そして白上さんや夏色さんに色々なことをされて疲弊している僕を救ってくれたのは…猫又さんだった。スタッフさんとかが来るまでダメだと思っていたから猫又さんに救われて助かった。
「助けてくれてありがとうございます」
「ううん。ぼくは別に社員さんが困ってたから助けただけ…」
「それにしてもボクだって分かりましたね?この姿だと普通は別人だと思うのが普通だと思うのですが…」
女性の体であるためにボクだと一目で気付くのはかなり不可能な気がする。それぐらい見た目も変わっていると個人的には感じている。
「…すぐに分かったよ。だって輪郭の形とかも同じだったし、僕が社員さんの姿を見間違うなんて事はないと思うし」
「すごいですね…」
「僕たちが社員さんのことを見てるからね~~ころさん」
「うん!!」
「ひぇ!」
すると猫又さんの後ろから戌神さんが姿を現した。戌神さんが居たことは全く気付いていなかったので…結構驚いてしまった。
「驚き方も可愛いね、社員さん」
「それにしても女の子に体になっちゃった、社員さんも可愛いよね、おがゆ」
「そうだよね~~いつもの社員さんも良いけどこういう社員さんもいいよね。さっきもまつりちゃんとフブキちゃんに襲われている姿は正直とっても可愛かった。それに本人は止めて欲しいと思って懇願しているんだけどそれが興奮させるんだよ~」
ボクは本気で止めて欲しんですが…。そうじゃなかったらあんな風に必死に懇願なんかしないんですけど。
「…止めてくださいよ…。ボクとしては女性の体になってまだ混乱しているところもあるのでまさか白上さんや夏色さんが襲ってくるなんて…」
「そりゃあ、襲うよね?」
「襲うね。逆に襲わない方が無理な話だよね~」
「い、いや、なんでそんなに襲おうとするんですか!?」
「だってね~」
「うん」
二人で深呼吸をして同時に―――――
「「可愛いからね」」
この人たちは本当に何を言っているのだろうか。息を揃えて言うようなことでもない気がする。
「なにを言っているんですか?」
「だから可愛いの。元々社員さんは可愛い顔立ちをしていたからなんだけど、とっても魅力的な女性に移るんだよ」
「なんか襲いたくなるような子なんだよね~~ これは社員さん以外だったら全員が分かってくれるようなことだと思うけど」
「じゃあ…ころさん」
「うん!始めちゃおっか」
「?」
目の前の二人は急にアイコンタクトを取ってお互いに頷き合って僕に近づいて来る。なんか二人の目を見るとヤバい気がする。このままここにいると…僕はなんかヒドイ目に合う気がするのは気のせいかな。
「…ちょっとお二人とも怖いですよ……す、すこし距離を取ってくれませんか?」
ボクがいくらそう言っても二人の足は止まることなく、でも決して足取りは早い訳ではなくて一歩一歩噛みしめるように進んでくる。急に襲われるよりも何よりも怖い。
「だめだよぉ~~」
「そうだよ。こおねとおがゆから逃げようとしちゃだめだよ。社員さんはこれからころねとおがゆが可愛がってあげるからねぇ」
なんでさっきまで普通だった二人が急に白上さんと夏色さんのようにボクのことを襲おうとしてるんだ。正直、今はそんなことを冷静に考えられるようにいられないけど。
「……離れてください。本当にこれ以上近づいてこないでください!」
「だめだよぉ~離れて行っちゃ」
そんな二人から逃げるために少しずつ後ずさりをしていると…何かに接触をしてしまった。後ろを振り返るとそこには…大神さんが不思議そうな顔をしてボクと戌神さんと猫又さんを見ている。
「あ、みおしゃ!社員さんを逃がしちゃだめだよ」
「え、しゃいんさんってどこにいるの?」
大神さんは辺りを見渡し始めたが数秒もしない内になぜかボクのうなじの辺りで匂いを嗅いでいた。この人たちのこの行動は一体何なんだろう。本当にボクって独特の匂いでもしているのかなぁ…。もしかして臭いのかな。こんなに匂いを嗅がれると心配してしまう。
「え、おおかみさん!??」
「…社員さん!?」
「あ、はい…。そうなんですけど…もう説明すると色々と時間が長くなってしまうのでなんか起きたらこの体になっていたんです」
「…え、ど、どういうこと!???」
明らかに大神さんには理解できていないようで…腕組みをして悩んでいる。多分今の説明だけで納得するような答えを出すのは極めて難しいと思うんですけど。
でも、大神さんが悩んでいる間も猫又さんと戌神さんは本当に恐怖を煽っているのではないかと思ってしまうほどの遅いスピードで近づいて来ている。
「す、すいません!!大神さん!」
「な、なにぃ!???」
「あの二人が少しおかしいのでどうにかしてくださいませんか?」
「え、きゅうにそんなことを言われても……」
「どうにかお願いします」
ボクが必死にお願いをすると…大神さんにも何か伝わったのか、二人を止めるために動いてくれた。
「二人とも社員さんが困ってるから」
「だめだよぉ…みおしゃだって社員さんを見たでしょ。あんなに守ってあげないといけないと思わせるような社員さんをほっとく訳にはいかないよぉ。ころねとおがゆが守ってあげないと…」
「確かに社員さんはとても魅力的な女性に移るけど…社員さんが怖がっているし……」
「これは社員さんを守るためなんだよぉ。ミオちゃん」
「そ、そうなの?」
「「うん!!」」
「二人がそこまで言うなら……」
大神さんはどうやら二人の口車に乗ってしまったようだ。ボクは味方がいなくなってしまった。もう走って逃げるしかと考え始めたのと同時に後ろから何かに抱き着かれた。
「だめだよ。社員さんは白上のものだよ」
「え…白上さん…」
「さっきはおかゆところねに邪魔をされちゃったけど白上はまだ全然満足できていないんだよ。もっと社員さんのことを独占したいし。白上の色に社員さんを染め上げたいの」
「や、やめてください」
「そんな風に涙目で言われると余計にそそっちゃいますよ。そういうところを見せられると絶対に白上の色に染め上げたいという欲望がどんどん増していくんですよ。もう逃げ出せませんからね」
確かに猫又さんと戌神さんが近づいて来る。大神さんは少し離れたところから事の顛末を見守っている感じで白上さんはボクの腰辺りに抱き着いている。
そしてそれからの記憶は正直ない。自分が思いだしたくもなかったので自分の記憶から消したのかもしれない。でもボクに記憶がないのが事実。