コードギアスの世界にアミバの能力を持った転生者って需要が有るんですかぁ〜!? 作:TNKエース
今、療養先のホテルで書いている。
エピローグ3 裏切り
アヴァロン内部でルルーシュは藤堂がドロテアを討った事にはそんなには驚きはしなかったが、玉城がモルドレットを堕とした事については驚愕を隠せなかった。ついつい、セシルに二度聴きしてしまう程に、
この勢いなら普通の戦場なら勝てるのだが、シュナイゼルにはギアスとフレイヤがある。
ましてや、此方はシュナイゼルのギアスがどの様なギアスなのかすら分かっていないのだ。
「ナナリー……」
ルルーシュは最愛の妹の名を小さく呟いた。
ルルーシュの騎士。枢木スザクは愛機であるランスロット・アルビオンを駆り、シュナイゼルの手勢を討ち続けていた。
此方の士気は未だ低いものの、戦況は此方が有利。
懸念材料であるフレイヤも先程放たれてから未だに放たれていない。
恐らくはフレイヤの対策を取られているとは思っていなかったのだろう。
ルルーシュ達も対策を作ってはいるものの、未だ制作途中だ。フレイヤを作ったニーナも「まさか、そんな手で……」と驚いていた。
ロイドやセシルも無人機をあんな風に使うとは思っていなかった。
シュナイゼルやルルーシュですらだ。
これに関してはアミバとギアス世界の人間の見識の違いだ。
アミバは元々この世界の人間ではない。前世でフレイヤをICBMと見立て、迎撃用のミサイルを作れるかと考えたのだが……
この世界には短距離用ミサイルは有っても、超長距離弾道ミサイルなんて物はなかったのだ。
似たものと言えば、精々亡国のアキトに出てきたアポロンの馬車ぐらいだ。
話をスザクに戻そう。
スザクは次々と敵を落としていくと、直上方向からハドロン砲が放たれる。
『枢木スザァァク!!』
「!?」
スザクはこの声を知っていた。しかし、この場にいるべき人間ではない筈だ。
「シュネー!どうして君が!?」
『レドの仇ぃ!!』
シュネーの乗るヴィンセントスナイプのハドロンブラスターが再び放たれる。
「シュネー……赦しは請わないよ……」
スザクは軽々と躱すとMVSでヴィンセントスナイプのフロートと両腕を斬り落とした。
後は脱出機構で安全に抜け出せる筈……と考えていると、ヴィンセントスナイプが爆発する。
しかも只の爆発ではなくフレイヤの光である。
「なっ!?」
『‘生きろ!!’』
スザクは一瞬だが、気が逸れてしまい、ギアスの制御が途切れてしまい、本能的に動いた。
直ぐにフレイヤの輝きから逃れる為に機体を急上昇させる。
そして、飲み込まれる敵味方の機体。
「くっ……」
急上昇した影響と呪いが解けた影響で頭を振るスザク。
「一体……?シュネー!?シュネー・ヴァイス!?」
通信を送るも返事はない。
スザクは歯を噛み締める。
「シュナイゼル殿下……何故……」
スザクは怒りに飲み込まれそうな頭を落ち着かせ、再び呪いの力を制御していく。
そして、辺りでフレイヤの輝きが幾つも放たれる。
何故、幾つものフレイヤが放たれたのか?それは、
「特攻兵器だと!?」
フレイヤを付けたKMFを誘導装置とした特攻兵器だった。
「そんな!?」
「……………」
余りにも非道な行為に誰もが口を閉じられなかった。
唯一の救いとも言えるのは爆発の範囲が本来のニ十分の一……約5k程度の距離しか破壊していない事だろうか。
あのロイドですら、嫌悪感を隠せていない。
「(どう言う事だ?あのシュナイゼルが……追い込まれているにしてもあの男がこの様な事をするとは思えない。まるでシュナイゼルの皮を……まさか?ギアス嚮団の残党がシュナイゼルや姉上を操っている?いや…
ルルーシュはC.C.を見る。
「言っておくが、私がここ数十年で契約したのはマリアンヌ、マオ、そしてお前だけだ」
C.C.の言葉にルルーシュは思考の一部を回転させていく。
「(V.V.は奴には秘密のギアスユーザーを作っていたのか?それならばあり得るが……しかし、嘘の無い世界を作ろうとしていた兄弟である奴に黙って作る程なのか?)」
ルルーシュの考えは合っているのか合っていないのかも分からなかった。
富士の麓では富士山を噴火させる為の作業をしていた杉山はフレイヤ特攻兵器を見てマジかよと呟く。
杉山は作業が終わった事を確認すると合流する為に斑鳩へと向かった。
途中でEUからの援軍の表示を見ながら、
「星刻総司令!EU方面の黒の騎士団が援軍に来ました!」
