魔法科高校の劣等生に転生してしまった男の物語   作:ラルド1572684

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作者「悠仁よ、わたしが帰ってきたーー!!」
悠仁「約三ヶ月ぶりか?アンタ何やってたの?」
作者「ふっ、仕事さ。大体うちの会社おかしいんd…」
悠仁「ダメだ。仕事の愚痴を言わせたら二万字超えるぞ。さっさと始めるぞ」
作者「おい、まだ会社の愚痴…」
悠仁「では、どうぞ!!」




九校戦編ⅩⅣ

 

 

九校戦八日目。

九校戦の新人戦も今日で最後だ。

本来なら“モノリス・コード”の本戦の予定だった。

しかし、昨日の悪質な事故により一高の予選リーグの続きから再開する事を特例で認められた。

そして、俺達は今、フィールドに登場いる。

 

「……なんか目立ってる気がするんだけど」

 

そう呟く幹比古。

そんな言葉を達也がバッサリと切り捨てる。

 

「選手が注目されるのは当然の事だと思うぞ」

 

「いや、そう言う事じゃなくて…」

 

その会話に俺も参戦する。

 

「やっぱり、達也のせいじゃないか?担当した競技の上位をほぼ独占したエンジニアが出場するんだからな…」

 

「いや、どう考えても()()のせいだよね?」

 

幹比古の言う“それ”とは俺が持っている()()()()()()のことだろう。

“モノリス・コード”は直接的な攻撃を禁止している。

つまりこの木刀で相手を叩きつける事はできないのだ。

現に大会委員からも四、五回ぐらい木刀についての確認をされた。

 

「でも、俺の魔法にこいつが必要だしな〜。……仕方ない、気にしないようにしようぜ!」

 

「「………はぁ〜」」

 

何故そんな反応をする二人共?

おかしな事一つも言っていないと思うのだが?

何か微妙な空気になったまま試合が始まる。

 


 

最初の対戦相手は八高。

対戦ステージは森林ステージである。

八高は特に野外実習に力を入れている学校であり、下馬評では八高が勝つのではないかと予想されているらしい。

俺の役割はディフェンス。

モノリスのコードを読み取ろうとする敵から守る役割なのだが…

 

「あー、暇だ」

 

そう!

暇なのである。

暇なので魔力探知で戦況を確認してみると達也が八高モノリスの付近で暴れていた。

 

「あ、モノリスを解除した」

 

達也は八高のディフェンダーの一人を戦闘不能にした後、直ぐにモノリスを解除するとその場から撤退する。

 

「あー、流石の達也でも短時間でモノリスのコードを打ち込むのは出来ないか〜」

 

モノリスの勝利条件は二つ。

相手選手全員を戦闘不能にさせるかモノリスに隠された五百十二文字のコードを打ち込み、審判に送信する事だ。

 

「何か、こう、原作を知っている身からすると感慨深いものがあるな…」

 

そうこう言っていると自陣のモノリス付近にようやく相手選手がやってきた。

魔力探知で予め相手の選手の位置は把握していた為、準備自体はもう済んでいる。

 

「よし!じゃあ、やりますか」

 

(只今、悠仁の脳内ではポケットなモンスターのバトルBGMが流れております)

 

悠仁は隠密魔法を使用した。

………

野生の八高選手が現れた。

隠密魔法の効果で目の前の悠仁に気付かない!

悠仁の攻撃!!

八高選手のHPは0になった。

八高選手はめのまえがまっくらになった。

 

所持金…は無かったから代わりにヘルメットを奪っt…獲得した。

八高選手は失格になった。

 

「ふっ…つまらぬものを斬っt……叩いてしまった」

 

……うん。

何か締まらないな〜。

まぁ、いいか。

 

とりあえず、気絶させた八高選手は安全な場所に転がしておいた。

その後は達也と幹比古によって残りの選手も倒され、一高の勝利が決まった。

 

 

続いて二戦目の対戦相手は二高。

対戦ステージは事故が起きてしまった市街地エリアだ。

 

「今回は“とりあえず、天井には気をつけて!”だな…」

 

「悠仁…。少し不謹慎じゃないか?」

 

「そうだよ。達也の言う通りだと思う」

 

「えっ?備えあれば憂なしって言わない?」

 

そんな感じで話していたら試合開始のブザーが鳴る。

ブザーが鳴ると否や…

 

「じゃ、二人共気をつけてね〜」

 

「ああ」

 

「そっちもね」

 

気持ちを切り替えてそれぞれ動き出す。

結果は一高の勝利。

達也はモノリスを解除するとひたすら相手の魔法から逃げ回って相手ディフェンダーを引き付ける。

その隙に幹比古が精霊魔法“視覚同調”*1を駆使して遠くから相手モノリスのコードを確認。

そのままコードを打ち込んで勝利を決めた。

 

…俺?

