あたしの名前は黒崎遊子8歳!うーん気持ちのいい朝だ!朝日が眩しいね。あたしがこの世界に来て一日が経ったけど色々分かった事がある。
まずここはBLEACHの世界ではあるみたいだけど原作開始から三年前らしい、道理で昨日見たお兄ちゃんが幼かったはずだ。
三年前という事はお兄ちゃんはまだ中学一年生、あたしも夏梨ちゃんもまだ小学二年生になったばっかり。という事は死神のルキアちゃんが来る原作開始までまだ時間があるということ。
次に驚きの事実がある。あたしは幽霊が見えるようになっていた。
原作ではぼんやりとしか見えなかったはずだが、昨日窓から外を歩いているお兄ちゃんを見かけた時にお兄ちゃんに付き纏っていたサラリーマン風な男の人の幽霊がハッキリと見えた。
お兄ちゃんは虚空に向かって「祓っても、祓っても憑いてきやがる早く成仏しやがれ」と言っていた。普通の人が見たら頭がおかしく見えるかもしれないが幽霊が見えるあたしには自然な光景にみえた。
元々お兄ちゃんと夏梨ちゃんと同じ親から生まれたのだから素質はあるのだ。たぶんだけど今のあたしならお兄ちゃんと遜色がないくらい霊を感じとれるし死神も見えると思う。
次にあたしのこの世界での目標を決めた、それはお兄ちゃんを観察する事。
元々あたしのお兄ちゃんに対する感情は強かった、ありたいていに言えば黒崎一護はBLEACHの中で一番好きなキャラクターなのだ!
その思いが黒崎遊子になった事でかなり強く感じる。作中でもお兄ちゃん大好きっ子だったからね、お兄ちゃんのカッコいい所が見たい!という思いが強すぎるのだ。
突然だがあたしのおにいちゃんにゾクゾクくるポイントBest3を発表する。
『第三位』は力を手に入れてちょっと調子に乗ってる時のお兄ちゃん。
朽木白哉さん相手に初めて
『第二位』は絶望してる時のお兄ちゃん。
かなり後になってしまうが一番分かりやすいのは千年血戦篇で『見えざる帝国』の皇帝ユーハバッハに自分の
なんとか自分の目でお兄ちゃんが絶望してる時の顔を見てみたいよ〜
なんならあたしが理由で曇ってる時のお兄ちゃんも見たい!
そして映えある『第一位』は〜じゃじゃん!パンパカパーン!諦めず絶望に打ち勝った時の希望に溢れてるお兄ちゃんでーす!
やっぱり王道にカッコいいお兄ちゃんは良いよね〜あたし的にはやっぱり
ていうかお兄ちゃんって普段油断してたらポロっとカッコいい事言ったり、さらっとカッコいい行動したりするから侮れないんだよねー
自然体のイケメンと言うか何というか、もちろん顔もカッコいいよ!
えーっと後は後は、あーこれ以上語るとかなり長くなるから良く無いよね、まだまだお兄ちゃんの事は語り足りないけどこれから語っていけばいいんだし、とりあえずあたしのお兄ちゃんに対する愛情が確認できた所で閑話休題、本題に戻ろう。
つまりあたしが言いたい事はお兄ちゃんが大好きでBLEACHと言う作品が大好き!だからお兄ちゃんを観察しながら他の名シーンや人間模様を観察したい!と言う事だ。
その為には早急にやらなければならない事がある。まずは死神になる事だ。これから原作に入るにあたってお兄ちゃんは色々な場所で戦う事になる。あたし達が住んでいる現世だけじゃなく死んだ人達が暮らす尸魂界や虚が暮らす
そしてただ死神になるだけではダメだ。強く、力を付けなければならない。お兄ちゃんが戦う敵はどれも強敵ばかり。お兄ちゃん周りを観察するとなると敵と戦う事は避けて通れないかもしれない。
五感を支配する完全催眠の斬魄刀を持ちながら頭脳、霊圧共に最上級の強さを持つ死神である『藍染惣右介』
見えざる帝国の皇帝で『
最強の炎熱系斬魄刀である
この辺の最強レベルには勝てないまでも最低でも斬魄刀の解放の極地である『卍解』には至らなければ話にならない。
何事もやるには力が必要ってこの世界も世知辛いと言うか、皮肉なものだよね…
と言う訳で死神になるにはどうすれば良いのか、最初に思いついたのはお父さん黒崎一心に頼むだ。お父さんは元護廷十三隊十番隊の隊長で尸魂界でかなり大きい影響力を持つと言われる五大貴族(今は四大貴族らしいけど)志波家の人間だ。きっとあたしを死神にする方法も知ってるし強くなる修行もつけてくれるはず!って思ったけど直ぐにあたしは頭を振って考えを改める。
そういえばこの時のお父さんはまだ力が戻ってないじゃん!?
