やはり魔法科高校の魔王の青春は間違っているストラトス 作:おーり
此処から魔法科高校篇に突入するぜ
何気に連日投稿出来ちまったんだぜ
俺たち劣等生!
「あの、お兄様、本日の昼食はご一緒しませんか?」
んん? と、深雪から声をかけてきたことに疑問を感じる。
ここ最近、何を腹に据えているのかツンツンした態度を取っていた義妹殿だが、今日に限ってどういう風の吹き回しなのかと。
大量の呪力に充てられて、数十人以上の学生(IS学園含む)が魔法師の言う「サイオン酔い」みたいな状態になり搬送されてから数日が経過。深雪もまた被害に遭った者の1人なので大事を取って休んでいたのだが、それが解禁となった復学の初日での会話である。
通学中に、意を決したように話しかけてきたのだが、
「……あの、無視は止めてください……っ」
涙目である。
これで対応しなかったら俺が世間から袋叩きだよ。まあやられたらやり返すけど。
「……つっても、お前がここ数日してたんじゃねーか。何を怒ってたん?」
折角なので聞いてみる。
むぅ、と、一瞬声を掛けられただけでパァッと明るくなったような幻影がコンマ一秒見えたのだが、瞬きの合間にはふくれっ面の拗ね顔へと戻っていた。あらやだ可愛い。
「……お兄様が、IS学園に行くことを一切教えてくださらなかったから……」
「あー」
そういえば、襲撃の際に体育館で姿を見て、ようやく俺も深雪が来ていることを知ったのだったわ。
仮面夫婦でももうちっと会話するぞ、ってくらい相互理解が足りないよな、俺たちの日常って。
「まあ過ぎたことはもういいんじゃね?」
「そちらが言うことですか……ッ!? なんですかアレですか、女子の園へ行くのだからキャバクラへ通うサラリーマン宜しく妻には内緒とかそんな理由だったのですか? それとも云わなくても判るだろ的なつーかーな関係性を目論んでいましたか? むしろつーかーなのはラウラさんとアテナさんだけで私だけのけものなんですけどッッッ!!?」
ワンブレスで言い切った。が、
「そのキャラ似合わねーな。辞めたら?」
「感想が辛辣すぎますお兄様っ!」
いや、正直マジで似合わん。
江迎系をやるにしても中途半端過ぎて、「うんっ、そうだな!」が言えなかったことが不満なわけじゃないよ?
「ふむ。じゃああれか、
――俺がお前のことを蔑ろにするなんてあるわけないじゃないか。愛してるぜ、k深雪」
「ふぐっは!!!」
あっぶね。
一瞬「小町」と言いかけて訂正したけど、バレなくて良かった。
なんかすっげぇ仰け反ったけど。
あ、庶務戦の球磨川張りに立ち上がった。
脚が小鹿の如く震えておるわ……。小鹿のような小娘じゃな!違うか。違うな。
「さ、流石ですお兄様……。キモイです」
「おいぃ?」
どういうことだよ……。
「何?こういうのを求めてたんじゃねーの?俺精一杯優しい言葉でホストったのにホスト損なの?」
「新しい言葉を造らないでください……。なんていうか、お兄様の今の台詞があまりにもシスコン感が強すぎて駄目です」
酷い駄目出しを食らった……。
あと通りすがりのうちの生徒らしき人がすごい勢いで振り返って、行った。
なんていうか、お前が言うのかよ!?って顔してた。
うん、何言ってるのかわからんな。
「シスコンじゃ駄目かよ……」
「駄目ですね。お兄様はむしろミユコンになるべきですから」
「お前こそ新しい言葉作ってんじゃねーかよ」
と、まあそんな会話で、義妹と昼を食べる話はいつの間にか流れて行ったという。
× × × × ×
「あっ、司波君! もう体は大丈夫なの?」
「心配したんだぜ?」
「よっ、ヒーロー! おつかれさん!」
………………………………はっ!?
あ、ああ、なんだ、世界線間違えただけか。
俺っていつの間にパラレルワールドへ乗り込むスタンド攻撃食らったんだよ。
これも全てはきっとヴァレンタインって奴の仕業なんだ!
「戸塚に聞いたぜ、テロリストを撃退したんだってな!」
「流石は司波君だよな! まさに超高校級!」
「なかなか出来ることじゃないよ」
教室入った瞬間に褒め称えられて狼狽えていたけれど、答えもまた向こうからやって来た。
戸塚ぁぁぁ!? 緘口令敷かれたんじゃ無かったんかいぃぃぃ!?
