ポケぐらし   作:Rameso

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アルフの遺跡にて

キキョウジムの一戦の後は観光地を少しぶらついた後近くの宿に一泊した。

 

翌日、32番道路を通ってアルフの遺跡に自家用車で向かう。

窓をあけて、高速で移動する車体からその身に風を受ける。

自らに宿った熱に、燻ぶった煙がじわじわと燃え上がるようだった。

 

「ポケモントレーナーか」

 

上には上がいる。

ハヤトも実力は本来あんなものではない。

挑戦者のバッジ数によって、手持ちポケモンの数と質は限られるのだ。

だが、バッジ一個の子供に対しての制限された手持ちの中では、

流石のジムリーダーと言う戦い方に華麗さを俺は感じていた。

 

それは、子供に対しても同じだ。

特にポケモンバトルに関しては、年齢などある意味関係がないのだ。

当然、年を重ねるほど熟練さやいわゆるいやらしい戦い方はできるようになる。

しかし、圧倒的な才能の前にはそんな小細工はたやすくねじ伏せられる。

 

恐ろしい世界である。

人生を投げうってその世界に身を捧げたところで、

果てしない高みを感じながら、怒涛の下からの突き上げを感じ続ける羽目になる。

 

例えばポケモンリーグの頂点と言えるセキエイの四天王ですら、頻繁に入れ替わっている。

 

氷ポケモン使いのカンナから、エスパーポケモン使いのイツキへと。

自分自身ですら超能力者と言われているイツキは、メディアを騒がせることなった。

 

もっと言えば、チャンピオンですら本来はワタルから変わっていた。

タマムシ、ヤマブキと言った大都市で悪事を行っていた組織を、

その身一つでねじ伏せて、叩きのめし、駆け上がっていった伝説の少年。

 

突然の引退宣言からドラゴン使いのワタルが再度の登板となったが、

メディアやニュースでは連日その報道で持ちきりになった。

 

持っている才能、覚悟が違うのだ。

手にもったハンドルに、ぐっと力を入れた。

 

それでも、それでもだ。

あんな戦闘を見せられたら、「自分もポケモンバトルを行いたい」と。

まるで呪いのように身を焦がすそれは覚ますように、アクセルを踏み込んだ。

 

アルフの遺跡は、一般公開されており誰でも入れるようになっている。

一説には1500年以上前に建造されたともいわれているが、

何のために作られたのかは全くの謎ということだ。

 

キキョウシティは、エンジュシティと同様に歴史ある街であり、こういった旧跡が各所に点在する。

通説ではポケモンにまつわる古代王朝時代の古墳だと言われているが、

はっきりとはしていない。

 

古代のポケモンと言われている石像が屹立している大広間。

荘厳なその場に身を置き、圧倒されてしまった。

 

「へー、広いやけど何もないや」

「神々しいってゆーか、歴史的ってゆーか、禍々しいってゆーか、

 よーするに… 神秘的な感じよね?」

 

観光客が思い思いに言葉を述べているのを横目に、俺は遺跡内をぐるっと散策した。

石板の復元や、地域に密着したイベントを考古学者たちが行っており、

休日ということもあり、賑わいを見せているようだった。

少し休憩を入れようと、アルフの遺跡から出てすぐの木陰に寄り添う。

 

気づけば昼を少し過ぎてきており、明るい内にヨシノシティに帰ろうと

するとそろそろ出立しなければいけない。

古代の神秘に触れて、十分にリラックスできた俺は駐車場に戻ろうとする。

 

―――ふと、ピョンピョン飛び跳ねていた小さな何かと目があった。

 

じっとこちらを見つめるそれは、20cmにも満たない薄緑色のとりポケモン。

その眼は非常に特徴的な横長で、無心にこちらを見つめている。

 

俺は唐突なやせいポケモンとの遭遇に、体が固まってしまった。

氷を背中に入れられてしまったような冷たい緊張感が当たりを包む。

永遠と間違うような時間、俺とそのポケモンは見つめあっていた。

 

「お客さん! 大丈夫ですか!?」

 

その場を切り裂くような警備員の声が響き、はっと自らの身を動かすと、

そのポケモンは逃げるように飛び跳ねて、ブンとその身は虚空にへと消えた。

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