確かお父さんの力が戻ったのはお兄ちゃんの内なる虚(ホワイトお兄ちゃん)が出てきた後の破虚篇初期のはず…
それにお兄ちゃんならまだしも、あたしと夏梨ちゃんに甘々なお父さんがあたしが危険な目に遭うのを承知するとは思えない…
そう自分を納得させるとあたしは次の案を思い浮かべる。
となると、やっぱり現世にある不思議な商店の店主である『浦原喜助』さんに頼むのがいいか….
浦原さんは元護廷十三隊の十二番隊の隊長で技術開発局の初代局長。
その知識量はあの藍染惣右介や、BLEACH界きっての有能と呼び声が高い涅マユリも認める程だ。
しかし作中の行動としては物語のキーパーソンとなる崩玉を作り出したり、それを知らずのうちにルキアちゃんの中に隠したりと。全信頼を置いて信用しきると言うには些か危険な人物だ…
だがそれを置いても有り余るメリットがある。それは浦原商店には浦原さん以外にも経歴、性格共に一癖も二癖もある人物が居る。
元護廷十三隊二番隊の隊長で隠密機動総司令官、四大貴族四楓院家の当主でもあった『四楓院夜一』普段は黒猫となっているが、その白打と圧倒的な歩法により『瞬神・夜一』の名で知れ渡っている現隊長格にも引けを取らない実力者で作中ではお兄ちゃんに修行をつけた事もある。
更に浦原商店の店員であり身長が2メートルもあるメガネにお髭の巨漢『握菱鉄裁』彼は死神のいわゆる魔法である鬼道を扱う集団である鬼道衆その中で大鬼道長であり鬼道に置いて尸魂界で彼を超える者はほとんど居ないと言って良いよね。
つまりこれ程の人達に取り入り修行をつけてもらうことが出来るなら、死神に置いて重要とされる
あたしの才能がどれほどなのかは知らない、だけど知らないからこそ全部試した方が良いと思うんだ。
それに作中だと死神の力を失ったお兄ちゃんに力を取り戻させたのは浦原さんだ、その方法がわかってる以上あたしが死神になれる確率は高いと見た!
後はどうやって交渉するかだ、仮に浦原さん真正面から「あたしを死神にしてください!」と頼んでみるとする。絶対に受けてくれないだろうね、お父さんの事もあるだろうし護廷十三隊の事もある。それにただの少女が死神の事を知って居るだなんて警戒心だけを与えてしまうような…
だからこその交渉だ、まず始めにあたしには虚が見える事を言う。それで自分を守る為に力が欲しい、これで建前としては十分なはずだね!
次に死神になれたら浦原さんの為に働く事を誓う、ここで言う働くとは浦原商店を手伝う等の事じゃなく(店の手伝いも要求される可能性は高いけど…)普段の虚退治や緊急事の戦闘行為等だ。浦原さんの駒になって動く事で後に始まる原作の戦いに違和感なくひっそりとついて行く事ができるのだ!浦原さんとしても現世で自由に動ける死神は欲しいはずだし、あたしとしてもどうやって尸魂界に行こうか?どうやって虚圏に行こうか?問題を解決する事が出来る。正直受けてくれるかどうか、関係を続けてくれるかどうかはあたしの実力にもかかってくる。
「大丈夫、あたしは真咲お母さんと一心お父さんの娘なんだから何とかなる!はずだよね…」
まあ力の方は出たとこ勝負!やってみなきゃ分からない!あたしはお兄ちゃんが調子に乗って、絶望して、立ち直って、しっかり歳取って、しっかり結婚して、しっかり子供を育てて、しっかりハゲて、それで笑って死ぬまでは!絶対に死ねないからね!
