やはり魔法科高校の魔王の青春は間違っているストラトス   作:おーり

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とりあえずガイルでカテゴリ分けたけど、正確には原作なんだろうな、これ
それと、この世界の八幡は各作品の主人公設定が入り混じった四重混合型です
他の主人公の人格が見当たらないと言うのならばあれだよ、腐った眼球に足を引っ張る過負荷が備わってるんだよ、きっと


やはり俺の高校生活は間違っている

 

 球磨川禊、という少年がいる。

 彼は過負荷(または負完全)―マイナス―と呼ばれ、自他共に認める人類史上最悪最低のどん底―マイナス―の極致に立っている存在として、誰よりも這い蹲り何者にでも這い寄ってくる。

 そんな彼の特徴は、書曰く、口を開けば嘘八百、一挙手一投足が死相そのもの、座れば死に体、立てば頼りなく、歩く姿は幽鬼のよう。

 眼差しを向ければ鳥肌が立ち、呼吸をすれば嫌気が立ち、一度出会えば気力を折られ、友となれば性根が腐る。

 彼の生い立ちと存在は不幸そのものであり、その影響力はブラックホールの様に温い泥沼へと他者を引き摺りこみ、決して勝てず、誰の上位にも立たず、しかしだからこそ彼の名を知り不幸に浸る者たちにとっては、これ以上にないカリスマとしても認識されている。

 要するに、下には下がいる、と安心させてくれるわけである。

 

 そんな球磨川禊だが、友人作りの方は実はかなりアクティブだ。

 率先して誰かと仲良くなることに関したら、その方法と優劣度は人として最悪に至るのであろうけれど、初見の女子とのケー番すら交換しているという行動力の有り方に誰もが驚かされる。

 お前のどのへんが“マイナス”なんだよ!?と。

 

 

 ……まあ要するに、だ。

 ――俺もそんな行動力が欲しいです、球磨川先輩……!

 

 

 転校初日をものの見事に無言で過ごしてしまったこの俺、比企谷八幡改め司波八幡は終始無言で居たこと以上に向けられ続けた好奇の視線に耐え切れず、削りに削れた己のSAN値を回復すべく帰宅一択の放課後選択を敢行、つまりは今から帰るところであった。

 ――というか、仮にも転校生だというのに声をかけてくれるような気さくなクラスメイトが欠片も居なかったのはどういうことなんだってばよ……。

 あれか、アンタが話しかけなよー、みたいに生贄を排出するようなクラスカーストが存在しないくらい仲のいいクラスだったってことか。

 根本的に魔法科高校に入学する奴らっていうのは血筋(家柄)で選抜されるエリートばかりだし、例えE組だとしても通う生徒らの間にはそれなりの顔見知り感が名残っているのやも知れんのだから、誰かを槍玉に挙げるようなことをするくらいならば見なかったことにしたいのかもしれんな。特に魔王なんて存在は。

 ……話しかけて不興を買ったが最後、学園が終わる、みたいな想像力を働かせたのかも知れんし。

 風の噂で、小中学と通った俺の母校が廃校になった、って耳にしたし。

 っていうか小町から聞いたし。

 通った学校を潰しているとか、俺は何処の裸エプロン先輩だよ……。

 

 いくら魔王だカンピオーネだと持て囃されたところで、高校入学直前にまでボッチ街道をひた走っていた15歳男子に、己のことを奇異と忌諱と警戒と恐怖で慄くクラスメイトに対応する能力なんて備わっているはずもない。

 ボッチにならない権能は残念ながら存在しない。根本的に俺の権能は支配系統、要するに『支配者級―クエストクラス―』なわけなので、鴉にはなれても桑原にはなれないのである。

 ……ついでに言うなら、司波という苗字もこの先意味がない気がしてきた。

 だって本名が日本中に広がっているし。腐った眼と共に個人情報拡散しているし。

 流石に権能の内約までは知らしめられていないみたいだが、ISが対応したのに無敵だった、という嘘か真か判別しづらい情報まで出回っているので、しばらくの間は平穏な日々を過ごせそうではある。

 ……うん。それだけで充分だよな。

 コミュレスな少年が友人を欲しがるとか、そんなこと自体が無謀だったんだよ。

 ボッチ上等ォォォ! 爆ぜろリア充! 弾けろシナプス! バニッシュメントディスワ

 

 

「お兄様っ」

 

 

ぁるどぉ……ぉ?