「何っ?EUはブリタニア地方軍とユーロブリタニアと戦闘していた筈だ!」
「ですが、識別反応は我が軍の物です。通信を開きましょうか?」
星刻が通信を開こうと命じる瞬間、艦内に衝撃が走る。
「何が起こった!?」
揺れる艦内にしがみつきながら星刻が問う。
「少々お待ちを……嘘……」
「どうした!?」
「う……裏切りで『ドォン!』キャア!」
再びの衝撃、今度は砲撃音も聞こえた。
「う……裏切りです!EUの黒の騎士団が裏切りました!!」
「何だって!?」
EU艦隊の旗艦『エロー(フランス語で英雄)』内部
そこには黒の騎士団の制服ではなく、EU軍の制服を着込んだEUの国の軍人達がいた。
「総員!我々は悪しき皇帝ルルーシュとそれに従う無知蒙昧で厚顔無恥な黒の騎士団に誅を下す!!我に続けぇ!!」
司令官の言葉に部下達は威勢よく「Sir Yes Sir!!」と返事をしていく。
艦内からパンツァーフンメルや暁が飛び出し、更にはユーロブリタニアのサザーランドやグロースターまでもが飛び出す。
何故、こうなったのか?
床に倒れ伏すEU軍人と政治家達を冷たい目で見る神楽耶は彼等に問う。
「何故…何故この様な事をしたのですか?」
答えは分かっていた。
「ゼロもアミバも無い黒の騎士団なぞ単なる有象無謀!ならば我らEUが生き残る為にはシュナイゼル様に忠誠を誓う他ないだろう!!」
彼等は負けたのだ。シュナイゼルに……
「これよりEU各国を超合衆国から一時除名!現地の黒の騎士団にはEU艦隊の迎撃の指示を!」
「かしこまりました!」
これは、後々の話だが……EU(大国部分)が超合衆国に送ってきた国に関する資料の内経済に関する資料は真っ赤な偽物で、実際は横領と改竄のモザイク芸術であった事が判明し、汚職と横暴のオンパレード、更には日本人(当時はイレブン)の虐殺やナンバーズとなった同胞の迫害という横暴な軍とそれをもみ消す政府。
後にEUの小国を除いて超合衆国の支配下(旧ブリタニアと違い、他国の文化を破壊し尽くして……の方法は取られないが、官僚等政治に関わる職業に就くことが出来なくなった)となった。
閑話休題して現場を戦場に戻します。
ダモクレスの指揮室でシュナイゼルの副官であるカノンはシュナイゼル……いや、シュナイゼルの姿をした何者かを見ていた。
数ヶ月、ゼロ……ルルーシュを捕まえようとしたあの日以降、何処となく寂しさと期待を醸し出していたシュナイゼルが、ある日……それらが一切消え去っていたのだ。
それだけなら、違和感を持たないのだが……
突如としてのルルーシュが皇帝になった時に喜びでも楽しみでも困惑でもなく予定通りと言わんばかりの気配を放っていた。
それからダモクレスをその場にいたラウンズである。ノネットとグリンダ騎士団を残してブリタニアの高位貴族達や幾つかの軍基地を周り、少し話すだけで誰もがシュナイゼルに付き従った。
カノンは驚きを通り越して恐れを感じた。
常のシュナイゼルなら高位貴族や軍高官を付き従わせる事は可能……しかし、それは長い時間の交渉や譲歩を掛け合わせての事だ。
今回の様に少しの話だけで一人二人ならまだしも、全員がシュナイゼルに無条件で付き従う事等不可解にも程がある。
しかし、カノンはそれを知っていた……ルルーシュ……そして、ルルーシュに従うマリーベル。最早、故人ではあるが……シン・ヒュウガ・シャイニング。
カノンはギアスの詳細を知らなかったが、ここまで類似する能力を見せられてはシュナイゼルもギアスを持っていると確信してしまう。
いや、それだけならまだ良かった。
何というか、全体に雑になっているのだ。
字の癖……仕事内容……食事の取り方……それらの全てが今までのシュナイゼルから雑……長い間付き添ったカノンだから分かるものではなく、それなりの付き合いの長さの人間なら分かる程の雑さだ。
カノンは念の為、ノネットとグリンダ騎士団がシュナイゼルと、直接会わない様に手配をし、シュナイゼルを観察し続けてきた。
そして、ペンドラゴンを消滅させたあの日、カノンはシュナイゼルはルルーシュに宣戦布告をした時のあの稚拙さ、まだそこらの凡百な貴族の方がまともな交渉をしている。
そしてその夜、シュナイゼルの部屋に仕掛けた盗聴器から、何時もならワイングラスをコトリお静かに置くのが瓶をダンっ!と叩きつける音が聞こえ、
『クソっ!原作だったらルルーシュは孤立してた筈だろ!!何処のクソバカだ!?オイ!!!
