やはり魔法科高校の魔王の青春は間違っているストラトス   作:おーり

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前回後書きにてややこしいことを書いてしまったらしくツッコミを入れられる
思わず否定の意を即座に返信したのだが、

…いや、なくはない、のか…?

まあどっちでもいいや
繋ぎ回な31話


せんせいのおじかん

 

 

 「火鉢ィ……! 覚悟ハデキテルンダロウナァ……?」

 

 

 遅れに遅れて遅刻も確定していたので、開き直って悠々と登校したその日の放課後。

 人語を忘れかけたような様相の平塚先生が生徒会室へと乗り込んで来ていた。わぁ、怖い。

 

 

 「落ち着いてください平塚先生、先生が結婚できないのは先生自身の責任であって俺は何にも関与していない事柄です」

 

 「qwぁsfjklkzkjんxlsdっfpthpsjfどpjvcぽsfんpヴぉえおpcvs!!!!!!」

 

 「ちょッ!? にっ、人間に戻ってください平塚先生ェーーーッ! ヒッキーもなんで火に油を注ぐようなことを言っちゃうのォッ!?」

 

 

 神域の麓にて狂化した猪神を鎮める古代の戦士の様な心持で、軽い冗句からのジャブで俺のトークスキルを光らせてみたが逆効果だったらしい。

 聞き取り辛い異界の言葉を幽鬼の様な形相で発するその女教師を、由比ヶ浜が俺に叫びつつ宥め抑えていた。解せぬ。

 

 

 

 

 

 ~閑 話 休 題(しばらくおまちください)

 

 

 

 

 

 「……っでぇ、あの課題ぃ、いや、それよりも今の言葉を何故口にしたのかをその心情を述べて見ろォ……!」

 

 

 フゥーフゥー……!と、野生の獣のように息を荒げて問い詰める、その様相には貞操の危機を彷彿とさせる。

 やだ、この女教師ケダモノ……ッとふざける(いとま)も俺にはなく、思ったままの事でお茶を濁すことに尽力を割く意気込みである。

 

 

 「すいません。以前にお会いしたことのあるブリュンヒルデを彷彿とさせる容姿をしていた先生でしたから、てっきり未婚且つ高嶺の花なお人なのかなーと。なんて言いますかね、空気がね、似てるんですよね」

 

 

 お相手を随分と厳選しなくては釣り合う人が居ないんじゃないかなー大変そうだなー、と言外に言う。

 云われた意味をきっちり好意的に解釈してくれたのか、一瞬きょとんと呆けた様子を見せた後、咳払いしつつ顔を背ける平塚先生。

 

 

 「ん、んんっ、そ、そうか? まあ、悪気が無かったというならば、そう云われるのも悪くは無い、な」

 

 

 計 画 通 り(ニヤリ。

 なんて風にほくそ笑んだりはしていない。いないったらいない。

 

 世界最強はともかく、美人と同列に見做されて悪気を思う人はいない。

 気分がすっかり良くなったのか、物憂げな雰囲気を纏わせて、私美人ですよーアピール()をしながら椅子に腰かけた先生は幾分か機嫌も持ち直したご様子であった。

 

 

 「……しかし、あれだな。キミは色々と、敵を作るのが巧いな」

 

 「? 何言ってるんですか?」

 

 

 切り出した平塚先生に応えるのは、何故か一色。

 他はと言うと、何故かあー、と納得した様な表情。どういうことだってばよ。

 

 

 「あの課題でも思ったのだが、着眼点は悪くは無い。問題に対する改善点だってすぐにでも出せることを彷彿とさせる、というのはしっかりと現実を見ている証拠だ。今時の高校生にしては優秀な方だな」

 

 「よくわかりませんけど、やっぱり先輩って有能なんですねぇー」

 

 

 ほえー。と何処かのカードをキャプる幼女みたいな、あざとい発言で上目遣いしてくる一色。

 だが前言をよく聞け、この先生褒めているわけじゃないと思うぞ?

