魔法科高校の劣等生に転生してしまった男の物語   作:ラルド1572684

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お久しぶりでございます!
作者でございまーす!

やっと更新出来ました!
こんなに遅くなったのも全部会社のせいだ……。
お盆休み?
そんなもんねぇよ!
全部出勤だったよ!?
何が悲しくて連休中も会社に行かないといけないんだよ!?
本当にいつになったら代わりの休みをくれるんだ!
第一、日本には働き方改革っていうものが……


悠仁「あ〜。この作者、働きすぎで少々壊れておりまして…。会社の不満なら程度なら20,000字ゆうに超えちゃうんで勝手に始めます。どうぞ!」





九校戦編Ⅺ

 

三高宿舎

 

栞は“スピード・シューティング”が終わった後、すぐに部屋に引きこもってしまっていた。

愛梨はそんな栞をなんとかしようと部屋の前で必死に話しかけていた。

 

「栞、明日の“アイス・ピラーズ・ブレイク”。このままの貴方は出場はさせられない。今まで練習してきたチームメイトに泥を塗るような物だもの。だから代役を立てることになったわ」

 

「……そう」

 

「ーーッ!」

 

栞のどうでもいいと言わんばかりの発言に愛梨は怒りが込み上げる。

だが、なんとか堪えて、引き続き話しかける。

 

これが最後よ!…もし貴方が出場できるというなら、明日の朝六時までに作戦テントに来なさい!」

 

「その必要はない。わたしはもうダメだもの。」

 

「……失望したわ。勝手になさい!」

 

そう言い捨て、愛梨はその場を去った。

どことなく悲しそうに…。

 

 

《栞視点》

 

『……失望したわ。勝手になさい!』

 

これでいい。

愛梨が求めていたのは一色の家に相応しい才能のある仲間。

ゴメン、愛梨。

もう戦えない。

これはわたしの心の問題。

負けてしまったわたしでは、貴方に相応しくない。

結局、わたしはあの親達と一緒。

 

…ppppp

 

電話…。

非通知…。

……誰だろう?

 

普段の栞なら出ない筈の非通知の電話。

だが、その電話に栞は応じた。

 

『おぉ…通じた。もしもし〜』

 

「…あなたはもしかして、黒岩くん?」

 

『正解!黒岩くんこと黒岩悠仁くんです♪』

 

「…どうしてこの番号を?」

 

『沓子が教えてくれた。何か『栞に電話して欲しいのじゃ』って言われたから』

 

「…そう」

 

沓子…。

いや、もうわたしには関係ない。

あの子はわたしと違って才能があるもの。

わたしとは大違いd…

 

『んで、どうしたんだ?何か話したい事があるんじゃないか?』

 

「えっ?」

 

彼に急にそんな事を言われ、動揺してしまった。

というか、貴方が電話をかけてきたのだけど…。

 

「急に何?」

 

『いや、普段の栞なら非通知の電話なんぞ出ないだろ?でも、俺の電話に出たってことは誰でもいいから何かしら話したいって事だろ?』

 

違う。

貴方に話した所で何の意味もない。

 

「勝手な事言わないで。貴方に話す事なんて何も無い」

 

『そうゆうのいいから…。話してしまえよ。栞が溜め込んでいた物を。誰なんて関係ない、話すと案外楽になるもんだよ。これ、俺の実体験だから!』

 

「でも…」

 

『俺に話した所で意味はないよ。でも、別に意味なんてもんは要らないんだよ。栞自身が楽になりたいと思えば、話せばいい』

 

わたしが楽になりたいと思えば……

 

「……わたしは元々数字落ち(エクストラ・ナンバーズ)の家系に生まれた。数字落ちした事で荒んだ家、喧嘩が絶えない両親。何もかもが嫌になって捨ててしまいたいと思ったあの時、愛梨がわたしを光の中に導いた。この時、わたしは決めた。もう二度とあんな両親の所へ戻らない。愛梨の為に勝利に向かって進んでいくと決めた。けど…」

 

『けど?』

 

「わたしは負けてしまった。北山選手よりも才能が劣っていた。愛梨が求めているのは、一色家に相応しい才能のある仲間。わたしは愛梨に相応しくなかった!結局、わたしはあの両親と同じ。せっかくあの両親の縁が切れたのに!十七夜家の養子にもなれた!……けど、もうダメだわ。先程も愛梨に失望されてしまった。もう何の為に…ッ!」

 

少しだけ話すつもりだった。

けど、今はどんどんと言葉が溢れてくる。

涙も止まらない…

 

『うん。栞がこれから何の為に生きるのかは知らない。というか自分で考えろ。逃げんな』

 

そんな言葉に出ていた涙も引っ込んでしまった。

思わず…

 

「…辛辣ね」

 

『そりゃそうだろ。自分の人生を他人を委ねてどうするんだって話だぞ。どんなにつらくても、分からなくても、栞自身が決めないといけない事だからな。…それよりも一つ。栞、間違っている事があるぞ』

 

間違い?

