お久しぶりです。
今更ですが、BLEACHの千年血戦篇、素晴らしい出来でした!
このクオリティなら7月まで待つ事もやぶさかではない!
こんにちは!黒崎遊子です!
早いものであたしが死神になってから半年が経ちました。今のあたしは浦原さんの所でお仕事を手伝いながら斬拳走鬼を学んでいます。死神になる為の修業は死ぬかと思ったし、最後のレッスンの時はどうなるかと思ったけど、今の所は順調、順調。だから一度、あたしがこの半年間、どんな修業をしているのかを振り返ってみよう!
まずは鬼道、担当するのは鉄裁さん!
鉄裁さんは元鬼道衆の大鬼道長なだけに鬼道にめちゃくちゃ詳しい、当たり前なんだけどね。それに浦原さんや夜一さんと違って教え方がとても丁寧かつ優しい。あたしは霊力のコントロールが得意なのかあまり習得に苦労せず、早くも三十番台の中級鬼道くらいなら難なく使える様になっていた。鉄裁さんからも
『遊子殿は筋がいいですな。名や詠唱を覚えるのも早いですし、これならすぐにでも実践で使えるようになりますぞ』
と、お褒めの言葉を頂いた。やったね!
一つ問題があるとしたらそれは回道、いわゆる体を治す為の鬼道だ。覚えておいて損は無いと思ってるから頑張って覚えようとしてるんだけど、これが結構難しい。
鉄裁さんも理論は詳しいけど回道はあまり得意では無い様で教えるのに結構苦労してるみたい。一応あたしも回道の仕組みはふんわりとだけど分かってはいる。確か先に対象の霊圧を回復させ、その後に回復させた霊圧と術者の霊圧で肉体の回復を図るだったかな?まあ、回道の方はあたしなりのオリジナルというか考えがあって、今はそれを独学で練習している。できれば回道なんて使う状況、無い方がいいんだけどあたしの行動方針だと自ら身を投げ出す様な危険な事もするかもしれないから、やっぱり必須だね。
次は歩法、担当するのはもちろん夜一さん!
最初に提示された修業内容はなんと夜一さんとの鬼事、いわゆる鬼ごっこだった。どうも瞬歩というのは極めれば瞬間移動にも見間違えるようなスピードを出せるみたいなんだけど、反面すごく疲れるらしい。夜一さんからは、
『お主は霊力のコントロールは上手いし、霊力の量も中々の物をしておる。じゃが、瞬歩を扱うにあたって最も重要な体力が足らん。儂が瞬歩の触りは教えてやるから
なんて言われちゃった。
流石に最初は手加減しながら猫の姿でやってくれてるみたいなんだけど、これが全然捕まらない。だから夜一さんが担当の時はすごく疲れちゃってその日の家事は全然進まなくて参っちゃったよ。
何度も飛廉脚を使っちゃおうかとも思ったけどそこは堪えてただひたすら瞬歩を使って夜一さんを追いかけた。その甲斐あってか、最近では捕まえられる回数が増えていき三十分に一回くらいは休憩をもらえるようになったよ。まだまだ先は長そうだけどゼロの状態から始めたにしては、良い進み具合じゃないかな?
お次は白打、担当するのは夜一さんとジン太くんにウルルちゃん。
とは言っても修業内容はいたってシンプル!夜一さんから重心の動かし方、体捌きなどの技術面を教わり。教わった事を活かしてあたしは素手でジン太くん、ウルルちゃんと組み手をするというもの。
最初の頃のジン太くんはあたしと話す時にまごまごしてるというか、恥ずかしがってたみたいなんだけど。今ではそんな事もなくなりお互いに遠慮なく言い合い、たまに遊んだり出来る仲になれた。
ウルルちゃんとの仲も良好、あたしとの手合わせが楽しいのか日を増すごとにどんどん速く、鋭い動きをする様になるのが相手してて結構楽しい。何か違いがあるとすればジン太くんとの関係性がちょっと変わってきてるかな〜前まではウルルちゃんの方が年上なのにジン太くんにイジメられてる場面が目立ってたんだけど、最近はジン太くんが修業についてこれてない時は逆に煽るというか、貶す場面も多くなってきた。
あたしと関わる事でウルルちゃんの精神がちょっと早く成長しちゃったのかな?確か成長したウルルちゃんはジン太くんと立場が逆転して、結構辛辣な言葉を言ってた様な気がするし。まあ、あまり考える必要はないよね!
