やはり魔法科高校の魔王の青春は間違っているストラトス   作:おーり

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原作が仕入れ悪いのでSSで内容を補完する
総武高が総じて屑だと大多数の作家さん(仮)に認識されていることが判明した。少しは碧陽を見習えよ…


やはりIS学園は魔窟、はっきりわかんだね

 

 

「鉄丸! 盾役なら任せろー!」

「波動球! 直射砲なら僕の出番だねっ!」

「ヒャッハーッ! ISは焼却だぁーッ!」

 

 

 モヒカンの巨漢が矢面に立ち塞がり、男の娘がラケットを構え、眼帯電波が牽制するかのように焔をまき散らす。

 3人の男子が連携して、IS学園勢の3人の女子と対峙する。

 1人男子と言って良いのか微妙な見た目だが、それは確かに布陣と呼べる連係プレー。

 対するは、

 

 

「アーハァ? 聞いてた話と違うネー? 魔法科校って連携苦手なんじゃなかったっケ?」

「そうね。エリート意識ばっかりのやつらを叩き伏せてほしいって聞いてたはずなのに、中々出来そうな奴らだわ」

「……あの、それよりなんで私がメンバーに入れられているのかなーって……。専用機持ちでも無いのに……」

 

 

 金髪のUSA系ナイスバディに、小柄だが活発そうなツインテール、そして若干モブっぽい少女。

 前半2人はともかく、残りに至っては連携など出来そうにもない。

 

 どうしてこうなっているのかというと、先ずはお互いの戦力差の確認という名目でISが天狗っぽい魔法師の卵らを自重させる為のフルボッコが采配されていたからである。

 基本として、そのスタイルが成立してから年月もない筈なのに、『超能力者』というカテゴリが自尊心でも煽っているのか、魔法師という生き物は総じてプライドが高い。

 独力で事象に干渉できるという物理法則を歪ませられることが己と一般人とを比した時に優越感でも生んでいるのであろうが、そんなものは神殺しとの戦場に出た時点で毛ほども役に立たない。

 今回立てられた合同授業の元々の名目は、『7人目』が誕生したことで現実的となって来た“神殺しとの戦闘”に対する彼ら彼女らの『意識の変革』を促す為のモノだ。

 特に日本政府側からはその点を“よぅく”改善できるように、とどちらの学園にも通達が行き届いている。

 だからこそ、こうして先ずは実戦方式を、織斑千冬は1年の1組2組との合同で総当たり戦を采配したのである。が、

 

 

「八幡の兄貴の地獄百景を生き抜いた俺たちに死角なんか無いぜ!」

「さぁ、楽しいテニスをしようねっ!」

「電波神が俺を呼んでるぅぅううう!」

 

 

 なんか、魔法科校側の一部が妙にやる気になっている。

 確かに、先立って指名した3名は魔法科校でも実践型授業を選択していて、いち早くそういう形に“慣れている”と見ても良いのかも知れないが。

 ……なんか1人は確実に何か薬でもキメているみたいな、具体的に言うとアヘ顔と称しても可笑しくない表情で待機しているのを見ると、選択間違ったかなー、と千冬は思わなくもない。

 

 

「……なんか、アイツらに聞かなくっちゃいけないことが出来たみたいね。ティナ、本気で行くわよ」

「オー? なんかこっちにも火が付いタ? きよかー、ふぁいとォー」

「ええ……っ? わ、わたしこれが初起動なんだけどぉ……!?」

 

 

 こっちはこっちで、選抜中唯一の専用機持ちである小柄な少女が変なやる気を醸し出している。

 一体何処に火を点ける要素があったのか、わからぬままに。

 模擬戦が開始されようとしていた――、

 

 

 

 

 

 ――その、校庭の隅っこで。

 

 

「………………楽しそうだなぁ……」

 

 

 ポニーテールの大和撫子が、授業を遠巻きに眺めながらぽつりと漏らす。

 その彼女―篠ノ之箒―は、遅刻した罰として織斑千冬に正座をさせられていた。

 その首からは、「私は合同授業の男子にモーションを掛けました」という一文を添えた木札をぶら下げて。

 

 

 

     ×     ×     ×     ×     ×

 

 

 

 どう見ても女子高校生くらいにしか視得ないその2人は、イギリスの国家代表セシリア=オルコットにフランスの国家代表シャルロット=デュノア。

 ヴォバンの爺様と戦った時に付いて居た、件の2人であった。

 まあ女子高生くらいと言ったところで若干童顔な容姿が相俟っていてお若く見えているだけであって、日本人的な感想から言わせてもらえば『女子大生で通じますよ!』というお世辞抜きの美麗な見た目。