チート能力を持ってシュナイゼルに憑依したっていうのに!!クソっ!クソっ!マジ死ねよ!!カスゴミがっ!!』
アルコールの勢いもあってか、シュナイゼルは大声で暴言を吐いていく。
ここでカノンはシュナイゼルの中身が別人になり変わっている事に気がついた。
カノンはなんたる愚鈍と自分を責めたが、相手の目的……そして主人であるシュナイゼルを取り戻す手段を模索していた。
「けど、チート能力?イカサマ能力……確かにギアスが催眠術の上位互換ならそう言ってもおかしくないわね」
ギアスの正体を知らないカノンはシュナイゼル?のチート能力の事をギアスと同一した。
実際は違うのだが……
しかし、調べるも時間が足らずに、分かったのはあの男はコーネリアやメイドを何人も抱いている事だけだった。
下衆めとカノンは面従腹背をしながらシュナイゼル?に従う。
そう……自分を救ってくれたシュナイゼルに恩を返す為に………
カノン・マルティーニはブリタニアのマルティーニ伯爵家の長男として生まれた。
長男と言っても姉が三人いて、化粧だの美容だのは姉や母から教わった。
昔馴染みのノネットも少年時代に出会って、領同士が隣な事もあって、よく遊んだものだ。
彼が変わったのは自宅学習から帝都ペンドラゴンにある貴族学校の高等部に入学した時に
お前、女みたいなやつだなぁ〜
と同級生のイジメのターゲットとなった。
しかし、カノンは見た目こそなよなよとしていたが、幼少期とは言えラウンズであるノネットと一緒に遊んでいたのだ。
その身体能力は15歳以下の子供の中では飛び抜けており、いじめっ子を殴り飛ばした。
それから数年、成績優秀ながらも気性の荒く誰にでも喧嘩を売る悪童となった。
そこを監督生であったシュナイゼルが止め、喧嘩となるもシュナイゼルの愛の鞭(物理)に敗れたカノンは、シュナイゼルの虚無を知り、そして彼がどう生きていくのかが見たくなり、シュナイゼルの部下となった。
尚、カノンやコーネリア達より一つ年上のノネットは軍学校に入り
兵隊は走るのが仕事!ついてこーい!!
と、わんぱくダッシュしていた。
そして、今。
カノンはシュナイゼル?に銃を向ける。
「どういうことだい?カノン」
「あら。それは貴方自身がご存知の筈でしょう。
シュナイゼルに銃を向けたカノンに周りが騒めく。
中にはギアスか?と呟く者もいて、銃を引き抜こうとするもカノンに「動かないで!」と釘を刺される。
「ジョン・ドゥ?何の事かな?もしや、ルルーシュのギアスに……「あら、そのギアスと言うのは目を合わせなければ意味がないのでは?「?!」
シュナイゼル?の言にカノンはハッタリをかます。
ハッタリと言っても幾らかの報告と証拠からの推察。
「貴方がシュナイゼル様ではない事は分かっているのよ!シュナイゼル様を返しなさい!!」
カノンの言葉に周りは動揺する。ディートハルトもだ。
そして、
「……カノン……」
「観念したのかしら?」
「一体いつから……」
「はっきり分かったのは「違うよ……」えっ?」
「一体いつから……バレた時の対策をしていないと錯覚していた?」
パァン!
シュナイゼル?の言葉と共にカノンの腹部に紅い華が開く。
撃たれたのだ。撃ったのはカノンと同じシュナイゼルに仕える者だ。
しかし、その目にはギアスの様な赤い輝きと「シュナイゼル様に逆らう者は死を」と小さく呟いていた。
「残念だよ。カノン」
シュナイゼルは懐から銃を取り出して、カノンに向ける。
「君は私(シュナイゼル)を裏切らないと思っていたのに……」
そして引き金を引く瞬間、
「シッ」
しかし、カノンは腰に隠していた鞭で反撃し、シュナイゼルの手から銃を弾いた。
そして、一目散に逃げ出す。
血痕を残しながら、
「………追え!追うんだ!!」
親衛隊の言葉に周りのオペレーターが警備の人間に指示を出す。
シュナイゼルはカノンが出たドアを忌々しげに見ていた。
そして、ディートハルトはシュナイゼルを冷ややかな目で見ていた。
ダモクレス後方 クランベリー艦橋
ナイトオブラウンズの一人、
ナイトオブナインのノネット・エニアグラムはカノンの命令でダモクレスのはるか後方にいた。
「何やってんだい!シュナイゼル殿下は!!」
ノネットはシュナイゼルの行った特攻兵器に対して憤慨していた。
そして、それは彼女に従うグリンダ騎士団の面々もだ。
もうこうなったら、全部捨てて帰ってやろうかと考えていると、
「……!
