僕の仕事は普通、システムの管理や運営が主な仕事。だから、白上さんや夏色さんとは話したりしたけど、一般的にホロメンと接点を持つ機会は極めて少ない部類にあたる。マネージャーのように毎日会うわけでもないし、グッズ系の物を決めるとかでもない。
それに新人ということもあって今の仕事に付いていくのに必死なので残業することも多かったりする。上司の人からは「無理しないで」と言われているが、早くこの仕事量に慣れたい。
「あれ、新人さんっすよね?こんな時間の帰りっスか?」
「はい。それより大空さんも帰りが遅いですよね。今日、色々と事務所で仕事があったのを知っていますが、こんな時間まで残っていたんですね。お疲れ様です」
「お疲れっス~~」
「それでは」
そう言って去ろうとしたはずなのに後ろから腕を掴まれている。
「な、なんですか?なんか怒っていますか?」
「スバルを何だと思ってるっスか。そうじゃなくてキミはなにで帰るの?」
「歩きですよ。駅まで」
「それなら一緒に帰らないっスか?」
大空さんはなぜか誘って来た。大空さんの目をみたけど、どうやら冗談ではないようだ。
「…別にいいですけど。僕なんかと一緒に帰って楽しくないと思いますよ」
「スバルが一緒に帰りたいんだからそれでいいっスよ。それにスバルはキミと話せる機会を待っていたんすから」
「なんでですか?僕と喋っても面白いこととかないですよ」
「フブキ先輩と話した時に可愛い社員さんがいるって言ってたんすよ。だからどんな人かなぁと思ってたんで」
前に夜空さんも言っていましたが、まだ言っていたんですね。この様子だとホロメンの方々のほとんどに伝えたと仮定した方がいいかもしれませんね。
「白上さんにも困ったものです。そんな風な噂を広められては」
そして僕と大空さんはお互いに駅を目指して歩き始めた。こんな風に帰りに誰かと話して帰るのは久しぶりな気分だった。学生時代は友達と一緒に帰ることはあったけど、社会人になればそんなことはない。それに何よりも大空さんのトーク力に驚きだ。相手を飽きさせないし、聞いていて楽しいという感覚を覚える。
こんな風に誰かの話を面白いと思ったのは久しぶりかも。
「それでっスね、ミオちゃんがこう言ったんス……って…あ!」
「どうしたの?」
急に大空さんは何かに気付いたように喋るのを止めてしまった。
「スバルばっか話してて…退屈じゃないっスか?」
「全然だよ。むしろ大空さんのトーク力に感激していたぐらいですよ。大空さんの話はどれも相手の興味を引くような話題で引き込まれるように聞き入っちゃいましたから」
このトーク力に底なしの明るい性格が相まって大空さんは人気があるのだろう。自然と大空さんの明るさは人の壁を壊してくれる。そしてトークには引き込まれる。
「そ、そうっスか……///」
「はい。大空さんが人気の理由が分かった気がしますよ」
「………///」
「大空さんは多くの人を笑顔にできる人ですから。これからも頑張ってくださいね」
そう言うと大空さんは頬を少し赤らめながら笑顔で元気な返事をした。
「はい!スバル、がんばります!」
それから暫く雑談をして大空さんとの別れの道にまできた。
「今日は本当にありがとうございました。また、機会があったら大空さんのお話を聞かせてくださいね」
「もちろんっス!」
「それでは大空さん、気を付けて帰ってくださいね」
「はい!じゃあね~~」
そう言ってスバルさんは走っていった。
その大空さんの背中を眺めながら僕は思った。
「あんな風に生きられたら何か違ったのかな」
大空さんの背中が見えなくなってから僕は帰路に付くことにした。
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