 それというのも外国人全体としての老け顔が特徴的なだけであって、逆に日本人が童顔過ぎなんじゃね?とも言い換えられる個人的感想の乱舞でしかない。

 まあ纏めてしまえば、計算上は年相応の見た目なんじゃないっすかね?とは言えるわけである。

 

 ――そんな御二方に土下座されているとか、男子としては何をどうしていいのかまったく判りづらいというわけでして……。

 

 いやいやいやいや、誓って言うけれど俺ってそういうS系な趣味嗜好はしていませんからね? 互いの立場を把握している間柄でそういう行為に出られると、自分ですら「あれ?俺が命令したんだっけ?」と勘違いしちゃいそうになる。そういうこと、やめてくださいませんかね?

 つまりはそういう心理状態で、健全な男子高校生である比企谷八幡は狼狽えながら彼女らに話を聞こうとしていたのであったまる

 

 

「ど、どうして、っつうかなんで此処に、そもそもそういうこと辞めてくださるとありがたいんすけれど、」

 

 

 が、言葉にならない……ッ!

 いや、一瞬某水泳選手の真似っぽくやってみたけど似てねぇなコレ。

 ともあれ、どもってしまって聞きたいことの選択が完了しないままに、1つずつ問題解消の足掛かりを始めてみよう。そういう論理思考。それはちがうよ!という奴である。違うか。

 

 

「……いえ、八幡様にご足労願ってしまった私たちの落ち度でございますから、此処は責てどうかご心願を鎮めていただきたく……」

「スイマセン、日本語で」

 

 

 セシリアさんが土下座のままに釈明っぽいことを口にしたけど、俺も一応は高校生に上がったばかりですからね。そういう謙譲語使ったみたいな腹の探り合いは、まだちょっと出来そうにないっす。

 そもそも事情の方から説明欲しいなぁ。

 そんな旨を告げてみること数10分、なんとかお互いの意思疎通が完了した頃には、既に10時を回っていた。

 授業に遅刻して釈明だけで、IS学園来てから既に2時間。そろそろまともな授業を受けたいと思う、今日この頃。

 

 

「えーと、王様をIS学園に来てもらうように、裏で色々と手を回したんです。けど、授業始まっても一向に王様現れないから、これは僕たちその裏を見透かされて、てっきり王様が激怒しているんじゃないかなー、って思っちゃってて……違うの?」

「いや、遅刻したのは俺だから、むしろ俺が怒られても可笑しくない方なんすけど……。あと裏取引って何」

 

 

 オレンジの方、つまりはシャルロットさんがあざと可愛く小首を傾げた。

 なんで黄色系の女子はこうあざと可愛い娘が多いんだろーか。この人はオレンジだけどね、同系色の色合いなんだし、同系統パターンに選り分けてもいいと思う。ソースはプリキュア。

 暖色系が男性の琴線に勢い良く突き刺さりやすいのか? 理屈的には間違ってないんじゃね? 学会に発表したら平和賞も取れるんじゃねーかな。

 

 言葉遣いは年れiゲッフンゲフンとかの諸々の其処には詳しく突っ込まない方針で、ご本人様方に使い易い方を選択してもらったわけだけど、こちらの方は年相応とは言い難いタメ口である(言い淀めてない)。

 俺はそういう魔王だから、と言って権利を主張するような立場には極力立ちたくないので、口調だけでもそうやって改善してもらった方がむしろ有り難いのだから其処は問題ない。

 

 でも僕っ子とかナニソレ可愛い。

 其処に一瞬心の琴線がグラついたのは、戸塚には決して明かしてはならない秘密である。か、カテゴリ一緒とか思ってねーですし?

 ちな、随分と明け透けに事情を語られるのは、俺の権能を前以て調査していたから、らしい。『赤竜』自体は魔導書としては異本だけど、件の筆頭6柱の悪魔(精霊、とする説もある)に関しては割と有名な方だからな。

 

 尚、この間僅か0.1秒。

 脳内葛藤の新記録達成だよ!

 やったねたえty(オイヤメロ

 

 

「裏取引とは違うのですけれど、学園所属の魔術師の人に『因果を集束する程度の魔術』を行使してもらっただけですわ」

 

 

 なにそれ東方かよ。レミリアお嬢様とかが居るの? 個人的には咲夜さんに会いたいです! ミニスカメイド銀髪パッdげっふん。

 

 

「そもそも八幡様が何処の学校に所属しているかが不明でしたので、私たちが帰属するIS学園に合同授業の段取りを持ちかけたのがそもそもの始まりでして、」

「その前にストップ。あんたらの帰属先ってそれぞれのお国なんじゃねーの? そして俺を探す理由を問いたいよ。国に帰れば俺たちもう会うことも無かったよな?」

 

 

 国家代表のはずだよな?

