ミソラ三中の番長 作:箱の中の破壊神
「……全然ダメッスねぇ。」
「例の番長の名前出した瞬間に逃げられますからね。これは骨が折れる……。」
「ウダウダ言ってんじゃないよ!ユナちゃんの学校生活がかかっているんだよ!?八神さんはああ言ってたけど、少しは痛い目見て自重させないと—。」
「ねぇねぇ、もしかしなくても都森くんのこと探してたり?」
学校が終わり、いつものように空き教室に寄るが今日は早めに出た。そこからゲーセン行ったり、LBX専門店舗に行ったりするのだが今日は別のルートを歩いていた。
何故いつもと違った行動を取っているのか?それは後ろのユウキとムツキ……の更に後ろにいる人物のせいである。
「…………志島、一つ聞く。なんでオレ達ストーキングしてるの?」
「達、は適切じゃない。私の標的は都森マスミのみ。」
そう、昨日LBXバトルをした新入生・志島ユナが放課後からずっとついてきているからだ。
「あれ?LBXバトルに誘ってたわけじゃないんだ。」
「じゃあ、今度はオレ達が。」
「やめろバカ。……で、なんでついてきてるわけ?」
「ただ闇雲に戦うのは効率が悪い。猶予が十分にあるなら情報収集が先決、そのために普段の行動の把握を行うことにした。」
なるほど、こちらが提示した一年というリミットを最大限に活かしてくるスタイルか。
普通に怖ぇよ。オレこの子にそこまでさせるほどなにかしたか……?
「わかったわかった。ユウキ、ムツキ、とりあえず放置だ。オレの自業自得みたいな節あるし。」
「ぶー、やりたかったのになー。」
「……さっき都森くん嗅ぎ回ってるヤツら潰したから、それで我慢。」
それで途中姿が見えなかったのか。ありがたくはあるけど、それでオレどころかコイツらが恨みを買われまくってるのは心配だ。
いや前言撤回、オレが狙われるようになったの大抵コイツらのとばっちりだったわ。恨みの肩棒担がされてる側じゃねぇか。一瞬でも心配したオレがバカだった。
「……さて、どこ行くか。あまり来ない通りまで足運んじまったからな。」
「え、目的地無かったの?」
「……以外。」
むしろオマエら考えてなさすぎな?オレに対する頭のネジも消し飛んでるのか?謎すぎる。
「オイ、なんでテメェらがここにいやがる。」
「……ただの偶然だ。ここはオマエらの縄張りかなにかだったか?」
行き先に悩んでいると、向こう側からミソラ二中の番長・
オレと同じ番長ということで三中でもその名は広まっており、戦った相手のLBXを破壊することから『地獄の破壊神』という異名まで付けられているほどの実力者である。
ちなみにその後ろには郷田の取り巻きである図体のデカい
「なんだいアンタ?郷田さんにそんな口聞いてタダで済むとムゴゴ。」
「やめとけリコ!アイツはミソラ三中の番長だ。」
「都森マスミ、『影の暴君』とも呼ばれてるでごわす。」
リコと呼ばれた少女がオレに突っかかるが、ギンジとテツオが口を塞ぎながら下がらせる。
「……新顔が、増えてるな。」
「どうする?