エニアグラム卿!ダモクレスから通信が!」
「拒否しな!私等は此処から去る!」
「えっ?あの!?その!?わっ、わかりました!!」
クランベリーオペレーターエリシアがノネットの言葉を無視して通信を繋げてしまう。
「ちょっと!何を………」
ノネットはエリシアを叱責しようとしたが、通信を見て驚く。
「ノネ…ット……」
「カノン!?どうして……そんな……」
ノネットが見たのは腹や左肩、顔から血を吹き出しているカノンが居た。
「ごめん…なさいね。実は…」
カノンは話す。シュナイゼルの中身が別人になっている事を、ギアスと思わしき人を操る能力を持っている事を、そして全てを伝えると、ゆっくりとコンソールに手をつける。
「私からの最後のお願い……聞いてくれるわね」
「分かった!分かったから待っていろ!直ぐに助けに「無理…よ…」
後ろからはドアを開けようとバーナーか何かで鍵が焼き切られていく。
「ナナリー様のこと……頼んだわよ……」
それを最後に通信は切られた。
「あのバカ……」
ノネットの言葉が艦橋の中に重く響く。
ダモクレスの通信室の中では最後の命を振り絞りながらカノンがコンピューターを操作していく。
その間にもドアが焼き切られていく。
「ふふっ……ノネット……私ね……貴方のこと………好き……だった……のよ……」
カノンがエンターキーを押すのとドアが開き、カノンの身体から再び紅い華が咲くのは同時だった。
「あのバカ……」
ノネットの言葉が艦橋に重く響く……と
グリンダ騎士団のメンバーはノネットの後ろに立つ。
「ノネットさん!我々に出撃の許可を!」
そう言い放つのはマリーベルの筆頭騎士オルドリン・ジヴォンだ。
「………良し!我々はシュナイゼル……いや、シュナイゼルに成り変わった奴を討ち!ナナリー様を救う!総員!KMFに騎乗用意!!」
「「「「イエス マイロード!」」」」
視線を戦場に戻すと、黒の騎士団側もブリタニア側も士気は最早ボロボロであった。
ブリタニア側は元々高くは無かったのに加えて、特攻兵器が、
黒の騎士団側はEUの裏切りで疑心暗鬼となり日本人と中華と各々の国家の人間同士で円陣を組みながら遠距離を中心とした攻撃をしていた。
中にはKMFで逃げ出したり、脱出機構を作動させて逃げる者が出てくる。
このままでは負けると誰もが思っていた。
しかし、
『陛下!アンチ・フレイヤ及びフレイヤが発するエネルギー波長を解析してどの機体にフレイヤが付けられているか分かりました!』
ニーナからの通信が入る。
「良し!直ぐにそのデータを各機に転送!反撃に出る!」
ルルーシュはセシルに指示を出し、EU軍が富士山方面を通過しようとしていたため、本来ならダモクレスに対して使おうとしていた策を使おうとすると、
シュナイゼル軍の後方から赤黒い輝きがシュナイゼル軍のフレイヤを積んだKMFを破壊していく。
「あれは?」
「ギガ・ハドロンランチャーだねぇ〜、っと言うことは?」
『ルルーシュ陛下!ナイトオブナインのノネット・エニアグラムです。陛下にご報告したい事が!』
「何っ?」
ルルーシュはこの場で、ノネットが通信を入れてくる事にも裏切ってくる事にも理解ができなかった。
尚、ユーロブリタニアとEU軍は雑に富士山爆破(杉山達はとうの昔に撤収済み)で倒されていった。
そしてルルーシュ達は衝撃的な話を聞いた。
次回エピローグファイナル ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが望む!
EUに関してはこんなイメージを作者は抱いています。
レジスタンスのマドリードの星のフェルナンド・ノリエガの様にマトモな個人は居ますが、
大半が世紀末(悪人系)にいそうな精神をしている。
そして、シュナイゼルの稚拙さを転生者の責任にしてみた。