とにかく!二人を軽く相手取れる様になったら夜一さんが直々に相手をしてくれるらしい。目標はここだね、一応こっちとしてもあたしがオリジナルに考えた白打と血装を組み合わせて戦う戦法を使いこなそうと頑張ってはいるんだけど今一成果がでない。
静血装の方は日に日に上達していってるのは感じるんだけど攻撃用の
最後に斬術、担当は浦原さん!
やっぱり死神として戦っていく上では斬魄刀の扱いは重要だからね、あたしも一層気合いが入るってものだ。とは言っても修業内容はこれまたシンプル、始解の能力を使って浦原さんと斬り合いを続けるというもの。
この斬り合いは何回も続けてるんだけど、浦原さんの戦術の多さは凄いね!ある時は真正面から、ある時は罠を仕掛けて誘い込む。斬拳走鬼全てが高水準な浦原さんだからかな?まるで毎回違う相手と戦ってるのかとすら思っちゃうよ。
当面の目標としてはやっぱり"卍解"を覚えることかな?浦原さんもそのつもりらしいしね。卍解の習得には斬魄刀をこっちの世界に呼ぶ"具象化"と力を認めてもらう"屈服"をこなさないといけないんだけどこれも大苦戦。あたしは新月をこっちの世界に呼び出すことが中々できずにいた。一応、天神体っていう裏技もあるにはあるんだけどアレはリスクが結構高いみたいだからどうしようもなくなった時の手段らしい。
白哉さんが言ってたけど、卍解は四大貴族でも至ることが出来る人は数世代に一人らしいからね。護廷十三隊の中でも始解が出来るだけでエリート、卍解が出来る人なんて天才中の天才。いくらあたしが特別とはいってもそう簡単には出来ない出来ない、地道にゆっくり確実に修業を詰んでいくしかないのである。ってね。
あたしの半年間の成果は大体こんな感じかな?まだまだ問題は山積みだけど着実に実力をつけてると思う。だけどこんな所で満足してちゃダメだよね。まだ二年半あるとはいえ、このままではお兄ちゃんの戦いにはとてもじゃないけどついていけない。もっともっと力をつけなくちゃ!
そうと決まれば気合いを入れよう!頑張れあたし!負けるなあたし!よーしやってやるぞー!!
✳︎
時刻は午後五時頃、今日の修業を早めに終えてあたしは家へと速攻向かっていた。いつもは十九時ギリギリに帰るけど今日はどうしても早く帰りたい理由があった。その理由は何かって?ふふん、今日は何を隠そう数ヶ月に一度の黒崎家焼き肉バトルロイヤルが開催される日なのだ!
「ただいまー!」
あたしは元気よく声を上げながら玄関の扉を開け放つ。
「あれ?」
だけどそこで、あたしは違和感を覚える。おかしいな?いつもだったらお兄ちゃんはまだ帰ってきてないとしても、夏梨ちゃんが挨拶を返してくれるかお父さんが騒ぎながらやってくるはずなのに。
まあたまにはそういう日もあるよね。騒がしい家族があたしは好きだけど、静かなのだって嫌いじゃないのだ。静かなのは作業をするには助かる。今日だってやる事はいっぱいあるからねご飯だって炊かなくちゃいけないし、野菜の準備もしなくちゃ。焼き肉の準備を頭の中で考えながらあたしはリビングへと足を踏み入れる。そこには──
お父さん、お兄ちゃん、夏梨ちゃんが揃ってテーブルに座っていた。特段何かをしてた訳じゃないみたい。よく見てみるとテーブルの上には何も置かれてない。
「あ、遊子……今日は早いねおかえり」
夏梨ちゃんが手を上げながら挨拶を返してくれた。いや結構大きな声でただいまって言ってたと思うんだけど聞こえなかったのかな?