 

 

 「ああ、有能だ。加えて、敵を誘い出すことが自然と出来ることはそこらの輩にも上手く熟せることじゃない。検事なんかになれば程良く活用できるだろうな」

 

 

 挑発遣いとでも言ってやろうか、と付け加える平塚先生。上手い事言えた、みたいなドヤ顔が普通に苛立つ。

 HERO(キムタク)かと思いきや最後の最後でバーミー(鶴喰鷗)って……。

 八幡知ってるよ、バーミーは女子と視線を合わせられないコミュ障だったって。絶対褒めてないよね、それ。

 あと城廻会長、ハッと何かに気づいたような顔した後無駄にキラキラした目で見ないでください。自分女子の上履きも好きじゃないですから。もっと期待値掛けて見るべき人は今魔法科高校に居ますから。

 

 

 「だがそれは子供のうちには備えておかなくてもいい能力だ。才能を育てるのは良いが、そんなに生き急がなくても良いと私は思うぞ」

 

 

 と、締め括った平塚先生の言に、生徒会室内の全ての目が俺へと集まる。

 それは何処か畏怖している、というよりは憐れんでいるような目で。

 俺のやったことを大体把握しているこの生徒会メンバーからすれば、俺が何かのトラウマを抱えて、その果てにこんな跳梁跋扈なキャラになったのだ。とでも思っているのかもしれない。

 

 

 「――で、本音は?」

 

 「折角私が去年サルベージさせた奉仕部をいつの間にか解体させられてイラッとさせられた。――はっ」

 

 

 良くも悪くも、裏を隠せないお人であることは俺が把握した通りらしい。

 ……あの独神もそんな有様だったなぁ。と思ったら案の定だよ……。

 

 

 「先生ェ……」

 「平塚先生……」

 「静ちゃん……」

 「アンタもですか……」

 

 

 自分の発言に気づいた次の瞬間には、室内からの視線は一転していた。そんな貌をした平塚先生へ、呆れた幾つもの視線が突き刺さる。

 声を発しないのは我関せずなブランデッリと雪乃さん、事態を把握しきれていないっぽい城廻会長くらいだった。

 

 

 「つーか平塚先生、そもそもがあんな無茶な部活申請で推し通せるわけが無いでしょうが。活動も不明瞭で部員も増員する予定も無い。部活動の設立に顧問が必要なのは『部費を采配するから監督者が必要である』という点もありますが、それと同時に顧問が居るのならば部費の采配も必然と両立する結果になりますし。そうなるとやっぱり部の現状が前述した通りのままじゃ生徒会側(こっち)としても特別扱いなんて出来ないんすよ。他の生徒からの目だってありますしね」

 

 

 特定の部を贔屓に見るわけにもいかないんですよ、と活動費用の点で一手に総括する立場の生徒会側意見で締め括れば、ぐうの音も出ない正論にぐぬぬっている平塚先生の姿が確認された。

 

 『活動するならば部費をやろう、けれども内容は教えてね?』というのが現生徒会の、というか、本来ならばあって然るべき姿だ。その姿に立て直ししている以上、内容が不明瞭なままの部活には部費を配れないし、かと言って同好会扱いにするには顧問の存在が不明瞭且つ無意味に目立つ。一部を立てるならばもう一部も立てなくてはならないし、そうなると連動して「あの部活贔屓されてね?」という目が一部でも浮上してきてはこちらの意識活動にも色々と支障が出るのだ。それは止めてほしいな。というのが本音だったりもするわけで。

 我が校での同好会の扱いは、活動費を配給しないので個人で賄える範囲でならばどのように行動しても構わない(責任も含めて)というリベラルな風潮を推し出している。現に、同好会へと格下げされたがそっちの方が動きやすいかもしれない部活は、この間の費用会議で結構独立しているのだ。その代わり結果を出すまでは学校側からの援護は無いが、結果さえ出し部活申請をすれば元の形にも戻れるし、部費も戻ってくる。

