「百鬼さん」
「……?」
「聞いてますか?」
「う……ん。聞いとるぞ」
「聞いてませんでしたね……」
「……」
今の僕は百鬼さんのパソコンについて助言をしている。何でそんなことをしているのかと言うとそれは百鬼さんから『おすすめのパソコン』があるかを聞かれたのでそれについて説明している。もうこのやり取りを三回以上は繰り返している。
「もう説明しても意味なさそうですね」
「ご、ごめん。ちょっと違うことを考えていて……次はちゃんと聞くから!」
「いや、それもさすがに時間が無駄になりますし、百鬼さんも事務所に居られる時間は限られているでしょうから。百鬼さんが打ち合わせをしている間に色々とやっておきますので」
百鬼さんはそこまでやらせる訳にはいかないとか言っていたけど、僕がやりますのでの一点張りでどうにかした。これ以上口頭で説明したとしても時間が掛かりそうですしね。
昼食の時間に百鬼さんにおすすめのパソコンをまとめている。そのパソコンのおすすめポイントと写真、値段などを書いておくことで選ぶ時の参考にしてもらえればと思って。まあ、まとめてはいるもののこれ以外にも良いパソコンは色々とありますから。
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そして時間は経って、日が落ちて時間も終業時刻になっていた。百鬼さんも打ち合わせが長引いてしまってこの時間まで事務所に残ってくれていた。
「まとめておいたのでこれを見てみてください。使わなかったら捨てちゃっててもいいので…」
僕は百鬼さんにパソコンの特性などを書いただけですからね。逆に返されたとしても使い道が全くないですし。
「……あ、ありがと!余のためにここまでさせてごめん」
「大丈夫ですよ。僕たちの仕事はホロメンを支えることも含まれているので」
「でも、余のせいで昼の時間とか無くなっちゃったんだよね…」
明らかに百鬼さんは落ち込んでいる。折角、頑張ったんだから笑って欲しい。
「百鬼さんがそんな顔をしないでください。百鬼さんには笑顔が似合いますし、暗い顔をされると僕が頑張った甲斐がないじゃないですか。僕は百鬼さんに喜んでもらうためにやったので笑ってください」
「…で、でも……」
「ほら、口角を上げてください」
僕は無理やり百鬼さんの頬を掴んで口角を上げさせた。こんな強引な真似をしてしまったら嫌われてしまうかもしれないけど、今はただ落ち込んでいるようなところは見たくない。
「…やぁ……たい……いたぁい~~」
「あ、すいません。でも今は本当に笑ってください。笑ってくれるだけで全てが報われるので…」
「いたいよぉ~もうちょっと優しく摘まんで。でも、分かったよ。そこまで言うんだったら、余のためにありがとう!」
最後の最後で良い笑顔を浮かべて帰っていった。それを見て、僕は書いてよかったと思った。少しでも百鬼さんの役に立てていれば。