今日は企画をするために朝早く来るようにえーちゃんさんから言われた。そしてスタジオに来て言われたのは……ホロメンの方々に僕が壁ドンをするという内容の企画。そして壁ドンだけじゃなくて『甘い言葉』や『相手を落とす』言葉を言わなくちゃならないらしい。これを聞いて最初に思ったのは「何これ」の一言に尽きる。こんなことをしたら僕が絶対にホロメンの方々に嫌われる。逆にその未来しか見えない。
誰がこんな企画を提案したのか分かりませんが、本当に恨みそう。だけど今更、引き返せない。もちろん、僕は黒服のような人間のアバターだから顔は映らないし、僕の声に関しても編集の時に消してくれるらしい。だから僕が喋ったことはテロップで出される感じ。
まあ、叩かれたとしても本名で叩かれないことだけが救いな気がする。
ホロメンの方には何の企画かを言わずにスタジオに来てもらっているらしい。そしてやってきたところで僕が壁ドンをするらしい。
そして記念すべき一人目の検証相手は…アキ・ローゼンタールさん。
アキさんがスタジオに入ってきたタイミングで僕は壁ドンをした。アキさんは状況を理解してきれていないようで「え?」って感じな顔をしている。
「大好きですよ」
「え、え…ど、どういう……///」
「アキさんの頑張り屋なところも僕は大好きです」
「………///」
アキさんの顔は赤く染まっている。普段のお酒に酔っている時と違って…恥ずかしいさから来ているのが分かるけど、僕も恥ずかしいんですよね。こんなストレートに言うことは絶対にないので…僕という人間はかなり回りくどい人間なので。
「あ、あきろーぜも……だいすき!」
まさかそんなことを言われると思っていなかったので…僕の方が恥ずかしくて視線を逸らしてしまった。
そして二人目の検証相手は湊あくあさん。
アキさんが来てから五分も経たないうちに湊さんがやってきた。湊さんは視線を下に向けて…歩いていた。その歩き方って危なくないかなぁと思ったりもしちゃった。
湊さんがスタジオに入った来たタイミングで二度目の壁ドンをした。アキさんの時と同様で湊さんは状況を把握できていなくてあたふたしている。
湊さんは視線を下に向けているので申し訳ないですが、顔を僕の手動で上げさせてもらった。
「大好きです」
「…………///」
湊さんの顔は一瞬で赤く染まった。さっきのアキさんの時よりも早かった気がする。
「湊さんの裏では必死に努力をして頑張っているところとかすごいですね。僕はそういう湊さんのことも好きですよ」
「え、な、なに……///」
「だいすきですよ!」
「…あ、あてぃし…は……だ、だめ…」
そして湊さんは力を無くしたように壁にもたれ掛かったまんま滑り落ちてしまった。
三人目の検証相手は夏色まつりさん。
さすがにそろそろ疲れてきたが…検証相手は待ってもくれないし。そして自分でも恥ずかしくなる位に『大好き』って言葉を言っている気がする。それも良い慣れている俳優さんとかならそこまで緊張しないかもしれないけど、僕は全然こういうことを良い慣れていない。
そしてついてに三人目の夏色さんがスタジオに入ってきた瞬間に壁ドンをした。夏色さんは他の二人とは違って…すぐに状況を理解して顔が赤く染まっていく。
「…ど、どうしたの……///」
「夏色さんって可愛いですね!」
「……や、やめて…///」
「夏色さんの恥ずかしがっている時の顔も可愛いですよ」
「も、もう…やめてよ…」
夏色さんは顔を覆って…僕からはよく見えないけど、顔が赤く染まっているのはわかる。でも、僕が予想していた反応と全然違うんですよね。夏色さんだったらもっとあしらう感じで「へぇ~まつりのこと可愛いって思ってるんだぁ~」みたいなことを言うかなぁみたいに思ってたんだけど…。
普段は絶対に呼び捨てにしたりしないが、渡された台本には言って欲しいセリフの中にあったんだから仕方ないですよね。
「まつりのこと好き」
「…え、え………///」
「だいすき」
「…ま、まつりも…きみのこと…すきだよ」
四人目の検証相手は潤羽るしあさん。
やっと後半に入ってきた。正直…この四人目の潤羽さんが一番怖い。こっちとしては下手なことをしたらやられるんじゃないかと頭が過る。例えば「るしあに近づかないでくれる」「どっかにいけ」とか言われる可能性を一番秘めている。
もちろん、この壁ドンの企画の撮影が終わったらすぐにタレントさんに説明をしていますが……それでも納得しないタレントさんがいるんじゃないかと個人的には思ったりする。今のところ全員…「まつりのことを弄んで!」とか「あ、あてぃし…のことすきじゃないの?」とか「アキローゼは大好きだよ」とかそれぞれの企画の反応は違う。
だけど、下手したら僕が嫌われる可能性だって全然あるよね。
今更だけど……。
そんなことを考えている間に…四人目の潤羽さんがスタジオに入ってきた。そして入って来たのと同時に壁ドンをした。
「ど、どうしたの?社員さん」
「…潤羽さん」
「うん?」
「だいすきだよ…」
「え、る、るしあのことが!?」
「うん。潤羽さんのことが大好きですよ!」
「えへへ…じゃあ、今すぐにでも市役所にいこう!!るしあと一緒に!!」
「え……」
僕が困惑している間に潤羽さんが僕の手を引っ張っていこうとしている。
「ほらほら…早く」
「あ、あの…」
そして仕方なく…ここでネタ晴らしをすることになった。だってこのままだったらどっかに連れていかれそうだし。それにしてもここまで動揺しないってすごい…。急にこんなことを言われたら「気持ち悪い」と思わないのかな。僕だったらすぐにそう思っちゃう気がするけど。
ついに最後の検証相手…姫森ルーナさん。
やっとこれで終われる。ここまでの道のりは長かった。これからはえーちゃんさんの言葉でもすぐに信用せずに疑ってかかる事にしよう。もうこんなことを…するのはさすがに勘弁ですし。
姫森さんがスタジオに入ってきたのと同時に壁ドンを実行した。
「大好きだよ」
「…え、ど、どういうことなのら」
「姫森さんのことがだいすきですよ」
「…?」
姫森さんには壁ドンも言葉も効かないなぁと思って…これならこれ以上、やっても無駄だろうと思ったのと同時になぜか、姫森さんの顔が赤く染まっていった。
「え、え……るーなのことはすきってことなのら?」
「はい…。姫森さんのことが大好きってことですよ」
「…んなああ………///」
どうやら…嫌われる感じじゃなくて普通に恥ずかしがってくれているようなので最後のダメ押しをすることにした。
「…ルーナって可愛いですね!」
「…………///」
どうやら姫森さんのことをKOしてしまったようで姫森さんはまるで動かなくなってしまった。まるで魂が抜けてしまったかのように。
感想があれば