 国に帰れよ、お前にも待っていてくれる者がいるのだろう……?

 そんな意図を持って問うてみれば、気まずそうに眼を逸らす2者。

 何があったし。

 

 

「……その、非常に言いにくいのですが……」

「……僕たち、今ちょっと国には帰れそうにないんです……」

 

「……いや、意味深に言葉濁さなくっていいよ。率直に語り合おうぜ、一々探るとかそっちの方がめんどくせぇ……」

 

 

 そもそもアガリアレプトを常時発動型と勘違いしてないっすかねぇ。

 三点リーダーの乱用とか、文法的にも文字数稼ぎにしかならないわけですし。

 

 そんなわけで尋ねてみた、『事情』の真実。

 要するに、ヴォバンの爺さまがまだ健在らしい。

 

 なんでも、前回の対峙の後に身の振り様をどうするべきかと思い悩んだお二方。

 カンピオーネに歯向かったことでの責任を取らされて、トカゲの尻尾切りのように国から見捨てられたEU・IS連合なわけだが、一応は『国家代表』という立場のある身。

 一度、国に帰ることも視野に入れてはいたそうな。

 が、その翌日には帰国命令が政府から直接に連絡が来て、伝令の素早さと手の平返しとも穿てる対応速度に何やらキナ臭さを嗅ぎ取る。

 気になって、治外法権が適応するIS学園に一度身を潜め、その実態を調査してみると――、

 

 ――討伐成功の報が日本政府から通達されたEU連合へ、ヴォバン本人からの生存報告が同時に来たらしい。

 

 なるほど。

 それは確かに、国からしてみれば「もう一度」“生け贄”を用意するのも納得の選択である。

 当然、そこに気づいたお二方は、IS学園の臨時教師としての亡命を申請。

 同時に、カンピオーネに対抗できるのは同じカンピオーネだけということで、今一番近しい立場であり、一回勝利を収めている俺に白羽の矢が立ったというわけである。

 

 

「そのために、八幡様にはISの機動性を十全に身に着けて戴けませれば、と私たちが専属のコーチを務めさせていただこうかと思いまして」

「あー、まあ、空を飛べない爺様を鴨打するには、専用機を持っている俺が一番適切だろうからなー。しかもIS操縦者であるならタイマンでも対抗できる可能性がある、と」

 

 

 しかし、

 

 

「……わかってるんです。勝手なことを言ってるって。でも、国も家族も無い僕らには、もうこれしか生き残れるための手段なんてないって……」

「いや、そこじゃねーよ」

 

 

 応えて、顔を顰めた俺に、しおらしく自虐モードでお涙を誘おうとしているのか、シャルロットさんのそれに俺は待ったをかける。

 問題にすべきは其処では無い。

 

 

「んー、そもそも俺を呼ばなくっても問題なんて無かったんじゃねーのか? あの爺様がもう一回日本までわざわざ出張るとは、ちょっと思えないんだけど……」

「な、貴方はカンピオーネを楽観視しすぎです!」

「それを言うならお前らは世間を知らなすぎだろ。欧州には魔術師もいるだろうし、一回負けて現状がどうなっているのかよく分からん爺さんが、同じ手札だけでもう一回来訪するとはあんまり思えないんだけどな」

 

 

 最低でももう少し、対抗手段とかを用意する可能性もある。

 例えば、新しく神殺しを熟す、とか?

 でもその為に必要な手筈を整える為にも時間と手間は必要だろうし、それを易々と見逃すほど、世の中が甘いとは俺には到底思えない。

 絶対に他の魔術師やカンピオーネも、“邪魔”に走るんじゃねーのか?

 

 

「……その可能性は考えてなかった、って顔だな」

 

 

 絶句する2人に嘆息する。

 其処に気づいて居たら、俺という危険な綱渡りをする必要性も無かった筈だろうし。

 

 

「そもそも、アンタら前に会ったとき俺の事、親の仇みたいな目で見ていたじゃねーかよ。生存戦略語るなら先ずは視野を広く持つべきだったろーぜ」

 

 

 女尊男卑社会の筆頭がIS学園(此処)なわけだから、そんなところに俺という異分子を引き込むことのリスクとしっかり天秤にかけるべきだった。

 獅子身中の虫どころか、立場的には獅子身中に獅子だ。獅子で済めばいいけど。なんか獅子がゲシュ崩壊して来た。

 

 が、

 

 

「「……はい?」」

 

 

 何故か、俺が変なことを言ったみたいな目で首を傾げるお二人。

 ……いやいや、視ていたろうよ、鋭い目で。睨んでいたでしょうよ?