それにしてもなんか皆んないつもの雰囲気と違う様な?特にお父さんとお兄ちゃんが黙って座ってるなんてかなり珍しい光景だ。今まで見た事ないくらいには。
「ワオ!皆んな早いね!遅くなってごめんねー今から準備するからもう少し待っててね」
まさかもう揃ってるとは思わなかったなーこれはもうちょっと早く帰ってきた方が良かったかも、そんな事を考えながら台所に向かっているあたしにお兄ちゃんから声が掛かる。
「遊子、座れ」
「えっ?でも準備が……」
「良いから……座れって」
「わ、わかったよ……」
え?えっ?何これ?あたし何か悪い事した?なんだか真剣な声色だし、とりあえず言うことを聞いてみる。
「えーと、これは一体どういう?あっ!分かった!もしかして夏梨ちゃんがこの前学校で校長室にボールを撃ち込んだ事に対するじじょうちょーしゅー?」
「なっ!?今はそれ関係ないだろ!?ていうかなんで遊子が知ってんだ!?」
「みどりちゃんに教えてもらったんだぁ。夏梨ちゃんがまたやんちゃな事件を起こしたって」
あの事件は夏梨ちゃんもすんごい怒られたらしいからね!その話をしようっていうならこの状況にも納得がいく。
「
うわ〜夏梨ちゃん凄い怒ってる。翠子ちゃんご愁傷様、口は災いの元だよ。なんて冗談めかしてるとお兄ちゃんがまたもや口を開く。
「いや違うんだ、今回は夏梨の事じゃねぇ。遊子、お前に親父から話があるみたいだぞ」
あたしに話?そういえばお父さん、さっきから喋らないね。いつもはウザいくらい元気なのに。しばらくするといつもとは違う声色でお父さんがあたしに向かって質問をする。
「遊子、オメー学校終わったらどこ行ってんだ?」
「えっ?えーとそれはそのぅ……」
お父さんがあたしに厳しい言葉遣いをするのは珍しいなぁ〜。って、そんなの考えてる場合じゃない。追求して来るってことはもしかして勘づかれた?どうしよう、どうしようあたし全く言い訳なんて考えてないよ!
「最近帰りがやけに遅ぇじゃねぇか。今日は早かったが遅い時は門限すぎて一護よりも後に帰ってくることもあるよな?」
「あたしも気になってた。翠子が『最近ユズちゃんが遊んでくれない』って言ってたんだよね。という事は遊びに行ってる訳じゃないんでしょ?」
み、みどりちゃん!?なんでそういうの夏梨ちゃんに言っちゃうかな〜本当に口が軽いよね〜みどりちゃんは……次会ったらタダじゃおかない。
「でも、ほら!お兄ちゃんだって帰り遅いじゃん!それに家事だってしっかり出来てるしあんまり気にしなくても……」
あたしの時間稼ぎにも等しい苦しい言い訳を聞くとお父さんは緊張した雰囲気を少し崩しながら……
「一護はいいの!不良息子だから!遊子はダメなの!可愛い娘だから!」
「それが実の息子に対する言い草かよ……」
お兄ちゃんは良い、あたしはダメと大袈裟に◯と✖️を作りながら主張するお父さんと、それを呆れた目で見るお兄ちゃん。相変わらずあたしと夏梨ちゃんには甘々でお兄ちゃんには厳しいな〜
「なあ遊子、もし何か困ってる事や悩んでる事があるなら俺達に話してくれねぇか?親父も夏梨も遊子の事が心配なんだよ……」
うーんお兄ちゃんにそんな風に言われるとあたしは弱い、参ってしまう。だけどどこまで話したものか?まだ考えがまとまってないけど……ええい!こうなったら破れかぶれだ!いい感じに話して納得してもらおう!そしてお父さんの事は浦原さんに丸投げしよう!
