新入社員とホロメン   作:主義

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新入社員と尾丸ポルカ

僕と尾丸さんは買い物に来ていた。もちろん、この買い物は個人的なものではなくて明日の配信で必要なものを買いに来ている。ではなんでそんな買い物に尾丸さんが付いて来ているのかと言えばそれは……そこに居合わせたから。本当にそれだけの理由。

 

「別に来なくてもよかったんですよ。尾丸さん」

 

 

「ううん。社員さんと話せるタイミングを逃す手はないですよ」

 

僕にそんな価値はないのに。僕と話すことが何かのステータスになっているのって疑ってしまうほど。僕は皆さんのように面白い話が出来る訳でもないし、近くに居て癒すような効果はない。

 

 

「別に僕と話しても面白くないですよ」

 

 

「……社員さんと話すことに意味があるんです!」

 

 

「そ、そうなんですか…」

 

それから僕とポルカさんは近くのショッピングモールに向かった。

 

「それで今日は何を買うんですか?」

 

 

「あ、今日はですね…シュークリームとわさびですね」

 

 

「シュークリームとわさび?」

 

 

「はい。何かの企画で使うらしくて買ってきてと言われまして」

 

僕も頼まれただけなので何に使うのかに関しては知らない。でも、何にしても不穏な空気はしますね。

 

「…そ、その企画って明日でしたよね?」

 

 

「はい、そうらしいです」

 

 

「明日…ポルカ…収録があるんですけど……」

 

 

「あ、まあ……大丈夫ですよ」

 

掛ける言葉が無さ過ぎて『大丈夫』としか言えなかった。

 

 

「あ!あそこにあるぬいぐるみ可愛いですね!!」

 

話題を逸らすしかない。これ以上、ポルカさんを思い詰めさせないためにも…。

 

 

「…そ、そうっすね…」

 

明らかにさっきまでのポルカさんと違って力が抜けたような声をしている。よほどシュークリームとわさびという組み合わせが響いているよう。まあ、自分がもし、その立場なら同じようななるだろうから何とも言えない。

 

ここはどうにか……必死に考えた末に思い付いたものは誰でも考え付きそうなありきたりなことだった。

 

「ポルカさん!!」

 

 

「あ、はい…な、なんですか?」

 

 

「あの…この中で好きなものって何かありますか?」

 

 

「…え…」

 

 

「本当にポルカさんがその企画をやるのかは分かりませんが、少しでも気晴らしになれば」

 

僕にはこれぐらいしか気を紛らわせるようなことは思いつかなかった。

 

「え、さすがに悪いですよ…」

 

 

「いいですから!!僕がポルカさんに何かプレゼントしたい気持ちなんです!だから、ここは僕にプレゼントを贈らせてください!」

 

僕がしつこく『プレゼントしたいんです!』と伝えたことでポルカさんは首を縦に振ってくれた。

 

 

「どれでもいいので…」

 

僕だって少しはお金だってある。一応、働いているんだし。

 

「…本当にどれでもいいんですか?」

 

 

「はい!ポルカさんが好きなものであれば……」

 

 

「だったらあのぬいぐるみを…」

 

ポルカさんは店頭に並んでいる、一つのぬいぐるみを指差していた。そのぬいぐるみを他のぬいぐるみと比べても圧倒的に大きいものだ。持って帰るのも一苦労なほどの。

 

「…わ、わかりました!!」

 

ぬいぐるみなんて買ったことなかったからこんな値段するんだ…と驚きながらも購入した。一応、包んで貰ってポルカさんの自宅に配送してもらうことにした。

 

 

「本当にありがとうございます!」

 

 

「いいんです。僕がポルカさんにプレゼントしたかっただけなので。これからも色々とあるかもしれませんけど、頑張ってください!」

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