サイヤン ハイスクールライフ   作:なごみち

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初投稿です。
生温かい目で読んでください。
原作と同じ流れの部分は省略気味です。


転校初日

自己紹介も終わり、指定された席に座る。

転校初日ということもあり悟飯の周囲は会話が絶えない。

いくつか質問をしたりされたりしている内に、ビーデルがある話題を持ち出した。

 

「そうだ!あなた今朝の銀行強盗が逮捕された現場にいた人でしょ!」

 

現場にいたのは事実な上、よくよく見ればビーデルの顔には見覚えがある。今朝会った人物だった。否定はできない。

 

「ああ、金色の戦士が現れたっていう?」

 

「金色の戦士?なんですかそれって……」

 

聞きなれない言葉に悟飯は首をかしげる。

 

「あんたは来たばかりだから知らないわよね。ここ最近3回も現れた正義の戦士よ!ものすごく強いらしくて逆立った金色の髪の毛の男の子だって有名なの」

 

イレーザは丁寧に説明してくれたが、悟飯は冷や汗が止まらなかった。

活動時期と特徴にあまりにも覚えがあったからだ。

 

「そういえば金色の戦士はこの学校のバッジをつけてたそうよ……。

白っぽいシャツに黒色のベスト、茶系のパンツ……偶然だけどそっくりね」

 

「やだなあ……僕じゃないですよ」

 

背中の汗がたらりと流れる。嘘をついていると責められているような気分だ。

 

「そりゃそうだ。相手を見て言えよビーデル。そいつが戦士ってガラか?だいいち金髪じゃない」

 

「それはそうだけどさ……」

 

シャプナーの助け船で悟飯への金色の戦士の疑いは一旦取り下げられそうだった。いくら服装的特徴が一致しているとはいえ、今の悟飯の印象と金色の戦士とでは重ならない者が大半だったのだ。

悟飯はほっと息をついた。

一時はどうなるかと思ったがこれでしばらくは大丈夫だろう。これからバレたりしないよう対策を取らなくては。

しかし、束の間の安堵は長く続かなかった。

 

「なに言ってるんだ。そこの孫悟飯が金色の戦士だろ?」

 

「いっ!?」

 

突然の言葉に悟飯は振り返った。

発言をしたのは真後ろの席の女子だった。茶系の髪を大雑把に括っている。せっかくなあなあになりそうな雰囲気だったのに、彼女のおかげで台無しだった。周囲の視線が痛い。

 

「あのねえルコラ、根拠もないのに便乗して適当なこと言わないの。悟飯くん困ってるでしょ?」

 

後ろの彼女の発言で悟飯への疑いは決定的になったと思われたが、ビーデルの反応は少し違ったものだった。

 

「適当だと?私はいつも真剣だ!ちゃんと見たんだ。そもそもこの間した惑星コーザの話だってなあ!」

 

「また野菜人の戦いの話?もう……」

 

ビーデルは呆れたようだった。

 

「ビーデル!今日という今日はちゃんと話を聞いてもらうぞ。いいか!惑星コーザに降り立ったサイヤ人たちは──」

 

「いい加減にして。その話六回目じゃない、聞き飽きたわよ!せめてもう少し現実味のある話を──」

 

ビーデルとルコラの予想外の言い争いに呆気に取られていると、隣のイレーザが申し訳なさそうに声をかけてきた。

 

「ごめんねゴハンくん。あの子オカルト話大好きでいっつも『宇宙一の戦闘民族』の話とかしてくるの。今回も転校生だからってこじつけちゃってさ……。で、実際のとこどうなの?金色の戦士くん」

 

「違いますよ!」

 

「だよねえ、ルコラの話って大抵おおげさなんだもの。ゴハンくん弱そうだし」

 

「あははは……」

 

(なんでサイヤ人の話なんか知ってるんだろう)

 

緊張と安堵の連続で、初日からこれでは心臓がもたない。

悟飯は少し泣きたくなった。

 

─────────

 

初めての体育の授業は野球だった。

悟飯は力を抑えるつもりでやったが、しかし周りと比べるとやはり外れた記録を出してしまった。

これでもやりすぎだったかと反省する悟飯だったが、その目の前で悟飯のやらかしなど霞んでいくような盛大なパワーを見せつける者がいた。

ルコラだった。

 

「かっとべ!!!!」

 

力任せに振られたバットは投手の投げたボールを捉えると勢いよく吹き飛ばした。

まるで手加減を知らない打球はグラウンドのフェンスを一瞬で飛び越え、あっという間にどこかへ消えていった。

 

