今日は休日。仕事が忙しいこともあって、こういう休日を有効活用したい。でも、仕事をしている時は休みが待ち遠しかったりするんだけど、いざ休みになると何をしていいのか分からなかったりする。そしてまさに僕は何をしようと考えながら部屋で寝転がっていた。そして寝てしまって、気付いた時にはもう日没した後だった。このまま家でずっといてもいいけど、少しぐらい外の空気が吸いたいなと思って外に行くことにした。
仕事の時は急いでいるのでゆっくりと見て回るようなことがないしね。
三十分ぐらい自宅の近くを歩き回っていた。普段、景色を見る余裕なんてないから、案外のんびりと散策することができて楽しかった。そしてそろそろ帰ろうかと考えが過った時に後ろから誰かに触られた感覚を覚えた。
「ひぇ!」
誰かが急に背中を触ったことで僕は変な声を出してしまった。恐る恐る、後ろを振り返るとそこには…見知った人が立っていた。
「あ、メルさんですか…急に後ろから触るのだけは止めてください」
「…ごめんね!ちょっと驚かせてみたくて」
「心臓に悪いですよ。あんまり僕は…「本当にごめん」」
夜空さんはさすがに申し訳なさそうな顔をしていた。
「それにしても夜空さんはなんでこんな時間に?」
「メルはあんまり太陽が得意じゃないから買い物とかは夜に行くことにしてるの」
「あ、そうなんですね。でも、時間も時間なので気を付けて買い物をしてくださいね」
日没した後は急に辺りが暗くなるからね。ホロメンの方々が事件などに巻き込まれるようなことはない方がいいから。
「え……来てくれないんですか?」
「………僕がいった方がいいんですか?」
「だってもう夜も更けてきましたし、男の人がいると安心だなと思うので」
夜空さんにそんなことを言われたら行かないわけにはいかないですね。もし、夜空さんの身になにかあったらホロライブの一スタッフとして後悔することになってしまいますから。
「分かりました。付いていかせていただきます」
「ありがとね」
そして僕は夜空さんの買い物についていくことになった。
「そういえば、夜空さんってここら辺に住んでいたんですか?」
「うん、ここら辺だね」
「そうだったんですね。それにしてもよくわかりましたね」
僕がそう言うと夜空さんはキョトンとして顔を傾けていた。
「…?」
「いや、僕はメディアへの露出とかはしてないですし、ホロメンの方々とは面識を持つ機会が少ない方なので顔を覚えられているとは思ってもいなかったので」
「かなり有名ですよ」
「え、僕って有名なんですか?」
「うん。フブちゃんとかまつりちゃんとかがキミと話すときはとても楽しそうですし、二人がホロメンに可愛い社員さんがいるって言ってたので」
あの二人はそんなことをホロメンの方々に言っているんですか。あの二人にからかわれているだけですね。
「僕は別にそんなにあの二人が期待するような人間ではないですよ」
「いや、そうでもないとメルは思うけどな」
「そうですか?」
「そうだと思うよ。メルはね、こんな風な自然体で運営さんと話すのは初めてな気がするの。確かに運営さんは何でも相談に乗ってくれるし、困ったことを言えば解決してもらえると思う。でも、それはあくまで仕事上だからね。こんな風にプライベートで運営さんの人と話すのは初めて。それに初対面の人だったら絶対に何かしら緊張にしろあるはずなのにキミに対してはそういう感じがないの。簡単に言えば……話しやすいんだと思うよ。絡みやすいですしね」
こんな風に誰かに言われたのは初めてな気がする。ホロメンの方々にとって話しやすい相手になっているのならそれは良かった。
「そう?それなら良かったよ」
それから夜空さんの買い物に付き合って帰路についた。夜空さんと話しただけでなんか今日一日の全ての無駄じゃなかったかのように思えた。