「分かったよ、あたしが何をしているのか今から話すね」
「あたしね……実はアルバイトをしてるの!」
「アルバイトおぉー!?」
皆んながあたしの発言に揃って驚く。当然だよねあたしはまだ小学生なんだし。
「アルバイトって、言ったって遊子は小学生だろ?」
「うん、そうなんだけど……社会勉強を兼ねてそこで働かせてもらってるの。あ、安心してね。ちゃんとお給料もでてるから」
これは本当だ。あたしは修業を見てもらってるからいらないと言ったんだけど浦原さん曰く『いいから、いいから、こういうのはちゃんとしておかないといけませんし、後が怖いっスから』なんて言って小学生が持つには些か多すぎる額が振り込まれている。浦原さんって結構ケチなイメージがあったから凄く意外だったのを今でも覚えている。
「ダメ!ダメ!アルバイトなんて!そんな何処とも知らない怪しい奴に家の可愛い娘を預けておけるかってんだ!」
あちゃーやっぱりお父さんは猛反対するよね……お父さんがうるさく騒いでいる中でお兄ちゃんがそれを無視し、当然の質問をあたしにしてくる。
「遊子は何処でバイトしてるんだ?そもそもとして何でそこで働こうと思ったんだ?普通は小学生なんか雇わねぇだろ?」
「あたしがお世話になってる所は浦原商店って言う駄菓子屋なんだぁ。前にそこの店長さんに助けてもらった事があってね。どうも最近人手が少ないらしくてお店を手伝って欲しいんだって。だから助けてくれたご縁でお店を手伝いながら社会勉強をさせてもらってるって感じかな?」
その時、あたしは見逃さなかった。あたしが浦原商店と口にした瞬間、お父さんの眉が少し動いた事に……
「ふーん、浦原商店か……親父、夏梨、知ってっか?」
「…………いや知らねぇな……」
「あたしは知ってるよ、前にサッカーの帰りに友達と行った事があるし。なんか昔ながらーって感じの駄菓子屋であたしと同じ歳くらいの子供が店番してた」
「そう!同世代の子も働いてるし、店の人も良い人だしで結構安心だよ!」
「いや、なんかそれはそれで危ねえと思うが……」
よし、怯んでる怯んでる、なんとか押しきれそうだね。このまま畳み掛けるよ!
「仕事もお店のお掃除をしたり、えーと在庫って言うのかな?それを整理したりするくらいだから危険はないよ!」
もちろんこれはちょっと嘘。普通の仕事もあるけど虚退治なんかもやったりするし危険はあるっちゃあるんだよね。他にあたしが任される仕事は浦原さんの発明品を試してその使い心地を浦原さんと話す。所詮テスターと言う仕事が多かったりする。
因みに最近は最新の
「遊子、本当にそれは必要なことなのか?別にやらなくても良いことなんじゃねぇか?仕事なんかしてたら友達ともあまり遊べないだろ?」
優しいながらも真剣な様子でお兄ちゃんはあたしに問いかけてくる。なんだかんだ言ってお兄ちゃんも心配なのかな?全くもう、家は本当に心配性な人が多いなぁ……
心配させない為にもここはハッキリと言った方がいいね。
「うん!必要だよ。あたしの為に、家族の為に、これは絶対に必要なことなの」
「──そうか……だったら俺からはもう何も言わねぇ。だけどあんま遅くなんなよ!親父がうっせぇからな。って、俺が言える立場じゃないか……」
「あたしは特に反対してないし、でもたまには翠子とも遊んでやってよね、面倒くさいから」
「うん!」
なんとか二人の了承は得られたみたい。後は最大の問題であるお父さんだけど……そう思って見ているとやがて決心したかの様にお父さんは勢いよく立ち上がる。
「決めた!父さん今度危なくないかそのお店に挨拶に行ってくる!」
「えぇ……お父さんお店に行くの……?」
「行くったら行く!そんで、ろくでもない奴だったらぶん殴ってくる!」
うぅ、ごめんなさい浦原さん。お父さんの事だからと思ってたけどやっぱりこうなりました。後は上手いことお願いします!貴方にかかってますよ!
