ポケモン廃人、知らん地方に転移した。【完結】   作:タク@DMP

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第四章ではなく、第肆章。テーマは「夏はポケモン!」です。それっぽさをお楽しみください。因みに少しズレるって言ったけどコンセプトが「夏はポケモン!」だから大分ズレるかも。要するに劇場版のノリです。


第肆章:夢幻異聞・デイドリーム
第64話:夏はポケモンって最近聞かなくて寂しい


「──ひゅああああーん!!」

 

 

 

 ──ハイウェイを走る自動車の流れを追い越し、たきとうポケモン・ブロロロームが何匹も疾走していた。

 ブロロロームはエンジンのポケモン。車に寄生し、それを自らの出力で動かす力を持つ。

 そのため、ライドギアさえ取り付ければ乗り物として運用することも可能であった。

 そんなブロロローム達に跨るのはいかにもガラの悪そうな男たち。

 そして、彼らの視線の先には──赤いポケモンが飛行していた。

 ジェット機のように前衛的なフォルムをした、ドラゴンのポケモン。

 その手には、青い宝玉のようなものが大事そうに握られている。

 

「捕まえたら大金持ちだぜェ!! ヒャッハー!!」

「でも道交法とか大丈夫なんスかねリーダー」

「バカヤローオメー、道交法気にしてて密猟なんかやってられっか!! 爪を転売するだけでスロットの負けが帳消しよ!! ほれ、撃て撃て! 撃たんか!」

「ブロロロロロロロ──」

 

 紫色の悪臭の詰まった爆弾を、ブロロローム達は口から一斉に放ち、空中を飛び続ける標的を撃ち落とそうとする。

 しかし、それを全く意にも介さない様子で赤いドラゴンは最低限の動きでそれを躱してみせるのだった。

 そればかりか、地上に居る目標をちらり、と見やる。

 そしてくすくすっ、と悪戯っ子のような笑みを浮かべると──

 

「ひゅあああああーん!!」

 

 ──前を走っていたブロロローム達の身体がビデオのように停止。

 そして、後から走って来たブロロロームが追突し、更に他の車にも激突した。

 サイコキネシスによる強制停止だ。

 すぐさま同時多発的に玉突き事故が巻き起こる。

 

「止まっ──」

「どわぁぁぁぁ!?」

「避けろ避けろ!! あああああ!!」

「ぎゃあああああああ!?」

 

 ハイウェイは爆音と轟音が鳴り響き、一瞬で大惨事と化すのだった。

 炎上するブロロロームと乗用車たち。遅れて、警察のサイレンが聞こえてくる。

 

「いてぇ……いてぇよぉ……あちぃよぉ……」

「おい、しっかりしろぉ!」

 

 そんな中、欲望のままに、ブロロロームの上に横たわる男は手を伸ばす。

 消えていく赤い軌跡を見ながら──

 

 

 

「く、くそっ……()()()()()……必ず、捕まえ──」

 

 

 

 赤くラインを描くその竜は、空の果てへと消えていく。

 決して叶うことはない夢幻の彼方の先へと──

 

 

 

 ──第肆章「夢幻異聞・デイドリーム」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「でっけぇーっ!! あれが、メガフロートってヤツか!」

「ふぃーあ♪」

 

 飛行機の窓から、ドームによって囲われた巨大なメガフロートが見える。

 初めて見る巨大な人工島を前に、メグルとニンフィアは目を輝かせていた。

 

「はしゃぎすぎちゃって、子供だねー、おにーさんも、ニンフィアも」

「オメーにだきゃ言われたかねーやい」

「フィッキュルルル」

「メガフロートを空から見る事なんて、なかなかねーッスからね。……内部だけじゃない。外周部のネイチャーエリアは、大規模な自然公園。完成まで10年かかったとか」

「10年でも早過ぎるくらいじゃねーか!?」

「そこが、GSグループの財力ってヤツっスよ。何とあの、エーテルパラダイスに使われた技術も採用されてるとか」

 

