「ほらこうすれば大丈夫だよ」
「こ、こうですか?」
「うん!それで大丈夫!じゃあ…そろそろ始めよっか」
「あ、はい…。よろしくお願いします」
「そんな気合を入れすぎなくて大丈夫なんだけどな…」
「でも不知火さんから教わったことを活かせるように頑張らないと!」
「…まあ、気楽にね。私もカバーするし」
今日は不知火さんの家に来ていた。なぜ僕が不知火さんの家に来ているのかというとそれは…「遊びに来ない?」と誘われたから。本当に単純な理由。さすがに一タレントの家にあくまでスタッフが上がっていいのかという葛藤があったものの不知火さんの次の言葉で吹き飛んだ。「ゲームを教えてあげるから」。
僕はゲームが得意じゃない。本当に下手でさくらさんにフォローされたほど。
別にゲームが不得意でもそれほど問題じゃないんだけど…それがそうもいかなくなってしまった。その理由は会社で社員だけのゲーム大会が行われる。
そしてその景品が……『温泉旅行』。僕は温泉には目がない。最近は温泉に行ってないし、ちょうどいい機会。自分で買うよりもお金が掛からないとなればやらない手はなかった。でも一つだけ高い壁があった。それはゲームが不得意だということ。そんな時に不知火さんから「ゲームを教えてくれる」と言われれば行かない理由はない。
「それにしても本当に不知火さんはゲームが上手いですね」
不知火さんにおんぶにだっこ。本当に不知火さんが居てくれるからまだ良かったものの…。一人でやっていたらすぐに心が折れていたと思いますし。
「そ、そっかなぁ…そうでもないと思うけど」
「いえいえ、全然上手いです。本当に尊敬しちゃいます!!」
「…そ、そんなに言われるとこっちが照れる…///」
珍しく不知火さんが恥ずかしがっている。こんな姿の不知火さんは企画でも滅多に見れない気がする。
「恥ずかしがってる、不知火さんもいいですね」
「な、なに言ってんの!早く続きをやるよ!」
そう言って不知火さんはすぐにまたゲームを起動し始めてしまった。
「…それにしてもこのゲームってすごく難しくないですか?」
「そうでもないよ。社員さんだって慣れればある程度は出来るようになると思うよ」
不知火さんはそんなことを言ってくれるけど正直、僕には出来る気がしない。温泉旅行のために精一杯は尽くすつもり…。
「そうですかね…」
「大丈夫だよ。社員さんも自信を持ちなよ。この不知火フレアが教えているんだからさ!」
「そ、そうですよね!頑張ります!」
そしてそれからも僕は不知火さんとのゲームを続けた。
「あ、ああああ…」
「どんまい、次」
「…ナイス!」
「あ、やば…やられた」
「こ、こんどこそ!」
初めてこんなに楽しんでゲームをやれたかもしれない。不知火さんの教えもあって自分も驚くほどの速度でかなり成長していると思う。本当にどれもこれも…不知火さんのお陰だ。
「…本当にありがとうございます」
「もうお礼はいいって。私が好きで社員さんに教えているだけだからね」
「それでもお礼を言わせてくださいよ。本当にありがとうございます………ってお礼を言っている間ぐらいは倒さないでくださいよぉ…」
「だ~め。いつでも油断しちゃ!」
「…はぁ…」
それからまた何度も不知火さんにやられることになるのだった。そしてその甲斐があって…ゲーム大会で優勝することができた。