新入社員とホロメン   作:主義

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新入社員と天音かなた

 

今日はアニメ好きや同人誌などが好きな人にとっては一番盛り上がる日。それはコミックマーケットが開かれる日。僕は今までコミックマーケットと呼ばれる者に参加したことはなかった。ではなんで僕が今回に限って訪れようと思ったのかと言うとそれは……天音さんに誘われたから。

 

 

天音さんのような有名な人がこういうところに来ていいのかと思ったけど、本人に聞くと『大丈夫、大丈夫』と言っていた。最初は天音さんに誘われたにも関わらず、断ろうと思っていた。僕はあんまりそういうものに興味もないから。

 

でも、もし僕が断ったとしても天音さんは一人でも行ってしまいそうな感じがした。それなら天音さんのことを見守るという形でも同行した方がいいという考えに至った。

 

 

 

 

「ご、ごめん……まったよね…はぁはぁ」

 

 

「大丈夫ですよ。僕も今さっき来たばかりなので…」

 

 

「ほ、ほんとうに…」

 

 

「本当ですよ。まだ時間もありますし。だから、まずは息をと問えてからゆっくりと行きましょう」

 

ここで変に急いだとしても疲れが増すだけ。それにしても辺りを見回して人の数に驚く。初めて来るから分からなかったけど、こんなに人が集まる物なんですね。

 

 

「それにしても何で僕を誘ってくれたんですか?」

 

 

「社員さんなら行ってくれるかな~と思って。それにボクってあんまり社員さんと話すことなかったし。こういう風に二人きりで話してみたかった」

 

 

「そうなんですか?」

 

 

「だって他のホロメンは社員さんと話したりしているじゃないですか?」

 

 

「そ、そうかな?普通じゃないですか、特にホロメンの方々と親しい訳じゃないと思いますよ」

 

 

「ぜったいにホロメンの人に好かれてますよ!!」

 

何故か、天音さんは少し食い気味だった。もしかして他のホロメンの人や同僚にそんな風に思われているのかな。ちょっとホロメンの方々との接し方を考えた方がいいのかも。僕はあくまで裏方に過ぎない。

 

 

「…そうじゃないと思うけど…」

 

そんな話を繰り返しながら僕と天音さんはコミケの列に並びながら入れる時を待っている。そしてやっとその日が訪れた。

 

 

 

「天音さん」

 

 

「なんですか?」

 

 

「これを被ってください」

 

 

「え、帽子ですか?」

 

 

「そうです。天音さんも有名人なのでバレないための対策として。まあ、気休めのようなものですから」

 

帽子を被ったからと言って絶対にバレない訳ではないが、少しぐらいのバレる可能性を減らせるかも。

 

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

「お礼を言われるようなことではないですよ。タレントさんを守るのがスタッフの仕事ですから」

 

 

「……こういう気を使えるところなのか…」

 

 

「何がですか?」

 

 

「あ、何でもないです。ただの独り言ですよ」

 

初めてこういうところに来たけど本当に盛り上がっている。何というか熱気が伝わって来るというのはこういうことを言うんだろうな。

 

「すごいですね」

 

 

「社員さんは初めてだっけ?」

 

 

「はい。こういうところに来るのも初めてです。だからかなり純粋に驚いていますよ」

 

 

「…確かに初めて来た人は驚くかもね。只でさえも外が熱いのに…屋内もかなりの熱気だよね」

 

 

「はい。初めて来たけど本当にすごいですね」

 

 

「そうだよね」

 

そんな話をしながら歩いていると誰かが…こんなことを話しだしだのが聞こえだした。

 

 

「あれって…天音かなたじゃね」

 

 

「そんな訳ないだろ」

 

 

「いや、絶対に天音かなただって」

 

そんな風な話が聞こえだしている時点でかなりヤバい。さすがにこんなところでバレれば色々な意味で問題になる。天音かなたとバレて一緒に男が居ただなんて情報が流れたら天音さんの今後の活動に色々と問題になる。だからここはどうにかしてでも避けなければならない。幸い、隣の天音さんにはさっきの人の会話を聞こえてなかったようだ。

 

 

「天音さん」

 

 

「どうしたの?」

 

 

「ちょっとこっちに来てください」

 

天音さんの手を握ってちょっと離れた場所に付いていった。そして後ろから足音が聞こえて来るところから見ても絶対に先の人たちが僕たちのことを付けているんだろう。

 

 

ここでバレないようにするには――――――――――

 

 

 

「しばらくの間、何も話さないでください」

 

 

「え……」

 

そして僕は天音さんの口を右手で塞いで壁ドンをしてなるべく密着した。天音さんは嫌かもしれないがここで声を出されると天音さんだと気付かれてしまう。

 

 

「なんだ、ただのリア充カップルか」

 

 

「行こうぜ」

 

そんな捨て台詞のようなものを残して去っていった。さすがにここまですれば天音さんとは思わないだろうというただの賭けをした結果。

 

「はぁ…よかったです…ってあ、すいませんね。天音さん」

 

 

「………///」

 

 

「少し顔が赤いですよ。大丈夫ですか!??」

 

さすがに外の温度もかなり高いし、熱中症になったとしてもおかしくない温度。暑さ対策はしているもののそれが絶対に熱中症にならない訳ではないですし。

 

 

「だ、だいじょうぶです……」

 

 

「本当に大丈夫ですか!?」

 

 

「は、はい…それで社員さんはな、なんで…かべどん…なんか?」

 

 

「あ、その説明を全然してなかったですね。天音さんのことがバレそうになっていたのでこんな事をすれば只のカップルがイチャイチャしていると思わせて…天音さんだったらこんなことをしない見たいなところを狙ってみたんです。それだったら離れてくれるかなと思ったので。さすがにこのままずっと怪しまれ続けるといつかバレてしまいそうだったので」

 

 

「…そ、そう…」

 

明らかに何かに動揺しているような気はするものの、天音さんはマーケットに戻ろうとしているので僕はそれを追いかけた。そして最終的には…無事に楽しんで終えることが出来た。

 

 

 

 

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