 サイゴク地方・セイランシティ近海には巨大なメガフロート”デイドリーム”が建築されていた。

 空から見ると、壮観である。

 そこでは、ポケモンに関する様々な展示や、一般に向けた最新の研究発表。

 更に、バトルイベントと言った多くの催しが開かれているのである。

 その名も──GSフェス。

 デイドリームの一般公開を記念した祭りである。

 

「……にしてもお二人とも。あんまりはしゃぎすぎねーように! これがあくまでも修行の一環である事を忘れねーことッス」

「ノオトは真面目過ぎんだよ。修学旅行じゃねーんだから」

「何スか修学旅行って」

「オメーが言ってるような旅行だよ」

「喧嘩しないのっ! 折角招待券当たったんだから、楽しもうっ!」

「……はぁーあ、しゃーねーッスね」

 

 本来、彼らはポケモン博に参加する予定は無かった。入場料だけでも高額の上に、移動には飛行機を使わなければならない。

 とてもではないが、そんな余裕は3人にはない。ましてや、彼らはクワゾメに向かう旅の途中。本来ならGSフェスなど眼中にも無かった。

 しかし、クワゾメタウンに向かう道中で訪れた町で──

 

(大当たりー♪ 特賞・デイドリームGSフェスへの特別招待券でーす♪)

 

(なーにーッ!?)

 

 ──と言った具合に、運良く福引に当たったのである。

 結果、彼らは行き帰りの航空券と三日間の入場チケットを3人分ゲット。

 だが当然、此処に来るまでに何も波紋を生まなかったわけではない。

 

(あのッスねー、GSフェスとか行ってる場合ッスか? オレっち達はテング団に勝つために、修行しねーといけねーんスよ!)

 

(バカ言え、単に遊びに行くんじゃねーよ、見ろよコレを)

 

(……ビッグバトルレース? 優勝賞品はキーストーンで、上位入賞者にはシルフカンパニー製の特性パッチィ!?)

 

(──な? 行く価値あるだろ?)

 

(えー、ボク、サーカス見に行きたいんですけど、サーカス! ガラル地方の化石ポケモンがキャストで出演するみたいですよ! 三日間ずっと見に行きたいです!)

 

(ダメだ! 1人でも手に入れば御の字、オメーも出るんだよ!)

 

(えー!? おにーさん、やっぱ意地悪です!)

 

 ──GSフェス二日目に行われる最大の目玉。

 それが、ビッグバトルレース。

 メガフロートの外周部を舞台とした、妨害アリ、バトルアリ、何でもありのレースだ。

 そして、その報酬は滅多に手に入らないレアアイテム・特性パッチ。これは、ポケモンの特性を隠れ特性にする優れもの。隠れ特性のポケモン自体が滅多に手に入らないので、全トレーナーが垂涎モノのアイテムである。

 更に、メガシンカに必要となるアイテム・キーストーン。こちらは更に稀少度が増す。サイゴク地方でもお目に掛かれない激レアアイテムであり、ポケモンがメガシンカをする際にトレーナーが付けることになる宝石である。

 

「お前としても悪い話じゃねーだろ? バトルレースの報酬は」

「……キーストーン……絶対手に入れてやるッスよ!」

「そっか、ノオトは、まだメガシンカ出来ないんだったっけ」

「ああ。キーストーンを持ってねーんだろ?」

 

 その瞬間、機内の空気が凍り付く。

 ノオトの顔は──涙と鼻水塗れになっていた。

 

「ひぐっ、うぐっ、ひぐ──それ以上姉貴と比べてみろ! 今此処で、大声で──」

「ゴ、ゴメン! 違うの! そういうつもりで言ったんじゃなくってね!」

 

【特性:ライトメンタル】

 

「あークソ、面倒くせーなマジでコイツ……」

「面倒臭いって言ったァ!! 姉貴にも言われたことねーのに!!」

「うるせーうるせー!! 泣くのやめろ恥ずかしい!!」

「ふぃーあ……」

 