 現実を直視したくなくて絶叫系に思考を傾きかけていたのも束の間、従妹の深雪がとてとてと駆け寄ってきたのを発見した。

 ……後ろの方にクラスメイトらしき取り巻きをぞろぞろと引き連れて。

 

 

「今お帰りですか? よろしければ一緒に帰りましょう」

 

 

 発見したのはいいが、正直この子苦手が過ぎる。

 話を聞く限りでは俺たちは幼い頃に面識があったらしいが、俺は全く覚えてなく、初対応当初から微妙に距離を詰めてこようとするその態度に疑問しか湧かない。

 いや、ひょっとしたら親に仲良くなるように言われてんのかもしれんけど、それにしたって腕を絡めて来たり、パーソナルスペースにずずいと無遠慮に近づくその様はちょっとやり過ぎな気もしないでもない。

 そもそも年頃の女の子ってこんなに接近するものなの? 年頃の女子自体と交流がねーからよくわからんのだけど。

 

 

「お前、学校で話しかけない方がいいんじゃねーのか?」

「何故ですか。兄妹で交流することを制限するような法律も道理もこの世にはありませんよ?」

「兄妹じゃねーだろ」

 

 

 妹は小町以外認めん。

 というか、今もこうやってやんわり断っているのに、なんで聞かないのこの子。魔王ってそんなに自由意志ないものだっけ?

 ちなみに、「赤竜」のサタナキアの識能が働いている、というのは多分ない。

 あれは使おうとしないとそもそも使えないし、それなりに制限や制約もある。恒常的にフェロモン分泌できるような生態にはなっていないはずなので、俺の男性魅力にやられる女子がそう簡単に出てこないのも当然のことなのである。……男性的魅力が端から無い、ってわけじゃない。……はずだ。

 話はずれたけど、そもそもまだ完全に把握できているわけじゃないのだ。把握できれば識能も、他の神魔の「権能」と「同じように」振る舞えるはずだし、な。

 

 

「……あー、司波さん? 彼、二科生だろ? 入学主席のキミとは釣り合わないよ。そこまでにしておいたほうがいいんじゃないかな?」

 

 

 力ずくで引き離そうとすると加減が難しいので大体成すがままだが、喜んでいるわけじゃないですよ?ほんとですよ?

 ぐいぐいと抱き着く力が強まっている従妹を、いっそ顔面を押し退けてやろうか、と女子にする対応としては有り得ない選択肢を選ぼうとしたところで、やりとりに呆気にとられていた取り巻きの一人が口を挟んできた。

 よくもまあ言える、と思ったが、今の俺メガネかけてるし、どういう者だかをそれこそ把握できていないのかも。

 しかし、言い方はやはり認められない。二科生、ということで当然のようにカーストが組み分けられているし。

 

 

「今日のご夕飯は何が食べたいですか? 私、こう見えてけっこうお料理上手なんです。なんでもお作りしますよ?」

「じゃあ卵かけごはんで」

「わかりました! 最高級の烏骨鶏の鶏卵を今から取り寄せますね!」

 

 

 いや、気づけ。お前の飯食いたくねーっていう皮肉だから。

 あと俺は基本的に知り合いじゃないから彼の弁はスルーしたけど、クラスメイトのことも忘れないで上げてください……。

 なんか、ふわさぁ、って髪をかき上げたポーズでプルプル震えているんだけど?

 

 

「聞けよ!」

 

「おい、なんか言ってるぞ、お前のクラスメイト」

「――は?即日配達は無理?無理でもやりなさい。お兄様のご要望なんですよ?」

「聞いて」

 

 

 スマホ片手に即注文している大和撫子girlに思わずツッコミを入れるのも無理はないかと。

 あといい加減に腕離して。

 

 

「司波さんじゃない! お前だ二科生!」

 

 

 俺かよー……。

 ていうか初対面の相手を指さすな。いや、顔見知りでもやっちゃダメな態度だと思わなくもないけど。

 あと俺も一応は「司波さん」です。

 

 

「……なんだよ?」

「ちっ、凡俗が。それがエリートたる僕らに対する口の利き方か? ……まあいい。とにかく司波さんから離れろ。彼女には一科生の学年主席としてのイメージというものがあるんだからな、お前のような補欠にかまけている暇なんてないんだよ」

 

 

 すっごいテンプレなエリート意識の塊が目の前にいるんだが、どうすればいいのかな。

 思わず脳内で2chに接続しそうになってしまう。そんな性能は備わっていないけど、それくらい困惑している。

 だって話題に挙げられている従妹は、横で未だに鶏卵の注文に苦戦してるんだぜ? 普通にスーパーのパック98円でいいんじゃねーかな。もう諦めよーぜ。

 

 