俺は出会い頭に魔法をぶつけて相手を気絶させただけだよ。

相手を倒した後は試合が終わるまでボーっとしておりました。

だって暇なんだもん…

 

そんな事はさておいて試合終了後、俺だけ何故かななみん先輩に呼び出しされた。

 

「失礼しまーす」

 

中に入るとななみん先輩と十文字先輩がいた。

 

「ご苦労様、悠仁くん。お疲れの所悪いんだけど話があるの…」

 

「ええ、別に構わないですよ」

 

「ありがとう。……実は、大会委員側から通達が来たの…」

 

「通達?」

 

「ええ、悠仁くんは今、ルール違反が疑われているの…」

 

「ルール違反?」

 

なななみん先輩にそう言われたが全く身に覚えがない…。

冤罪だ。

 

「七草、ここからは俺が話そう」

 

言いづらそうにしていたななみん先輩に代わって十文字先輩が詳細を話してくれる。

 

「黒岩、お前は精神干渉系の魔法の使用が疑われている。」

 

精神干渉系魔法。

名前の通り、人間の精神に干渉する魔法だ。

使い方によっては洗脳、廃人化が容易にできてしまう為、“モノリス・コード”云々、法律的に許可なく使用するのは認められていないのだが…。

 

「誰が?」

 

「お前だ」

 

「……何の魔法でしたっけ?」

 

「精神干渉系魔法だ」

 

「実は手の込んだドッキリっt…」

 

「ではない」

 

「デスヨネー」

 

うん、全く身に覚えがない。

一体なぜそんなことになったんだ?

考え込んでいたら…

 

「試合中、黒岩が相手選手に近づくとその選手は気絶してしまった。魔法を発動した形跡が無いにも関わらずだ。だから、相手の精神に直接、魔法を発動しているのではないか?ということになっている」

 

「節穴ですかね?そいつら…」

 

「とりあえず俺達と一緒に大会本部に来てくれるか?」

 

「分かりました」

 

こうして、俺だけ十文字先輩達と一緒に大会本部に行く羽目になった。

 

 


 

 

本部の中に入ると大会委員の他にニ高と八高の生徒がいた。

というかコイツら、俺が気絶させた奴らだな…。

目が合うといきなり…

 

「オイ、よくこの場に出てこれたなこの卑怯者!」

「恥ずかしくないのか」

 

いきなり罵倒かよ。

 

「うるせえ、負け犬共。キャンキャン喚くな。近所迷惑だ」

 

「「なっ!?」」

 

何かさらに言いたげな奴らは無視するとしてとりあえず大会委員に話を聞きたい。

 

「何故、私は違反行為をしたと言う話になっているのでしょうか?」

 

その質問に大会委員は…

 

「黒岩選手の魔法を受けた方から意見をまとめてそう判断しました」

 

「私の意見も聞かず?」

 

「異議があるなら今どうぞ?」

 

何だ?

『どうせ違反行為してるんだろ?』って顔は…

イライラする。

 

「では、具体的にどの場面で違反したのでしょうか?動画付きで私でも分かる様に説明をお願いします」

 

「……何故そんな事を?」

 

「……貴方達はそこの負け犬(二高と八高)の言い分を聞いただけですよね?」

 

「そうですが?」

 

『そうですが?』じゃねぇよ…。

ステイ、ステイ、悠仁。

僕はそう簡単には怒らないぞ!

“冷静に!”だ。

 

「つまり“私が精神干渉系の魔法を使用した”という確固たる証拠は無いですよね?」

 

「だから証言g…」

 

「正直、私がどの場面で違反行動したのか、私自身分からないのです。だから証言だけじゃなくて私が違反行動したシーンを見せてくださいと言っているんです。動画が無いとは言わせませんよ?」

 

「………」

 

「……ダンマリですか?この体たらくでよく大会委員が務まりますね。情けないとは思わないのですか?」

 

「黒岩選手、流石に言い過ぎではありませんか?」

 

何かおかしい事言ったか?

