やはり魔法科高校の魔王の青春は間違っているストラトス   作:おーり

9 / 36
【悲報】俺の地の文とか誰得すぎて読み飛ばされている可能性が微レ存な件について【嗚咽】
前回の導入とかほんと無意味だった
こっから文章削っていくわ
な、泣いてねーし(震え声


どうやら俺の戦いは間違っているらしい

 

 サーシャ・デヤンスタール・ヴォバン。

 実際に位が充てられたわけではなく、当時の貴族から奪い取った爵位『侯爵』を自ら名乗る “暴君”。

 欧州を事実上支配していると言っても過言ではないその老人は嘘か真かかれこれ300年ほど生きており、現存するカンピオーネの中で最も古くそして“魔王”らしい存在だと認識されている。

 その行動、というより、彼の指標は“支配”することに長けており、それは女尊男卑の社会が此処10年ほど続いていても変容するものではない。

 彼にしてみれば己の生きた年数と比べると、10年程度の社会認識の変化が己の影響力を上回るなどと、微塵も気にかけていなかったのだ。

 しかし結局の処、彼の所業は周囲を恐怖で頭を下げさせてはいても、その内心までは“支配”出来ていなかった。

 だが、それでも彼は変容することを許容しない。

 たとえEU連合のIS部隊が彼を“討伐”しようとクーデターを企てていようとも、それを上回れるだけの“実力”が彼にはあったのだから。

 

 故事に、殺一塵百という言葉がある。

 一人の敵を見せしめに惨たらしく殺して見せて、その恐怖でもって残りの敵の行動と反抗心を削ぎ落とすという策術だ。

 それに倣ったわけでは無いのであろうが、ヴォバン侯爵は多くのIS搭乗者の人命を奪い取り、その権能で『支配下』へと下らせたことで、顕著に実力のある者や、首一つほど弱かった者は即座に降伏勧告を受け入れた。

 結果としてトカゲのしっぽ切りのように全ての責任を彼女らIS部隊連合が負わせられることとなろうとも、命を脅かされるよりはずっとマシだ、と理性の面で判断した結果だ。

 例え感情面においては支配されることに苦渋以上の屈辱を味わうこととなろうとも、ISを扱えることで賢くなった者や元より賢明であった者たちは、状況に流されるままだった“平均値”の少女らの犠牲を礎として己の命を守り抜いた。

 ISに備わっているという“絶対防御”を紙の如くに無視できる暴虐のような神秘の領域に慄き、平均より僅かに上か下かと言った賢くならざるを得なかった少女らには、その戦いの結果が如実に見通せたためである。

 そしてその責任の所在を見通さないほど、侯爵の目は節穴では無い。

 

 

「まだ着かぬか」

「……あと1時間ほど、ですわ」

 

 

 日はすっかり沈み切った、日本から数十キロほど離れた太平洋上の空中。

 比翼の鴉のように並んで飛ぶ少女らの背に跨り、老人は鷹揚と尋ねた。

 それに応えたのは、青色を主軸とした機体を駆る『金髪の女性』。その声音はハイスクールに通う程度の瑞々しい少女の其れなのであるが、ISスーツに浮き出る肢体のラインは如実に豊満で、成人女性らしい色気を強調させている。

 しかしそんな“女”に跨っていたところで、侯爵の興味はそちらには向かないらしい。

 フン、と鼻白く彼女の返答を嘲笑ったところで、前より斯かるはずの圧倒的な風圧も無視し、ポーズで着飾っている程度の小物でしかない『杖』を意味も無くもう片方の少女の頭に乗せ、慇懃に仰け反った。

 

 

「旅客機よりは速いが、まあその程度だな。空を駆るという感覚がどういうものかを序でに知っておきたかったが、これでは到底期待通りとは言えぬ」

「……も、申し訳ございません……」

 

 

 オレンジを主軸とした機体を駆る『金髪の少女』は、泣き腫れた顔で俯きがちに応える。こちらもまた声音には若々しさが滲み出ているが、メリハリのある肢体は青の女性にも負けず劣らずの女性らしさを醸し出している。しかしその顔つきは間違いなく『高校生くらいの少女』の其れに近しい幼さを示しており、肉体の方が年相応では無いアンバランスさをしているのだと見る者には思わせる。

 だがやはり、そんな“少女”ですらも侯爵の嗜好には歯牙にもかからない。

 しかし侯爵は、彼女の肩を杖で意味も無く小突いた。

 

 