「……此奴のイメージ、ねぇ……?」

「――ええ、ええ。幾らかかっても構いません、帰宅するまでに我が家へ空輸してください。――は?醤油? 私の特性配合を使うに決まっているでしょう!? バカなのですか貴方は!」

 

 

 特性配合の醤油ってなんだよ。怖いよ。

 胡乱な目を思わず向けていると、彼は尚も言葉を続ける。

 

 

「彼女の時間を無駄に消費させるなんて、やはり二科生は恥知らずだな。彼女にはもっと相応しい立場と友人関係があるんだ、キミのような補欠について回られても迷惑なんだよ。早々に立ち去ったらどうだ?」

 

 

 凄い。人ってこんなに盲目になれるものなんだ。

 他の取り巻きでさえ若干引いているような従妹の奇行に目もくれず、ただ俺を遠ざけようとdisることだけを繰り返す。

 ――人、それを現実逃避という。

 ……なんだか哀れに見えてきた……。

 

 

「そうだな、立ち去るからこいつは好きに連れて行ってくれ。じゃあ」

「注文は済みました! ――コホン。さあ、帰りましょうかお兄様」

 

 

 やんわり引き離して逃走しようとしたところで、佇まいを取り直して、先ほど以上に親密に抱き着いてくる大和撫子。

 今更キャラ改めても遅ぇから。

 あといくら抱き着いても全然どぎまぎしないのは、こいつに女性的魅力というか抱擁力というか、そういう方面の膨らみが足りないからだと思われるね。ハニトラとしては完全に役不足。美少女なんだけどなぁ、……残念だ。

 

 

「司波さん? そんなやつは放っておいて、僕らとお茶でもしながら今後のカリキュラムのことでも話し合わないかい? その方がキミにとっても有益な時間と、」

「――申し訳ございませんけど、私の優先すべき時間は貴方とは相容れないご様子ですのでお断りさせていただきます。あと、私自身の友人は自分で見つけますので、お気遣いなく」

 

 

 ……え、話聞いてたの?

 恭しくお辞儀をして明確な御断りの返事を返す従妹に、思わず面喰ってしまう。

 っていうか、怖い。一緒に向けた視線が絶対零度かと錯覚するくらいに冷め切っていた。

 お蔭さまで相手の彼もさっきと同じようなポーズで固まっている。シーンの焼き直しみたいだった。

 

 

「では行きましょうか、お兄様」

「……だからお前の兄じゃねーっての……」

 

 

 女子の怖さを目の当たりにしてしまった俺としては、弱弱しくもそう言葉を返すことぐらいしかできやしなかったよ……。

 

 

 

 ● ● ● ● ●

 

 

 

 「神秘」に対抗する為に「呪い(まじない)」を形作り、「崇拝」を忘れたが為に「科学」を発展させ、襲い来る「神魔」に対抗すべくその二つを「魔法」によって組み合わせて形成された、一つの完成形。それがIS≪インフィニット・ストラトス≫。

 その実態は一種の演算補助装置であり、乗り手の感情を「呪力」へと転換させ、量子化された武装に「神秘」を備え合わせる。

 ――が、それは失敗に終わった。

 失敗の要因は、実践の経験があまりにも足りなかったこと。

 まさか「魔王」に対抗すべく製造した兵器です、とは言えるわけもなく、本物の「神魔」に対抗出来るか否かは、ぶっつけ本番でやるしか道は無かった。

 そしてその結果は「惨敗」。

 10数機あったIS部隊は一匹のドラゴン相手に手も足も出ず、備わっているはずの「神秘」ですらかすり傷にしかならなかった。

 ISが世に出て十年。せっせと作られたとされる4億程のコアも、数があるだけでは無理なのだと、むざむざと知る羽目になってしまったが……。

 ――もう、乗る気にはなれない。

 

 ……と、言うよりそもそも。

 部隊を引き連れて対応した結果、街一つを壊滅させられた上、とどめを刺すのに仕方がなかったとはいえISの民間人の使用を黙認してしまったことが問題であると見做され、我が部隊は軍上層部より解散を命じられ、所持していた専用機もまた剥奪されることとなりかけたが……、まあ下された沙汰はこじ付けみたいなものだろう。

 その「成果」とも言うべき「権能の剥奪」を、偶然居合わせた日本人の少年に掠め取られてしまった。というのが一番の原因なのだろうな。

 ……ISの開発ですら持て余しているというのに、もし仮に「魔王」が備わっていたとしても、国内はより混乱していたのではないかと邪推してしまうな……。実際、件の少年の「権能」はやたらと変則的であったみたいだし。

 結果として我が部隊が手に出来なかったことは喜ぶべきことかもしれん。「軍属の魔王」などと、戦争の大義名分としか成されなかっただろうからな。

 

 

 ……それにしても、彼がISを使用できたのはともかくとしても、武装に備わった程度の「神秘」で「竜」に対抗できるとは未だに信じられん。

 完成形、と銘打たれているものの、呪力と量子化との折り合いが今一つ形になっていないのは明白だ。

 魔法の演算で折り合いを見せるべく「それ」系の企業が開発を手掛けているが、正式な開発能力はやはり篠ノ乃博士には到底追いつかん。

 だが彼女の専門は量子開発だし、神秘を纏わせること自体が無謀な方向転換だったのか?

