ハイスクールドロップキック   作:ガラクタ山のヌシ

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続き出来ました〜


第17話

シスターであり聖剣使いある紫藤イリナは身震いしていた。

花園ゆりね。

その名は知る人ぞ知る絶対強者の名だと聞く。

しかし目の前の女性はどこからどう見ても普通の気の良い人物といった風であり、現に自分たちもこうして世話になった。

 

「このメロンパフェはうまいなぁ」

 

隣で呑気にデザートに舌鼓を打つ同僚…ゼノヴィアを控えめに睨む。

が、気づいていないのか食事に忙しいのか、視線を向けられる当の本人はどこ吹く風といった様子だ。

 

イリナはそんな同僚から静かに視線を逸らすと、自らの剣術の師匠であり、仕事上の上司にもあたる人物に、出立時に言われた言葉を思い出す。

 

「いいかお前ら。もし仮に…まぁほぼ無いとは思うが、仮の仮に駒王町でハナゾノ・ユリネという女と出会ったら、絶ッッッッ対に手ェ出すなよ!!フリじゃねえからな!!やめろよ?オレだって死にたくねぇからな!?あの女に喧嘩売ったらマジでオレら終わるから!!マジで!!」

 

そう言う上司はとても震えていたのを思い出す。

まるで過去に同じことをやらかしたかのようだ(直球)。

 

なお、一方その頃ゼノヴィアは呑気におかわりのパフェを頼みつつ、件の人物と談笑している。

 

「ほう…通販でメリケンサックを…」

「ええ。なかなかいい買い物だったわ」

「それは良いな。わたしも試してみようか…」

 

かなり物騒かつショッキングな会話を繰り広げる隣の席に座る同僚。

 

やがてかりそめの団欒の時は過ぎていき……。

どうしようかとイリナが判断に困っていたその時だった。

 

「あぁ〜〜〜っ!!ズッりぃですの〜〜!!」

「うん?」

「あら、邪神ちゃん」

「ゆりねぇ!!わたしには後輩達の世話させといて、自分は呑気にお茶とは良いご身分だなぁ〜!?」

「いや、この子達がお腹減ってたみたいだからご飯奢ってあげてただけよ」

「はぁぁぁ〜!?っつーか、そいつらエクソシストだろ!!なぁんで仲良さそうにしてんですの!?」

「別に直接危害を受けたわけでも無いし…」

 

いつの間にか席まで近寄って来てギャーギャーと喚く下半身が蛇の女悪魔に、イリナは咄嗟に武器を取り出そうとするが…。

 

「今日という今日こそくらえですのゆりね〜!!怒りと悲しみと絶望の!!邪神ちゃんドロップキックを〜〜!!」

 

飛び上がり、加速をつけてこちらに向かって来る悪魔。

しかし、正面に座るゆりねは動揺するどころか怒りに満ちた目を悪魔に向けており……。

 

「ちょっとお店に迷惑でしょうっ…が!!」

 

席に突っ込んできそうな悪魔の背後を一瞬で取ると、そのままの勢いでバックドロップをかます。

控えめに言って人間離れしたその動きに、イリナとゼノヴィアはカッと目を見開く。

 

「邪神ちゃん…人様に迷惑かけるなって何回言えばわかるのかしら…?」

 

先ほどの優しそうな雰囲気とは打って変わり、ゴミを見るような目を向けるゆりね。

白目を剥き、失神したのかピクピクと痙攣するような動きばかりで返事ができていない悪魔に、流石に少しだけ同情しないでも無い。

 

「二人とも、わたし達はちょっとお手洗いに行って来るわね?」

 

邪神ちゃんと呼ばれた悪魔を抱えて、先ほどと同じように優しい笑顔でゆりねは言う。

なお、その邪神ちゃんは現在頭部から血がダクダクと流れ出ている。

 

「えっええ…」

「その…ごゆっくり…」

 

やがて女子トイレの鍵が閉まったかと思うと…。

 

「ゆっ、許してくれゆりねぇぇぇ〜!!」

 

意識が戻ったのか、今度は扉越しでもわかるくらいの声の大きさで命乞いをする悪魔。

 

「大丈夫よ邪神ちゃん。ここはトイレだから、いくら血が出ても後処理はラクだから」

「テメっ…そう言う問題じゃ…っていうかその刀どこから取り出して…って、ギャアアアア!!」

 

その時、イリナは心に決めた。

 

うん。私は何も見ていないと。

 

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