最後に一番重要になる事それはあたしの中にある原作知識あたしが知るはずがない事を交渉に加えること。これで少なくともあたしの異常性(お兄ちゃんの事では無い)はアピール出来るし浦原さんもあたしという存在に興味を持ってくれるはずだし、浦原さんを訪ねた理由にもなる。力の方がダメでも知恵の方で貢献出来るかも知れない、あたしは考えるの苦手だけど…
ただ考えなしに全部を晒すことはやめた方がいいよね。浦原さんは何を何処まで考えているのか分からない事があり余計な知識をあまり与えたくない。更にあたしの知識を全て晒してしまうとあたしの交渉の手札は本当に尽きてしまう。それは不味い、そうなってしまっては打つ手がなくなってあたしは死神になれず三年後のお兄ちゃんのカッコいい所が見られなくなってしまう。
そんなのはNO!嫌だ!嫌だ!やだ!絶対嫌!
と言う訳であたしの中にある知識は浦原さんとの会話次第で小出しにして行く、いっそのこと予知の様なものとするか、ボカして伝えるのもありかもしれない。
浦原さんは嘘を見抜くのとか上手そうだからここが一番の勝負所になるかも…
よし!今後の方針は決まったね!今日は学校で頭の中で作戦会議をしたら浦原商店に直行!決定!
✳︎
方針が決まったあたしは早速リビングに行き黒崎家の朝ご飯の支度をする。
「今日はお父さんもご飯を食べるからね、しっかり作らなくちゃ!」
そう一人で呟くとあたしは手際よく料理を進めていく。今日のメニューはベーコンエッグにキャベツの千切り、鯖の塩焼きとワカメと豆腐の味噌汁に白いご飯といった基本的な日本食だ。やっぱり味噌汁は豆腐とワカメだよね!こんな事を言うと論争が起きちゃうかもしれないけど…
料理をしているとドアの方からガチャリと音がして誰かが入ってきた。どうやら夏梨ちゃんが起きたらしい、随分早いね
「ユ、ユズ!?もう身体は大丈夫なのか?ちゃんと寝れたか?今日はあたしが代わりに作ろうと思ってたんだけど、もう動いて平気なのか?」
なるほど、だからいつもより早起きだったんだね。
「も〜う夏梨ちゃん心配しすぎ!昨日なんかお父さんがあまりにもしつこかったから逆に寝過ぎちゃったくらいだよー」
これは本当だった、お陰であれこれ考える時間が十分にとれて今後の方針が決まったんだよね、言葉には出さないけどお父さんには感謝しておく。
「そ、そうか…あたし達もユズに頼っちゃってる所があるからあまり言えないけど心配かけさせないでよね。お父さんはずっとどんよりしてるし、一兄はなんか泣きそうだったしで大変だったんだから」
お兄ちゃんが泣きそうに!?あ〜見たかったぁ〜何で昨日部屋でおとなしくしちゃってたんだろうね、あたしのバカ!無理してでも皆んなの様子を見に行けばレアなお兄ちゃんが見れたかも知れないのに!
