今日は有給休暇を取って三連休の一日目。会社の方からほぼ無理矢理に休まさせられた。さすがにずっと働かせているとそれは会社として問題になってしまう
んだろう。でも、本当に休日の度に考えているけど、何をすればいいのだろうか。温泉旅行でも計画しておけば良かったかも。急に出来た休みだしな……。
インターホンが鳴る音が部屋中に響いた。宅配でも来たのかなと思って玄関まで行き、ドアを開けるとそこには僕の予想とは全然違う人たちがいた。
「社員様~~」
「社員さんのオムライスは本当に美味しんだよ」
「そ、そうなのか。だったら余も食べてみたいな」
「……あてぃしもたべたい!!」
「急に押し掛けちゃってすいませんね、社員さん」
そこにはホロライブ二期生と呼ばれている人たちが勢揃いしていた。僕もドアを開けて飛び込んできた光景に唖然としてしまって言葉を失った。
するとそんな喋らない僕を疑問に思ったのか、二期生の中の一人の百鬼さんが僕の体を揺さぶってきた。
「は!な、なんでここにいるんですか?」
「今日、二期生が珍しく集まったので社員さんの家に行こうって事になったの」
紫咲さんは別に当たり前のように話した。本当にただ話しているだけで周りの二期生の人たちもそれに補足を入れたりもしていない。もしかして僕がおかしいのかと思ってしまうほど。
「え、それだけの理由ですか!?なにか特殊な事があってこうなっているのではなくて普通に集まって僕の家に来たんですか?」
「うん」
それからさすがにこのまま炎天下の中でずっと外で話をしている訳にもいかず、中に入ってもらうことにした。
「本当になんで来たんですか?」
「本当にそれに関してはスバルから謝る。本当にすんません!!」
「あ、あたまをあげてください!!大空さん!まずは事情を教えてください」
「今日は元々、二期生全員が同じスタジオで仕事があったんです。珍しく全員が集まったし、食事でも食べよう見たいな話になってそしたらシオンが「社員さんのオムライスがとっても美味しかった」っていう話を初めて、そしてどんどんそれが過熱していってこういうことになってしまいました。スバルは一生懸命止めたんすけど、無理でした」
大空さんは多分、僕に迷惑を掛けるし、二期生が折角集まったんだから五人で食事をしたかったんだと思う。
「いや、大空さんが謝ることではないですよ。こうなってしまったのは僕が紫咲さんに料理を振舞ったことも理由みたいですし」
来てしまった以上は追い返すことなんて出来ないですし。でも一つの救いとしては休み中は出歩かないだろうと思って材料を買い込んでおいてよかった。
「皆さん、お腹は空いていますか?」
「だ、だいじょうぶだよ」
「余も」
「シオンも」
「スバルも」
「ちょこも」
時間的には昼時だからお腹が空いていると思っていたけど、何か食べてきたのかも。だとしたら作るのは自分の昼食だけで大丈夫ということか。だったらすぐに食べれるようなものでいい。
「それでは簡単に昼食を作るので皆さんはリビングでゲームでもしていてください」
そしてキッチンへと足を踏み込もうとしたのと同時に誰かのお腹が鳴ったのが聞こえてきた。
「………///」
後ろを振り向くと五人の中で一人……湊さんの頬が赤く染まっていた。そこまで顔に出てしまうと聞くまでもなく分かってしまう。
「あ、あの…湊さん。オムライスでも作りましょうか?」
「………」
湊さんは無言なままだけど、首を静かに縦に振った。女性が男性にお腹の音を聞かれるのはとっても恥ずかしいことなのだろう。今はほっとくのが一番いいですね。
そしてキッチンに行くと冷蔵庫の中を確認してオムライス作りの取り掛かった。最近、オムライスに関してはよく作るので手際も良くなって出来上がるまでの時間はかなり短縮出来るようになった。
「出来上がりました。どうぞ、召し上がってください」
「わぁぁ~~」
オムライスを見て湊さんの目がキラキラしていたので、それだけでも作ってよかったなと思った。まだ食べていないから湊さんの口に合わないかもしれないけど。
「食べてみてください。感想は正直に言ってくれて大丈夫です」
湊さんはスプーンでオムライスをのせて口へと運ぶ。そして数回租借してすぐにこっちへと視線を向けた。
「おいしい!とっても美味しいです!!これ社員さんが作ったんですよね?」
急に距離を詰めてきたので僕はたじろいでしまった。今さっきまで湊さんは大空さんの近くで僕とあんまり目を合わなかったりしたから。
「あ、はい…。僕が作った料理です……」
「すっごく美味しいです!」
「は、はい。ありがとうございます。そこまで褒めて頂けるとは」
そこまで褒めてくれると作った甲斐がありますね。シオンさんにはオムライスを振舞いましたが、元々一人暮らしだから誰かに食事を振舞うなんて事はあんまりない。
自分が食べられるものであれば何でもよかった。でも、こんな風に誰かに振舞って『美味しい』と言われるのがここまで嬉しい事を知れたのもホロメンの方々と出会ったからこそですね。
「あくあがそこまで言うなんて…」
「だから言ったでしょ。シオンは。社員さんのオムライスはとっても美味しいの」
「余も!あくあちゃんと同じオムライスを作ってくれないか?」
ここまで自分のオムライスが好評だとは思いもしなかった。
「大丈夫ですよ。それなら皆さんの分を作りますよ」
それから僕は残りの四人と自分の分の料理を作るのであった。