…何かしら?

 

『栞が雫に負けようが負けまいが、栞自身が”あの両親“って奴と同じことにはならない』

 

「貴方に何が分かるの!!」

 

貴方に分かる訳が無い!

貴方みたいな一般の家庭に生まれたような人に!

親に、家に恵まれなかったわたしの気持ちなんて!

 

『栞の気持ち、全部は分からないよ?でも、親に恵まれなかった。その気持ちは分かるよ』

 

「嘘よ!」

 

『だって、俺が魔法科高校に入学した理由は親から逃げる為だったからな』

 

「……え?」

 

『…俺は非魔法師の家庭に生まれた子だ。親戚含め、魔法が使えない。突然変異みたいな感じで俺だけが魔法の才能があった。』

 

「……」

 

『それだけなら良かったんだが俺の家族は親戚含め、人間主義の人達だったんだよ』

 

「人間主義…」

 

確か、魔法師排斥を掲げる人達だったわね。

という事は…

 

『勘が良い栞ならもう分かると思うが、俺の眼の所為で魔法の才能がある事がバレてな…。虐待とか色々されてたんだよ』

 

…知らなかった。

貴方にそんな過去があるなんて…

 

『だからこそ、たかが血が繋がっているというだけで“両親と同じ”と言うのは認めたくない。俺、両親なんて嫌いだし、何ならどっかでくたばれとも思っている。……だからさあ、栞。そんな悲しい事言わないでくれ。お前は俺と違って親を捨てる事もできたし、縁も切れたんだろ?』

 

「でも、わたしは…」

 

『“でも”も“だって”も知らん!俺が言いたい事は………』

 

「言いたいことは?」

 

『親とか関係ない。栞、お前だけの為に生きてみろ。後悔すんな!』

 

「私だけの為に…。でも!」

 

『栞だって、愛梨に出会う前はひたすら自分の為に努力してきたんでしょ?それがどんな理由だとしても…。その結果、栞は愛梨達と出会えたんでしょ?これからも一緒だ。自分の為に生きていけば、それが愛梨の為になると思うぞ。……多分

 

多分って……。

聞こえているのだけど。

 

『ちょっと喋り過ぎたか?まぁいいや…。余計な事考えず、栞が一番手放したくない物を考えて見るんだな。最後にもう一度言うが、後悔すんなよ?じゃあ、おやすみ〜』

 

「え!?ちょっとm…」

 

ブチ!

 

急に切ったわね…。

会ったら文句を言ってやるわ。

それにしても、自分の為に……か。

 

 

こうして、九校戦の四日目は終わった。

 

 


 

 

九校戦五日目

今日は“アイス・ピラーズ・ブレイク”の予選と“クラウド・ボール”の予選〜決勝の予定だ。

 

そう!

ついに俺の出番がやってきた。

やってきたんだが…。

 

「応援がいないな…」

 

予選開始前、俺はもうコートの上に立ち試合の合図を待っていた。

そして、周りの観客席を見ると思わず呟いてしまった。

 

一高の生徒がいない訳ではない。

だが、基本的に俺はは殆どの一高生から嫌われている。

特に同級生の男子から…。

今、観客席にいる一高生は俺以外の生徒を応援している。

それに“アイス・ピラーズ・ブレイク”で深雪や雫が参戦する為、殆どの生徒がそちらに応援に行ってしまっている。

二科生で優勝候補にも上がっていない俺と美少女で優勝候補で華があり、美少女(大事な事なのでもう一回)の深雪と雫。

どちらの応援に行くかは自明の理である。

俺だって見に行くなら野郎よりも美少女の試合見に行くもんな…。

 

「まぁ、決勝まで残れば流石に見にくるだろ……くるよね?