「ァグッ!?」

「つまらん。あの戦場(ステージ)を生き残ったのだから凡人(ひと)よりはいい玩具になるかと思ったが、やはり塵(ゴミ)は塵か。反骨心もない従順なだけの僕(しもべ)ならば生かしておく価値も無い。今すぐに殺してやっても良いんだぞ」

 

 

 侯爵のその言葉と共に、少女らの首周りにチョーカーと呼ぶには歪すぎる黒い紐がゆらりと揺れた。

 

 ヴォバン候には、オシリスという冥府の神を殺して簒奪した、死者を操るという権能が備わっている。

 これは彼がそれを改悪して出来た簡易的なマーキングであり、彼女らの命をいつでも奪い取り支配下に置ける。そういう意味合いを込めた、彼なりの“遊び”である。

 

 “それ”の顕現に押し殺したような悲鳴を上げる少女らだが、侯爵はそれ以上の何かを起こす様子は無い。

 怯えながら少女らはスピードを上げる。

 痛みを堪え、恥辱を堪え、恐怖に押し付けられながら、最初に命令されたこと以外をするような気概を持てない。

 圧倒的な存在の前に負けるということはそういうことなのだと、彼女らは思い知ってしまった。

 だから反抗心を芽生えさせながらも、それを実現させようという行動には一切出られないまま、彼女らは命令を忠実に守った。それ以外に、無事に生き延びるための道程が見つけられなかったのである。

 

 

 そんな彼女らを無機質な面持ちで眺めつつ、ヴォバン侯爵は日本までの“道中”にて思い耽る。

 やはり只の人間では己の相手足り得ない、と。

 彼は大抵のカンピオーネ同様、退屈を持て余していた。

 最強の存在と持て囃されながら、その“最強”を証明するための実力を示される場が中々見つけられないのだ。

 王の命令に従う人間が居れば大概の事は叶えられる。だが、全ての事が罷り通る世の中というモノは案外つまらない、と彼は長い人生の中で良く思い知っていた。

 そんな中で見つけられる丁度良い暇つぶし兼可能性の塊は、己と同等のカンピオーネか顕現した神か。それらとの闘争以外、碌に面白くも無い。そう思うようになってしまっていたのだった。

 しかし、神を意図的に顕現させるには準備が必要だし、手間もかかる。

 次いで、彼は強すぎ、長く生きすぎた為に、有名にもなり過ぎて神からも敬遠される身だ。

 事実そうとしか言えないくらいに運命的にお膳立てした顕現の儀式は邪魔されて、少なくとも一回、己の呼び出した神と戦うことすら出来ずに横取りされてしまったくらいだ。

 そして、今から向かう日本には、その時に使用し損ねた『道具』が埋もれている。

 その傍には、今回の事態を引き起こしてくれた“元凶”とでも呼ぶべき新たなカンピオーネの影もあると聞く。

 あわよくばそれと戦うことも可能となるかもしれない。

 そう退屈を紛らわせられる可能性を思い浮かべて、

 

 

「――!? なっ、」

「――赤竜の――」

 

 

 ――唐突に、逆さまに現れた少年の手によって、

 

 

「――鉤爪ッ!!!」

 

 

 ヴォバン侯爵は遥か後方へと吹っ飛ばされた。

 

 

 

     ×     ×     ×     ×     ×

 

 

 

 イギリスの国家代表・セシリア=オルコット、並びにフランスの国家代表・シャルロット=デュノア。

 彼女らはヴォバン侯爵討伐のために、国が推薦したEU連合のIS部隊を率いる主力となるはずであった。

 見た目は十代の少女だが、外見を若く保たれているのはISに備わっている、過剰なまでのアンチアエイジング機能の産物である。

 その中身は既に成人しており、搭乗時間こそ及ばないものの某ドイツのロリ系少女と同期でもある。

 

 そんな彼女らが負けた責任を負わされるのは国からして当然の帰結なのであるが、本人らは絶対的に納得のいっていない事象でもあった。

 しかし、セシリアは侯爵がステージ(舞台)等と称したあの『戦場』で友人を目の前で殺されており、シャルロットには敗北を喫したその瞬間から個人的な事情により帰る場所が無い。

 片方は悔恨と出来れば僅かばかりの復讐心を、片方は自棄と後悔と望めぬ立場を負わない場所を、黙して語れぬ死者の様に俯いて、国と侯爵の命に粛々と従い、彼を日本まで送り届ける役目を負わせられて海上を飛行していた。

 

 

 そんな折であった。

 侯爵が唐突に、その上空より降りてきた“何者か”に自分たちの上から退かされたのは。

 

