「よろしくお願いします!」
「あ、はい。こちらこそよろしくお願いしますね。それにしてもそんなに緊張しなくて大丈夫ですよ」
「で、でも、こういう事をするのは初めてで...」
僕は本来、こんな仕事をすることはない。大神さんのマネージャーさんが暑さでダウンしてしまっていたらしく代わりの人を立てることになり、なぜか僕に白羽の矢が立ってしまったらしい。今でも何で全然違う部署で働いている僕が大神さんのマネージャーの代行という重要な仕事をやることになるのか分かっていない。
「私の方が社員さんに謝らなくちゃいけないことがあるんです」
「謝ること?」
「あ、あの時は本当にすみませんでした!なんか急に飲み物を飲んだら頭がボーっとしちゃって社員さんに色々と迷惑を掛けてしまって…」
「あ、あのことは別に気にしないでくださいよ。あれはあのドリンクが悪いんです。大神さんがやりたくてあんな事をした訳ではないんですから」
「で、でも…」
「良いんです。大神さんとしてはあんな姿を僕に見せたのは嫌かもしれませんが、僕は少し普段は見れない大神さんが見れたので良かったですよ」
こんなことを言ったら気持ち悪いと思われるかもしれないけど。
「わ、わすれてください!!あれは私じゃなくて…ドリンクの影響で」
「分かっていますよ。だからそんなに気にしなくて大丈夫ですから。あんまり気負わないでください」
本当にあれに関しては誰かのせいという訳ではないので、誰も攻められない。唯一、あの状況を作った、僕のデスクの上に置いた人には文句を言いたいけど。
「そ、そうですか…? 社員さんがそう言ってくれるなら」
「はい。あれは大神さんのせいじゃないですし」
そして話しているとあの時に大神さんの頭を撫でてしまったことを思いだした。白上さんというか…ゲーマーズの皆さんは全員、獣人だからとっても触り心地がいい。すると自然と僕の右手が大神さんの頭にのせて撫でてしまっていた。
「あ、ごめんなさい!!急に頭を撫でたりなんかしちゃって」
急いで手をどかした。大神さんは俯いてしまっていて表情が見えないけど、怒っていると思う。急に頭を撫でられたら誰だって不快に感じてしまうはずだ。それに見ず知らずとはいかなくても、自分のような人に撫でられるのは本当に嫌だろう。
「…………」
「本当にごめんなさい。ちょっと触ってみたくて…」
「べ、べつにだいじょうぶですよ……」
「ごめんなさい!なんか触り心地が良かったので触ってみたいと思ったので…触ってしまいました」
「だ、だいじょうぶ…です」
大神さんは少し顔を俯きながら答えてくれたけど……申し訳ない。
それからお互いに前のように戻るのには少し時間が掛かった。それとマネージャー業というのは本当に大変だなと感じた日々だった。