新入社員とホロメン   作:主義

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新入社員とホロメンと誕生日

 

僕はリビングのソファに腰を下ろして、付けっぱなしのテレビの音を聞いている。

 

 

「それにしても暇だなぁ…」

 

ライブも終わって自分のやることも終わって…今は抜け殻状態。久しぶりにぐっすり眠れて体力も回復したけど…今はやる気も何もない。今日はこのまま…ぐでぇっとして終わるなぁと思っているとインターホンの音が聞こえてきた。

 

 

「面倒だなぁ…」

 

居留守を使おうと放置していたけど、ずっとインターホンの音は小刻みに鳴り続けている。どうやら相手はかなり諦めの悪い人らしい。何も頼んでいないから宅配便ってことはないだろうし、宅配便だったら不在票を入れて去っていくはずだし。

 

 

 

 

どうやら開けるまで…インターホンを鳴らすのを止める気はないみたいですね。僕はため息を吐いてから玄関へと足を向けた。

 

「はぁい…開けます」

 

そして玄関の扉を開けるとそこには…よく知っている人たちが何か荷物を持って立っていた。

 

 

「え、なんで皆さんが……」

 

ホロメンの方々。全員で6人。ときのそらさんと白上フブキさんと大空スバルさんと宝鐘マリンさんと常闇トワさんと風真いろはさん。どんな集まりなのか検討もつかない。それになんで僕の家に来たのかも全然分からない。

 

 

「ちょっと入ってもいい?」

 

 

「あ、はい…」

 

そして全員を部屋の中にあげると自分の家が急に小さく見えますね。僕はマンションに住んでいるのに部屋はそこまで大きいわけではない。でも、一人で生活する上では全然支障はないですけどさすがに…この人数が入るとかなり狭く感じる。

 

 

「なんで僕の家に来たのかを伺ってもいいですか?」

 

 

「今日って何の日か分からないですか?」

 

 

「今日ですか?」

 

 

「はい」

 

今日って何かあったっけ…。昨日までのライブが衝撃的過ぎてまだそれしか考えられていない。

 

 

「なんかありましたか?」

 

僕がそう言うと…ホロメンの方々は驚いていた。まるで僕が言ったことが信じられないような。

 

 

「ほ、ほんとに分からない!?」

 

 

「う~~ん……はい。何も思い当たるようなことをないですかね」

 

 

 

 

「本当にえーちゃんが言うように覚えてなかったね」

 

「そうだね。正直、そんなことないだろうってさっきまでは思っていたんですが」

 

「そんな人いるんすね」

 

「さすがにマリンでもそれは忘れないわ」

 

「じゃあ、トワたちが来た理由は分からなくてて当然だね」

 

「風真も驚きでござる」

 

 

え、そんな重要なことを忘れちゃったのかな。思いつく限りのことの中には何もない。

 

 

「誕生日っていつだったか覚えてる?」

 

 

「…た、たんじょうびですか?えっといつでしたっけ?」

 

 

「今日だよ!」

 

 

「あ、今日でしたっけ…」

 

自分の誕生日なんて…大人になるとそこまで意識しない。逆に自分もこんなに年を取ったのかと感じる、虚しい日なんだよね。そんなこともあって覚えていない。

 

 

「え、その反応薄くないっすか?」

 

 

「こんなもんじゃないですか。皆さんだと嬉しいものかもしれませんが、僕としてはそこまで楽しいものでもないので」

 

僕の言葉に常闇さんはとても驚いていた。

 

 

「え、嬉しくないの?」

 

 

「嬉しくないですね」

 

僕の誕生日なのは分かっていたけど、なんでホロメンの方々がここにいるのかまだ分からない。

 

 

「それでなんで皆さんは…なんでここに?」

 

 

「社員さんのお誕生日だからに決まってるでござる!」

 

 

「僕の誕生日だから?」

 

 

「うん!マリンたちが社員さんを祝ってあげるってことですよ!」

 

 

「…え、別に祝ってもらわなくても大丈夫ですよ。だって祝われるようなものではないですし」

 

それに僕の誕生日でホロメンの方々の手を煩わせてしまうのはさすがに気が引けますし。

 

 

白上さんに「も~~社員さんは大人しく席に座っていてください!」と言われてしまった。僕は白上さんの言うことに従って仕方なく…大人しく座る。

 

 

「ここって僕の家なんだけど…」

 

 

 

 

 

 

それから3時間近く…僕は大人しく座っていた。その間にテレビを見たりして時間を潰した。だってキッチンの方に行こうとしたら大空さんに「通さないっすよ」と言われてしまったし、玄関の前には風真さんが立っているし。

 

そんな時にキッチンの方から「やったぁ~~」という声が聞こえてくる。そしてキッチンから白上さんを含めて見張りをしていた人たち以外の人が出てきた。

 

 

「社員さん」

 

 

「はい?」

 

すると、そらさんが「せ~の」というと――――――――

 

 

「「「「「「お誕生日おめでとうございます!!」」」」」」」

 

 

 

さすがに全員から一斉に言われるとかなり圧巻だった。それに僕のために祝いに来てくれただけでもすfごい有難いことだし。

 

 

「あ、ありがとうございます……///」

 

 

「あ、あと…ちょっと不格好かもしれないけど…」

 

そう言って、白上さんは一つのケーキを差し出してくれた。

 

 

「これは?」

 

 

「作ったんです。社員さんのキッチンをお借りして…。初めてこういうものを皆で作ったので少し不格好ですが、味の保証はするので」

 

白上さんは不格好だというが、お店で売っていてもおかしくないくらいのものだと僕は思うんだけど。

 

 

「…あ、ありがとうございます。本当にこんなもので…」

 

 

「白上たちは社員さんに感謝をしているので」

 

 

「そうですよ、社員さんにとっても支えられています」

 

 

「スバルも…社員さんのお陰で頑張れたっす」

 

 

「マリンが不安な時に電話を掛けても必ず出てくれるの本当に感謝しているんですよ!」

 

 

「…本当にありがとう」

 

 

「風真はも感謝しているでござる」

 

誰かに祝ってもらうって予想以上に楽しいもんですね。




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