 つうか、俺が根に持ち過ぎっぽい被害妄想野郎にしか聴こえないんで、あっけらかんとした対応はお辞めになってくれませんかね。

 そう、もう一度、問い質してみると、

 

 

「あ、そういえばそうでしたわね」

 

 

 と、お辞儀で済ますセシリアさん。

 

 

「あの時はまだお礼も言えませんでしたわね、チェルシーを侯爵の魔の手より解放していただき、まことにありがとうございます」

「……は?」

 

 

 今度は俺が疑問符を浮かべる番だった。

 

 

「こちらの、私のメイドですわ。昔からの友人で、今でも私を手助けしてくれていますの」

 

 

 そうして彼女の背後に浮かぶ、守護天使っぽいメイド服の女性。

 ……なにそれ、いつの間にIS学園は魔界に引き込まれたの……?

 そうすると魔神皇はやっぱり織斑先生かなぁ……、たまきは間違いなく戸塚だろうけど。

 ……俺は間違いなくアモンだな、ルート限定しないと出会えないレベル。

 

 

「行き場の無くなったチェルシーは、あの日以来ずっとそばにいますわ。家族を失った私にとっての、一番の友人が……。その魂を救ってくださった八幡様を嫌うなんて、有り得ませんわよ」

 

 

 常人では背筋も凍りそうな光景に、おほほ、と高貴に哂うオルコットさん。

 正直、ちょっと怖いです……。

 

 

「それに、王様の事は僕も信用してますよ? なんていったって、あのラウラが傍に居るんでしょ?」

 

 

 そんな光景をものともしない、意外に度胸のあるシャルロットさんが斬り込んだのは、予想していない部分だった。

 何? ひょっとしておたくら、ラウラと知り合い?

 

 

「同級生だったラウラは当時全然笑おうともしなかったのに、王様の前でだけは自然に嬉しそうにしていたんです。疑う余地も無いですよ」

 

 

 ……日本政府の上層からは、未だに俺は危険視されているけれどね(目逸らし)。

 やばい、なんか恥ずかしくなってきた。

 こいつらの粗探ししていた筈なのに、いつのまにやら俺の羞恥プレイに。

 い、急いで話題を変えないと!

 

 ……ところで、やっぱりラウラが在学中ボッチだったことが判明したけど。

 ……このことにはあんまり触れないでおいてやろう……。

 

 

「そ、そういえば、織斑先生は俺に普通の教師みたいな対応していたけど、凄い演技力だな。やっぱブリュンヒルデは神殺しの前でも胆が据わっているってことなのかね」

「あー……、織斑先生は……、」

 

 

 途端に、

 何故か可哀そうなものを視るような目で、明後日の方向へと視線を逸らすシャルロットさん。

 え、なに? 話題変えたから無問題のはずだけど、変な地雷を踏み抜いたようなこの感触は。

 

 

「……教えてません」

「……ん?」

「学園側からの実情、教えてないんです……」

 

 

 ………………ん?

 

 しっかり十秒の沈黙の後に、件の現状を把握する。

 え、IS使いとしては代表的なあの人が、要するに蚊帳の外ってこと?

 さっき会った生徒会長ですら俺の事知っていたのに? どういうこと?

 

 

「あの方、良い人ではあるのですけど、教師としては色々と実績が無いと言いますか……。一応は元担任だったのですけれど、卒業して初めて客観的に視ると、モンドグロッソの連続優勝という実績のみでこの学園に採用されたお方ですから……」

「……最近は副担任だった山田先生が寿退社したのも相俟って、精神的にも追い詰められているようにも見えていて……。篠ノ之束の関係者ということでISの方に元からかかりきりだった人だし、あんまり余計な負担掛けないようにしようって、上層部皆で話し合いまして……」

 

 

 ……ハブられている大元の理由が悲し過ぎる。

 お通夜みたいな雰囲気の中、目を伏せる2人が啜り泣く姿すら幻視してしまいそうになる。

 ――誰か貰ってあげてよぉ!