俺は証拠を出せって言っているだけなのに…。

何故その返答になる。

ふざけているのか?

 

「私は証拠を出せと言った。難しい事言いましたか?別にその証拠が間違えていてもいいのです。その誤解を解きに来たんですから」

 

「……」

 

「これでもまだ何も言わないのか?ふざけているのか?」

 

「……」

 

何も言わねえな、コイツ。

……呆れた。

もういいわ。

 

「……ハァー、なら私がルール違反をした証拠が無い。つまり、一高の失格は取り消しということでよろしいですね?」

 

「いや、それは…」

 

後から、ななみん先輩から聞いたのだがこの時に…

俺から堪忍袋が切れた音が確かに聞こえたそうだ。

 

「違反した証拠もない。何も言えない。けど、失格の取り消しは認めない…」

 

魔力を込めながら淡々と状況を確認する。

そして目の前の大会委員の胸ぐら掴んで……

 

「ふざけてるんじゃねえぞ!アンタ、人をおちょくるのもいい加減にしろよ!?それとも、あれか……あの負け犬共から賄賂でも受け取っているのか?ああぁん?」

 

突然、話題に挙げられた負け犬共。

その負け犬共は顔を真っ青にしながら必死に首を横に振っていた。

もちろん目の前の大会委員の男は何も言わない。

いや、言えないのか?

まぁ、でも…

 

「まだダンマリか。もういいわ、責任者に代われ。邪魔だよ」

 

このままやっていても時間の無駄。

とりあえず目の前の男は地面に叩きつけておく。

 

「ぐわ!」

 

「責任者出てこい!」

 

誰一人何も言えない中、外から誰かが入ってきた。

 

「一体どういう状況だね」

 

振り向くと爺さん。

その後ろにも大会委員がオロオロしながらいた。

というかこの爺さん誰だっけ?

でもまぁ、とりあえず状況を説明しておくか。

偉そうだし…。

 

「俺が何故か反則扱いされたんでその理解と証拠を聞いてるんですけどね。何にも言えないんですよコイツら。爺さんがここの責任者です?」

 

「ちょっt…」

「黒いw…」

 

何故かななみん先輩と十文字先輩がもの凄く慌ててる。

凄い人なのか?

まぁいいか。

正義は我にあり!

 

「ホッホッホ。『爺さん』か。久しぶりにその扱いをされたのぅ。まぁ、よかろう。私も彼の試合を見たが反則は行っていないと思うのだがそこのところどうなのだろうか」

 

愉快そうに笑った後、偉そうな爺さんは後ろの大会委員に問いかけた。

 

「いえ、あの〜、黒岩選手が精神干渉系の魔法を使用したという報告を受けまして…」

 

「ふむ、それは何処でだね?」

 

「いえ、それは、あの〜」

 

何か大会委員の人、滝のように汗をかいている。

俺からすれば、とても気分が良い。

ざまぁみろ!ってやつだな。

 

結局のところ大会委員は証拠を出せなかった。

当たり前だ。

精神干渉系の魔法なんて使えないんだから。

 

「黒岩悠仁くん、申し訳なかった」

 

偉そうな爺さんが謝ってきた。

 

「いえ、爺さんのおかげでどうにかなりましたし…」

 

「今後、このような事が起こらないよう大会委員には言い付けておくよ」

 

「ありがとうございます」

 

「それと個人的にだが、君に話を聞きかせたもらいたい」

 

「“モノリス・コード”が終わった後なら…」

 

「では、追って使いを出すよ」

 

そう言うと偉そうな爺さんは去っていった。

後から聞いてみたらその爺さんが魔法師界で一番偉いと言っても過言じゃ無い“九島烈(くどうれつ)”だと知った。

ちなみにななみん先輩達から口の利き方についてもの凄く怒られた。

……以後気を付けます。

 

 


 

 

一方その頃、達也と幹比古は深雪やエリカ達と合流していた。

話の話題はこの場にいない悠仁についてだ。

 

「そういえばお兄様、悠仁さんはいないのですか?」

 

「ああ、七草生徒会長と十文字会頭に呼び出されていた」

 

「何故なのでしょうか?」

 

すると周りの人達からある話声が聞こえる。

 

