今日もいつものように仕事をして家に帰り眠りに落ちた。寝てから2時間もしない内に携帯の音で起こされる。全然、意識もはっきりしないまんま。
「は……は…い。ど…んなごよう…ですか?」
「社員さん!!助けてください!」
「え、ど、どうしたんですか!?」
急に宝鐘さんの必死な声が聞こえてきたので目が覚めてしまった。
「あ、あの…眠れなくなっちゃったんです…」
「え?」
「…ホラーゲームが怖くて眠れなくなっちゃったんです…」
自分が予想していたよりも平和な悩みで急に脱力が襲ってきた。あの鬼気迫るような声を聞いて体に妙な緊張感が走った。
「な、なんだ…。そういうことですか」
「そういうことじゃないですよ。マリンは怖くて眠れなくなっちゃったんですよ!」
「いや、事件性のあるような声だったので何か起こったのかと思ってしまいましたよ。でもよかったんです。そんな平和な悩みで…」
「ぜんぜん平和じゃないですよ!!明日だって昼頃から収録があるので全然寝れないんですよ!」
「そうですね……じゃあ、怖さを紛らわすためにも僕と世間話でもしませんか?その方が一旦、落ち着いて眠れると思いますし」
「…うん。で、でも!!絶対にマリンより先に寝ないでくださいよ!!」
「は、はい。分かっていますよ。でも、宝鐘さんもホラーゲームがダメなんですね」
「…こ、こんかいのはすっごく怖かったんです」
「そうなんですか。じゃあ、ホラーゲーム自体は大丈夫なんですか?」
「……だめな方かも…」
「それなら今日やるべきではなかったですね」
「で、でも…あんまえいホラーやってなかったし…やった方がいいかなと思って」
それからも色々と話したりして、僕は宝鐘さんへ想っていることを口にした。
「でも、宝鐘さんってすごいですよね。これは聞き流してくれても構わないですよ。僕の独り言のようなものなので。僕がまだ入社したての頃に元気よく話し掛けてくれたのも宝鐘さんでした。本当にあの明るさには助けられました。いつもホロメンの方々のことを気にしてくれているのを知っています。もしかしたら僕たちよりもホロメンのことを想っている人かもしれませんね。だからたまには休んでください。自分を酷使しないように自分のペースで頑張ってくださいね。僕たちは宝鐘さんたちが楽しく活動出来るように全力を尽くすので」
一旦、話すのを止めると宝鐘さんの声が消えなくなったことに気付いた。
「ねましたか?」
「……すぅ……」
寝息が聞こえてくるのを確認して僕は通話を切る事にした。これで宝鐘さんも寝れたことだし、僕の責任は果たされた。
「ふぅ…あぶねぇ…。あのまま社員さんの話を聞き続けてたら逆に寝れなくなってたかも。頬もあついし、心臓もいつもより速い速度で鼓動を打っている。元々、褒められることに慣れていないのにあんなに褒められたら……頭がパンクしちゃうよ」
それからマリンは逆に寝れなくなっちゃって……その日は一睡もできなかった。朝の収録に行った時にひどいクマがあってホロメンに驚かれたのはまた別のお話。