 そもそも宇宙開発スーツとして銘打っていたから、兵器代わりや代理戦争に使われることで彼女自身が拗ねて開発から遠ざかったのも痛手なのだろうが……。

 数だけ放置して、今は何処で何をしているやら。呆れて一人、宇宙へ先走っていても可笑しくないな。

 

 話が逸れたが、要するにただの日本人がどうやって「竜」を討伐できたのか、という部分にやはり疑問が浮かぶ。

 カンピオーネとなる要因は、術具や魔導書をどうにかして活用し、人の智が神を上回れるか。という部分らしいが、結局のところ「運」だとも言う。

 ……あれを、「運」の一言で片づけていいのか……?

 引き摺る片足は折れていたし、飛び散る瓦礫に切ったのか頭からの出血も酷かった。

 ISの絶対防御を易々と突破した「竜」の火焔から身を守ることが出来なかった「彼女」を窮地より脱出させ、瓦礫へ身を潜めるという生き汚さも咄嗟の戦術としては評価に値する。

 彼女の専用機であったはずの「ヴィントシュトース・クローウェ」を、意識喪失で戦えなくなった彼女の代わりに身に纏い、竜の口へと剣一本で特攻を果たしていった彼の行動を、……うん、これはもう「運」じゃないだろう。

 行動≪ログ≫を改めてみれば、ほとんど勇者か英雄かといった孤軍奮闘振りだ。

 助けられた彼女が気を失っていなければ、間違いなく惚れていたであろうな。

 ……結果としては部隊解散の切欠になった少年だから、彼女自身は完全にそう感謝する素振りなど見せなかった上に、若干憎んでもいたのが少年的にもまた可哀想だが……。

 

 部隊を解散させられはしたものの、其処は軍属。そのまま仕事を辞めるということは、私的には実験動物へシフトチェンジすることと同義となる。

 当然ながらそれはお断りなので、新たな魔王に便宜を図るべく接触する、という名目を掲げ私が槍玉に上がることでなんとか部隊の皆の首を皮一枚で繋ぎ止めることには成功した。

 後は程よく彼と交流を取れれば万歳、というやつだ。

 無論、その「交流」には当然ながら「私の体で」という意味合いも軍からは下されているのであろうから……。

 まあ、部隊の皆には涙目で引き留められたな。いい仲間をもって光栄だよ、まったく。

 ――だが、別に私個人としてはそれでも構わない。

 仲間を助けてもらったのは事実だし、それを私のみしか知らないし誰も信じてくれなくとも恩義を感じているのは事実なのだ。

 ……問題は、私の貧相な体で満足させられるか、という点だが、

 

 ………………。

 一分ほどかけて己の身体を上から下まで確認する。

 胸は薄く、背は低く、尻肉もついていない。

 所謂、幼児体型……。

 

 ――まあ、日本人は年下好みだと聞くし、見た目だけならば大多数の“すとらいくぞーん”というやつだ。きっと。

 ……そう思っておこう。

 いや、別に本当に「そういうこと(情事)」に及んで欲しいと願っているわけではないが。そう、これは「念のため」と相手にされるかどうかという点をかけた「女の意地」というやつだ。多分。

 

 

 ……話が盛大に逸れたが。

 討伐の直後、彼は何故か居合わせていたサルバトーレ卿に連れられてさっさと消えてしまった。

 私は私で、軍より以上の沙汰を下されるまでは謹慎であったし、下されてからは軍属であることを極力隠匿するべきという上層部からの命もあって、私的な情報網を手探りでやるしか彼の足取りを辿る手段は無く……。

 イタリアへ行けば既にいないと言われるわ、直後に日本に“転移”したなどとこれまでにない権能を見せてくれるわ。

 ……見事に振り回してくれた。しかも男性IS操縦者だから、とコネを探ってみれば此処にはいないと言い出すし……。

 ようやく発見したのは東京八王子の一角。

 本当に普通の住宅が立ち並ぶ、閑静な街並みの塀には、「司波」と表札が上がっていた。

 ……彼の苗字と違うのは、何故なんだろう……?