 

そんな事言っていると…

 

『まもなく男子“クラウド・ボール予選”を開始します。観客の皆様はお静かにお願いします』

 

アナウンスが鳴り出した。

 

「よし!じゃあ、やりますか」

 

気合いを入れると試合開始のブザーが鳴るのであった。

 


 

 

ボールが相手コートに排出された。

相手選手はボールがコートに落ちる前にボールを打ち込む。

そしてボールを打ち込んだ瞬間、移動魔法を発動。

ボールは不規則に揺れ動きながら悠仁のコートに向かっていくが…。

 

「エリア設定完了。術式スタート」

 

悠仁は収束系統魔法“手塚ゾーン”を発動。

ボールは地面に落ちず、悠仁に向かって吸い込まれる。

そして…

 

「スネイク!!」

 

悠仁がそう言いながらボールを打ち込む。

ボールは途中で急激に斜めに曲がりながら落ち込み、相手コートに向かっていく。

相手選手はボールの急激な変化に対応できず、ボールはコートに落ちた。

悠仁に一点が加算される。

 

この競技はボールを相手コートに落とした回数を競技。

ボールは低反発ボールを使用。

コートの周りも覆っており、基本ボールが目まぐるしく動き回る競技だ。

 

だが、悠仁の打ち込んだボールは()()()()()()

相手選手はもちろん、試合を見てる人全てが一瞬、理解不能に陥る。

相手選手が混乱している内に次のボールが悠仁側に排出された。

悠仁は隙だらけの相手にボールを叩き込む。

ボールが相手コートに落ちる。

そのボールも()()()()()()

そこでようやく悠仁が魔法を発動している事に相手選手は気付いた。

相手選手もボールを再び持ち上げようと魔法を発動するが、ボールは浮き上がらない。

以前、コートに落ちたままだ。

 

相手選手はボールを持ち上げようと必死になっているうちにボールがどんどん排出される。

ボールが増えようと関係ない。

ボールがコートに落ちる度、ボールは弾まない。

ずっと、コートに()()()()()

 

 9対0

 

悠仁は第一セットを先取するとその調子で第二、第三セットも取っていく。

 

第一セット 9対0

第二セット 9対0

第三セット 9対0

 

”クラウド・ボール“では、普通見る事のない点差で悠仁は予選の初戦を勝ち進んだ。

 

 


 

 

俺はその後、何やかんやで予選を通過した。

本戦は午後からの予定になっているので報告も兼ねて本部に戻っていた。

 

「だから、本線からは俺がお前の調整をするって言っているだろ!」

 

「いや、別にそんな事しなくてもいいのですが…。何故急に?」

 

本部に戻るや否や何故か俺のエンジニアの担当をすると言う先輩が現れた。

急に言われても困るし、俺は他の魔法師の人と違って、魔法の発動方法が少し特殊だ。

逆に面倒臭い事になりそうなので丁重に断ったのだが…。

逆ギレされた。

何故だ?

 

 

一方その頃、達也、深雪、雫も“アイス・ピラーズ・ブレイク”の予選を終えた為、報告の為に本部に戻っていた。

ちなみにもう一人の出場者であったエイミィは寝不足の為、今は自室で寝ている。

達也達は本部に戻ると言い争っている悠仁と先輩を目撃。

状況が分からない為、本部にいた真由美に話を聞く。

 

「会長、お疲れ様です。これは一体?」

 

「あら、達也くん、深雪さん、北山さん、お疲れ様。本戦出場おめでとう」

 

「ありがとうございます、七草会長。…何故、悠仁さんは先輩と言い争いをしているのでしょうか?」

 

「達也くん、深雪さん。それはね、模部くんが悠仁くんのエンジニアの担当するって言っているのだけれど悠仁くんがそれを断っているの」

 

真由美のこの答えに雫が口を挿む。

 

「男子“クラウド・ボール”の担当だとしても、今まで練習どころか本番でも悠仁の調整とかしてない。悠仁が本戦に出場したから急に担当になろうとするとか図々しすぎる……と思います」

 

「北山さんの言う通り。いくら本戦出場者の実績が欲しいからといってこれはあんまりだわ。でも、十文字くんがそろそろ……」

 

真由美がそう言うと、言い争っていた二人に克人が話を割って入り込んだ。

 

「模部、いい加減しろ。確かにお前は一年男子の“クラウド・ボール”担当者だが、今まで黒岩の調整を一回もしていない事は分かっている。そんな者に黒岩の本戦の担当を任せる訳にはいかない」