「聞いた?一高が反則したって話」

「聞いた聞いた!何でもあの黒岩って子が反則したんでしょ?」

 

「「………これはどういうこと(なんだ)?」」

 

周りの人達の話を聞いてあからさまに機嫌が悪くなるエリカとレオ。

 

「落ち着いて二人共」

「吉田くんの言う通り落ち着いて」

 

そんな二人を宥める幹比古と美月。

そんな時、達也のデバイスに着信が入る。

 

「お兄様、鳴りましたよ?」

 

「ああ。……悠仁からのようだな」

 

その一言で全員が達也に注目する。

肝心の内容は…

 

『直談判してきまーす!』

 

その一文と何故かピースサインした自撮り写真を送っていた。

なお悠仁の隣には何故かななみん先輩もノリノリで写真に写っている。

 

「…………」

 

達也は何も言わずメールを全員に見せる

 

「……これはどういう状況?」

 

意味不明な写真を見て何も言えない中、雫だけはそう言葉を漏らした。

なお、雫の問いかけには誰も答えられる者はいなかった。

 

気を取り直して、今度は悠仁の魔法についての話になった。

 

「お兄様、悠仁さんの魔法は何だったのでしょうか?悠仁さんが近づいたら何故か相手選手は倒れてしまっていたのですが…」

 

そんな深雪の質問に達也は答えるのだが…

 

「すまない。よく分からないんだ。アイツの調整はしていないからな…」

 

今度は美月が幹比古に質問する。

 

「吉田くんもですか?」

 

「え!?ああ、うん。僕もよく分からない」

 

「アイツが使ったのは重力刃(グラビティ・ブレード)よ」

 

そんな中、悠仁の魔法について答えたのはエリカだった。

そのエリカの答えに深雪が食いつく。

 

重力刃(グラビティ・ブレード)……確か悠仁さんのオリジナル魔法で、確か……重力を収束させて斬撃波として放つ魔法よね?」

 

「ええ、そうよ」

 

「でも、肝心の斬撃波は見えなかったし、何よりその魔法でどうやって相手を気絶させるの?」

 

「アイツの抜刀が速すぎるだけよ。……実際に見せた方が分かりやすいわね…ちょっと待って」

 

そう言うとエリカはデバイスを取り出して先程の試合の映像を見せる。

エリカが映像を一旦止める。

止まった映像には悠仁が抜刀して木刀から斬撃波を出している様子が写しだされていた。

 

「悠仁は威力限りなく落として重力刃(グラビティ・ブレード)を発動。発動した斬撃波は相手の顎先を的確に撃ち抜いているのよ」

 

「顎先?」

 

「ええ、顎先を撃ち抜いて相手に脳震盪を起こさせる。気絶する理由はコレよ」

 

エリカの解説に今度は雫が質問する。

 

「悠仁は何でこんな難しそうな事を?」

 

この質問には意外にもレオが答える。

 

「昨日、悠仁に聞いたんだけどよ、『近接戦闘のした事がない素人相手ならばこんなのは余裕だよ』って言っていたぞ?」

 

「…へぇ、そうなんだ」

 

雫、苦笑いである。

そんな中、達也がある事に気づいた。

 

「アレは、悠仁じゃないか?」

 

話の話題になっていた悠仁は手を振った後、達也達の元に走り出す。

そして、達也達の近くに行くと懐から紙を取り出し、見せつけた。

 

「皆さん、“勝訴”です。我々は無罪を勝ち取りました!!!」

 

悠仁は“勝訴”と書かれている紙を見せつけて、ハイテンションになっていたが…

 

((((((コイツ何やってんだ?))))))

 

悠仁を除く全員がそう思った。

代表して達也が悠仁に問いかける。

 

「……何してるんだ?」

 

「えっ?不正疑惑とか、うちが失格になるって話だから直談判しに行ったんだよ。とりあえず、本部で怒鳴り散らかしていたら“九島”って爺さんが何とかしてくれてさ。疑惑も晴れたし、無事試合できるぞ〜。これはその結果と喜びを表している(ドヤ!)」

 

((((((お前何してるの!?))))))