 

 呼び鈴を鳴らしても出てこなかったので、不在であることを見越して大体三時間。

 夕方になっても反応が無ければ、今日の所はホテルへ戻るか。そんなことを考えながら塀へと寄りかかる。

 

 ……彼に会ったら何を言うべきだろうか。

 部隊の皆からは、後々大々的に発表された目つきの悪い彼に対していい印象を持っていなかったので、どの言い分も参考にならなかった。

 邂逅一番にビンタとか、唾吹きかけて「ゴミ虫が」と罵れとか、普通に駄目だろそれ。仮にも上からの命令を何だと思っているのだアイツらは。

 

 ……先ずは感謝を。

 部下の命を救ってもらったのは本当のことだから、精一杯に礼を。

 こういう時は、確か「フツツカモノデスガ」と言って土下座、だったか?

 郷に入っては郷に従わないといけないだろうからな。

 

 あとは……、何故あのとき、あんなに戦えたのかを聞いておきたい。

 ――ただその場に居合わせたというだけで、目の前で誰かが蹂躙されそうになっていたというだけで、それだけであんなことが出来るのか?

 ……思えば、私がわざわざこんなところまで動いている、一番の理由がそれかも知れない。

 結局のところ、個人的な理屈で動いているのだから、まだ私も一人前の軍人とは言えないのかも知れないな……。

 

 

「――あ、」

 

 

 遠目に、あの日視た、竜の気配が立ち込める、呪に敏感な人間にはよくわかる気配が感じ取れた。

 彼だ。間違えようが無い。

 思わず跳ねる心を押さえつけながら、私は塀から撥ねるように身体を離していた。

 

 

 

 ● ● ● ● ●

 

 

 

「あ、兄様、既に来てますよ。お取り寄せ烏骨鶏」

「は? いやいや、早すぎ……いや、あれは違うだろ」

 

 

 流石にその速さはねーよ、とクロ●コ便に驚愕を向けてしまいそうになったが、うちの前に立っていたのはどう見ても違った。

 黄緑色の服装じゃねーじゃん。色難かよ、お前がメガネかけろよ。

 そんな風に心の中でツッコミを入れつつ、塀の前へと目線を向ける。

 

 小学校卒業か、中学入学すぐくらいかの年齢に見える少女。

 銀髪で、眼帯。

 やべぇ、いきなり中二病か?と一瞬身を翻しかけるも、着ている服装はゴスロリなどではなく普通の春物。

 こう、小学生がちょっと大人びてみました、と言えるような落ち着いたカーディガンにロングスカートでの、清楚な雰囲気。

 ――そして、恐らくは日本人ではない。

 ISが開発されてからは見かけても気にならないくらいに、日本語が堪能な外国の方を多く見かけていたので気にはならなかったが、彼女の佇まいには何処とない既視感を覚えた。

 ……はて? 何処かで見たような……?

 

 何処となく違和感と共に、僅かばかりの警戒心を覚えながら目を向けていると、彼女は微笑んで口を開く。

 思わず、見惚れるような笑顔だった。

 

 

「――比企谷八幡さま、ですよね。私は――、」

 

 

 





~司波妹
 兄が不在?いえいえ、八幡の中にしっかりといますよー(ゲス顔

~ヴィントシュトース・クローウェ
 オリジナルなIS。名前の意味はドイツ語で『突風の鉤爪』という香ばしさ

~銀髪少女・独白
 一体ナニデウィッヒなんだ…

~正史編纂ry
 うわっ、この委員会仕事しなさすぎ…?って感想にあったので簡単に
 この世界線には現在存在しません。だって魔王は表沙汰になっているし
 ISとか魔法とかが登場したことで隠匿する意義を感じられなくなって不貞腐れた可能性が微レ存

~ISでは無理
 神秘がどーの、という部分については今回説明するつもりだったのに、先に感想に突っ込まれてぷちおこですよ私は
 お試し読みの頃から自覚してんだから、もうちょっとゆっくり語らせてくれ
 呪力と科学の共存に関しては、あれだ、聖なる手りゅう弾とか、聖なるグレネードランチャーとかと同レベルだと思われry

~ISコア
 この世界線では登場から10年ほど。原作では確か5年か6年?
 コアの数だけは膨大になったので星の数ほど機体を作れる。但し製造に時間がかかるのは自然の摂理
 同じように女尊男卑社会も10年経過と言う幅の長い長期間。「世の中糞だな(byニンジャなおっさん)」

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