「せっかく早く起きたんだし今日はあたしも手伝うよ、病み上がりで大変だろうからね」
「うん!夏梨ちゃんありがとう!」
せっかくのご厚意なので甘える事にする。実際に手伝ってもらうのはありがたいし、嬉しいのだ。
✳︎
料理が完成して夏梨ちゃんと並べて居ると今度はうるさい五月蝿いお父さんが入ってきた様だ。
「ゆ〜ず〜!お父さん心配したんだぞー凄く、すっごく心配だったんだぞー」
そう言うとお父さんはあたしに抱きつき髭をジョリジョリと擦り付けてくる。心配してくれるのは嬉しいけど暑苦しいなぁ。
一刻も早く離れて欲しいあたしは両手でお父さんの顔を押し退けながら言う。
「倒れた時に診てくれてありがとう、でも髭が痛いからあたしから離れて!近づかないで!」
「ガ、ガーン!娘にとうとう反抗期が来てしまった…娘が心なしか前より冷たくなってる気がするよ〜!あぁ母さんこれから俺はどうやって娘と接していけばいいんだぁ〜」
あたしに言われた事がショックだったのか、リビングにある馬鹿でかいお母さんの遺影に項垂れながらお父さんはすすり泣く。
「ガーンとかいちいちリアクションが古いよねお父さんは、そんな幼稚なスキンシップしてるとユズどころか一兄にまで相手にされなくなっちゃうよ」
うわぁ、夏梨ちゃんも結構酷いこと言うな〜
「もうお父さん!いいから早く朝ご飯食べよう」
「母さぁーん娘が見せる優しさに心が洗われる様だよ、まだ娘は父の事を嫌っていなかった!これで今日も生きていける!」
お父さんは元でも死神でしょ、と言うツッコミは心の中に留めて置く。
料理が四人分置かれたタイミングでドアの方から音がする。残るは一人、黒崎家の長男が起きてきたよー
「悪りぃ、ちょっと遅くなったよな」
謝りながらオレンジ色の髪をした原作より少し幼い印象を受ける少年がリビングに入ってくる。
「大丈夫だよお兄ちゃん!今から食べるとこ、ギリギリセーフだよ」
「ゆ、遊子…身体の方はもう大丈夫なのか?」
「もう皆んな心配しすぎ、大丈夫だよ全然平気!」
「そ、そうか…ならいいんだ」
「一兄は心配症だからねー」
「えー夏梨ちゃんだって真っ先にあたしの心配してたじゃん」
「そ、それは…でも一兄なんか昨日泣いてたんだからね!」
「なに!?一護お前中学生になったてのに泣いてたのか?」
「あたしも、あたしもその事について聞きたーい!」
「ばっ、なわけねぇだろ!あれはちょっと、そのぉ…目にゴミが入ったから取ろうとしてただけだ!」
「うわぁ…これまた古典的な言い訳」
お兄ちゃん結構狼狽えてるなぁ、モゴモゴしてるお兄ちゃんもいいね!
あ、そうだご飯の前にあの事について言わなきゃ。
「あの…お兄ちゃん昨日迷惑かけてごめんね、あたしの事背負って家まで来てくれたんだよね?」
あたしがそう言うとお兄ちゃんは少しムッとした顔で答えた。
「あのなぁ、妹が倒れてんのに迷惑だって思う兄貴が何処に居んだよ、それにこういう時はごめんじゃねぇ、ありがとうって言うもんだろ」
これを聞いてあたしは不思議とこう思った。(あぁ、お兄ちゃんはやっぱり黒崎一護であたしはその妹の黒崎遊子なんだなって)そう認識すると途端に嬉しくなった。だからいい笑顔で言えたんだと思う。
「お兄ちゃん!ありがとうっ!!」
「ああ、どういたしまして」
お兄ちゃんは優しい顔で答えた。
「なぁーにが!どういたしましてだ!カッコつけやがってこの帰りが遅い不良息子が!朝飯に来るのも遅くちゃちっともカッコよくないんだよー!」
「うっせぇな!親父!昨日はよく眠れなかったんだよ!」
「眠れなかったぁー?また昔みたいにベソかいて寝れなかったのかぁ?」
「だから!泣いてねぇって言ってんだろ!あったまきた!中学生になった俺の実力見せてやろうじゃねぇか!」
「はははっー!その歳で父を越えよう等とは片腹痛いわぁ!」
そう言うと二人は取っ組み合って喧嘩を始めた。
それを横目に夏梨ちゃんは…
「全くだから幼稚だって言ってんだよ。あんな奴らほっといて早くご飯食べよう…いただきます」
そう呟いて先に朝ご飯を食べてしまっている。
「もう二人とも!早くご飯食べないと冷めちゃうよーおこげの所よそってあげないよー!」
朝から騒がしい家だよね、まったく…でも、あたしはこんな家を、家族を、日常を好ましく思っていたのだった。