 だが果たして、そうまでされてストイック精神を補わせた活動を元の形に戻そうとするだろうか、という懸念はあるが。まあ、これも生徒の自主性を促す為の試練だ。学校側が三顧の礼宜しく頭を下げでもしない限りは戻らせないように、とでも言い含めておけば独立性は保たれたまま、生徒側の意識を高める手伝いにもなるであろうか。と思考も逸れる。

 

 さて、そこで反論しようものなら件の元奉仕部を平塚先生個人若しくは教師陣が『一部の生徒を庇護している』という認識へと繋がり、看過するにわけにはいかないこととなってしまう。むしろ其処で封殺されていて欲しかったのだが、

 

 

 「し、しかしだなぁ、」

 

 

 ――当然、そこで反論されるのならば、こっちとしてもカードを切らざるを得ないのである。

 残念だなぁー本当に残念だなぁー。

 

 

 「それともなんですか? 部活動と言う名目で自分の仕事を振り分けることが今後は出来なくなる、とでもお考えで?」

 

 「」

 

 

 はい。絶句、戴きましたー。

 

 

 「平塚先生……?」

 「先生、どういうこと……?」

 

 

 当事者であった雪乃さん&ガハマさんの元奉仕部コンビは予想だにしていなかったのか、驚愕と若干の意趣も含めた視線で平塚先生へと視線を滑らせる。十中八九更木何とかの問題であろう。アイツ常連だって言ってたもんな。

 というか、想像もついて居なかったのか?

 客を随分と捌いたらしきことは聞いてはいたけど、そこまで来るという時点で色々可笑しいだろう。

 

 第一に、部活の活動方針に沿う人物ならばそもそも依頼に赴いたりはしない。

 魚を捕るのではなく『捕る方法』を授ける、とか言っている時点で責任そのものは依頼者に丸投げであるし、方法授けられても道具が無くちゃ出来ないのに、その『道具』を作る所から頑張れ、としか云われないのは依頼にやって来た本人としては釈然としないものもあるはずだ。まあ、相手が美少女である以上はそれに応えたくなるのが男の佐賀間違えた性というものであるのかもしれないが、それにしたって限度はあるだろうし。

 次に、依頼者の奉仕部に対する前情報の無さ。

 解決したい悩みがあると言って、最初にその門を叩くのは普通に考えて有り得ない。そう導かれてくるならば、当然人伝にでも噂程度は耳にしてなくては可笑しな話だし、噂を聞いていて更に相談に来るって、総武はどんだけドMの巣窟だよ。部長がコミュ障筆頭と噂に名高い雪ノ下雪乃だぞ。襤褸雑巾のように使い回されて最終的に炉端へ放置されるのが想像に難くない口撃力の持ち主だ。一歩足を踏み入れて騙された!と思った客も少なくはない筈である。

 最後に、生徒の悩みを真っ先に聞くべき立場の人間は、生活指導を担当としている平塚先生だ。

 ……この先生、要するに自分の所にやって来た生徒を盥回しに奉仕部へと横流ししていたんじゃね?

 

 問い詰める雪乃さんと、ややジト目でそれを見遣るガハマさんに、心が痛んだのか平塚先生は割と簡単に折れていた。

 補足程度に上述した『可能性』らを要点纏めて問いてみれば、項垂れるように認める女教師の姿がそこにあった。

 平塚、仕事しろ。

 

 

 「し、しかし、聞けば生徒会もこれから奉仕部みたいな活動に手を伸ばすそうじゃないか。ならば、これからも私が生徒を連れて来ても……」

 

 「いえ、基本として己の意志でこちらに赴いた生徒の話を聞くか、又は城廻会長の設置した『めぐりぼっくす』なるモノにある投書を基準として見てゆく所存ですので。教師の下請けは御免蒙ります」

 

 

 もう一度言う。平塚、仕事しろ。

 

 

 「少しくらいみてくれてもいいじゃないか……」

 

 「そうやってなあなあで積もっていたのが去年の生徒会の活動の大半でしたよ。記録見たんで、確かです」

 

 

 何度でも言う。教師、仕事しろ!