 

再び、皆そう思うのであった。

 

「………色々ツッコミたい所はあるんだが、まず、お前の言う“九島”という人は『九島烈』閣下じゃないだろうな?」

 

「そう、そう!その人」

 

「……………」

 

「ん?どしたの、みんな?」

 

各々、悠仁に言いたいことは山ほどあったのだが、呆れたのか疲れたのかそれとも別の理由か、とにかく誰一人、悠仁に問い詰める者はいなかった。

 

 


 

 

その後、一高の反則疑惑も大会本部から正式に説明がなされた。

その説明の後、決勝トーナメントの組み合わせが発表された。

俺達は九高と対戦するらしい。

時間は午後からの予定だ。

先に正午から三高と八高が試合をする為、少し早いが昼食を買いにみんなと別れた。

実のところ、最初は達也達と飯を食おうとしたのだが、深雪やら達也やらが目立ったおかげで飯も落ち着いて食えそうになかった。

 

「悠仁!」

 

ん?妙に聞き覚えがある声が……

まぁ、気のせいだろう。

 

「ちょっと、悠仁!」

 

「ん?あれ、修兄?こんな所で何やってんの?サボり?」

 

振り返ると本来ならこの場に居ないはずの千葉 修次(ちば なおつぐ)が居た。

 

「サボりって…」

 

「だって、タイで魔法指南のお仕事してる筈でしょ?」

 

「ちょっと、色々あってね…。それよりも今は千葉家当主の代理として悠仁に渡す物があるんだ」

 

修兄がそう言うと持っていたアタッシュケースを渡してきた。

 

「マジで!?ありがとう、修兄!……で?実際の所、何でここに?まぁ、何となくは分かってるけど……」

 

荷物を受け取りながら、修兄がここに来た本当の意味を探る。

 

「何のことだい?」

 

アルカイックスマイルを見せる修兄。

…てか、相変わらずイケメンだな…。

まぁ、多分だけど、摩利さんが心配で来た感じだろコレ。

 

「ハァー、まぁ、いいけどさ。エリカには見つからないでよ?宥めるの大変なんだから」

 

「善処するよ」

 

本当に分かってるんだろうかこの人…。

まぁいいや。

 

「お邪魔虫になりそうだからここで退散するよ」

 

いくらイケメンで爆発しろと常日頃、思っていても流石に恋人との時間を邪魔する程、俺は子供じゃないだよな〜

 

修兄と別れると直ぐに…

 

「黒岩悠仁くん」

 

また、後ろから名前を呼ばれた。

振り返ると愛梨がいた。

 

「あれ?他の二人は?」

 

「私も一人でいることぐらいあるのよ」

 

「…そう。んで、何か用?」

 

「ええ。…お礼がしたいの」

 

「お礼?」

 

なんだろう?

愛梨にお礼されることあったか?

 

「栞のことよ…。栞は何も言ってくれなかったけど、貴方と栞の様子を見れば誰でも分かるわ。貴方が栞を立ち直らせたのでしょ?だから、その…ありがとうございます」

 

そう言って深々と頭を下げる愛梨。

俺はこう言う時は素直に礼を受け取ると決めている。

ここで謙遜する奴は『お前の礼など受け取りたくない』と言ってしまっていると俺は思う訳だ。

だから……

 

「どういたしまして」

 

「そう。……そ、それより先程、千葉 修次と一緒にいましたよね。どう言う関係なのですか?」

 

この話はこれでおしまいと言わんばかりに愛梨はわざとらしく話題を変える。

まぁ、俺も少し気恥ずかしいかったので話題を変えてくれるのは助かる。

 

「ん?……あぁ、実は」

 

そんなこんなで愛梨と楽しくお話ししていた。

 

 

だが、この時に気づくべきだった。

この後の原作の展開を…

そして、エリカや深雪が近くにいた事を…

まさか、あんな事になるなんて…

この時の俺はまだ知る由もなかった。

 


 

一方、その頃、達也、深雪、美月はある兄妹喧嘩を隠れて見ていた。

 

「兄上が正式な任務を放棄してこの場におられることは紛れもない事実です!それがこの女の所為であることも!」

 

そう言って怒っている妹は兄の隣にいる女を睨みつける。

そして…

 

「私の考えは変わりません!次兄上は、この女と付き合い始めて堕落しました!」

 

そう言って妹はその場を立ち去る。

そして、その妹がロビーからエレベーターホールに入った所で…

 

「エリちゃん、待って、エリちゃん!」

 

美月の声でようやくエリカは我に返った。

 

「……達也くん。深雪も……もしかして聞かれちゃった?」

 

「すまん…。盗み聞きするつもりはなかったんだが」

 

