイプ2体がその場に並び立つことになるのだった。

 

「メグルさん。オレっち、姉貴にお灸を据えてやるんで先に行くッス」

「おいおい大丈夫なのかよ……!?」

「確かにオレっちは姉貴よりも弱ェ! でも、だからって此処で逃げるような情けねえ生き方はしてねーッス。せめて、アルカさんだけでも助けるッスよ!」

「……ノオト。今のお前、すっごく頼れる男だと思うぜ!」

 

 メグルは走り出す。 

 目指すは反対側の門。

 だが、それを大人しく見逃すようなヒメノではない。

 

「メグル様。悪いことは言わないのです。大人しく退くのですよ」

 

 ドラパルトの身体が消え失せる。

 同時にジャラランガがスケイルノイズを放ち、消えていたドラパルトの子供たち──即ちドラゴンアローの弾頭──が地面に撃ち落とされた。

 メグルはゾッとする。それらはまさに、彼の進行方向に放たれていたのである。

 

(今これ、俺に向かって撃ったの?)

 

「どうしてステルスポケモンと呼ばれているのか、貴方にはもう一度教えなきゃいけないようですね」

 

 同時にジャラランガの足元からドラパルトが現れ、尻尾を叩きつける。

 しかし、その強固な身体にはバツグンですらない攻撃は通用しない。

 

「ゴーストダイブなんざ効かねえッスよ! ジャラランガ、ソウルビート!! ドラパルトの速度に追いついて、メグルさんの進路を確保するッスよ!」

 

 身体を打ち付け、全身の鱗を震わせるジャラランガ。

 ボロボロと鱗が剥がれ落ちていくものの、興奮して目から赤い稲妻が迸り、ドラパルトに勢いよく接近する。

 

(確かありゃ、ジャラランガ専用の積み技! 全部の能力を1段階上げる代わりに体力を削る技だ! あれならドラパに追いつける!)

 

「ッ……姿を消すのですよ、ドラパルト。不可視のドラゴンアロー!」

「渾身の”スケイルノイズ”で炙り出ァッス!!」

 

 弾頭を炙り出すどころか、今度はドラパルト本体のステルスも解除され、地面に叩きつけられてしまうのだった。

 

(押されてる……ヒメノのドラパルトは強いなのです……こんなバカな事、有り得るはずがない!!)

 

「起きなさい、ドラパルト……ジャラランガはスケイルノイズとソウルビートの反動で、一発でも当たれば落ちるのですよ」

「キェェェエン……」

 

 起き上がったドラパルトが──振り返り、ヒメノを見やる。

 とても哀しそうな目だった。虚ろな主人の顔を見ていられない、と言わんばかりだった。

 その視線に気づいたヒメノは、ヒステリックに叫ぶのだった。

 

「何で、そんな目でヒメノを見るのです……刺し違えてもジャラランガを倒しなさい──ドラパルト」

「キェェェェン……」

 

 ジャラランガがドラパルトに追いついた事によって、ヒメノ側もメグルに注視出来なくなる。

 完全に互角の勝負が始まった。

 その隙にメグルはバトルコートの脇を通り抜け、第三御殿に急ぐ。

 

(すっげぇ良い勝負してんじゃねえか、ノオト! 謙遜してたけど……これなら姉貴にも勝てちまうかもだぜ!)

 

 それを見た後──「もう良いのです」と呟き、ヒメノは完全に視線をノオトに向けた。

 

 

 

「──今ヒメノは、どうしようもなくむしゃくしゃしてるのですよ。呪われても知らないのですよ」

「なら、オレっちが受け止める。姉貴のどうしようもねぇ気持ち全部、正面から撃ち砕く」





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