 本来ならば生徒が片づけなくても良いようなプリントの整理だとかコピーだとか……、酷い時には生徒は直接関係ない筈の教師間での会議に使われるであろう議事題の作成まで請け負っていたからな! パソコンの中に原稿の原文があったり、戸棚の奥に血文字で『しごとしろ』って崩して書いてあったのも発見したからな! 代々続く悪癖であるらしいので、この辺りでスパッと威勢良く大鉈を振るっておきたいのが所存である。所謂勘当という奴で……違うか。違う、か?

 

 

 「そういえば、火鉢君が来るようになってから仕事が一気に減ったような……」

 

 

 思い出したように、不二家さんが口にしたが、ほほぉ……俺の居ぬ間は仕事があったと……?

 「……まだわかってない奴らがいそうだなぁ……」

 生徒の意識改革には先ず教師から、というのが持論です。

 良くも悪くも、『学校』を作るのには両方とも欠かせないですから。

 

 

 「ちょ、ちょっとヒバチくん……? ボソッと呟かないで欲しいのだけど……」

 「何したんですか先輩……」

 

 

 雪乃さんと一色に怯えた目で見られた。

 口に出ていたらしい。

 しかし、怯えさせるのも本意では無いので、この場の全員に弁解しておく。

 

 

 「いや、ちょっと経営陣のトップと世間話をしただけっすよ。『教育をする人』と『学校を経営する人』って結局は意識は沿わないモノですからね、それらの橋渡しを、ちょちょいと」

 

 「いや、さらりとそんなアクロバティックなことを言われても対応に困るんだが……」

 

 「具体的には校長と少しばかり麻雀を」

 

 「「「お前(アンタ)(キミは)何やって(る)んだ(?)ッ!」」」

 

 

 学校のトップは要するに責任者だから、経営者と言う立場も備えているのよな。

 だから生徒(お客)の要望は聞かないわけにはいかない、気分を害するわけにはいかないから、自然と接待プレイも見受けられるわけで。

 対して、教育者はそういう意識が少ないから、上から目線且つ自分を中心に物事を考えがちになる。

 全部が全部そうだとは……言いたくは無いけれど(断言が出来ない。残念ながら)、結局人間物の視方なんてモノは主観でしか見れないモノだから、『生徒の事を考えている』と口では言われても手放しで信用できるほどの相手と言うわけにもいかないのである。

 

 難しい話はさて置き、話したって言うか本当に世間話程度のレベルの話だ。

 脅したとかそんな話じゃないよ。ホントホント。ハチマンウソツカナイ。

 

 どちらにしろ、経営とはいえ教師陣のトップから口を挟まれてまで生徒に自分の仕事を廻そう、などと考えるような教師ばかりならもっと大胆な大鉈を振るうのも吝かでもなかった俺なのだけど、目を光らせていれば若干は抑止力にはなるということは分かった。

 ならそうやって時間を稼ぎながら、俺は次の手を今のうちに撃っておくだけである。

 雌伏の時間なんて取らせねぇ、臥龍は伏せたまま首を切るのが定石なんだよ。

 

 

 『――ッ♪』

 

 『え、エリちー? ヒッキーがなんかすっごい怖い笑顔なんだけど……? ってこっちも凄いイイ笑顔だ!? 何!? どうしたのふたりともっ!?』

 

 

 知らぬ間に暗黒微笑が漏れていたことに、気づいた時には室内の大体の人がドン引きしていた。

 スンマセンね、悪い顔で嗤ってて(不貞腐れ。

 

 

 

     ×     ×     ×     ×     ×

 

 

 

 『そうかぁ、聞いてくれないのかぁ……』と、本当に仕事を廻す気でいたっぽい平塚先生は項垂れたご様子で帰って行った。

 掻い摘んで要点だけを聞くに、俺と同じクラスの川崎という生徒の素行不良と夜間のバイトをしているらしき目撃情報が挙げられたので大事になる前に解決に導いて欲しく教師から言われるよりは生徒間で問題を消化するのが相手の為にもなるのではないかと思った、という犯行声明。