 

「――えっ……」

 

 

 シャルロットは初め、何が起こったのかを認識できなかった。

 背と頭が軽くなったと思ったら、見上げれば姿勢を正そうとする人?の姿が目に映っただけであったから。

 そして、その瞬間を偶然に目撃していたセシリアは、それが誰なのかをほぼ直感的に理解していた。

 

 

 先ず、飛行魔法というモノは開発されていない。

 魔法師の中で研究はされているが、理論上無駄に想子を食うだけで“上空数センチ”とか“数人分の維持費が必要”とか、そんな結果をはじき出している為である。

 そもそも、空を飛びたければISに乗ればいい。というのが政府の意見であって、研究のための予算も捻出されないというのが現状な為なのだが。

 まあ当然その政府は女尊男卑寄りで、女性優先の社会を形成しているのだからそうなるのも当然と言った処か。他にも色々と思惑はありそうであるけれども。

 

 故に、空を飛行できる男性と言うだけでその存在は絞られる。

 魔術師にもそういう術者が居る可能性は無きにしも非ずだが、元EU連合に所属していた彼女はその作戦立案過程で、飛行に関しての優位性と飛行魔術と呼べるものについての限定性を予め教えてもらっている。

 そのパターンの中には、彼の様にほぼ人の姿で飛行できる、という条件は存在していなかったはずなのである。

 

 

 結果として、その人物を新たなカンピオーネ『比企谷八幡』だと理解したセシリアは思わず、

 

 

「(――……なんで俺この娘に睨まれてんの?)」

 

「(この男が、全ての元凶……ッ!)」

 

 

 ――思いっきり彼のことを睨み付けていた。

 逆恨みも甚だしいが、それが強ち間違いとも言いきれないのが、彼としても言い訳もできない処なのである。

 

 そんな一瞬の邂逅、の数瞬後に、

 

 

「っ、そ、そうだ侯爵っ」

 

 

 慌てた様子でシャルロットが踵を返そうとする。

 侯爵もまた、飛行術等というモノは扱えない。そんな彼にIS部隊は負けたわけだが、彼女らには『首輪』が備え付けられている。

 もし仮に此処で逃げ出したとしても、彼女らには逃げ帰る場所なんてないし、命の保証もされていない。

 もしもこの首輪が時限性能なんてものを持っていたとしたら、彼女らにとっては彼を命がけでも守る必要が出てくるわけである。

 ある意味、侯爵の優位性を保つというのが、彼女らのボーダーラインなわけでもあるのだ。

 ――が、

 

 

「――おっと、お前らの相手はこの私だ」

「ッ!?」

 

 

 飛ばされた侯爵を追いかけようとした瞬間、八幡に続いて降りてきた小柄な少女のタックルによって、シャルロットは侯爵とはまるで反対の方へと連れて行かれた。

 

 

「~~っ! ラウラッ!?」

「えっ、ラウラさんです……って?」

 

 

 ドップラー効果で音が遠ざかってゆくシャルロットの声音に気を取られたセシリア、が反応した時には、己の身体にワイヤーが巻き付いていることに気づく。

 そしてそのまま、

 

 

「っ!? キャアアアアアアァァァァァァ……――」

 

 

 市中引き回しの様に、八幡からぐんぐんと遠ざかってゆくのであった。

 

 

「…………何だったんだ、一体」

 

 

 取り残された形になってしまったが、一応は取り決めの予定通りの結果な為に、八幡が気にしているのは己を睨んでいた青系の機体を駆る女性の意味深な視線だ。

 初対面且つ年上っぽい彼女に、何やら恨まれていたように思えるのは錯覚だったのだろうか。

 ともあれ、後々確認すればいいか、と当初の予定を解消すべく、気を侯爵へと向き直す。

 

 

「(初めてやってみたけど、意外と威力が出たな。やっぱ●島先生は偉大だわ)」

 

 

 海上にて魔王一人を吹き飛ばせた膂力を醸し出せたネタ元の漫画家を何気にリスペクトしつつ、人間の頃より拡張された五感を全力展開しながら吹っ飛んでいった侯爵の軌跡を確認する。

 

 

「(飛行術を持っている爺さんじゃなかった、って資料にはあったけど……)」

 

 

 それも完全なわけではない。と、索敵をしながら思い返す。

 海と空しかないこの海域において、戦闘する方法の無い相手であるならばそもそも対峙する必要性も無い。

 そのまま藻屑と消えるか、はたまた欧州まで逃げ帰ってくれるか。

 僅かばかりの期待を抱きながら目線を巡らせば――、

 