「達也くん、今度奢りね」

 

「おいっ?まぁ、いいか。あまり高くないもので頼むぞ」

 

「商談成立っと」

 

そうして達也達はお昼を食べる為、場所を変える。

会場の休憩室の所でお昼を食べているとエリカの方から…

 

「さてと、深雪も美月も達也くんも……あたしに何か聞きたいことがあるんじゃない?」

 

「渡辺先輩がお付き合いされている方ってエリカのお兄様だったのね」

 

達也や美月が躊躇している中、深雪だけが話に乗っかった。

 

「そっ。あのバカ兄貴あんな女に誑かされちゃって…。情けないやなんとやら…」

 

「世界的な剣術家でいらっしゃるのでしょう?憎まれ口でも『バカ兄貴』だなんて言うものじゃないわよ?」

 

「あれ……ああ、そっか。達也くんだったら修次兄貴のこと知っていても不思議じゃないね」

 

「エ・リ・カ。わたしたちの前だからといって、呼び方を変える必要はないのよ?次()()なのでしょう?」

 

「あ〜っ、それ忘れて!あんなのあたしじゃないって!」

 

エリカはそう言うと頭を抱える。

多分、恥ずかしいのだろう。

 

「まぁまぁ。エリカは修次さんのことが大好きなのよね」

 

「……」

 

深雪が放ったその爆弾発言はエリカのみならず達也や美月までも凍らせる。

 

「チガウ!」

 

エリカは顔を赤くしながら叫んだ。

 

だが、そんな分かりやすい反応にクスクス笑いを溢しながら深雪はさらに爆弾を投下する。

 

「エリカってブラザー・コンプレックスだったのね」

 

「なっ…」

 

エリカは絶句してしまった。

そして臨界点も突破してしまった。

 

「アンタだけには言われたくないわよこの超絶ブラコン娘!」

 

エリカもとんでもない爆弾を投下してしまった。

そして再び凍りつく空気。

そんな中、深雪は見たこともない笑顔でエリカに問いかける。

 

「エリカ?聞き間違いかしら?もう一度、何て言ったか教えてくれるかしら?」

 

「何度だって言ってあげるわよ!この超絶ブラコン娘!」

 

「二人とも少し落ち着け」

「そうだよ二人共。ちょっと落ち着こ?」

 

流石に不味いと思ったのか達也と美月が宥めにかかるが…

 

「お兄様、美月。わたしは十分に落ち着いておりますよ?まぁ、エリカはそうじゃないと思いますが…」

 

「深雪の目が節穴なだけじゃない?アタシは十分に落ち着いているわ…」

 

「だが…」

「でも…」

 

二人共、明らかに落ち着いていない為、達也と美月がなんとか宥めようとするが…。

 

「「二人共、黙って(くれるかしら)!!」」

 

二人の剣幕に結局、達也と美月は黙ってしまう。

だが、ここで終わらないのが美月。

エリカと深雪の喧嘩がヒートアップしている最中、お得意の天然が発動してしまう。

 

「あ…、あれって悠仁さんですよね?」

 

全く関係の無い発言。

幸か不幸かその発言に深雪やエリカも反応する。

そして、彼女達の視線の先には悠仁と三高の愛梨が楽しそうに談笑している光景が見えた。

 

「…………」

「…………」

 

さらに凍りつく空気。

そんな中、最初に口を開いたのはエリカだった。

 

「アイツ、何やっているのよ。こんな時に…」

 

続いて深雪が…

 

「ええ、こんな大変な時にナンパだなんて…。お仕置きが必要ですね」

 

「深雪、行くわよ」

 

「もちろんよ、エリカ」

 

(悠仁、骨は拾ってやる…)

 

そんな様子を見ていた達也は悠仁に冥福を祈りながら彼女達の後を追うのであった。

 

 


 

「わたしは応援に戻ります。ここで失礼します」

 

「じゃあ、またね〜」

 

愛梨との話も終わった。

……なんだろう。

寒気がする。

すぐにこの場を立ち去りたいが、立ち去ると酷い目に遭うと俺の直感が囁いている。

でも、ここにいても結局、酷い目に遭う気がする。

なら、今すぐ退散しy…

 

「随分、楽しそうだったわね」

 

振り返るとエリカがいた。

……寒気の原因はエリカだったか。

エリカの顔を普通に笑みを浮かべているように見える。

だが、俺には分かる。

アレは、内心キレている顔だ。

だが、何故だ?