「上等じゃないか!やってやムゴォ!?」
「だからやめとけって!」
「ソイツらはもっとヤバいでごわす!」
今度はムツキとユウキに対し再度突っかかるリコだが、より血相を変えたギンジとテツオに引っ捕らえられてしまう。コイツら、去年ユウキ達に酷い目遭わされてるからなぁ……。
「あ、ここの
「そんなに美味いのか?」
コイツらホント奔放過ぎる。一回でいいから郷田のとこのヤツらと取り替えて欲しいわ。
「とぼけんな、オマエらがこんなとこに来る理由なんてアングラビシダス以外にねぇだろ。」
「……あ、あんぐ……
「
いや知らない、初耳。ってかオマエら、知らないことになると急にアホの子になるじゃん。なんだよアングラービジンマスって。
「なんだ知らなかったのかよ……。いいか、アングラビシダスってのはな—。」
ご丁寧にアングラビシダスとは何かを郷田が説明してくれた。どうやらLBXの大会の名前だったようで、アンリミテッドレギュレーション採用の1on1トーナメントらしい。そして他とは違う最大の特徴として、
アンリミテッド以外のレギュレーションで禁止されているスタングレネード等のバトルアイテムは愚か、違法改造もアリの完全無法。絶対参加したくない。
「ま、これ以上は見たほうが早いだろ。」
そう言った郷田はすぐ側にあった喫茶店・ブルーキャッツへと入っていく。それに都森含め7人も追従する。
どんなところなのかと入ってみれば、どこにでもありそうな喫茶店の内装で特にLBXバトルがやれそうなところは見当たらない。
「いらっしゃい。珍しく大所帯だな、郷田。」
「半分は別の中学のヤツらだけどな。エントリーする前にスパーリング見させてもらうぜ。」
「好きにしろ。」
喫茶店のマスターと思われる人物と数度言葉を交わした郷田は、如何にも従業員専用っぽい扉に手をかける。その先には下へ続く階段があり—。
「この先がアングラビシダスの会場だ。」
「……なんで喫茶店の地下に?」
「さて、なんでだろうな?」
確実に何か知ってそうな言い方だが、特に詮索することでもないのでそのまま階段を降りる。
そうしてアングラビシダス会場に着いた時最初に目に入ったのは、世紀末ファッションの集団だった。
「おん?おいガキ、こんなところに何の用だ?」
「ここはオマエみたいなケツの青いヤツが来る場所じゃねぇんだよ。わかったらママのとこに帰りな。」
裏大会の主戦場だけあって結構な歓迎だ。ママのとこに帰れと言われても、一人暮らしなんだが……。
「ソイツはオレの紹介で連れてきた。ミソラ三中のヤツだがな。」
「なんだ郷田じゃねぇか!こりゃまたゾロゾロ連れてきたな!」
「半分はコイツの連れだよ。わかったら通してくれ。」
後から出てきた郷田が仲介に入る。めんどくさかったから助かった。
「都森くん、都森くん!あそこでLBXバトルしてる!」
「結構、人多い……滾る。」
オレと違ってこの二人はかなり適正ありそうだ。なんせグレネード持ってそのまま特攻するほどのクレイジー脳だし。
そんなわけで問題起こしやすい二人から目を離すわけにも行かないので、一緒にLBXバトルを観戦することにした。
「あ!都森くん、あそこあそこ!アレ見て!倒したLBXの首刎ねてるよ!」
「そんな猟奇的なプレイするヤツいるのかよこ……こ?」
そこで戦っているLBX。いや、それを操っているプレイヤーが目に入り、表情が固まる。
「あん?どうした都森、そんな顔しやがって。まさか、スパーリング程度で怖気づいたか?」
「…………な、なぁ、郷田クン。キミ、ここの常連、なんだよね?あそこで戦ってる大柄の人の事知らないかな?」
「なんだ急に気持ち悪い喋り方しやがって。……アイツは首狩りガトー、その名の通りLBXの首を刎ねるパフォーマンスで会場を沸かせるアングラビシダスでも人気のLBXプレイヤーだ。で、そいつがどうかしたのか?」
首狩りガトー、入り口で見たヤツらと同じ世紀末ファッションに身を包んだ大男。初対面の者にすら十分な威圧感を与える風貌、なのだが……。
なんか、ものすご〜く見覚えあるような、同じような体格と肌色の人間に普段絡まれてるような、なんなら声も聞いたことあるような……。
アレ、
加藤國昭とは借りの名、その正体はアングラビシダス1回戦でバンと戦ったあの首狩りガトーだったのだ!
ちなみに首狩りガトー→ガトー首狩り→カトーくひかり→かとうくにあき、と結構適当に名づけてたり。ひとまずこの世界線での表の顔はミソラ三中の教師ということで。