 呆れたようにニンフィアは溜息を吐くのだった。

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 デイドリームに着陸した後、メグル達が最初に向かったのは「ビッグバトルレース参加者受付」と書かれたテントであった。

 やることは勿論、参加確認である。

 彼らは既に事前申し込みをしているため、何も慌てることは無い。

 後は明日に向けて、今日は思いっきり羽根を伸ばそう──と考えていた矢先だった。

 

「参加希望者多数につき、抽選だとォ!?」

「説明書きに書いてあったと思うんですが……それで今から参加者の発表があってですね……そこのボードに受付番号がある人が参加できるんですけども」

 

 受付の人に言われて、スマホロトムの応募画面の説明書きを見ると──下の方に小さく※参加希望者が多数の時は抽選になる場合があります、と書かれていたのだった。

 

(ちっせーよ!! 絶対トラブルの元だわ、こんなん!!)

 

 メグルは肩を落とす。

 

「メグルさん……オレっち達の番号、全部ねーッスよ」

「ウソだろォ!?」

「どうやら、皆キーストーンは手に入らないみたいだね……」

「帰るッスか」

「待て待て待て!」

 

 踵を返そうとするノオトをメグルとアルカは必死に引き留める。

 

「折角来たんだから、他の催しを楽しもうよ! サーカスとか、大博覧会とか!」

「ほら、大博覧会は楽しいぞ絶対! 何かこう……色々あるみてーだぞ!」

「よくもまあそんな貧弱なボキャブラリーで誘おうと思ったッスね……」

 

 

 

「何で俺がァ!! バトルレースに参加出来ねえんだよオイこらァ!!」

「ん?」

 

 

 怒号がさっきの受付の方から響いてくる。

 見ると、ガラの悪そうな大柄のスキンヘッズが、受付の女の人に凄んでいた。

 しかも既にポケモンまで出しており、いつ暴れ出してもおかしくない状態である。

 

(だから言ったんだよ、分かりにくい応募規約はトラブルの元だって!)

 

「俺のォ、ラウドボーンちゃんの晴れ舞台が台無しじゃねえかァ、ああああン!?」

「ボォォォーンッ!!」

「お、おやめください、お客様──!」

「おい待てやコラ!」

「ああん!?」

 

 ガラの悪い男、そしてその傍らにいる鰐のようなポケモンは振り返る。

 メグル、ノオト、アルカの3人がそこに立っていた。

 

「何だァ、ガキコラァ!!」

「──どーせ、募集要項とかちゃーんと読んでなかったんだろ。そういうの無視すると、詐欺に遭ったりするんだぜ!」

 

(イキってるけど、この人も募集要項読んでなかったんスよね……)

 

(カッコ悪ぅ……)

 

「……お前ら、それは言わないお約束だ……」

「ふぃーあ♪」

 

 ニンフィアがやる気十分と言わんばかりに飛び出す。

 

「ストレス発散なら、俺が付き合ってやるよ! だから、受付のお姉さん虐めるのはやめな!」

「そーだそーだ! やっちゃえおにーさん!」

「ッ……このバラード様に挑むとは良い度胸だぜ! 唄え唄え、ラウドボーン!!」

「ボォォォーンッ!!」

 

 肌が震える程の咆哮がその場に響き渡る。

 白骨化した頭部に、赤い身体を持つ鰐のようなポケモンだ。

 バラードと名乗った男はマイクを振り回しながらメグルの方に向けた。

 スマホロトムを取り出したメグルは鰐のポケモンに図鑑機能をスキャンする。

 

【ラウドボーン シンガーポケモン タイプ:炎/ゴースト】

 

 ラウドボーンは頭部に止まった炎の鳥が、マイクに変わり、炎の歌を放つポケモンだ。鰐のような体躯は頑強で、大抵の攻撃はびくともしない。その上、炎タイプが付いているので、ニンフィアのフェアリー技は半減されてしまう。

 しかし、タイプ相性はニンフィアの闘志を減退させる理由にはならないのである。

 

「骨ワニ……見た事ねぇヤツだ! 気合入れてけよニンフィア!」

「ふぃーあ♪」

 