「ファウル!」

 

審判の容赦のない声が響く。

パワーこそあれ、まるで技術がない。むしろよくバットに当てられたものだと周囲は呆れていた。

 

「ルコラ、力だけはあるんだけどなあ。ちょっと強引すぎるというか……チームには欲しくないよな」

 

「お前はもう少し頑張ったら多分いい感じにハマるぜゴハン」

 

チームメイトに肩をぽんと叩かれる。

しかし悟飯はうわの空だった。

 

(あの子おかしいぞ。サイヤ人のことは知ってるし力はやたら強いし……)

 

 

─────────────

 

「よう孫悟飯」

 

「ルコラさん」

 

放課後ベンチで涼んでいた悟飯に、ルコラが声をかけた。

今朝悟飯を危機に陥れてくれたわりにはあっけらかんとしている。

その所業や地球人としては異常な力を持つ彼女に、悟飯は警戒の色を隠せないでいた。

 

「なんで金色の戦士のこと隠そうとするんだ?事実だろう」

 

「……見てたんですか?今朝のこと」

 

「おかげでスカウターも壊れた。弁償してくれ」

 

「……」

 

「あんたなかなかの戦闘力だよな。変身もできるみたいだし。それだけ強いんなら地球だって征服できるだろうに」

 

ちょっとイかれた不思議ちゃん。そんな評価とは裏腹に、ルコラは至って真剣に悟飯を見据えていた。

 

「そんなことをする必要がないよ。平穏に暮らせたらそれでいいんだから」

 

「平和主義者ってわけか。それとも戦いが怖い?」

 

「どっちもかな。相手を殺す選択肢があるってのは恐ろしいよ」

 

「腑抜けたやつ」

 

ルコラは悟飯の隣に腰掛けると、持っていた荷物を地べたに置いた。

発言からしてどうにも彼女が地球人だとは思えない。

目的が読めない。悟飯は警戒レベルを引き上げた。

 

「まあいいや。アンタの主義主張に興味なんてないし。それよりもサイヤ人って知ってるか?地球にいるはずなんだけど」

 

「……君がよくしているっていう話の登場人物だっけ」

 

イレーザから彼女がその話をよくするというのは聞いていたが、目の当たりにすると自分のことを言われているようでドキッとする。

間違いなく心拍数が上がっている。

 

「そうだ、だが実際にいるんだからな。宇宙一の戦闘民族で、住人を殺して星を売るのが仕事だ」

 

「…………」

 

「フリーザという極悪の宇宙人がいてな。そいつの命令でたくさんの星を滅ぼしてきた。サイヤ人の名は宇宙中に轟いた!恐ろしい種族としてな。……しかしそんなサイヤ人も母星を破壊されては助からない。生き残りも散り散りとなってしまったんだ」

 

ルコラは悲しそうな声色で語った後、悟飯の耳元に顔をよせた。

いったいなにが言いたいのか。

『お前がそうなんだろ?』『サイヤ人め!母星を滅ぼされた恨み!』

いくつかの言葉が脳裏をよぎり、消え去っていく。身に覚えのない恨み言でも言われるのだろうか。今日一日自分が『異常』であることがバレることを恐れていた悟飯は、それを直接指摘されるのではと不安になった。

 

「実はな、私はサイヤ人なんだ」

 

「へ、へえ……」

 

予想とはちがう言葉が来たので悟飯は思考が停止し、素で反応を返してしまった。

 

「黒髪じゃないのに?」

 

「これは母方の血だ!残念ながら私は純血じゃない……だが戦闘力は純粋のサイヤ人よりも上だ。大猿になれば地球なんて一瞬で終わる」

 

「尻尾は」

 

「隠しているだけだ!見ろ!」

 

ルコラはズボンを下げ、尻尾を見せつけてきた。パンツが見えることも厭わないあまりの大胆さに悟飯は目を逸らした。

 

「地球人に紛れなきゃいけなかったからな。隠してたんだ。で、どうなんだ?見たことあるのか、サイヤ人」

 

期待がありありと込められた視線。

 

「な……ないかも」

 

嘘をついた。この隠すという言葉を知らなすぎる同族に関わりあいになりたくなかった。

誤魔化すためにペットボトルに口をつける。

 

「そうか!だがアンタほどの戦闘力ならその内会うこともあるだろう。そしたら教えてくれ。私はこの星のサイヤ人と結婚するんだ」

 

ルコラは胸を張って宣言した。

悟飯は水を吹き出すのを止められなかった。

 




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