「と言う訳だからゆ〜ず〜!そのお店の場所教えてー!」
知ってるくせに。という言葉を飲み込みあたしはお父さんに店の場所を教えると、とりあえず安堵する。良かった〜なんとかこの場は凌げたみたい。
「よーし!遊子の秘密を一つ暴いちゃった所で、早速今回の家族会議の本題に入ろうと思う!」
「えぇ!?今のが本題じゃなかったの!?」
「当然だ!父さんそんなこと一言もいってないぞ!」
てっきりさっきの話で終わりだと思って安堵してたんだけどもしかしてまだ油断できない状況?心の中で焦るあたしに構わずお父さんはあたしが予想してもなかった事を宣言する。
「これより黒崎家に新しいルールを追加します!それが何かと言うと〜」
「今日から黒崎家の家事は当番制とする!!」
………ん?……って?え、えぇー!?なんて!?お父さんは今なんて言った!?
「異議がある方は挙手をお願いします!」
「異議なし」
「異議なーし」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
なんだかとんでもない事をお父さんが言ってるのにお兄ちゃんも夏梨ちゃんも落ち着いてるし。一体全体何がどうなってるの!?
「当番制って事は皆んなで家事をやるの?夏梨ちゃんはともかくお父さんも!お兄ちゃんも!?」
「そうだぞ!分からなかったら聞くから父さんに優しく教えてね〜」
「まあ、なんとかなんだろ」
なんとかって……夏梨ちゃんはたまにあたしを手伝ってくれるけどお父さんとお兄ちゃんはやった事がないはずだ。それにお父さんはお仕事もあるのに。
そりゃ皆んなの料理とか食べてみたいし、お兄ちゃんのエプロン姿とかも見たいけど……いくらなんでも急すぎない!?
「遊子、そんな急にって思ってんだろ?言っとくけど急じゃねぇからな。これは俺と親父と夏梨の三人でしっかり話し合って出た結論だ」
三人でってそんないつの間に……
「遊子さぁ、前に倒れた事あったでしょ?そん時にあたしも一兄もお父さんもどんだけ遊子に頼って暮らして生きてたかって思い知った。そして同時にこのままじゃいけないって思ったんだ」
そっかぁ、あたしに内緒でその時にはもうそんな話しがでてたんだ……
「安心してよ、あたし器用じゃないけど知ってる事は一兄とヒゲに叩き込んだから!いきなり大失敗って事はないと思うよ!ねっ?」
「まあな、ちょっと手こずったけどある程度は出来るぜ。だから気にせず店の手伝いってのをやればいいじゃねえか。ああ、もちろん遊子の当番もあるからそん時は早く帰って来いよ」
「黒崎家の大黒柱にドーン!と任せとけ!」
……なんだかなぁ……ふ、ふふっ、あたしが言える事じゃ無いけど……皆んな本当に勝手だよね……勝手に決めて心配してさ……それであたしの知らない内に全部決めちゃう。だけど、どうしてかな……あたしは心の中が徐々にあったかくなっていることを感じていた。
多分あたしは嬉しいんだと思う。こんなに思ってくれる素晴らしい家族がいて。皆んながあたしの負担を考えて立ち上がってくれて。そしてそれを苦もない表情で言ってくれることに。
そう、あたしはこれ以上ないくらいに嬉しい!そのはずなのになんだか頭にモヤがかかってるみたいで、上手く感情を表現出来ない。なんだろう?この感情は……嬉しいのに何処か悲しい……
いや、余計な事は考えるな。今は家族の想いを素直に受けとっちゃおう!それが一番、家族の為になるはず……
「お父さん、お兄ちゃん、夏梨ちゃんありがとう!だけど、そこまで言い切るからにはあたしもビシバシ皆んなを鍛えちゃうからね!覚悟しておくよーに!」
あたしの明るい言葉で今回の家族会議は終わりを告げた。なんだかんだ愛されていると言う事にあたしは満足感を得ながら確信する。純粋な気持ちじゃないかも知れないけどあたしは家族が大好きなんだという事実に……