 

 

 ──ポケットモンスター。縮めてポケモン。

 

 

 

「かき鳴らせ、フレアソング!! 唄えば唄う程に苛烈さを増すぜ、ラウドボーンの歌は!」

 

 

 

 ──この星の不思議な不思議な生き物。

 

 

「おにーさん! やっちゃえーっ!」

「ま、特訓通りなら勝てねー相手じゃねーッスよ!」

 

 

 ──人とポケモンは互いに助け合い、競い合い、時にぶつかり合いながらも共に生きてきた。

 

 

 

「何でだ!? 何で焼けねえ!? 何でだァ!?」

「へっ、ニンフィアに特殊技は効かねえんだぜ!! ”めいそう”の起点にしてやるよ!」

 

 

 

 ──そして、この男・異世界から来たメグル。相棒のニンフィア。

 

 

「クソッ、こうなりゃあくびだ! 眠っちまいな!」

「ッ……長期戦は出来ないな」

 

 

 ──この世界にある日突然飛ばされてしまった彼は、元の世界に戻る手掛かりを探すため、仲間と共に冒険の旅を続けていた。

 

 

 

「ニンフィア! 眠気ェ我慢しろよ!!」

「ふぃー……!」

 

(ヒメノちゃんに貰った技マシンで覚えた技──ッ!!)

 

「──そんなゆめふわなポケモンで、パンクな炎に勝てるわきゃねーだろが!! フレアソング!!」

 

 

 ──だがこれは、その旅路から少し外れた、とある島で巻き起こる──夢のような物語。

 

 

 

「ニンフィア、シャドーボールだ!!」

 

 

 

 炎の波を押し返したのはドス黒い影の凝縮された弾。それが幾つも放たれ、ラウドボーンを爆撃する。鈍重なラウドボーンは避けることすらままならない。

 更に”めいそう”で強化された特殊攻撃力により、威力は底上げされている。ひとたまりも無い攻撃だ。

 

「ウソだろ!? 押し返された!? しっかりしろラウドボーンちゃん!!」

「ボ、ボォォォーン……ッ!!」

 

 ぐらり、と頑強な身体が揺れて、倒れ込もうとするが、それでもまだ尚、口から炎を漏らしながら立て直す。

 だが、視界がブレたことで、一瞬で距離を詰めた凶悪リボンに気付かなかった。

 にやり、とラウドボーンよりよっぽどあくどい顔を浮かべたニンフィアは、リボンをしゅるしゅると伸ばし──

 

「トドメのでんこうせっかッ!!」

 

 ラウドボーンに渾身の百烈叩きを見舞うのだった。

 漸く、ごろん、と転がったラウドボーンの目からは光が消え、そのまま沈黙する。

 勝負アリだ。

 

「わりーな。うちのお姫様は、あんたが思ってるほどヤワじゃねーんでな」

「フィッキュルルルル!!」

「ク、クソッ、特性パッチさえあれば、こんなヤツになんて負けねえのに……!! 覚えてろよー!!」

 

 倒れたラウドボーンをボールに戻し、バラードはその場からそそくさと逃げ去っていくのだった。

 地面に降り立ったニンフィアは眠そうに欠伸をすると、そのままメグルの腕にひょいと飛び乗り、抱き着く。

 

「ふぃるふぃーあ♪」

「おー、流石だニンフィアッ! 進化してから絶好調だな!」

「まさかGSフェスに来て一発目がストリートバトルなんて……変に観衆集まってきちゃったし」

「まあ、人助けになったし、良いんじゃねーッスか?」

 

 

 

「──こちらからも礼を言いたいネ。うちのスタッフを助けてくれて、ありがとう」

 

 

 人だかりが割れて道が開けていく。

 傍には黒服のボディーガードが付き添っており、更に大柄な番犬のようなポケモンがグルルルと常に唸り声を上げている。

 

【マフィティフ おやぶんポケモン タイプ:悪】

 