 

「うっ…」

 

克人の圧にたじろぐ模部。

少して、悠仁を睨みつけるとその場を退散していった。

 

「十文字会頭、ありがとうございます」

 

「当然の事だ。それと黒岩、決勝もその調子で頼む」

 

そう言うと克人も一高の本部から離れていった。

 

 

 

「災難だったな」

 

「ん?」

 

十文字先輩にお礼を言った直後、背後から話しかけられた。

振り向くと達也達がいた。

 

「何だ、達也か…。あ…そういえば、深雪、雫。“アイス・ピラーズ・ブレイク”本戦出場おめでとう」

 

「「ありがとう(ございます)」」

 

「んで、災難とは?」

 

深雪達の本戦出場を祝った後、先ほどの達也の発言を問いかけた。

 

「さっき、エンジニアの先輩と言い争ってただろ?」

 

「あれ、見てたんだ…。何で俺の調整した事ないのに急に担当になりたかったんだろう?」

 

「悠仁…。本当に気付いてない?」

 

「うん」

 

そう言うと雫が、模部先輩が俺の担当になりたがる訳を聞いた。

 

「なるほど〜。実績稼ぎか…」

 

「悠仁、むかつかないの?」

 

「いや、別に?正直、俺の調整しようとしなければ、名前ぐらい貸すのにとは思った。…そんな事より達也達はこの後、どうするんだ?」

 

俺の答えに雫が不機嫌になっていたので慌てて話を変える。

 

「どうするってお前の試合を見る予定だが?」

 

「そう?なら、応援頼んだよ」

 

試合の控え室に向かう為、この場を去る。

というか、さっきまでここで先輩と言い争っていたから視線が痛い…。

俺何にも悪くないのに…。

 


 

何だかんだで時間が進み、九校戦5日目も終盤に差し掛かる。

女子“クラウド・ボール”は全ての試合が終わり結果が決まった。

 

一位 一色 愛梨

二位 里美 スバル

三位 三高 A子

 

ちなみに三位は三高の選手だったが名前は覚えていない。

A子で十分だろう…。

 

男子は悠仁が初戦を勝つとパワプロのごとく、決勝まで快進撃を遂げた。

対戦相手は三高の選手だそうだ。

名前?

三高 B男で十分だ。

悠仁とB男はコートに立ち、試合開始の合図を待っていた。

 

そんな様子を達也達は観客席から見ていた。

深雪が達也に話しかける。

 

「お兄様、悠仁さんが決勝まで勝ち進みましたね。決勝戦もあの戦い方をするのでしょうか?」

 

あの戦い方というのは、ボールを相手コートに叩きつけた後、ボールが弾まないように加重系統の魔法でボールを押し続ける戦法の事だ。

 

「おそらくな…」

 

そこでエリカが口を挿む。

 

「そういえばなんだけど、どうして悠仁は相手の選手の魔法にも負けず、ボールに魔法をかけ続けられているの?普通に考えれば、相手選手よりも魔法の『干渉力』が強いって事だよね?そのぐらい『干渉力』が強いのなら悠仁は一科生にいてもおかしくないと思うのだけど…」

 

「一応悠仁が言うには…」

 

悠仁はボール()()に魔法をかけていない。

ボールにではなく、ボールを含む周りの()()に魔法を発動させている。

実際、これまでの相手選手もボールに魔法を発動する事は成功している。

にも関わらず、ボールが持ち上がらないのは、ボールが持ち上がる力よりもボールが落ちる力が強いからである。

用は、悠仁の魔法の方が威力が上の為、ボールが落ち続けているのだ。

ボールそのものに魔法を発動すると『干渉力』が低い悠仁は相手に魔法を上書きされてしまう。

悠仁は魔法の威力勝負にもっていく為にボールではなく、空間に魔法を発動しているのだ。

 

「……という事らしい。実際、会長と練習試合してた時は、ボールを強引に持ち上げられて悠仁は負けていたからな」

 

「……という事は生徒会長レベルじゃないと相手にならないのね…。なら、今までの悠仁の結果も納得できるわ」

 

達也の説明に納得したエリカは今までの悠仁の結果を思い返しながらそう呟いた。

悠仁はここまでの試合全て、9対0でストレート勝ちしてきている。

そんな悠仁を見ようと観客も相手選手ではなく、悠仁を注目していた。

 