 

「……いたよ」

 

 

 若干遠い距離だが、その姿を視認できる。

 “3人目”のIS搭乗者に跨って、ヴォバン侯爵は海上にて健在であった。

 

 

「……直接対決かー。仕方ねぇ、腹括りますか」

 

 

 

     ×     ×     ×     ×     ×

 

 

 

 所変わって八王子。

 甘粕の持ってきた話に飛び乗ったわけでは無いが、ラウラを引き連れて既に日も落ちた海上へと転移した八幡。

 残された深雪とアテナは、根本的にツインとはならない筈だった己らの組み合わせに暫し互いを眺め合い黙考した後、

 

 

「……では、一先ず我が家へ戻りますか」

「そう、であるな」

 

 

 お疲れ様ー、とでも言うがの如く、連れ立って歩き出した。

 

 

「えっ、いやいや、其処はもうちょっと私に聞くこととかないんですか? 色々気になることとか、お話ししましょうよ」

「いえ、正直オジサマのことには興味が無いと言いますか。お兄様の事ならば一応は予測はつきますし」

「そこはもう少しオブラートに包んでほしかったです。あと甘粕です」

「オブラートって、結構破けやすいんですよ。オジサマ?」

「包む必要ねーってか。あと甘粕です」

 

 

 銀●みたいな言い合いをマイルドにしながら、甘粕は歩みを止めない2人を追いつつ話を続ける。

 ぶっちゃけ、甘粕にはもう少しパイプが必要であった。

 政財界の元大物などが呪術屋の繋がりの中には多数に居るが、世の中物事の片側だけを覗いていたのでは本質を捉えきれないのも事実。

 現在主流となっている女性主流の社会構成を支えるらしい司波若しくは四葉、それにもっとも近い立場であろう『司波深雪』。

 彼女は同時に優れた魔法師の卵でもあるので、それらを推し進めて呪術師や魔術師を政界より追い遣った者たちから話を聞けるのであれば、彼にとってももってこいの機会である。

 そしてあわよくば魔法師やIS関係者にも相応の繋がりを覚えておいてもらいたい。今の世の中、ニンジャだけでは食っていけないのである。

 

 

「ワタクシとしてではですねー、少しだけ気にはなっているのですよ。いくら魔王になったとはいえ、政界にそれなりに顔が利くどころではない四葉の方々が、何故彼を養子として引き入れたのか、とか?」

 

「え、だってお兄様は実際に私の兄ですから」

 

「――え?」

 

 

 なんでもないことの様に返す深雪に、一瞬虚を衝かれて言葉が止まる甘粕。

 そんな彼を放置して、2人は更に歩を進める。

 

 

「ちょ、ちょっとまってくださいストップ! 気になることだけを答えて進軍するのを一旦おやめください! じ、実際に兄、ということは、元々の比企谷家の方が養子であったということですか!?」

「そうですねー。お兄様は幼かった故に覚えていないご様子でしたが、私はしっかりと覚えていますよ? まあ、ですから養子縁組と言うよりは預けていた者を改めて返してもらったというだけなのですが」

 

 

 何この妹怖い。

 そんな言葉が真っ先に甘粕の脳裏を占めた。

 なんでもないことの様に言うのはともかく、言っているのが本人の実妹であるほうが甘粕に恐怖を覚えさせる。

 

 しかし実際、彼女の言う通りであったとしたら、司波家は何をもってして彼を預ける理由と成り得たのであろうか。

 そもそも、果たして本当に信用すべき話であるのか。

 

 

「……その、疑うわけでは御座いませんがね? 証拠みたいなものは、あるのでしょうか?」

「証拠ですか? そうですねー……アテナさん」

「なんだ?」

 

 

 連れ立って歩いていた少女が顔を上げる。

 深雪も背は低いのだが、彼女と比べるとアテナの方がより低い。

 髪の色と目の色と顔の面立ちがこうして見ると全く似ていないので間違いなく錯覚しないが、それさえ揃っていれば姉妹と言っても過言ではない身長差であった。

 

 

「お兄様と戦った時、なぜ負けたのかわかりますか?」

「フム。……八幡には必要以上の呪力が集まっていた。結局のところ、妾の敗因は互いの呪力の圧倒的な差だ」

「しかし、お兄様はカンピオーネになったばかりです。神というモノは本質的に膨大な呪力を蓄えているとお聞きしますが、お兄様に突然備わった其れが十全に扱えられる量だと、本当にお思いで?」