「何あれ……」

「……サイゴクには居ねえポケモンッスね。ああやって身辺警護に使われるんス」

「じゃなくって! あの黄のスーツの人!」

 

 老人は一歩、また一歩とメグルの方に近付くとニヤリ、と笑みを浮かべてみせる。

 そして──

 

 

 

「ナイス、ゴールドーッ☆」

「……は?」

 

 

 

 ──風貌に全く合わないテンションでメグルを両手の人差し指で指すのだった。

 

「ゴールド。マジでゴールド!! 輝いてたよ、さっきの君ッ☆」

「え、えーと、何スか!? いきなり!!」

「だからぁ、さっきのバトル! ナイス、ゴールドだよネッ☆ 特にあのニンフィアちゃんの鬼気迫る顔、どうやって育てたのかナッ☆」

「俺も知りません……」

「何あの人……」

「マリゴルド。GSグループのトップ、CEOッスよ! 何でこんな所に!?」

「──GSグループのトップゥ!?」

 

 アルカはもう一度マリゴルドの姿を見た。

 どう見てもグループのトップには見えないはしゃぎっぷりである。

 頭も白くなっており、皺も多いが、その振る舞いは年老いている風には見えない。

 

「これこれマリゴルド。はしゃぎすぎじゃわい。メグル君が困っちょろうが」

 

 後から聞こえてきた声に、アルカとノオトも思わず振り向く。

 メグルも目を丸くした。

 ボディーガード達の中からやってくるのは、黒いスーツを着込んで腰の曲がった白い顎鬚の老人だ。

 そして、彼の名前をメグルは知っている。

 

「リュウグウさん!?」

「ほっほっほ、久しぶりじゃのう、メグル君」

 

 今度はノオトが驚愕する羽目になった。

 キャプテン・リュウグウ。セイランシティの”すいしょうのおやしろ”を護る者だ。

 

「リュ、リュウグウさん!? 何で貴方がこんな所にい!?」

「ほっほ。マリゴルドはワシの幼馴染じゃよ。GSフェスは友人の晴れ舞台のようなもんじゃからのう」

「そー! 私とリュウちゃんの友情はゴールド!! 絶対に錆びつかない、硬い絆で結ばれてるってワケサッ☆」

 

(うっぜー……)

 

「と言う事は……ノオト。ヒメノから聞いた話によれば、オヌシがメグル君の付き添いだったかのう。オヌシも居るとは」

「い、いや、リュウグウさん、オレっち達、遊びに来たわけじゃなくってですね……」

「分かっておるわい。こんな時だからこそ、平時は平時らしく生きる。大事な事じゃよ」

 

 ほっ、とノオトは胸を撫で下ろす。

 彼にとってリュウグウは、ずっと憧れの頂点のような人だ。

 なんせこのリュウグウという老人、魔境・サイゴクキャプテンの中でも最も強い男だからである。

 老いて尚、あの癖の強い面子をまとめられるだけの胆力と実力を兼ね揃えた豪傑だ。

 

(お、怒られるかと思ったッス……)

 

「そしてそこの娘が……例の石商人の」

「ど、どーもぉ……」

 

 アルカは気まずそうに手を振る。

 この様子ではきっと、ヒメノ経由でリュウグウにも自分の事は知られているのだろう、と彼女は察した。

 

「俺達バトルレースに参加しに来てたんです。たまたま、特賞でチケットが当たって」

「ほう、それは幸運じゃわい。良い修行になるじゃろ。この大博覧会での経験は、きっとこれからの旅や戦いに役立つ」

「でもオレっち達、抽選に落ちちゃったんスよ」

「だから、ちょっとガッカリしてたところで……」

「あらま。それは残念じゃったのう」

「問題ナッシング~~~♪」

 

 歳に見合わぬ軽やかさでグルグルと回転しながら、マリゴルドはメグルの手を取り、高らかに言うのだった。

 

 

 

「リュウちゃんの認めたトレーナーなら、是非とも参加してもらいたいよネッ☆ ──ゴールドな貴方を、ビッグバトルレースに招待しちゃうゾッ☆」

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