『三好in山本五十子の決断』   作:零戦

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改めてフォークロア氏、完結おめでとうございます


第二十四話 三好家集合

 

 

 

 

 

 

「……………………はぁ……………」

「あの……」

「んぁ、悪い。大丈夫大丈夫」

 

 将和は自宅の扉で既に30分、開けるか開けないかで迷っていた。流石に見かねた五十子が声をかけるが将和は漸く決断をして扉を開けたのである。

 そして扉を開けるとそこには薙刀を持って構えている夕夏がいたのである。

 

『………………………………』

「……お帰りなさい……♪」

 

 笑みを浮かべる夕夏に将和はサッと扉を閉めようとしたが咄嗟に夕夏が右足で閉めるのを防ぐ。

 

「あらあら……どうしたの貴方……? 顔色が良くないわよ?」

「なぁに……久しぶりに嫁に会って気分が高揚し過ぎたからだよ」

「あら、それは嬉しい……わねッ!!」

 

 夕夏は思いっきり扉を開けて身構える将和に抱きつくのである。

 

「………死んでなくてホッとしたわ……」

「……あぁ……」

 

 ギュッと更に強く抱き締める夕夏に将和は夕夏の頭を撫でる。その様子を後ろから五十子達が見守るのであった。

 

「ごめんなさいね。久しぶりだったからついはしゃいじゃったわ」

(はしゃいだのか……)

 

 五十子達に謝る夕夏に将和はそう思う。

 

「立ち話もなんだから入りましょう。皆、待ってるわ」

 

 夕夏の言葉に将和と五十子達は家に入るのである。そして食堂ではタチアナ達が勢揃いしていた。

 

『貴方ッ!?』

 

 将和を見たタチアナ、シャーリー、美鈴はワッと将和に群がり抱きつく。抱き着かれた将和は一人一人にその頭を撫でるのである。

 

「さて……貴方? また増やしたわね?」

「ふげッ!?」

 

 将和に甘えていたタチアナは両手で将和の頬をつねる。ちなみにシャーリーと美鈴も笑いながらつねる事に参加している。

 

「いひゃいッ!? いひゃいいひゃいいひゃいッ!?」

『何か言う事は?』

「し、しぃましぇん……」

「宜しい」

 

 将和の謝罪にタチアナはニコリと笑い頬をつねるのを止めるのである。なお、シャーリーと美鈴も同様である。

 

「まぁ……この子達を見捨てるようだったら三行半をする予定だったわ」

「馬鹿野郎。そんな事はしないさ」

 

 夕夏の言葉に将和は直ぐ様反論すると夕夏もニコリと笑う。

 

「勿論、貴方ならそう言うと思っていたわ。さて……」

 

 そう言って夕夏が五十子達に視線を向けると五十子達も服装を正す。

 

「そんなに身構えなくてもいいわ。私達は貴女達を歓迎するわよ♪」

「……良いんですか?」

「あら? 『英雄、色を好む』というじゃない。それに家族は多ければ多い程楽しいじゃないの」

「まぁそれは……」

「それに……」

 

 夕夏はそう言って五十子達にコソッと耳打ちをする。

 

【あの人、ヤる時は激しいでしょ? 私達も腰砕けになるから多い方が楽になるのよ♪】

『~~~~~~~~ッ』

 

 夕夏の言葉に五十子達は顔を真っ赤にするのであった。

 

「でも……(もう少し増えそうな気もするわね)」

 

 そう思うタチアナである。なお、その日の夕食は全員で共にする。

 

「はい、貴方。貴方が転移後に生まれたレミリアよ」

「そうか……おっと」

 

 タチアナから新たに生まれた娘を抱き抱える。娘ーーレミリアはむずがゆそうに手をジタバタさせるも将和がおでこにキスをするとくぁっと欠伸をしてまた寝るのである。それを五十子達は顔を輝かせる。

 

「うわぁ……可愛い~……」

「子どもって良いですわね……」

「嶋野さんがそんな事言うなんてな……明日は雪かな」

「それはどういう事ですの宇垣?」

「むぅ……良いなぁ……」

 

 五十子達四人はそう言い合うのであった。なお、夕夏らと五十子らの仲は非常に良好であったのは言うまでもない。また、その夜の将和は「死ぬかもしれなかった」と痩せこけた表情で息子達(将弘ら)に語るのである。(やめたれ)

 数日後、将和は宮様の他にも合流が出来た東條らと会合するのである。

 

「久しぶりですね」

「確かにな。だが君はまた増やしたのかね?」

「……増えたんです……フラグは……あったのかぁ……」

「まぁ君の事だからあったんだろうな」

 

 ニヤニヤと笑う東條や杉山に将和は頭を抱える。それを尻目に廣田はゴホンと咳払いをする。

 

「ゴホン……そろそろ本題はいいかな?」

「あ、はい……それで『カ号作戦』ですが……」

「取り敢えず陸軍としては10個師団に2個戦車師団を出さないと『星の屑作戦』の発動が出来ないと認識してぉる」

「葦原と日本が合体した事で本州にあった連山78機全てが揃える事が出来たのは僥倖だがな……」

 

 葦原と日本が合体。これには首を捻るモノもいるだろう。だが、内地の測量を急遽行い驚愕したのが領土の増量である。

 即ち、葦原と日本が合体した事で元々の面積だった約38万㎢が何と約60万㎢まで増えたのだ。無論、日本海等も多少の減少はしたものの、過ぎたる事である。

 また、葦原と日本が合体した事で日本側の工場等も出現しているので両国の工業力は向上する。今のところの混乱は無いものの、民間同士の接触は良好でありむしろ日本側の漁師達が葦原の人間からは(普通に海に入れるから)高評価だったりする。