 相手の事を考えているようで完全に教師側の意見が主流であり、縦しんば件の生徒の行動が事実だったとしたらどういう判断で処分を下していたのかを如実に覗わせる胸糞の悪い問題提起である。

 大事になって困るのは学校側だろうが、その果てに生徒を切り捨てれば話は簡単でも切り捨てられた生徒の将来を保障しないって辺り本当に『最近の大人』だよな。と愚痴りたくなるのも自然な流れだ。

 

 まあ、仕事をしない先生に替わって生徒会が請け負う、という理屈も通用しないのだが。

 大事になる前に、アンタが働け生徒指導部顧問教師。

 

 

 「火鉢くん~、本当に執り合わないの~?」

 

 

 城廻会長が間延びした声で問う。

 その意図は把握できるが、此処で教師側に安売りしてしまってはこれからの活動にも支障をきたすのである。

 

 

 「生徒の悩みを聞くのは生徒指導の教師の仕事。第一、『同じ生徒同士だから』といって話を聞いて終わるようなら、それこそ俺たちが出張る必要性も無いですよ」

 

 

 むしろ同年代にこそ話を聞かれたくない、って言う奴だっているだろうし。

 メンタルケアを自分で名乗り出ておいて生徒を盥回しにしている『指導』に何処まで出来るのかは知ったことではないが、そこで甘い顔を見せればつけ上がってくる恐れも在る。

 シビアだけど、これで働かないようなら別口から大鉈を振るう必要性も考慮しなくちゃいけないのよね……。

 具体的にはPTAに告げ口したり、理事会に訴えたり、教育委員会に直訴したり。

 前半は大体雪乃さんが居ればその親へと口裏廻せばいいし、其れが出来なくても今の俺の立場だと後半が多分色々出来る。

 此処の学校の教師陣は今現在、首の皮一枚で繋がっているということを自覚すべきだと思うんだ。

 

 

 「まあ、『生徒の悩み』を解決に導くっていうのも一応は仕事ですし、直接やってきたら話を聞かないことも吝かでもないんですけどね――」

 

 『ツンデレですか』

 『ツンデレだね』

 『むしろアレは捻じれているのではないかしら?』

 『じゃあ捻子デレだっ』

 

 「聴こえてんぞオマエラ」

 

 

 一色の小声、ガハマさんの賛同、雪乃さんの異議、獣王院先輩の笑い声が順序良く耳に届く。

 新しい萌え語を創造されても対象が俺ではちょっと萌えない。

 そんなやや胡乱な想定をしていたところへ――、突如ノックの音が教室に響いた。

 

 

 「……え、まさか?」

 「いやいや、まさかそんなタイムリーな」

 

 「はーい、どうぞ~」

 

 

 今話していた件の人物が出頭してきたにしては随分と早急で、些か平塚先生に次の就職先を決断して貰わねばならないかなぁ……等と思考が逸れつつもそんなわけないよね、という意見も室内に飛び交う。

 入室を促した城廻会長の声に反応するように、戸が開いて入って来たのは、見知らぬ銀髪の少女であった。

 

 

 「失礼します。こちらで悩みを聞いてくれる、と耳にしたのですが、お時間宜しかったでしょうか?」

 

 

 染めたにしては綺麗な髪色をしている。

 恐らくは地毛なのだろう。

 何処かのライオンヘアとは違う、と思うと同時に、現代日本人の髪色どうなってんだよ、と根源的なジャパニメーション化現象を垣間見たディスイズ黒髪の俺としては異論を唱えたくもなる。

 そんな俺とは対照的に、背後の方ではひそひそと入って来た彼女を審議する女子らの会話。

 

 

 「え、本当に平塚先生が教えたの?」

 「釘を刺されたこと理解してませんよあの人」

 「落ち着きなさい、まだそうと決まったわけじゃないと思われるのだけれど、」

 「ユキノ、そこは断言しましょうよ。まあ難しいでしょうけど」

 

