『三好in山本五十子の決断』   作:零戦

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フォークロア氏が出したので此方も慌てて投下


第十四話 南太平洋海戦後編

 

 

 

 

 

 

「ニミッツ長官、ノイス司令より電文です。『レンジャー』『インドミタブル』『フォーミダブル』共に撃沈されたとの事です」

「………………」

 

 10月26日、南太平洋で将和と小澤の二個機動部隊とキンケイドらの機動部隊が激突していた。だが、残っていた三空母とも撃沈されたのである。

 

「……これで……」

「はい、これで無事に『ガダルカナル島救援輸送船団』はガダルカナル島に到着します」

 

 セシリアの言葉を引き継ぐように情報主任参謀のミリーナ・レイトン中佐はそう答える。

 

「リー少将の部隊は?」

「先にガダルカナル島泊地に到着しています。ですけど……ハルゼイ長官には伝えなくて良かったのですか?」

「……フレンダには申し訳ないとは思うわ……。でも今の葦原は異様よ。だからこそ敵を欺くためにはまず味方から……そういう事よ」

 

 セシリアは珊瑚海から異様になった葦原軍を強く警戒するようになった。だからこそ持てる戦力を全て動員するためにブリトンから空母を借用したり大西洋艦隊から艦艇を引き抜いたりしていたのだ。

 

「ですがブリトンは空母喪失に文句を……」

「11月に護衛空母が4隻、工事を繰り上げて早期に就役するわ。キング部長はそれをカードにしてブリトンに売却する予定にしているのよ」

「……成る程。数的にはプラス2ですか……」

「でも……これで……」

 

 セシリアはそう呟きながら真珠湾を見る。まだ真珠湾攻撃の爪痕は残っていたがそれでも活気はあった。だが停泊する艦艇は殆どが出払っているのでいなかったのである。

 

「今回の海戦は葦原の勝ちね……だけど、ガダルカナル島を死守する意味ではヴィンランドの勝ちよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何!? ガダルカナル島泊地に戦艦5隻だと!?」

「は、はい。他にも護衛空母3隻が確認されてますわ。それに伴い敵飛行場にも100機以上の航空機が確認されてます。なので第二師団も攻撃を中止しましたわ……」

 

 ガダルカナル島近海を航行していた第一機動部隊旗艦『加賀』の艦橋で将和は嶋野からの報告に目を見開いた。隣にいた宇垣でさえも驚愕の表情を浮かべていた。

 

「そんな馬鹿な事があるのか……」

「……嶋野、彩雲を用意してくれ。写真撮影だ」

「分かりましたわ、直ちに用意します」

 

 斯くして急いで彩雲が発艦をしガダルカナル島へ向かうのである。そして写真撮影後、直ぐに現像されたのが将和の手元に届く。

 

「……こいつは『ワシントン』『サウスダコタ』それに『インディアナ』もいやがる!?」

「それとこれは『コロラド』型じゃないか!? とするとこれは『メリーランド』か!?」

「長官……」

 

 将和は驚愕するが次第に笑みを浮かべ肩を震わせる。そしておもむろに笑い出したのである。

 

「……ククッ……ククッ……クフッ……ハッハッハッハッハッハッハッハッ!!」

「長官……?」

「アーハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!! ヒーヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ!!!!!!」

 

 笑うあまり机をバンバンと叩く将和である。その様子に宇垣と嶋野はどう言うべき迷った。だが直ぐに将和は笑いを収めた。

 

「ハー……ハー……いや笑ったよ笑った。あーやられたやられた……………よし、全艦艇はトラックに引き揚げだ」

「えッ!? ひ、引き揚げるのか?」

「長官、やはり航空隊での攻撃を……」

「それは被害が大きすぎる。無駄な戦死を増やすだけだ」

 

 将和はそう言って指揮棒でガダルカナルをトントンと叩く。

 

「恐らく……この5隻は常時ガダルカナル島に張り付けになるだろうな。これだと戦局は泥沼化になる」

「では此方も……」

「『アイアンボトム・サウンド』になるぞ?」

「ウッ……」

「それに此方が動こうにも動ける戦艦は5隻しかいない。しかも3隻は35.6サンチ砲艦だぞ」

 

 この時、確実に動けた戦艦は『河内』『因幡』『伊勢』『比叡』『霧島』であった。下手に動けば第三次ソロモン海戦になるのは必須であった。

 

「だがよ長官、確かに3隻は35.6サンチ砲艦だけど砲弾は……」

「あぁ、砲弾は確かに大重量砲弾の四式徹甲弾を搭載はしている。だが装甲は? 特に『比叡』『霧島』は元は巡戦上がりなのは葦原海軍は元より我が日本海軍も周知しているぞ」

「うっ……」

 