試合開始の合図が鳴った。

ボールは悠仁側のコートに排出された。

 

「スネイク!」

 

悠仁が打ち上げるボールは、相手コートで急激に斜めに落ちる。

だが、B男もボールを正確に見極め、ボールの落下地点に入り込みボールを打ち返す。

 

「達也くん、悠仁の試合を見てずっと思っていたんだけど、悠仁のアレって魔法使ってないよね?」

 

試合の様子を見ていたエリカが達也に解説を求める。

 

「ああ、そうだ。打つ時も魔法を発動させたら、悠仁が想子(サイオン)切れになってしまうからな…」

 

達也のこの発言に達也、エリカを除く全員が驚く。

そして、今度はレオが質問する。

 

「だけどよー。流石に魔法を使わないとあんな軌道のボールになるか?」

 

レオの質問は尤もだろう。

他の全員も同じ事思っていた。

 

「分からん」

 

「「「「「ハァ?」」」」」

 

「あいつに原理は聞いたがよく分からん。一応アイツが言うには…」

 

 

説明しよう!『スネイク』とは!

テニヌ界の青学の『マムシ』こと海● 薫が得意としているショット。

鋭い変化を見せるバギーホイップショットの事である。

身体を固定させた状態でボールを引きつけて上方にこすりつけながら打ち上げるのがコツだぞ!

 

「……だそうだ」

 

「達也さん、そもそも『テニヌ』何?」

 

今度は雫が達也に質問する。

 

「アイツに聞いたが『テニヌはテニヌだろ?テニスと一緒にしてもらっては困る』とか意味分からん事言っていた」

 

「……意味不明」

 

「全くだ」

 

そんな話をしていると悠仁が仕掛ける。

今まで、悠仁は『スネイク』、普通の強打を使い分けていた。

しかし、この決勝では全てのボールが拾われてしまう為、悠仁は別の必殺ショットを使う。

テイクバックの姿勢からボールを打ち込む。

悠仁が打ち込んだボールはB男の目の前でフォークボールのように真下に落ちた。

ボールはB男のコートに落ち、悠仁は一点を先制した。

 

「達也さん今のは?」

 

ほのかが今の悠仁のショットについて解説を求めた。

 

「あれは、『かまいたち』と言うらしい」

 

 

説明しようパート2!かまいたちとは!

テニヌ界の立海の『達人』(マスター)こと柳 ●二が使用する必殺ショット。

テイクバックの姿勢から両手を水平に上げながらボールを打つことにより、打ったボールにもの凄い回転かける高速スライスショットだ。

 

「……だそうだ」

 

「ごめんなさい。意味が分かりません」

 

「同感だ。先に言っておくが悠仁の必殺ショットは他にもある。理解を諦めるのが賢明だ」

 

達也達に不本意な事を言われているとは知らず、悠仁は『スネイク』、『かまいたち』を使い分け、試合を進める。

 

9対0

 

1セット目を悠仁が先取した。

悠仁は休憩中にこんな事思っていた。

 

(ようやく、骨のある奴出てきたな…。練習の成果がやっと見せられるかもしれないな)

 

悠仁はこの一ヶ月間、“クラウド・ボール”の練習としてずっとテニヌの必殺ショットの再現に勤しんでいた。

悠仁が再現できた必殺ショットは四つ。

その四つ全て出せるかもと思いワクワクしていた。

 

一方、三高側は悠仁に恐怖していた。

悠仁がボールを打ち込む時に魔法を使っていないのは分かっている。

なのにボールはカーブボールやフォークボールのように急激に落ちてくる。

しかも原理は不明……。

悠仁はもう、理解不能の『化け物』として扱われていた。

 

そうとは知らず、悠仁はコートに戻る。

少しすると第二セットの試合が始まる。

 

B男は少し、戦い方を変えた。

第一セットは、自信に移動魔法をかける事によりボールがコートに落ちる前にボールを打ち込んでいた。

だが、ボールの急激な変化に対応できず、第一セットを取られてしまった。

第二セットからはボールがコートに入った瞬間にボール直接に魔法を発動し、ボールの動きを強制的に止める。

これによりボールの急激な変化を防いでいた。

 

(いいね。もう対応してきたか…。ならこれは防げるかな?)