 

 なるほど、髪色を気にしているのは俺のみらしい。

 これがジェネレーションギャップという奴か。

 世代の壁はぶ厚いぜ。

 

 

 「お悩み~? うん、聞くよ~。まずはお名前を教えてもらえるかなぁ~?」

 

 

 絶賛困惑中の俺たちとは別に、これまでの議論をぶった切る城廻会長の請け負う気満々なオーラでずずいと中へと促される少女。本当に同じクラスの川崎?とやらなのだろうか。見た覚えが無いのだが、俺。

 それにしても、制服を着ている筈なのにその上からわかるほどにスタイルが良い。胸の大きさとか、胸とか、あと胸とか。雪乃さんでは一切敵いそうもない美少女が居るのだが、こんな子が今までモブとして埋もれていたとは到底思えない。下手したら雪乃さんの代わりに学校裏サイトで祭り上げられそうなくらいの雰囲気。え?ハブられた雪乃さん?まな板にしようぜ!

 

 

 「……何故かしら、今とても不快な気分にさせられたわ」

 「気の所為じゃね?」

 

 

 背後から地獄へ誘う様な声音が響いて来たので切り捨てて置く。

 煽られ耐性ゼロな雪乃さんはさて置き、城廻会長の前へと座らされた少女はぺこりとお辞儀をし、

 

 

 「初めまして、川崎京華と申します。今日は、姉のことでご相談に参りました」

 

 

 と、実に礼儀正しく自己紹介をして見せた。

 

 

 





~神域の麓にてry
 オッコトヌシヨーシズマリタマエー!


~ほえー。
 あれは、無い


~鶴喰鷗
 挑発遣い。ダークなHERO的立ち位置の弟系キャラ。足を引っ張る過負荷と回転を操るスキルを兼ね備えている
 時系列的に去年頃まで引き摺っていた八幡的自己解釈では彼のお人を己に重ねていた筈だが、人に云われることは厭らしい


~平塚、仕事しろ!
 型月系では毎度おなじみのあのセリフのパロ
 でも遊ぶときは遊ぶ。その切り替えは重要ですよね!(脂汗


~校長と麻雀
 二次でよく見かける『思わず口に出す八幡』は毎度おなじみ
 但し中身は色々と黒い。これもすべて烏丸って奴の所為なんだよ!
 総武の校長は出てくるシーンなんて大体カットされているが、この世界線では生徒とスキンシップを取りたがる好々爺。『総武の老黄忠』と呼ばれる遊び好きで学校紹介のHPなんかも手掛けるという裏設定
 ちなみに作者は高校の校長と能と太鼓について雑談する程度の仲だけどどうでもいい情報だねっ


~エリちー
 ガハマさん命名。エリーチカじゃないの…
 一見判りづらかったろうがこのシーン、黒い笑みを漏らした八幡にゾクッとしたエリカ、という本日の濡れ場
 だから八幡視点じゃわからないってみんな言ってたのに…


~捻子デレ
 捻デレと小町に命名される前に獣王院先輩に命名される
 多分読みは同じだろうけど、バタフライエフェクトなんだよー、と大げさに嘯いてみる
 え?伏線?行き当たりばったりのこの作品にそんなものあるわけないじゃないですかー(素知らぬ顔


~まな板にしようぜ!
 72言ってんだコイツ


~川崎京華
 待 た せ た な
 ガイルメインヒロインと一部で名高い彼女が遂に登場だぜー!野郎ども!祭りの始まりじゃー!
 なんか違う?気のせい気のせい(白目



サキサキを登場させるつもりがこんなんなりました
え?妹さんが先走ってる?やだなぁ、お姉さんも前回しっかり登場しているじゃないですか
今回の彼女はキチンとイモウトデスヨ

次回恐らく衝撃の展開。またやらかすのかよいい加減にしろよ。そう云われようとも書くのを止めないオレガイル
ヤメロ!云われるまでは続けますよー

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