 将和の指摘に宇垣は図星であったのか視線を逸らしてしまう。確かに砲撃能力であれば葦原・日本とヴィンランドは同等だった。というのも宇垣が発言した『四式徹甲弾』とは日本が開発した超重量砲弾であった。

 この開発により46サンチ砲弾は1760kg、41サンチ砲弾は1220kg、35.6サンチ砲弾は965kg、20.3サンチ砲弾は155kgと超重量砲弾に交換しており、その交換が完了していたからこそあのマリアナ沖大海戦に行き着く事が出来たのだ。

 無論、転移してから四式徹甲弾の生産は続けられており各艦艇に配備されてはいたのだ。だが、将和が言うように装甲に関してはどうしようもなかった。『金剛』型等は近代化改装はしてはいるがやはり装甲がネックであった。三好側の『伊勢』は41サンチ砲対策としての装甲は為されていたが元は35.6サンチ砲対策なので無理はあろう。

 

「良いさ、責任は俺が取る。小澤の第二機動部隊にも連絡。全艦艇は直ちにトラックに帰隊する」

「……分かりましたわ、直ちに伝えます」

「此方も皆に伝えるぜ」

 

 嶋野と宇垣はそう言って将和に頭を下げて部屋を出る。出るのを確認して足音が遠くなっていくのを確認した将和は机を思いっきり叩きつけた。

 

「……セシリア・ニミッツか……中々どうして……やるじゃないか」

 

 将和自身、ライバルはいなかった。いや、いたとしても向こうのニミッツやハルゼーではあるもののライバルとはいえなかったのもある。だが、将和は明確にセシリア・ニミッツをライバル視したのであった。

 なお、後に色々と色んな意味で生涯に渡りそうなるのだが……。

 

「……良いだろう……今回についてはお前の勝ちだ。だが次は無い!!」

 

 将和はニヤリと笑うのである。その後将和は部屋から出てくるまで何かを書くのであった。そして三個艦隊は無事にトラック諸島に帰還するのであった。将和と嶋野はそのまま機上の人となり二式大艇で内地に向かうのである。

 

「三好長官、お疲れ様でした」

「あぁ五十子、ありがとう。だが肝心のガダルカナル島は奪回出来なかった」

「そういう事もあります。予測はしていても想定外の事は起きるからね」

 

 将和を出迎えた五十子はそう労いつつ用意していた車で大本営に向かう……が。

 

「……なぁ五十子、ちょっと狭くないか?」

「……そうでもありませんわよ長官?(これは……まさか五十子さん……)」

「いやぁ……直ぐに用意出来る車がこれしかなかったから……(役得でしょ夕華ちゃん?)」

(無論役得ですわ!!)

 

 何故か将和を真ん中に左右に座る五十子と嶋野だが車がちょっと狭かったのでぎゅうぎゅう詰めだった。顔を紅く染めながらも五十子と嶋野はしてやったりの表情であり将和は気付く事はなかったのである。ぎゅうぎゅう詰めは大本営に到着するまで続いたのであった。

 

「おや、二人とも顔が赤いが風邪かね?」

「い、いえ。何でもありませんわオホホホ……」

「そ、そうだね……」

(……あぁ……またかね三好君……)

 

 南条からの指摘に二人は誤魔化すが宮様だけは気付いて苦笑するのである。それはさておき、大本営の一室にて各関係官僚や陸海軍将官達が集まったのである。

 

 政府関係

 岸信介(三好側)

 吉田茂(三好側)

 重光葵

 木戸幸一

 

 陸軍

 南条秀樹

 杉山始

 寺内寿一

 畑俊六(三好側)

 

 海軍

 宮様(三好側)

 三好将和

 長谷川清(三好側)

 山本五十子

 福留繁子

 嶋野夕華

 

 そして司会と進行役として嶋野と福留が立ち上がる。

 

「本日、集まってもらったのは他でもありません。各方面の撤退及び増強、転進の議題になります」

「何だと!?」

 

 福留の言葉に立ち上がったのは南方方面軍総司令官の寺内寿一陸軍大将だった。

 

「おかしいではないか、ガダルカナルの戦局は我が軍の有利と聞いていたぞ。しかも先頃には南太平洋で海軍の機動部隊がヴィンランド機動部隊に勝利したと言っていたではないか!? まさかそれは嘘だと言うのか!?」

「寺内大将、南太平洋で勝利したのは事実です。それは私が保証しますよ」

「み、三好大将……」

 

 寺内の怒号に将和は諭すように言う。寺内も専門家がいた事でこれ以上の口撃はやめ、渋々と席に座る。座るのを確認した将和は再度立ち上がる。

 

「撤退に関しては今から私から説明しましょう」

 

 そして将和は世界地図を開くのであった。

 

 

 

 

 

 

 




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