ハイスクールドロップキック   作:ガラクタ山のヌシ

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でけましたわー


第10話

廃教会にこれ以上得られそうなものが無いと感じたゆりね達は、一度オカルト研究部の部室に戻って来ていた。

 

「それで、死んでた生徒はどうしたの?」

 

開口一番本題に入る。

 

「え?あの…さっき不問にするって…」

「…ああなるほど。あの時、そう言うことね」

 

ゆりねがため息がちにそう言うと同時に色々と合点がいったような反応を示す。

 

「…眷属にでもするつもり?」

 

そう言うゆりねの目は真剣そのものだ。

 

眷属にする際に用いられるのは『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』と称される呪具。

これによって悪魔は眷属としてただの部下よりも更に重く、深い絆を持つ関係となる。

元々は四大魔王の一人、アジュカ・ベルゼブブが開発したもので、悪魔以外に使用した場合、その対象を転生悪魔とする。

また、悪魔の間で行われるレーティング・ゲームへの参加もこれを用いた眷属でなければならない決まりがある。

とは言え、ムシのいい話には裏があるもの。

ゆりねが部長を務めていた時代は「悪趣味」とバッサリ言い切って特に興味も示さなかったが、現部長のリアスはそうでも無かったようだ。

 

「先輩、私は…」

 

しかし、次の瞬間。

 

「……あら?」

 

突如として部室内に魔法陣が展開して、ガッツリ部屋着と思しきスウェットを着た男と数名の女性が現れる。

 

「おぉ〜い、ヒマだから遊びに来たぞぅリアス…」

 

男はだるそうに無駄に腹筋の割れた腹をポリポリとしている。

 

「あっ…ライザー…」

 

リアスが普段の邪険な態度では無いことに違和感を覚えたのか、ライザーと呼ばれた男は質問を投げかけようとするが…

 

「うん?いやに素直だな。一体どうし…って」

 

やがて一人の見覚えのある少女を視界に入れ…

 

「ぎゃああああああ!!」

 

と、大の男が普通上げないレベルの悲鳴を上げ、床に尻餅をつく。

 

「おっ…お前っ…い…いつの間に戻ってきてたんだ!!この悪魔女!!」

 

プルプルと震える手でゆりねを指差すライザー。

 

周囲からまばらに「あっ…」と声が上がるも、ライザーは恐怖のせいかそれに気づいた様子は無い。

おそらく無意識にやっているのだろう。

 

「失礼ね。私は私の用件でここにいるだけよ。それに、悪魔に悪魔なんて言われたくないわ」

「うるさい!!お前に負けたせいでオレの悪魔生は最悪なんだぞ!!こないだなんか…」

 

 

数日前、フェニックス家別荘にて

 

「なぁ…レイヴェル」

「何ですか?お兄様」

 

思い詰めたような表情で、ライザーは妹に相談を持ちかける。

 

「いや…気のせいだとは思うんだが…」

「何です?」

 

少し悩んでから、ライザーは次の言葉をなげかける。

 

「最近、オレ…眷属達から舐められてないか?」

「そうですね。滅多なことは言えませんが、舐められてることだけは確かです」

 

即答され、頭をスレッジハンマーで殴られた時のような衝撃が加わる。

 

「え、舐められてるの!?」

 

驚きと、まさかと言った表情に、彼の妹はため息をつきながら言葉を続ける。

 

「そりゃあ…数年前、人間相手にハンデ貰っといて秒殺されるような人が心から尊敬されるわけありませんし…」

「レイヴェル!?いつからそんな毒舌に!?」

 

そんなこんな、やりとりをしている二人の元に件の眷属のひとり、シーリスがやって来る。

 

「ライザー様〜」

「ヒィ!!なんだい?」

「ちょっと携帯アプリに課金したいんで、コンビニでカード買ってきてくれません?」

「えぇ…いや、別にいいけど…あの…お金は…」

「ああ〜…とりあえずライザー様が払っといて下さいよ。後で返すんで…」

「いや、もうその言葉二十三回目…」

「え?なんです?」

 

すっとぼけるような言葉だが、ライザーは言い返せない。

 

「いや…なんでも…」

「ちゃんとMAXまでチャージしといて下さいね〜」

 

言うだけ言って彼の眷属は部屋から去っていった。

 

「うぅ…コレが主従関係…他の貴族達も大変だ…」

「大丈夫です。お兄様と眷属達との主従関係(ATMと利用者)に変わりはありません。

あ、家のお金には手をつけないで下さいね?」

 

 

「なんてことがあったんだぞ!!」

「知らないわよ。アンタが不甲斐ないのがいけないんでしょうが…」

 

蔑みというよりは呆れたようにため息がちにそう返すゆりね。

邪神ちゃんがその後ろでプークスクスと笑っているのがライザーには見えたが、今はそんな彼女に腹を立てている余裕など無い。

 

「それと…」

 

スタスタとライザーに近寄ると、彼女に向けられていた人差し指をぎゅむっと握り…。

 

「わたし、人に指差されるの好きじゃないって前に言ったわよね…?」

 

底冷えするような、コキュートスの底から響くようなドスの聞いた声にライザーと彼の連れてきた女性陣…恐らくはハーレム…一同はヒェッ…と硬直する。と同時に

 

「フンッ!!」

 

ゆりねは掴んだ指を明後日の方向にねじり上げた。

 

「あがぁぁぁ〜〜!!」

「忘れたのかしら…ライザー・フェニックス?」

 

如何に彼が自身の身体の傷を再生できるフェニックスとは言え、痛いものは痛い。

 

「三歩歩いて忘れちゃうような鳥頭には…躾が必要なようね……?」

 

うずくまった格好のままズルズルと扉の向こうまで引き摺られるライザー。

彼のハーレム要員達が流石にと何か言いそうになっても…。

 

「じゃあ貴女達の誰かが代わってみる?」の一言で轟沈。

 

やがて隣の空き教室からヴゥゥゥン…と言うチェーンソーのような音が聞こえ

 

「や…やめ…」

 

次にズシン…となにやら重量のあるモノを引きずるような音が聞こえ

 

「い、いや、それ本来の使い方じゃあ…ぐぇえええ!!」

 

様々な断末魔が何度となく聞こえてくる度、一同はドン引きしていた。

それからおよそ二時間後…。

 

「スンマセン…自分調子こいてました…」

 

再び心を折られた不死鳥の姿がそこにはあった。

 

更に……

 

「あ、ちょうどいいわ。ちょっとここの廃教会に行って堕天使来たら連絡ちょうだい」

「あっハイ…」

 

再び人間に負けたうえ、アゴで使われる不憫なライザーなのであった。




ライザーニキ登場。
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