 

 

「よし、実習に移ろう。折角IS学園まで来たんだし、動かし方の一つくらい覚えないと損だよな!」

「そ、そうですね! 言っときますけど僕らこれでも国家代表ですから、びしばし行きますよー!」

「望むところだぜ!」

 

 

 その幻視をぶち殺す為に、勢い点けてテンション上げる。

 こんな状態で帰りたいでござる、とか、言えるはずも無かった俺が居た。

 

 

 

     ×     ×     ×     ×     ×

 

 

 

 とある研究室。

 幾多の研究員がひっきりなしに行き来する一角で、やや異彩を放つ女性が鼻唄交じりにキーボードを叩いていた。

 

 

「~~♪ あ、そういえば今日だったっけ、魔法科校との合同授業」

 

 

 思い出したように、彼女は手元の端末をスライドし、とあるカメラからの映像を大モニターへと映す。

 其処には、世界初の男性IS操縦者が国家代表の女性2人を相手に、ほぼ互角の勝負を繰り広げる様が映し出されていた。

 しかし、それを同じように眺める研究員たちは狼狽える様子はない。

 この女性に普段から振り回されているので、この程度で一々騒ぎ立てたりはしないのである。

 やっていることは完全にIS学園に対するハッキングだが、それが出来る立場の人間なのだから今更問題にすることではない。という理由もあるが。

 しかし、今回は若干毛色が違った。

 

 

「おおー、やるねぇ八くん。さすが箒ちゃんの可愛さに最初に気づいただけのことはあるよ~」

 

 

 何処か嬉しそうに、機動性能だけにステータスを極振りされた機体を駆る、その眼の腐った少年を褒める女性。

 それが異常なことであるのを把握し、研究員たちは今更ながらに騒めきだす。

 この女性にとって男性というのは基本的に眼中になく、それが例え人間の上位存在であったとしても気に掛けることも、これまで無かった筈なのに。

 

 驚きつつ、件の男性操縦者は果たしてそこまで気にかかる人物だというのか?という思いを抱き、研究員たちも視線をモニターへと集中させる。

 画面の中の『比企谷八幡』は、外見上は人の身のまま、国家代表の女性2人の射撃を難なく躱し続けていた。

 

 確かに、実力面では意外にやる。

 見た目としても、眼球の腐り具合を除けば可愛い系ともカッコいい系とも取れる文句の無い見た目だ。

 その眼球がマイナス方向へと足を引っ張り過ぎているのがネックだが。

 しかし、他に一際目立って目を引く要素は見当たらない。

 この女性の事だから、相手の内面を注視する、みたいなこともそうあるとは思えない。

 そもそも、彼女の履歴に件の少年が関わったことなど、これまで一度も無かった筈なのだが、

 

 

「うーん、此処で新しい機体をプレゼントしても受け取って貰えないだろうしー、何をあげようかな~?」

 

 

 ――ぼそり、と呟くようなその台詞に、一瞬、間が空いた後、研究員たちの中に焦燥が駆ける。

 少年に関して考察を続けていた研究員らは、次の瞬間にはババッ!!と彼女の方へと首を向けていた。

 

 え、介入するの?

 と、チェスでは不動が定石の筈のクイーンが、唐突にキングの前に10体揃ったような、そんな怖気。

 基本的にこの人が自発的に動くと碌なことにならない、というのは研究員たちの暗黙の了解でもあったのである。

 しかし、

 

 

「そうだ! 今開発中の無人機のモニターをやってもらおうよ! 八くんのレベルアップにも繋がるし~、一石で二兎を得る~、だよ♪」

 

 

 其処は鳥ではないのか。

 そんな的外れなツッコミを入れられる。そんな強靭なメンタルの人物は、此処には居なかった。

 

 

 





~ツインテール
 一体ダレナンダー

~チェルシー
 さらりと語られるセッシーの家庭の事情
 そんなことよりもこちらの彼女、守護天使(ガーディアン)みたいな立ち位置ですけど実質的には大天使ヤマオカみたいな状態
 鼈甲の眼鏡も無いのにすげぇやチェルシーさん!
 ちなみに憑依するとセッシーのISの射撃の命中率が8%くらい上がる

~魔界
 IFって銘打っていながら異聞録で登場したたまきちゃんの存在に色々言いたい
 あとチャーリーの髪型にも
 ちなみにアキラと合体したアモンはデビルマンでもお馴染みの主役
 悪魔全書では梟に蛇の下半身みたいな奴なのにね

~侯爵、健在
 公式でも死んでも復活できるらしいし、このくらい出来るよね
 なんか弱体化もするってウィキではあったけど

~織斑千冬
 まあこういう立場の人
 ガイル勢が今のところ全滅なので、平塚先生ポジをプレゼント
 家事についてはお察し

~謎の女性研究員
 つ『因果を集束する程度の魔術』



云わなくてもわかるかもしれませんが、ワンサマさんは八幡と悪魔合体が完了していますのでこの世界線には居ませんよ
あと評価で嬉しい言葉戴いてた。がんばるよわっほい!

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