僕の目の前に映る光景に驚きを隠せない。でも、これは僕じゃなかったとしても…驚くのは間違いない。そして少し刺激臭のような香りと生臭い匂いが香って来る。よくこんな環境で生活が出来ているなと感心してしまうほど。
「それにしても汚いですね」
「そ、そんなこと言わないでよぉ~~」
「いや、これは汚いとしか言えませんよ。正直僕もこの光景を見るよりも前はある程度の汚さのことを予想していたけど明らかにこれは……汚部屋と言われても仕方ないです」
「…汚部屋じゃなもん!!ただちょっと汚いだけだもん」
「ちょっとですか…」
これをちょっとと表現するぐらいまで末期だ。このままこんなところで暮らさせたら最後には……って想像もしたくないですね。
「まあ、ここで何を言っても仕方ありませんね。片付けを始めましょうか」
「う、うん」
いや、家主である、沙花叉さんにはもっとやる気を出してほしんだけどな。
それから僕と沙花叉さんは…片っ端から片付けを始めた。予想以上の惨状なのでかなりの時間が掛かるのは誰が見ても分かること。2時間近く掃除をしてやっと…4分の1ぐらいに到達した。これだけやっても4分の1かと考えてしまう。
横目で沙花叉さんを見ると…黙々と掃除をしていた。
「少しでも…この惨状になる前にやっていればな…」
そこで僕はあることに思い至った。。いつでも僕がお掃除に来れる訳ではないし、少しは自分でやれるようになってもらわないといけない。自分が来れる内は掃除に来るけど。
案外…少し辛辣なことを言った方が沙花叉さんを改善させるためにはいいのかもしれない。
「部屋が散らかっている人って…嫌いだなぁ…」
その言葉を聞いた、沙花叉さんは一瞬ビクッとしてすぐに涙目になっていき勢いよく抱き着いてきた。
「さ、さかまたのこときらいにならないで~~~~~」
「…って勢いよく抱き着くのは止めてください!まだゴミ袋を占めていないで下手したらまた最初からになるので!」
ここで僕がバランスを崩して転んだら…ゴミ袋の中身が飛び散ってまた最初からになる。それだけは何としてでも避けなければならない。
「やぁだぁぁぁ~~ さかまたのこときらいにならないで~~~」
「わ、わかりました!!沙花叉さんのことは嫌いじゃないのでまずは少し距離を取ってください!!」
「ほ、ほんと!?」
「うん。だから、離れてください。まずはこのゴミ袋を片付けるので!」
渋々ではあるものの沙花叉さんは離してくれた。
そしてそれからゴミ袋を片付けてから…沙花叉さんのところに戻ると心配そうな目でこちらを見ていた。
「どうしたの?」
「本当に沙花叉のことを嫌いにならない!??絶対に嫌いにならない!??」
「だ、だいじょうぶですよ。元々、沙花叉さんのお家が汚いのは分かっていた事ですし、それぐらいじゃ嫌いになれませんよ」
案外、沙花叉さんと心配性なのかも。これぐらいのことで僕に嫌われると思っているところからしても。
「ほんとうに~?」
「本当ですよ。だから安心してくださいよ。でも、沙花叉さんがお風呂にも入ってくれるようになったらもっと嫌いになれませんね」
少し冗談半分な感じで僕は言ってみた。沙花叉さんがあんまりお風呂に入らないのはとても有名だから僕でも知っている。個人的には毎日のように入って欲しいが、個人の自由と言われてしまったらそれまでなんですよね。
僕の言葉なんかで入ってくれるようにならないとは思うけど、少しでもお風呂に入ってくれるようなきっかけになってくれたら嬉しい。
「ほ、ほんとに…きらいにならなくなるの?」
「え…?」
「だ、だから、お風呂に入ったら嫌いにならないの!??」
なぜか、沙花叉さんは確認のようなものをしてきた。僕は少し疑問に思いながらも肯定的な返事をした。
「…え、あ、はい」
「それならお風呂に今日は入る」
「え!?ど、どうしたんですか!?何か変なものでも食べちゃったんですか!?」
「さ、さかまたのことをなんだとおもってるの!!!」
「だって急にお風呂に入るなんて言い出すから!」
あの、お風呂に入らない事で有名な沙花叉さんがお風呂に入るなんて…。別にずっと入らない訳ではないと思うけど、なんか沙花叉さんの口からお風呂に入ると聞くと感動をしてくる。
「べ、べつに…ただのきまぐれだよ…」
「そうですか。それでも嬉しいです!」
これだけでも今日、沙花叉さんの部屋を掃除した意味があった!