ゆりねがオカルト研究部にやって来てから特に何事もなくもうすぐ一週間が経過しようとしていた。
変わったことといえば、邪神ちゃんがゆりねの隙を見つけては毎度毎度返り討ちにあい続けるくらいか(なお、ゆりねは後輩達の前ということでかなり自重している模様。なお別室では…)。
「それで…ゆりね先輩は明日にはお帰りになられるんですか?」
朱乃が笑顔で淹れたての紅茶を差し出しながらそんなことを聞く。
心なしか声が弾んでいるようだが、きっと気のせいだろう。
「ええ、一週間も様子見をしたって事実があれば一応アイツの顔は立つでしょ」
リアスはその言葉を聞くなり、ゆりねに見えないところでガッツポーズをしていた。
「でも…何だか寂しくなります…」
ゆりねに頭やアゴを大人しく撫でられながらしょんぼり…とそう言うのは小猫。
この一週間でなんだかんだ面倒見のいいゆりねにかなり懐いた様子だ。
「そう言って貰えるなんて、先輩冥利に尽きるわ。でもごめんなさいね…」
「そうよ小猫、先輩を困らせるのはいけないわ」
リアスはさりげにそう注意する。
幸い今日は日曜日。
部活動の様子をゆりねに見せるためわざわざ学校に制服まで着て集まっているにはいるが、今日もまたゆりねが蔵書を読んだり、懐かしい校内をそれとなく散策してみたりと割と気ままに過ごしていた。
そして契約者探しのための魔法陣の反応がすれば、それにつきそうことになったりと、実際一応の結果は出ていたため、ゆりねとしても少しは安心できていた。
「そう言えば、あの変態三人組の一人に彼女ができたとかなんとか噂が広まっているそうですわよ」
「えぇ…一体どんな子なのかしら…」
「噂は噂でしょう?気にするだけ無駄では?」
時折世間話を挟みつつ、明日という日が来るのを内心鼻歌混じりに待ち遠しく思うリアス。
あちらへこちらへ魔法陣で飛び回り、さぁ次で最後だと思った矢先…。
町中の小さな公園で倒れているのは見覚えのある顔だった。
……最悪だ。
リアスが最初に思ったことはそれだ。
いきなり目の前で人が、それも駒王学園の生徒が死んでいるのを発見してしまった。
しかもその人物は先程話題に上がっていた男子。
まず疑ってかかるべき事柄に、噂話程度の認識しかできなかった己に歯噛みする。
しかし、この時点で最早言い訳なんて出来ようはずもなく……。
リアスは隣の先輩の表情を伺う。
が…
「……近くに落ちてる羽根からして、下手人はどうやら堕天使のようね…」
ゆりねは屈んで足元にある羽根をつまみ上げてそう言う。
どうやら軽く現場検証をしているようだ。
「あの…せんぱ…」
「リアス」
リアスの言葉に被せるようにゆりねは言う。
その表情は後ろからは窺い知れない。
「は、はい…」
「今は堕天使連中の掃討が先よ」
振り向きざま、身構えるリアスが目にしたのは…
「………っ、はい!!」
凛々しく、強く、リアスの憧れた横顔だった。
「それと、部室に帰ったら朱乃共々お仕置きだからね」
「アッハイ…」
イッセーくん…生き返れ生き返れ…