頭を抱えたくなるような噂の流布状況だが、ここでしくじるわけにはいかん。
なんとか毅然とした態度を貫かねば、ボッチの名が廃るってもんだ。
「あのなおれh『1年E組司波八幡君、至急生徒会室まで来るように』――は?」
× × × × ×
「やぁ。すまんね、いきなり呼び出して」
「あー、いえ、まあ授業受けられる状況じゃなかったので、構いませんけどね」
褒められるのは馴れちゃいないんだよ。
一緒の講義を受けたいとか、そんなことを言い出しかねないクラスメイトを色々制した後に、俺を生徒会室で出迎えてくれたのはいつかの風紀委員長であった。
俺の答えに何か合点でもいったのか、ああなるほどな。と彼女は頷く。
……というか、俺が呼ばれた理由ってなんだろう? 俺“まだ”何もしてねーよ?
「いいじゃないか。聞くに、キミは
「いやいやいやいや。学校にテロリストが侵入してくるとか、それ何処の中学生の妄想ですか。三流ラノベみたいな噂を真に受けないで下さいよ」
そう。
緘口令だけでは無く、更識や日本政府、ついでにIS委員会なんかにも口裏を合わせてもらい、実際に学園で起こった出来事は世間的には完全に隠蔽してあるのだ。今更魔法科高校のみで誇大広告が出回ったところで、それを裏付ける証拠は一切世に出ない。
社会的にも、色々と発覚すれば不味い問題ばかり出揃ったからな。そりゃあみんな必死になって隠蔽するわ。
俺という上位存在からも“お願い”されたことが渡りに船だったと密かに見るけどね。かといってこれで貸しが出来たとは決して思って欲しくは無いが。……もし今後面の皮の厚い役人が“其れ”で何かしらの要求をしてきたら実に面白いのだが(暗黒微笑)。
「……ふぅん。まあキミがそう言ったところで、この学園の問題自体は解決しないのだけれど」
と、委員長が俺の言葉を全く信じていない口調で、更に奥歯に物が挟まるような言い方をしてくる。
え、何。何が起こっているの、此処で。
「さて、前置きはこのくらいにしておこう。すぐに一時間目も始まるだろうから、な。
司波八幡、キミには我らが風紀委員に是非とも参入してもらいたいんだ」
「嫌っす」
気になっているところで突き出された提案。
だが俺は思わず即答で返していた。働きたくないでござる。
後になって、とつペディアより耳にした話なのだが。
この学園の委員会は基本的に一科生のみで構成されている。
そんな中に二科生より選抜された人員がいる、ということは、非常に『凄い』ことなのだとか。
つーか、戸塚はそうやって俺の未来の活躍と高評価を素直に喜んでくれていたみたいだけど、他の役員の方々は絶対いい顔しないですよねー。
己らの陣地に土足で踏み込まれるに等しいとか、思っちゃっていたりなんかしちゃったりして。
さて、即答で返された委員長は、一瞬何を言われたのかわかっていないみたいだった。
きっと誰かに拒否られるような人生を送ってきたことが無いのだろう。だから想像が咄嗟に追いつかない。ふむ。敵だな。
「……理由を聞いても?」
「めんどいっす。あと俺筆記が壊滅的なんで勉強に時間を置きたいです」
「………………」
「………………」
にべも無く突き放す。
追撃は学生らしい実に尤もな理屈だ。
このコンボに抗うのならばそれ相応の覚悟をしてもらおう!
ところで、沈黙の合間に委員長の腰から短い電子音が鳴った。
多分だけど、一時間目の始まりの合図かもしれない。この学校、チャイムが無い。
「……。だが、キミには是非とも入って貰わなくてはならない理由があるんだ」
一瞬デコに手をやろうとしていた委員長だったが、考え方を切り替えたのか、俺を追い落とす形へと
別に聞かなくても良かったのだが、先程一時間目は既に始まっている。
理由をつけて逃れようにも、逃げた先も俺にとっては碌でもない敵地である。
つーか、サボれるならばサボってしまえ、と俺の中の悪魔が囁くのだぜ。……サタナキアかな?
まあそんなわけで、無言で続きを促すことで、理由とやらを問うこととした。
「先ほど、キミの噂がこの学校に流れていることは理解したな?」
「あぁ……。……まあ、不本意ながら」
本当に不本意だけどな!
「知っての通り、魔法は明確に形となって日が浅く、世界的に見ればまだ未熟な分野だ。研究は進んでいるものの、直接的に取沙汰されているのはISへの戦術的なクッション程度の仕様でしかない。魔法師単体では、戦力としては数えられないのが世界的な意見なわけだ」
ああ、まあ時代が悪かっただろうね。
ISが出張らなければ、カンピオーネが存在しなかったら、きっと……あれ、戦争の道具になっていたんじゃね?