✳︎
「では真面目な話も終わった所で、これより黒崎家焼き肉バトルロイヤルを宣言する!」
そう声を張り上げるのは【豚トロ】と書かれたエプロンをしているお父さん。右隣には【タン塩】と書かれたエプロンをして冷めた目でお父さんを見ているお兄ちゃん。
左隣には【上ロース】と書かれたエプロンをして集中している夏梨ちゃん。そして【上カルビ】と書かれたエプロンをして大盛りご飯の茶碗を持っているあたし。
「今回久しぶりの開催だからってあんまりはしゃぎすぎちゃダメだぞ〜」
聞いているのか聞いていないのかその言葉に対し、皆んなの返事はなかった……
「よーい!スタート!」
合図と同時に動きだしたのはお父さんと夏梨ちゃん。まさに達人の技、と言う様なスピードでお肉をホットプレートの上に乗せていく。
「こっからは入んなっつってんだろ!ヒゲ!」
「折れた!?父さんの伝説のハシが折れちゃったよ!?酷いじゃないか夏梨!」
「ウルセー!いいか!ここはあたしのテリトリーだ
そんな光景を尻目にお兄ちゃんは端っこで静かにお肉を焼いている。
「ったく、相変わらずガキみてぇにギャーギャーと……てか遊子、お前最近食べる量が明らかに増えたよな……?」
お兄ちゃんは少し引いてる目であたしが持ってる山の様なご飯を指さす。
「うん!だって育ち盛りだもん!」
一応あたしがご飯を多く食べる様になったのには理由がある。一つは"霊力の回復"。毎回の修業で馬鹿みたいに霊力を消費するのでその補充を食事で賄っている。
浦原さんが言うには霊力を回復するには食事が一番効果的らしい。確かに原作でも霊力を回復する為にいっぱいご飯を食べてる描写があったから正しいんだと思う。
もう一つの理由は単純に身体の成長。当たり前だけど小学生のあたしの身長はとても低い……多分だけど子供、子供って言われてる冬獅郎君よりも低いと思う。
身長の差はリーチや体重など、少なからず戦いに影響を及ぼす。死神の戦いは霊圧の戦いだからあんまり関係がないかも知れないけど流石にあたしは低すぎると思うんだ。だって斬魄刀を腰に差したら地面を引き摺っちゃうんだよ!それはあんまりだ!今は背中に差してるけど、原作が始まるまでには腰に差せるようになりたいよ!
とは言っても所詮は気休め程度、いっぱい食べれば大きくなるとは限らないけど、やれる事は全部やってやる!
お兄ちゃんを見てみると争っている二人に気を取られて防御が手薄になっていた。よし、チャンスは今だ。
「隙ありぃ!お肉はもらったよ!お兄ちゃん!」
「あっ!?何しやがる遊子!俺のタン塩がっ!?」
「世の中は弱肉強食……弱い人はただ見てる事しか出来ないんだよ!」
「ゆ、ユズ……おまえ……へっ!上等じゃねぇか、長男に逆らった事を後悔させてやらぁ!」
お兄ちゃんは力任せに箸を伸ばしてくる。あたしはそれを鍛えられた動体視力を発揮して腕を掴んで防ぐ。そしてそのまま空いている手でお父さんの近くにあるロースと、夏梨ちゃんが守っていたカルビを誘拐する。
「なっ……!?」
皆んなが驚いている隙に、攫ったお肉をピーマン玉ねぎ等の野菜と一緒に頬張る。もちろんタン塩はレモン汁でね!お肉と一緒に山の様なご飯がみるみるうちに減っていく。
美味しい〜!幸せだぁ〜
「ユ〜ズ〜?テリトリーに無断で入って、どうやらあたしを本気で怒らせたいみたいだな〜!」
「そっちがその気なら容赦しねぇぞ!コラァ!ここにある肉全部!俺の胃袋にぶち込んでやる!」
「あの〜と……父さん、まだ一枚もお肉食べれてないんだけど……」
「よーし、戦争だよ!皆の者!ユズ将軍にひれ伏すがいい〜」
こうして、今までで一番騒がしかったであろう焼き肉バトルロイヤルは夜が
今回ちょっと名前が出た翠子ちゃんは一応原作での遊子と夏梨の友達ですが、覚えなくてもいいです。