二度ある事は三度あると言うけれど…なぜ。これで三回目の壁ドンの企画。前の時なんか終わった後に色々とあったんですよね。特に星街さんはヤバかったの一言しかでない。この企画は僕がホロメンの方々に恨まれるだけじゃないかなと思ったりすることもあるけど、決まってしまったことは仕方ない。
今回も五人のホロメンの方を呼び出している。前回に比べれば今回の五人はとても優しい部類の人たちなので大丈夫だと思うのですが、優しいからこそ、そういう人たちから辛辣な言葉を言われると心に来るものがある。
一人目のターゲットは大空スバルさん。大空さんがスタジオに来るまでの間に心の準備を済ませる。いくらやってもこれだけは全然慣れないですね。
そしてスタジオに入ってきたところで大空さんに壁ドンをする。
「好きですよ」
「…え、ええ…」
「だいすきです」
「…な、なに!ど、どういう…」
「スバルさんの元気一杯なところも、たまに見える乙女な一面も大好きです」
「…や、やめて……///」
大空さんは両手で顔を覆ってしまった。さすがにちょっとキザすぎる発言だったかな…。それでも止まることは出来ないので、僕は走り続ける。
「可愛いですよ。スバルさん」
「…そ、そんな…こと」
「スバルさんは可愛いのでもっと顔を見せてください」
僕は大空さんの覆っている手を解いて…顔を見るとリンゴのように真っ赤で…とても可愛いと思ってしまうほど。
「…みないで…」
「いや、とっても可愛いのでもっと見たいですよ」
「…すぅ…ばる……だぁめ…かも」
すると大空さんは僕のことを強く抱きしめてきた。僕も予想だにしないようなことで思考が一瞬、止まってしまった。
「え、、どうしたんですか?」
「こ、こうすれば…みえないよ」
どうやら大空さんは僕に顔が見えないように抱きしめてきた感じかな。最後にもう一つだけダメ押しをするために大空さんのことを抱きしめながら小さな声で囁く。
「ほんとにスバルさんは可愛いですね」
それからスバルさんの返事が聞こえなくなったので、心配になってスバルさんを放して顔を見ると顔は真っ赤で意識が飛んじゃっていた。ちょっとやり過ぎちゃったかもしれないですね。
二人目のターゲットは夜空メルさん。夜空さんとの接点はあるものの、タレントさんの中ではあんまり話さない方なんですよね。お仕事で一緒になることが少なかったりするので他の人よりもちょっと怖いです。どんなタレントさんであっても、こんな企画をするような間柄ではないんですが特に接点がない人はキツイ。
そんなことを考えていても時間はどんどん進んで行って、いつの間にか夜空さんがスタジオに来る時間になってしまった。
そして、スタジオに入ってきた夜空さんの姿を確認したので僕は覚悟を決めて壁ドンした。
「メルさん」
「な…なんですか?」
メルさんは僕の急な行動に混乱を隠せずにいますね。
「こんなことを言ったらメルさんを混乱させてしまうかもしれませんが…すきです」
「え…」
夜空さんは特に人の言葉の気持ちや真意に気付きやすい人だと思う。だから他の人よりも気合を入れなくちゃいけないし、僕もこの時は夜空さんだけを好きにならなくちゃだめだ。そうじゃないと言葉が薄っぺらすぎて、夜空さんに響かない。
「メルさんの太陽のような笑顔が…すきなんです。頑張り屋さんのところもすきです。全てがすきなんです」
「……あ、ありがと…」
「すきです」
「………」
「すきです」
「…………」
「すきです」
さすがにこれ以上、言っても無駄かなぁと思っていると夜空さんの視線が右往左往している。もしかしたら、どうやったらこの状況を打破できるのだろうかと考えているのかも。
引かれている可能性もぜんぜんあるし、ここら辺で攻めなくちゃいけないかも。
「メルさん!大好きです!!」
僕はメルさんの目を見つめながら言う。
「…うれしい…けど……はずかしいよ。そんな風に言われたら」
「ううん。僕のメルさんへの想いはこの程度じゃありませんよ」
もっとメルさんとの距離を縮めてお互いの吐息すらも掛かるぐらい。
「まじで好きなんです!」
「…………///」
「この気持ちは嘘じゃないですよ」
やっとメルさんを恥ずかしがらせることに成功した。
次のターゲットは沙花叉クロヱさん。沙花叉さんはお部屋を掃除しに行ったりしたこともあったし、それなりに付き合いのある方。
まだちょっとやりやすいかもしれない。
そんなこんなでスタジオに入ってきた、沙花叉さんのことを壁ドンする。
「し、しゃいんさん!?」
「ごめんね」
「い、いいですけど…なんすか?」
「クロヱさんが可愛いなぁと思って」
「え、そうっすか!やっと沙花叉の魅力に社員さんも気づいたんですか!?」
ここまで自信を持っている人っているんですね。今までの人の反応からしても『可愛い』と言われたら照れたりすることはあっても、ここまで自分に自信を持っている人はいなかった気がする。
