少しずつではあるが仕事に慣れ始めてきた頃。あんまり『Vtuber』に関しての知識もなかった自分が少しずつではあるが、『Vtuber』について学んでいる。特にホロライブに所属している人たちの配信を少しだが見えるようになった。自分たちがサポートをしている人がどのような人なのかを知りたくなって。
そして今は昼食の時刻。カバー株式会社の中にある食堂で食事をとるのが最近は普通になっている。出社前にどこかで昼食を買ってきてもいいけど、ここの食堂は値段の割にとても美味しい。 だから、最近はここで昼食をとっている。なぜか今日は食事が進まない。その理由は実に簡単で僕の目の前に座っている人がずっとこちらを見て来る。
「どうしたんですか?」
その人物は首を傾げながらこちらに聞いてくる。僕って何か癇に障るようなことをしちゃったのかな。でも、白上さんと話すのは今日が初めてのはずなんだけどな。
「いや、どうしたんですかとかではなくてですね。何で僕の前の座っているのかをお聞きにしたいんですが」
「別におかしくないですよ。白上もここで食事をしようと思っただけです」
食堂は広いこともあって僕の周辺は全然空いている。その中でも僕の目の前に座ったということは何か理由があると思うんだけど。それとも僕が自意識過剰なだけかも。それだとしたらとても恥ずかしい。
「たくさん席が空いてますから、ここじゃなくても」
「別にここに座ってもいいじゃないですか?それとも嫌ですか?」
そんな風に言われたら僕は何も言えない。別に嫌というわけではなく不気味なだけで。
「別に嫌という訳ではないんですが、白上さんと一緒だと緊張してしまって」
「え~緊張することなんてありませんよ。同じホロライブの一員じゃないですか?」
「いや、僕はシステム側ですし、まだ入社したばっかでそんな大したことは出来ていないですし」
「そんなことないです。私たちが問題なく、配信を行えているのも運営さんが色々とやってくれているからですからね」
そう言ってくださるのはとても嬉しい。でも、それは新入社員の僕ではなく、もっと長く支えてくれている人たちに言ってあげた方が。
「それは嬉しいんですが、なんで僕の目の前に座っているのかという問題がまだ解決していないんです」
「…そんなに知りたいですか?」
「は、はい」
「昨日、ここで昼食を食べていましたよね?」
「はい、食べましたよ」
「その時に何かを見てましたよね…」
何かを見ていた………ってまさか。
「…え……も、もしかして見てたんですか?」
「はい。見てましたよ。キミが私の動画を見ていたのも」
少しでも知ろうと思って昼食の時間も見ていたのが仇になった。まさか本人に後ろから見られていたなんて……恥ずかしい。
「………///」
「顔を赤くしちゃって可愛いですね。でも、私は嬉しかったですよ。動画を見ている時にキミは「面白い」とか「可愛い」とか言ってくれていたので」
「そんなこと言ってました!?」
「言ってましたよ」
僕ってもしかして無意識に喋っちゃっていたなんて。
「そ、それは忘れてください!」
「忘れられませんよ」
それから僕は白上さんに散々からかわれた。