「無理だろう、普通は」

 

 

 即答する。

 

 

「呪力とは結局のところ“信仰心”だ。それも己のではなく、神であるならばそれに向けられる、だ。魔術の呪力の本質は己自身であるが、それを蓄えるための大凡はやはり人々の願い祈り呪う(まじなう)心持ちだ。それらが大地や海、空(キャ)の気を動かして現象足り得る根源と成す。あなたたちはそれを、想子(サイオン)と呼ぶのであったか?」

 

 

 なんだか聞いているうちに話が大層大仰な方向へとシフトしていることに、脂汗が止まらない甘粕。

 これは本当に聞いてしまっても良かった問題なのであろうか、と心持ち胃が痛くなってきた気がした。

 

 

「八幡のアレは、扱い方を“覚え直して”いるようにも思えた。まるで子供のころに描いた絵の謎を、自分で解き明かし直しているような。本人にはそんな気は無いようにも見えたが」

「元々、魔法を扱うだけの才能は有りましたから。単純にサイオンの保有量が削れてしまった所為なのですが、それさえなければお兄様は司波家の頭首候補として相応の教育を受けていたと思われますよ? 引き戻されたのはお父様のくだらない思惑の結果ですわ」

 

 

 ああ、この人そんな思惑をぶち壊してしまいたいのか。

 そんな感情は読み取れたのだが、それに他人(甘粕)を巻き込まないでほしい。

 彼は今、心底鎮痛にそう思う。

 

 

「あと、八幡が膨大な呪力を引き寄せられたのは『赤竜』の権能に関わるところが大きい。アレは神の敵だ、それも今もっとも栄えていると言っても過言ではない、聖書の神の。

 対峙し得る敵ということは、相応の立場と言うわけでもある。それこそ、主神と同等の“呪力”を、知らずその身に集めても可笑しくないであろうな」

 

「って、それが絶対的な理由じゃないですか!?」

 

 

 今までの説明要らなかったじゃないですかやだー! と甘粕は大仰に咽び泣いた。

 聞かなくってもいいことを説明と偽称して聞かされてしまい、すっごく気まずい面持ち。

 下手にパイプを繋げようとするんじゃなかった、と数分前の己をタコ殴りにしてやりたい衝動に駆られる。

 が、

 

 

「あ、あのー、今の話は聞かなかったことに……」

「なるとお思いで?」

「ですよねー……」

 

 

 味方か、手駒か、ともあれ数を増やしたかったのは深雪も一緒であったのである。

 下手な泥沼に引きずり込まれたことにようやく気付いてしまった甘粕は、せめて旅立った魔王様が無事に今回の事件をお治めしてくださいますように、と神に祈りを捧げた。

 祈る力が手助けになる、と教えられたので、とりあえず聖書の主に。

 

 

 





~赤竜の鉤爪
 フェアリー●イル的なドラゴンスレイヤー
 ぶっちゃけネタ的にやってみたが、正直うすら寒さばかりが悪目立つ

~セッシー・シャルル・黒ウサギ
 3人は同期
 IS初搭乗時期の違いによりラウラのみがロリータになった設定

~飛行術(ドラゴン的)
 空も飛べる、って第一話でぶっちゃけていたよね。八幡
 ちなみに竜化した手足に羽根付きなので一見するとドラゴニュート(竜人)
 飛んでいる原理は呪力(適当)

~ヴォバン
 口調と一人称なんだっけ
 Wikiを頼りつつえっちらおっちら今回書いたけど、下手したら本戦をキンクリしてラブコメに移行しそうなくらいに未把握
 個人的にはまるっと省いてもいいんじゃないかってくらい何気にどうでもいい

~呪力=信仰心=想子
 原作設定(劣等生)。バカの一つ覚えみたいなうろ覚え知識で読み齧った一文を捉えてみると多分こんな感じかと思われる
 霊子という単語は残念ながら未使用なご様子。世界的にBLEACHが存在するから、論文とかにその単語が乗っていたら読み手が大概ポカンとすること請け負いな世界線ですのでー
 カンピでそれが明確に語られていたんだとしたらスマン。全ては無駄に説明しようとした俺が悪いんだ

~聖書のry
 三大宗教の一角を担う程度の信仰心を(敵対者として)一手に集中! 多分これでアテナにも勝てる呪力が備わったかと思われる
 怒られたら俺は全力で逃げるけど、ハイスクールDDが普通に書店に並んでいるんだし問題ないと思う

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。