 

悠仁はそう思い、別の必殺ショットを繰り出した。

悠仁がボールを打つとボールが複数に分裂した。

分裂するボールに照準を合わせられず、B男は悠仁に一点を取られる。

 

「……あの、達也?流石にこれは魔法を使っているよね?」

 

幹比古が悠仁の分裂する打球について、問いただす。

 

「……悠仁曰く、魔法を使っていないらしい…。嘘であってほしいが…。」

 

「………」

 

「幹比古、気持ちは分かる。一応、悠仁が言うには…」

 

説明しようパート3!『あばれ球』

ラケットのフレーム部分でボールを打ち込む事でボールがブレて、分裂しているように見えるショットだ。

あくまでも、ブレ球なだけで実際に分裂はしていない。

 

「……という事らしい」

 

「達也……」

 

「何だ幹比古?」

 

「…魔法って何だろうね」

 

「幹比古、あれは『テニヌ』だ。魔法ではない。理解しない方がいい」

 

達也がテニヌを理解してきた所で点差は4対0。

依然、悠仁が得点を重ねている。

だが、B男は“あばれ球”にも何だかんだで対応してきた。

もう執念みたいなものも感じる。

そんなB男に最後の必殺ショットを解禁する。

悠仁がボールを打ち込む。

打ち込んだボールはレーザーのようにB男のコートに向かっていく。

残り四発も悠仁は全部打ち込む。

B男は一歩も動けない。

気づいた時にはボールは全部コートに叩きつけられていた。

第二セットの最後はスローモーションカメラでしか確認できないくらいの超高速ショットで決着を決めるのであった。

 

悠仁が第二セットも取った。

にも関わらず、何故かお通夜状態の達也達。

達也は一応、今の悠仁の必殺ショットを説明しようとする。

 

「……あれはだな…」

 

達也の解説にエリカが入り込む。

 

「待って、達也くん。流石にあれは魔法を使ったの。有無は言わせないわよ」

 

「残念だがエリカ、あれも魔法は…」

 

「いや、流石に魔法でしょ!視認出来ない程のショットなんて魔法無しでどう出すの!!」

 

その言葉に達也を除く全員が頷く。

 

「一応、悠仁が言うには…」

 

説明しようパート4!『レーザービーム』

テニヌ界の立海の『紳士』(ジェントルマン)こと柳● 比呂士が使用する必殺ショットである。

このショットは名前の通り、レーザーのような速い球速でコートを打ち抜く超高速パッシング・ショットの事である。

えっ?どうやって打つのかって?

頑張って気合いで振り抜けば出来るぞ!

 

「あーもう!訳わかんない!!」

 

達也の説明にさらに困惑するエリカ。

そこに深雪が…

 

「エリカ。……これがテニヌよ」

 

「深雪!?」

 

「深雪の言う通りだエリカ。これがテニヌだ」

 

「二人共!正気に戻って!!」

 

二人を正気に戻そうと必死なエリカだったが、テニヌに洗脳された二人は元に戻る事は無かった。

 

いつの間にか第三セットも始まっていたが、第一、第二セットで想子(サイオン)を使い果たしてしまったB男は悠仁の必殺ショットに対応出来なくなってしまった。

 

9対0

 

悠仁は全ての試合、9対0のストレート勝ちで優勝を決めるのであった。

なお、この試合で『テニヌ』というか概念が“クラウド・ボール”界で浸透される大きなきっかけとなったのであった。

 

 


 

 

五日目 宿舎

夕食の時間となり、一高生達は食堂に来ていた。

この時間は、ご飯を食べるのは当然だが、それ以上に今日の試合の結果を仲間達と一緒に喜んだり、悔しがったりする時間でもある。

今晩の一年生達の様子は明暗が分かれていた。

明るいのは一年女子。

一年女子の殆どが本戦出場。

達也が担当した選手は負けなしと絶好調の状態だ。

暗いのは一年男子。

入賞ができたのが森崎くんのみ。

他の人はほぼ予選落ち。

しかも仲間外れにしていた俺が一位になるもんだからさらに暗くなっていた。

一年女子のグループの中に達也もちゃっかり入っており、現在、達也は女子達にチヤホヤされていた。

 

べ、別に羨ましいなんて思っていないんだからね!

