光文18年3月、パールハーバーの太平洋艦隊司令部ではセシリア・ニミッツ大将が頭を悩ませていた。
「何故奴等は動かない……?」
セシリアを悩ませていたのは未だトラック諸島で待機している葦原の機動部隊だった。葦原は昨年の12月までにはガダルカナル島から撤退しその最前線をラバウルにまで縮小させていた。だが、その後の行動を葦原はしてこなかったのである。
「単純にサルが逃げて縮こまっている。そうだろ?」
「それまでの戦果があるのに? 葦原が負け続けているなら理解出来るわ。でもそうではない筈よ」
「けどよ、結局はサルどもは戦艦5隻に怯えてガダルカナルから撤退したじゃないか」
「奴等が空母のパイロットを犠牲にすれば充分に奪還可能だった」
ハルゼイの言葉に反論するように口を開いたのはレナ・スプルアンス中将だった。今は第五艦隊司令官をしているが『エセックス』級空母が就役している事もあり機動部隊の再編を行っていた。
「ですので警戒はすべきかと思います」
「ケッ」
スプルアンスの言葉にハルゼイは面白くないように不満顔だった。
「フレンダ、貴女には戦艦部隊を率いて警戒をお願いします」
「お、あたしで良いのか?」
「貴女でなくては務まりません」
「ヨッシャ!! なら任せておきな!!」
ハルゼイはニヤリと笑いセシリアの要請を承諾するのであった。そして葦原軍と日本軍はというと……。
「それで現時点での参加艦艇は?」
「戦艦11隻、正規空母15隻、軽空母3隻を筆頭に参加出来ますね」
「陸軍も三個師団も派遣可能と言っています」
「ん」
海軍省で将和と宮様は会合をしていた。
「それで艦隊編成はどのように?」
「これに」
宮様の言葉に将和は計画書を渡した。
『星一号作戦』
主力艦隊
司令長官 三好将和大将
参謀長 宇垣束少将
旗艦『長門』
第一戦隊第二小隊
『長門』
第二戦隊
『伊勢』『志摩』(葦原側の元『伊勢』)『日向』『扶桑』『山城』
第三戦隊
『河内』『因幡』
第五戦隊
『妙高』『高雄』『鈴谷』『羽黒』
第十二戦隊
『八雲』『和泉』
第二水雷戦隊
『神通』
第八駆逐隊
『朝潮』『荒潮』『満潮』『大潮』
第十五駆逐隊
『黒潮』『親潮』『早潮』『夏潮』
第十六駆逐隊
『雪風』『初風』『天津風』『時津風』
第十八駆逐隊
『不知火』『陽炎』『霞』『霰』
第五水雷戦隊
『酒匂』
第三十一駆逐隊
『長波』『巻波』『高波』『大波』
第三十二駆逐隊
『清風』『妙風』『山霧』『海霧』
第三十三駆逐隊
『玉波』『鈴波』『藤波』『早波』
第二防空戦隊
『祥鳳』
【零戦27機 天山3機】
『龍鳳』
【零戦27機 天山3機】
計零戦54機 天山6機
機動艦隊
司令長官 山口多聞中将
参謀長 小澤智里中将
旗艦『加賀』
第一航空戦隊
『加賀』
【烈風改54機 彗星27機 天山27機 彩雲12機】
『雲龍』
【烈風改27機 彗星18機 天山18機 彩雲6機】
第三航空戦隊
『赤城』
【烈風改27機 彗星18機 天山18機 彩雲3機】
『土佐』
【烈風改 27機 彗星18機 天山27機 彩雲3機】
第五航空戦隊
『翔鶴』
【烈風改27機 彗星27機 天山27機 彩雲3機】
『瑞鶴』
【同上】
第六航空戦隊
『鳳鶴』(『ホーネット』)
【烈風改27機 彗星36機 天山27機 彩雲6機】
『黒姫』(『サラトガ』)
【烈風改27機 彗星27機 天山27機 彩雲3機】
第一防空戦隊
『瑞鳳』
【零戦30機】
第三戦隊第二小隊
『比叡』『霧島』
第七戦隊
『最上』『三隈』『石狩』『熊野』
第八戦隊
『利根』『筑摩』
第一護衛戦隊
『五十鈴』『名取』『由良』『長良』
第十駆逐隊
『夕雲』『巻雲』『風雲』『秋雲』
第十七駆逐隊
『谷風』『磯風』『浜風』『浦風』
第六十一駆逐隊
『秋月』『照月』『涼月』『初月』
第六十二駆逐隊
『新月』『若月』『霜月』『冬月』
第六十三駆逐隊
『春月』『宵月』『夏月』『満月』
計烈風改243機 彗星198機 天山198機 彩雲42機
上陸部隊
司令長官 山本五十子大将
参謀長 楠木多恵少将
旗艦『大和』
第一戦隊第一小隊