エリカがキレる理由は……あるな。

あの修兄(イケメン野郎)……

もしかしなくても彼女(摩利さん)の相引き中にパッタリとエリカと遭遇しやがったな、コレ。

ブラコン(エリカ)を宥めるの大変なんだぞ…。

とりあえず、落ち着かせるか…。

 

「やぁ、エリカ。何か用かい?」

 

「悠仁さん、わたしもいますよ?」

 

深雪が出てきた。

……何故、深雪が怒っているんだ?

深雪も一見、笑顔だ。

だが、深雪の背後がブリザードの如く魔力が吹き荒れている。

めっちゃ、怖いんですけど…。

 

「もちろん気付いているよ。ご機嫌よう、深雪」

 

「ええ、ご機嫌。ただ、悠仁さん程ではないですけれど…」

 

「本当にそうね。まさか他校の女にナンパを仕掛けていると思わなかったわ」

 

「ナンパじゃないんだが…」

 

深雪のブリザードな魔力で気づくのが遅れたが、達也と美月もいた。

美月の顔色が悪いのも気になるが、とりあえず達也達に事情を聞きたい。

 

(達也、助けて!この二人、なんでこんなことになってんの!?)

 

アイコンタクトで達也達に助けを求めたが…

 

(悠仁、スマン……)

 

アイツ、俺を見捨てやがった…。

でも、美月なら…

 

(……ごめんなさい)

 

ちょっと美月さん!?

あぁ、なんて儚い友情なんだ…

さて、どうしy…

 

「「悠仁(さん)話を聞いてる(ますか)!?」」

 

「えっと、何だっけ?」

 

「やっぱり聞いていない……。改めて聞くわよ、さっきの子とは一体どういう関係なのよ」

 

「ええ、わたしも気になります。()()()教えていただけないでしょうか?」

 

二人共、何故そんなに問い詰めてくるんだ?

訳が分からん。

とりあえず、あまり二人を刺激させないように…

 

「愛梨とは懇親会で知り合っただけ。さっきたまたm」

 

「「()()?」」

 

……なんかやらかしたか?

急に機嫌が悪くなっているのだが。

というか達也、天を仰ぐな。

美月も助けてくれよ…

 

「ただのお知り合いなのにもう名前呼びですか?」

 

「出会って数日なのにね。随分手が早いじゃない?」

 

「気にすんのそこ?」

 

深雪だって、エリカだっていつも名前で呼んでるだろ?

何故に機嫌が悪い?

 

「コレは詳しく()()()する必要があるわね…」

 

「ええ、悠仁さん。覚悟して下さい」

 

「俺、なにかしたーーー?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三高の準決勝開始直前

 

「ねえ、悠仁。大丈夫かい?」

 

「燃えたよ…真っ白に…燃え尽きたよ……真っ白な灰に…」

 

「達也、悠仁は一体どうしてしまったんだい?」

 

どこぞのジョーのごとく燃え尽きている悠仁を心配している幹比古は事情を知っていそうな達也に問い詰める。

 

「幹比古、何も聞くな。真実を知るとお前もああなるぞ。なぁ、美月?」

 

「わたしは何も見てません。何も言えません。何も聞いてません」

 

「柴田さん!?」

 

明らかにいつもと違う様子の美月に思わずツッコむ幹比古。

一応、達也がフォローを入れる。

 

「悠仁は理不尽に巻き込まれただけだ。強いて言えb…」

「お兄様?」

「達也くん?」

 

「……何でもない」

 

話はこれで終わった。

幹比古や事情を知らない他の人達も触れてはいけない(アンタッチャブル)な話だと察した。

達也達はこれから始まる三高の試合を見る方に意識を向けた。

……悠仁以外は。

 

 

 

 

*1
自身の影響下に置いた精霊から、イデアを経由したリンクを通じてリアルタイムに視覚情報を取得する魔法





何故か話が長くなりそうなんで一回ここで終わらせます。
次回で新人戦が終わらせるつもりです。


……終わるかな?
終わるといいな〜

九校戦の後の話について(見たい人は票入れて〜)

  • 悠仁くん暗躍してみない?編
  • 生徒会選挙編見たーい!!
  • 悠仁くん修業編
  • んなもんいいからさっさと横浜編行け!
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