 

心の中でツンデレながら飯を一人で食べていたらななみん先輩から声がかかった。

リンちゃん先輩も一緒のようだ。

 

「お疲れ様、悠仁くん。優勝おめでとう」

 

「ありがとうございます。ななみん先輩達からの推薦で選手になりましたからね…。このくらい、当然ですよ」

 

「あら、頼もしいわね」

 

「そういえば、今の順位ってどんな感じなんですか?」

 

その質問には隣にいたリンちゃん先輩が答えてくれた。

 

「今の所、総合順位は一位の状態ですが新人戦は三高が一位、我々は二位の状態です。黒岩くんが優勝をしたおかげで点差自体はそこまでないですね」

 

リンちゃん先輩に現在の各校の点数を見せてもらった。

そして…

 

「思ったより三高との差がないですね…。これ、もしかしなくてもこのままじゃ新人戦、負けません?」

 

「そうですね…。予想以上に三高の一年生のレベルが高いですね…。司波くんが担当した競技以外は上位三位の中に必ず三高の選手がいる事が大きいですね。」

 

「もし、女子“アイス・ピラーズ・ブレイク”と“ミラージ・バット”の二つの上位独占という条件でシュミレートしてみたらどうなりますか?」

 

「司波くんが担当する競技ですか?可能性は無くは…ありませんね。少し計算してみます。……“モノリス・コード”の結果次第ですね…」

 

「“モノリス・コード”か…。ヤバいですね。“プリンス”と“カーディナル”の二人がいるとか正直、反則じゃないですか?男子には言いづらいけど、一位はほぼほぼ三高で決まりみたいなもんですね…」

 

俺の本音にななみん先輩が注意する。

 

「こら、悠仁くん。そんな事言ってはダメよ!勝負は何があるか分からないから!」

 

「それは同感ですが、男子の様子を見ると…ね。俺と達也が活躍したから余計に空回りしてる状態ですよ?あれ、何とかしないとアイツら負け癖がついて来年以降が大変ですよ?どうするつもりなんですか?」

 

「そこについては十文字くんが喝を入れると言っていたわ」

 

「なら、大丈夫ですかね」

 

そんな事言っていると森崎君達が怒って食堂を出て行ってしまった。

 

「……今すぐにでも喝を入れないとダメそうですね」

 

「……そのようね。ちょっと十文字くんと相談してくるわ」

 

そう言うとななみん先輩達は十文字先輩の所へ向かっていった。

 

それにしても飯美味いな…。

特にこのローストビーフ。

どんな風に作ってんだろ?

ちょっと伝手を使ってレシピ教えてもらおうかな…。

 

「ねぇ、悠仁」

 

「ん?」

 

ローストビーフに舌鼓を打っていると急に声をかけられた。

振り向くとそこには雫がいた。

何か真剣な表情をしている…。

 

「明日、“アイス・ピラーズ・ブレイク”。勝ち進めば深雪と戦える。悠仁、わたし勝てると思う?」

 

「ん〜。ワンチャン可能性があるかもって感じかな…。勝率は10%ぐらいかな」

 

「そこは、『雫なら勝てるよ』って言う所だと思う」

 

「勝負事で誤魔化すのは嫌いだからな」

 

「けど、0%じゃないだけマシ。明日は絶対、勝ち進んで深雪と戦う。悠仁その時は協力して」

 

「了解、お嬢様」

 

「悠仁…その言い方は辞めて」

 

「事実じゃないか…。もう、ワガママだな〜分かりましたよお嬢様()

 

「……絶対、心の中でお嬢様って言ってるでしょ?」

 

「気の所為だ」

 

雫はジト目になりながら問い詰めるが、俺はそれを軽く受け流す。

それから、雫と少しお話ししたところで食事の時間が終わった。

その後は疲れもあってか、ベットに入るとそのまま寝てしまうのであった。

 

 





何か色々詰め込んだら長くなりました笑
今回オリキャラも登場しました。

モブ共「どうもー」

ただ、一番活躍したB男も含めてモブ共は二度と出る事が出来ません。

モブ共「ハァ!?」

フハハハハ!お前は所詮モブ。お前らなんぞ使わなくても第二、第三のモブが出てくるのだ!
C子とか模部田とかな!

……てな感じで偶に名前付きのモブ共が出現するんで見かけても生暖かい目で見てやって下さい。
これからもよろしくお願いします。

もし悠仁が九校戦の競技に出場するなら

  • やっぱりなし…
  • スピード・シューティング
  • クラウド・ボール
  • バトル・ボード
  • アイス・ピラーズ・ブレイク
  • モノリス・コード
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