「なんでこんなことに……?」
僕は洗面所で自分の姿を見て驚きを隠せずに唖然としてしまった。なぜなら、僕の頭からケモ耳のようなものが生えてきていた。僕って人間だよな…。
今日は休日なのですが、何人かのホロメンの人と会う約束になっている。
それは私的なことではなくて、何か相談があるようんだった。それなら自分以外の人に相談した方が良いんじゃないかと提案したけど、どうやら僕でないとダメらしい。
だからこそ、このケモ耳をどうにかしてでも隠さないと……。
食事をして身支度を整えて、ホロメンの人が来る前にどうにかしようとしていると玄関が開く音が聞こえてきた。予定されていた時間よりも早い到着に驚いた。
「社員さん~~いるか~~」
そして僕が見つかるのに時間は掛からなかった。
「社員…さ、ん」
「あ、」
「え…しゃいんさん、それはいったい…?」
「こ、これは……」
どう説明すればいいのだろうかと思考を巡らせていると百鬼さんは少しずつ歩みを進めて来る。
「か」
「か?」
「かわいい!!なにこのモフモフな耳~」
「や、やめてください……」
とってもくすぐったい。でも、そんな僕の気持ちと反対に百鬼さんはケモ耳を触る手が収まることなかった。
「モフモフ~~」
それから十分近くの間、僕は百鬼さんに好きなようにされた。
「百鬼さん、一回落ち着いて下さい!」
「も~~わかったよ。それにしても社員様は何でそんなおもちゃを付けてるの?」
「いや、これはおもちゃではなくて……本物なんです」
「え、社員さん、余をからかおうとしてもダメだぞ」
そう言って百鬼さんは僕の頭に生えている、ケモ耳を力強く引っ張った。
「いたたたたたた!!!」
「え、本当に抜けない」
「だからそう言ったじゃないですか。何でか分からないんですけど、朝起きたらケモ耳が生えていたんです」
まあ、そんなことを言っても誰も信じてくれないですよね。だから百鬼さんに納得してもらえるには体験してもらうのが一番だったのかも。
「そんなことあるのか……」
「そうなんです。到底信じられないような事なんですが、現実なんです」
「でも……社員さんの耳はとっても良い触り心地だったぞ!今まで余はフブキちゃんやミオちゃんもケモ耳も触れてきた。その中でも一番触り心地は良かったぞ」
なぜか、急に百鬼さんはそんなことを言い始めた。僕としては自分から生えているものの自分の体の一部という認識が少ない。
「それって褒められているんですか?それとも貶されているんでしょうか?」
「ほめてる、ほめてる!!」
「そうなんですか……」
そんな返事をすると百鬼さんの違和感に気付いた。なんでか、さっきから百鬼さんの視線が僕ではなくて少し上の方を向いている気がする。
「あの、百鬼さん?」
「あ、ああ、どうしたの?」
「もしかして…このケモ耳に触りたいとか思っていますか?」
「…………」
沈黙は肯定しているようなもの。だって視線が明らかに僕のケモ耳?に向いているんですから。
「別に触りたければ触っても良いですよ」
「ほ、ほんとか!?」
「はい。最初は急にやられたので驚きましたが、百鬼さんが触りたそうな顔をしているので…」
百鬼さんは再び、僕のケモ耳?を触り始めた。やっぱりケモ耳?を触れられるとなんかくすぐったい。それに耐えながらも…僕は百鬼さんに問いかけた。
「それでこのケモ耳どうしましょうか」
「帽子でもすれば隠せるんじゃないか?」
「確かにそれはありますね」
そんな相談をしていると玄関の開く音が聞こえてきた。普通だったら自分がカギを開けていないのにドアの開く音がしたら恐怖を覚えるかもしれない。でも、僕の家に関してはそれが当てはまらない。
「え、それ……」
「大空さんでしたか。おはようございます!」
「…どういう状況!?」
「これはですね……話すと少し長くなってしまったと思うんですが、いいですか?」
「この状況で何も状況説明がなされなかったらさすがにスバルもどうしたらいいか分からないですよ!」
それから僕はこうなっている経緯をなるべく簡単に話す。僕も何で自分にケモ耳のようなものが生えているのか理解できていないけど。
説明が終わって大空さんは全然納得できていないような感じだった。
「どういうこと!起きたらケモ耳が生えていたなんて」
「ウソみたいな話ですよね。僕も起きてから暫くの間は信じることが出来ませんでした。今も全然、信じられていないですけど、生えているので信じるしかないというか…」
そんな話をしている時も百鬼さんはずっとケモ耳を触っている。飽きることがないのかな。
「…ちょっと触ってもいいっすか?」
「いいですけど、あまり乱暴には触らないでくださいね。ケモ耳にも神経が生きわたっているようで触られるだけでくすぐったいので…」
「う、うん」
すると大空さんも恐る恐る、ケモ耳に触れた。
「わぁ…ほんとうにモフモフ…」
「スバルもやっぱりそう思うよね。とっても触り心地がいいんだ余~」
「うん。とってもいい~」
それから百鬼さんと大空さんはケモ耳をずっと触られ続けるのであった。