 なお、葦原と日本の両政府は何度も話し合い挙国一致として合同内閣が発足し総理には廣田が、副総理には南条が就任しているのである。

 

「それとも作戦を分けますか?」

「分ける? それぞれの作戦に分担すると?」

「はい。陸軍さんの準備がやはり重要ですしそれなら先にパナマ運河攻撃として『カ一号作戦』と題してでも……」

「いやいや、三好君。此処は同時にやろう。奴等にはインパクトを与えた方が向こうにも精神的ダメージは入りやすい」

 

 杉山はそう主張する。

 

「今なら8個師団はいける。それに追加という形なら更に5個師団はいけるさ」

「……分かりました。杉山さんがそう仰るなら自分も反対は無いですね」

 

 杉山の言葉に将和も矛を収めた。陸軍がやるというなら自分も全力を尽くす。そういう事である。

 

「それに海軍さんも……いよいよ噴進機の母艦配備が成されていますな」

 

 杉山の話題を変える言葉に将和と宮様は頷く。

 

「『信濃』『大鳳』『神鳳』がジェット機運用に改装されたのでヴィンランドにも十分な影響力を与えるでしょうな」

 

 将和ら九州が転移後、日本と葦原九州は対ソ連戦を耐え抜いていた。それでも満州、シベリアからは撤退したものの樺太全土と千島列島は守り抜いた。その最中に海軍は空母『信濃』『大鳳』『神鳳』をジェット機運用に改装したのである。(SCB-27相当)

 またジェット機も亡命してきたドイツ人技術者やアメリカからの支援もありネ230改(推力約1000kgf)やネ130改(推力約1080kgf)の開発にも成功し六式噴式戦闘機『火龍改』、噴式戦闘攻撃機『橘花改二』、局地戦闘機『震電改二』の発動機に搭載されていた。

 改装が完了した『信濃』には橘花改二が78機、『大鳳』『神鳳』には60機ずつが搭載され新たな航空戦を担う事となっていたのだ。

 

「三好君は自分も操縦したいようだがな」

『ハハハッ』

「いやぁ、やはり操縦したいのはパイロットとしての魂でして……」

 

 宮様に指摘され皆が笑う中で将和も苦笑する。和やかに会合は進んでおり結局、『カ号作戦』の陸軍は8個師団に2個戦車師団の投入で一先ずは落ち着いたのであった。そして将和は会合の翌日に横須賀に停泊する『信濃』を訪れていた。

 

「フム……アングルド・デッキか……。俺がいてる時はまだ実験段階だったからなぁ」

「そうなのですか?」

「あぁ」

 

 将和は右隣に車椅子に座るセシリア・ニミッツにそう言う。なお、左隣は嶋野である。ちなみにニミッツに関しての処遇はゲスト・アドミラルでありこれは五十子が許可していた。

 

「これが新しい航空戦なのですわね……」

「まぁまだ暫くはレシプロ機にも分はあるからな」

「あら、それはまたどうしてかしら?」

「簡単な事だ。ジェット機はまだ新規の分野だ。ならば離陸や着陸の時は一番危ないのは当たり前の事だ」

 

 未来ならば違うかもしれないが、この時代だとジェット機は離陸や着陸の時が一番危ないのだ。その為、史実のドイツ空軍もジェット機が着陸、離陸の時はレシプロ機を上空に出して警戒する程だった。

 

「飛行機の技術は革新していく……ww1の頃と大分進歩はしますね」

「だが暫くは進まないだろう。ジェット機が王様だろうが何れはそれもな……」

「なら次は?」

「……宇宙かもな。まぁそれも200年は先だろ」

「……成る程ね」

 

 また一機、発艦していく橘花改二を見つめる将和らであったが不意にニミッツが呟いた。

 

「やはりヴィンランド本国を攻めるのでしょう?」

「よくお分かりで……」

「私が葦原らの指揮官であればハワイを落としてもヴィンランドが和平に応じないのは承知……ならばやるならパナマ運河の破壊と西海岸の攻撃……でもヴィンランド本国はそれでも降伏はしないわ。所詮、東海岸の人間には西海岸の事は対岸の火事だわ」

「……まぁそう思うだろうが……ある場所を攻めれば変わるさ」

「ある場所……?」

「残念だがそこは内緒だな」

 

 片目を閉じてウインクをする将和にニミッツもこれ以上は喋ってはくれないと思い話題を変える。

 

「ところで……この戦争の落とし所はあるのですか?」

「……ま、良くてハワイと各地領土返還の三国同盟離脱に局地的中立宣言してのルーシ連邦への備えだろうな。ま、俺達も暫くは資源欲しいから何とも言えんがな」

 

 葦原と日本は石油タンクや資源等の保管所の増設を急がせていた。それは南方からの資源輸送をより本格化させると共に更なる備蓄にも繋げていたのだ。

 

「まぁ政治の事は政治家にお任せですね」

「まぁそうなるな」

(……楽しそうですわね……)

 

 腹の探り合いは互いに引き分けに終わる将和とニミッツだった。なお、嶋野は隣でプクッと頬を膨らませていじけているのであった。

 そして伴天連歴1943年7月、葦原軍と日本軍は『カ号作戦』の発令を行い各部隊は発動したのであった。

 

 

 

 

 




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