雪花ラミィさんが酒豪なのは元々判明していたこと。だからお酒に付き合うようなことになればこういうことになるのは分かっていたことですよね。
「雪花さん」
「な~に~~」
「もう完全に出来上がっていますね。今日はお帰りになった方がいいんじゃないですか?」
今日は事務所にある近くの居酒屋さんで雪花さんとお酒を飲んだ。普段はあんまり外で飲んだりしないらしい。だから今日のように外でお酒を飲むのはかなり珍しいと本人が口にしていた。
「…ぜん~ぜん~~だいじょうぶい~」
これは完全に酔っちゃってますね。もう取り返しのつかないほどに。
「どうしましょう…。このまま一人で帰らせるのはかなり怖いですね。帰る途中でどこかに寝られたりしたら困りますし」
「まぁだ~~のむぞ~」
雪花さんは本当にお酒が好きなんだと実感させられる。でも、もう目が座っちゃってる。こんな風に目が座っている雪花さんは初めて見た。
「ほぉらほぉら…のんで~~」
「だ、だいじょぶです。もうかなり飲みましたし」
「らみぃのおさけがのみないの!?」
もう完全に面倒くさい上司になってますね。自分のお酒が飲めないのなんてベタすぎる言葉も最近では全然聞かなくなった。
「…僕まだ酔っちゃう訳にはいきませんから」
ここで僕まで酔ったらさすがにマズイ。まあ最悪、代行にすればお互い酔ったとしてもどうにかなるんだけど、僕があんまりお酒を好きではないんだよね。
「む~~~~」
隣からの視線がすごい。言葉にはしてないけど『飲め』『飲め』と言われているようだ。雪花さんのされるがままに飲んでいたら本当に潰れてしまう気がする。
「わ、わかりましたよ。飲みますよ」
僕はお酒を体に流し込むように飲んだ。その姿を見て、雪花さんは拍手をして喜んでいる。
「いいのみっぷり…つぎぃもいこう~~」
「い、いや、そんな頻度で飲んだり酔っちゃいますよ。それなりの時間を空けてくれないと…」
「のみましょう~~」
そして最終的に雪花さんにのせられてかなりの量のお酒を飲んでしまった。さすがにふらつくまではいかないけど、久しぶりにこの量の酒を飲んだから顔は赤くなっているだろう。
このまま二人で帰るのはかなり困難だよね。ここはタクシーを呼ぶのが一番いい方法。
「もう仕方ないですね。今日はタクシーを呼びましょうか」
そう思ってタクシーを呼んでもらおうとすると…急に雪花さんが起き上がった。
「おくっていって…」
「は、はい。だからタクシーを今日は呼ぼうかと」
「ううん~~ しゃいんさんのおんぶでおくってって~~」
そんなことを言われても…雪花さんの家までそれなりの距離があるんですよね。本当におんぶして運んでいくとなるとさすがに疲れる。
「今日はタクシーにしましょう」
「…だ~め。おんぶ」
「い、いや、タクシーの方が早く着けますよ」
「おんぶ~~おんぶ~~おんぶじゃなきゃいやだ~~」
雪花さんを駄々をこね始めた。いつもの雪花さんならそれなりに言えば渋々引き下がってくれるんだけど、お酒に酔っている雪花さんはかなり面倒くさいんですよね。
「わ、わかりました」
会計を済ませて、僕は雪花さんをおんぶして帰路に付いた。正直、かなりひ弱な方だから、人を一人でもおんぶするのはかなり辛い。それでもここで雪花さんを置いていけないし。
「社員さんの背中は大きいな」
「ん?なんか言いましたか?」
「…よっちゃった~~」
全然酔いが冷めそうにないですね。まあ、それなりに雪花さんは飲んじゃったし、簡単に酔いは覚めないですよね。