無駄に戦力拡大に繋がるような理屈が出回ると、欲目が出てくるのが人間の佐賀だし。一見問題ないように見えているけど、日本だって領土問題や『おとなりさん』との人権問題なんかも抱えてはいるし。
そういうのを解決するのに、一番手っ取り早いのが戦争だ。
もしだけど、戦争をするに能って損害が“最小限”で収益が“最大限”を見込める戦力が手に入っていたとしたら……。
……これ、下手に取沙汰されない方が、要するに今の方が、ずっと平和なんじゃねーの?
「ついでに言うと、現状の社会は女尊男卑だ。ISが前線で活躍する以上、こちらに研究資金が出回らないのも頷ける」
こちらの思考に気づかずに、委員長は言葉を続ける。
つーか、スコールたんも言っていたけど、女尊男卑社会ってぶっちゃけ世界全体からすると3割にも満たない地域での社会現象らしいな。
日本は筆頭として、北アメリカ、イタリア、中国……は表面上だけか、後は韓国。
イギリスやフランスは実際のところ、『看板』としては扱ってくれるけれど、権限がしっかりと備わっているとは言い難い、ってシャルロット先生が言ってた。
ドイツは、まあラウラがそもそも軍属だったし。
他は相変わらず男性優位、若しくは均等。
というか、根本的に世界的な科学水準が均等じゃないから、ISの開発に力を入れられる地域が限られてくる、っていうのもあるのだけど。……まあそれ以外は呪術系魔術系が強いらしいから、バランス的には問題ないのか?
何気に、軍事バランスが一番懸念されているのがオーストラリアだ。呪術系が強くて、ISに関する開発もちょっと推しが強いらしい。まあ、あそこにはカンピオーネが居ないから……、よっぽどトチ狂わない限りは戦争しかけてくることも無いとは推測しているけれど。
何が言いたいかっていうと、要するに日本の女尊男卑も絶対じゃないってことだ。
十年続いちゃいるが、そろそろ目も覚めてきた頃だろう。
政権交代も、そろそろ揺り動くんじゃなかろうかね。
「そんな中で、出てきた希望がキミだ、司波」
希望とか(笑)。
こちらの思考も読み取れずに、委員長は芝居がかったように言う。
「IS学園に一矢報いた、ということで、キミは二科生にとっての期待の星とも言える存在に昇華している。
そんなキミに感化されたのか、今この学校は一種のお祭りムードに突入しているんだ。
具体的に言うと、今までパッとしなかったヤンキー共がキミという存在に触発されてどんどんと悪目立ちしてきている」
ヤンキーってあんた。
二科生どんだけだよ。
「ちなみに、二科生のみじゃないぞ。最も盛行しているのは二年勢だ」
「この学校の二年ロクなのいねぇっすね」
至極当然に出る感想を呟くと、全くだよ……と重い溜め息を吐く委員長。
そういえばこの人も二年か。
「そして、コレがここ数日で出揃った目ぼしい面子のお品書きだ」
「本当にロクなのがいねぇ!?」
ばらり、と委員長は名立たる二つ名の大量に載ったペーパーを議事机の上へと広げて見せた。
あるわあるわ名立たる面子。
『トリガー・ゾーン』『ワイルドはーーふ』『
アイタタタタタ……。ちょっとー、誰か絆創膏持ってきて-、ひと1人か2人位包み込めるようなでっかい奴ー。
つーかあれ? 此処八王子であってるよな? 間違っても府中の上とかじゃねーよな?
「わかるか、この面倒臭さの極致が。こういった面子を抑える為にも、キミには是非とも風紀委員に参入してもらいたいんだ。頼む……ッ!」
委員長の胃がストレスでマッハなのは、よく、理解できました。
「だが、断る」
「鬼かキミはッ!?」
この比企谷八幡のもっとも好きなことは! エリートな生き方をしている学生の上位を取りNOと言うことだぁ!
……そういえば、俺この先輩の名前一切知らなかったや。
そんなことぉ立ち去ってから気付いた、十五の初夏。
~なかなか出来ることじゃないよ
戸塚主催、八幡のポジティブキャンペーンがはじまったようです
~人の佐賀
SAGAは人の本性を暴き出す呪われた都…
日本の何処に存在するのか、未だに詳しく解明されていないとも聞く…
~府中の上
土属性の生徒会長が居るという都内の高校。女子がすこぶる強い学園
ちなみにピンク髪がメインヒロインじゃない
現実が許容できなかったのでむしゃくしゃして書いた。後悔はしてない
詳しくは活動報告で