今日はスタジオに用があったために朝から事務所ではなく、スタジオに来ていた。今日は少し遅れそうだったのでバイクで急いで来た。駅まで行っている時間がもったいない。
用を終えて帰ろうと歩いていると見知った人が反対方向からこっちに歩いてきた。
「そらさん」
「あ、社員さん!」
「今日はこのスタジオで撮影ですか?」
「はい!」
いつ見てもそらさんは本当に笑顔が似合う人だ。初めて会った時も笑顔で話し掛けてくれたことを僕は忘れない。あの頃の僕はホロメンの方々の扱いを非常に困っていた。入社したばっかりの事もあってこっちから挨拶しに行ったら迷惑かなとか…。今から思えば、いらぬ心配だったけどね。
「頑張ってくださいね」
「はい!頑張ります!!」
そらさんを見送ってからスタジオを出てバイクにエンジンを掛けたのとほぼ同時にスタジオの入口から駆け足でそらさんが出てきた。それにさっきのそらさんより明らかに焦っているのが見て分かるほど。
「どうしたんですか?何かありましたか?」
「あ、はい…。スタジオを間違えてしまって…」
「え?」
「今日かなり余裕をもって家を出たんですけど…どうやらスタジオの場所を間違えていたみたいで。今からタクシーを呼んでも間に合わないし、駅まで行ってたら絶対に無理だし…」
そらさんの話を聞く限り、このままだったら確実に時間に間に合わない。
ここで僕がしなくてはいけないのは―――――
「じゃあ、送っていきますよ」
「え?」
「今からバイクで飛ばせば間に合うと思いますし。それにホロライブのスタッフとしてほっとく訳にもいかないので。スタジオの方には少し遅れるかもしれないと僕の方から謝っておくので」
一応、連絡は入れておかないと相手が心配してしまうかもしれないので。そしてすぐに僕はスタジオに連絡を入れて遅れるかもしれないということだけ伝えた。
「連絡の方は済みましたので急いで行きましょう。そらさんに遅刻させる訳にもいかないので。ヘルメット被ってください」
「社員さんも仕事があるんじゃないですか?」
こんな時まで僕のことを心配してくれるのがそらさんらしいですね。でも、こういう状況では自分の心配を一番して欲しいけど。
「そこら辺は大丈夫です。後で謝れば済みますから」
そしてそらさんが戸惑いながらもバイクに乗ったのを確認してから発信させる。
「嫌かもしれないんですけど、念のために僕に掴まってください」
「う、うん!」
それから勢いよくバイクを飛ばして僕とそらさんはスタジオに向かった。
そしてどうにか遅刻ギリギリではあるものの着くことが出来た。
「気を付けて行って来てください。ギリギリですけど、間に合ってよかったです」
「あ、ありがとうございました!」
僕はそらさんがスタジオに入っていくのを見届けてから事務所へとバイクを飛ばした。