「そうですね。クロヱさんの魅力にやられてしまったかもしれないです」
「いいですよ。沙花叉に夢中になっちゃって!」
さすがにここまで余裕ようにされると夜空さんの時と同じで恥ずかしがらせたいという気持ちが高まって来る。
「はい、クロヱさんのことを大好きになっちゃいそうです」
僕は少しずつ沙花叉さんとの距離を縮めていく。そしてそれに沙花叉さんも気付いて少しずつあたふたし始めた。
「…あ、あの…社員さん?」
「大好きです。クロヱさんはとっても可愛くて、どんなこともできて、お料理も上手ですし、本当に完璧な人ですよね」
「それほどでも」
「本当にクロヱさんってすごいですね」
「……そ、そうだよ」
「やっぱりクロヱさんって世界で一番可愛いですね」
「……ほ、ほめないで……///」
どうやら僕が近づいて来ていることと、褒められるキャパを超えてしまったようで顔がどんどん赤く染まっていく。
「だめです。クロヱさんの良い所は他にもあるんですよ」
「や、やめて……っ…」
そんな恥ずかしがる、沙花叉さんに良いところをあげていく。すると段々、沙花叉さんはどんどん静かになっていった。
最後にトドメとして僕は想いを伝える。
「大好きです!!」
「…………///」
四人目のターゲットは白上フブキさん。正直、今回の中で一番楽。白上さんとはそれなりに付き合いもありますし、どうにかなる気がする。そして企画の後に謝れば許してくれそう。
まあ、あくまでイメージなんですけど。
今度もターゲットスタジオに入ってきたタイミングで壁ドンを実行する。僕たちは白上さんが到着するのを待って…入ってきたところで壁ドンをした。
「大好きです!!」
「…………///」
耳がピーンと張った。どうやら白上さんはかなりの純粋らしい。
「僕はフブキさんのそういう初心なところも好きですよ」
するとフブキさんは俯いていた顔をちょっと上げる。
「……し、しらかみ…のことすき?」
正直、上目遣いで顔が真っ赤の白上さんを拒否するということはできないですよ。どちらにしても企画の趣旨的に答えは決まっているんですけどね。
「はい、大好きですよ」
「……うれしい…」
え…こっちの方がドキドキしてくる。やばい…白上さんの空気の飲まれそう。でも、こっちは攻めないといけないですね。
「白上さんって…とっても可愛いですね」
「…し、しゃいんさんも…かっこいいですよ」
普段の白上さんに言われるのであれば別に問題ないんですが、今の白上さんの状態で言われるとやばいですね。下手したら白上さんに僕の心がからめとられる可能性もある。ここはどうにか耐えないと。
「白上さんの何事にも全力ところとか、皆をまとめているとか、企画力とか本当にすごいですよね。僕は白上さんの全てを尊敬しています!」
ちょっと違う角度からやってみるのも一つ。容姿とかを褒めるよりもその人のやったことや得意分野を褒めてあげた方が少しは流れも変わるかも。
「…………///」
「可愛いですね」
「…………すきです!」
「え?」
「し、しらかみも…だいすきです!」
「…ぼくもだいすきです!」
「ううん。白上の方が大好きだもん!!!」
白上さんはそれからずっと愛を伝えてきて、僕の方がかなり戸惑ってしまった。
そして五人目のターゲットはときのそらさん。色々な意味で怖い。ときのそらさんと言えば『ホロライブの始祖』と呼ばれるような人。清楚で汚しちゃいけない対象なので…ヤバい。これが配信されることを考えるとコメント欄の荒れぐらいが想像できてしまう。
今回最後のターゲットこと、ときのそらさんがスタジオに入って来たので壁ドンをする。
「…え、どうしたの?」
「かわいいですね」
「……え?」
「そらさんは可愛いです」
「…………///」
顔を赤くして目は床のことを見ていて、両手は神に祈るように重ねている。
「世界で一番、そらさんは可愛いですよね。ずっと思っていたんですけど、今みたいに恥ずかしがっている時のそらさんも可愛くて好きです」
「そ、そんな…こといわれたら…はずかしいよ……///」
「すきなんです」
「……は、はずかしい……///」
ときのそらさんにこんなことをしているだけで心が痛んで仕方がない。だって純粋なときのそらさんを騙しているわけだし。
でも、ここは仕事と割り切ってやりきらなくちゃいけない。
「そらさん、見てください」
「え…で、でも…」
「お願いです。僕の目を見てください」
ときのそらさんは僕の圧に負けて少しずつ…目線を上げてくれてやっと僕と目が合った。今の心境は『可愛い』の一言。白上さんの時も同じだった。タレントさんにこのようなに思うのはあまり宜しくないのは分かっているが、やっぱり思ってしまう。だってそれぐらいに可愛いから。
「僕はそらさんのことが好きですよ」
「………///」
「全て可愛いですね」
「…やぁめて…く、ださい」
最初から最後まで反応が初々し過ぎて…すごかった。