『大和』『周防』『陸奥』
第四戦隊
『妙義』『愛宕』『摩耶』『鳥海』
第九戦隊
『北上』『大井』
第二航空戦隊
『紀伊』
【烈風改45機 彗星36機 天山36機 彩雲12機】
『蒼龍』
【烈風改27機 彗星18機 天山18機 彩雲6機】
『飛龍』
【同上】
第七航空戦隊
『蓬莱』
【烈風改27機 彗星18機 天山18機 彩雲6機】
『葛城』
【同上】
第八航空戦隊
『生駒』
【烈風改27機 彗星18機 天山18機 彩雲6機】
『飯盛』
【烈風改27機 彗星18機 天山18機 彩雲6機】
第一水雷戦隊
『阿武隈』
第六駆逐隊
『雷』『電』『響』『暁』
第七駆逐隊
『曙』『潮』『漣』『朧』
第二十一駆逐隊
『若葉』『初春』『初霜』『子日』
第二十七駆逐隊
『白露』『有明』『時雨』『夕暮』
第四水雷戦隊
『那珂』
第二駆逐隊
『村雨』『春雨』『五月雨』『夕立』
第四駆逐隊
『嵐』『萩風』『野分』『舞風』
第九駆逐隊
『山雲』『峯雲』『朝雲』『夏雲』
第二十四駆逐隊
『海風』『涼風』『江風』『山風』
第六水雷戦隊
『阿賀野』
第四十三駆逐隊
『松』『竹』『梅』『桃』
第四十五駆逐隊
『桑』『桐』『杉』『槙』
計烈風改207機 彗星144機 天山144機 彩雲48機
以上の艦艇だった。
「『大和』は五十子君にかい?」
「やはり上陸部隊に付いてもらうのが陸さんも安心すると思いましてね。それに空母も楠木の指揮下で7ハイはいますからまぁ大丈夫でしょう。肝心の烈風改も何とか母艦飛行隊に配備出来る分は出来ましたからね」
「成る程」
「それで宮様……作戦時期を早めませんか?」
「何? 早めるというのか?」
将和の言葉に宮様は驚いて将和を見る。
「史実でさえ奴等は作戦想定の5月には『エセックス』級が4隻も就役しています。それを考えたら作戦を早めた方が良いかもしれません」
「ムゥ……確かにな。宜しい、なら陸さんにも声をかけてみよう。最悪、一個師団でも此方が陸戦隊を出せる分だけ出したら良い」
宮様は将和の早期開始を了承し直ちに陸軍にも連絡したのである。陸軍も驚いたが日本側の意見を尊重して急いだがそれでも何とか二個師団を揃う事が出来たのである。その為その分を海軍陸戦隊8000名で補う事にしたのである。
だが、将和もこの時点で一つの誤算があった。それはヴィンランド海軍の『エセックス』級空母の就役である。史実でもこの時期は確かに4隻であった。しかし、セシリアの根回しにより『イントレピッド』『ベニントン』が工期繰り上げの早期就役をし6隻となり更には『インディペンデンス』級軽空母も4隻が就役し合わせて10隻の機動部隊の編成が可能となっていたのである。
そして光文18年3月28日、将和の主力艦隊と山口中将の機動艦隊は各軍港から抜錨し北上し択捉島単冠湾に集結し4月1日に単冠湾を出港したのである。
共に経路は真珠湾、それは日本・葦原共に経験した真珠湾への経路だったのである。
だが出港してから翌日、内地から一通の電文が届いたのである。
「攻撃開始日を繰り下げろと?」
「はい。兎に角、緊急事態が起きたが作戦は続行せよ。ただし攻撃開始日は4月18日に繰り下げろとの事で……」
(宮様らに何かあったのか……?)
将和は考えたが考えても答えは出なかったので仕方なく元々予定していた開始日から下げて4月18日に決定したのである。
「いや……まさかこのような事になるとは……」
「三好は息災かね?」
「ハッ、今も真珠湾に向かっております」
「フム……『星一号作戦』か。良い、作戦は君らに任せてある。米国……ヴィンランドが講和に切り出す確率はあると?」
「いえ、我等を以ても……かの国は米国と同じであります」
「成る程。それで援軍は出せるのか?」
「今現在、高速艦艇のみで編成した艦隊を向かわせました。司令官には松田中将が」
「ほぅ、あのマリアナ沖大海戦で三好を補佐した者か」
「左様でございます」
「分かった、伏見宮に任せる。仔細は……終わってから三好共々朕に報告すれば良い」
「ハッ」
「……三好も驚くであろうな……」
御意見や御感想等お待ちしていますm(_ _)m