ことよろ
「さて、小沢は上手くやれていると仮定して……此方も仕事に取り掛かろうか」
「そのようだな」
第一機動艦隊司令長官から第一艦隊司令長官に転任した将和の言葉に同じく転任した宇垣束少将が頷く。
サンディエゴ攻撃にはほぼパナマ攻撃に向かった以外のほぼ全艦艇が参戦していた。
第一艦隊
司令長官 三好将和大将
参謀長 宇垣束少将
旗艦『出雲』
第一戦隊第二小隊
『武蔵』『出雲』『長門』『陸奥』
第五戦隊
『妙高』『吾妻』『那智』『羽黒』『早池峰』『足柄』『磐梯』
第九戦隊
『八雲』『和泉』『伊吹』『六甲』
第十戦隊
『北上』『大井』
第二水雷戦隊
『矢矧』
四個駆逐隊16隻
第四水雷戦隊
『酒匂』
四個駆逐隊16隻
第二防空戦隊
『千代田』『隼鳳』(各零戦30機搭載)
『秋月』型三個防空隊12隻
第一機動艦隊
司令長官 山口多聞中将
参謀長 松田千秋中将
旗艦『信濃』
第一航空戦隊
『加賀』『信濃』『紀伊』
第三航空戦隊
『大鳳』『神鳳』
第五航空戦隊
『翔鶴』『瑞鶴』『飛鶴』『神鶴』『鳳鶴』
第四戦隊第一小隊
『高雄』『妙義』『愛宕』
第八戦隊
『利根』『九頭竜』『筑摩』
第十一戦隊
『河内』『因幡』『岩代』
第一護衛戦隊
『五十鈴』『手取』『名取』
二個駆逐隊8隻
四個防空隊16隻
第二機動艦隊
司令長官 小澤智里中将
参謀長 楠多恵少将
旗艦『雲龍』
第四航空戦隊
『飛龍』『蒼龍』『雷龍』
第六航空戦隊
『雲龍』『蓬莱』『葛城』『鞍馬』
第三戦隊第一小隊
『金剛』『榛名』
第四戦隊第二小隊
『霊仙』『摩耶』『鳥海』
第十二戦隊
『球磨』『多摩』
第二護衛戦隊
『木曾』『由良』
二個駆逐隊8隻
三個防空隊12隻
上陸船団
司令長官 山本五十子大将
旗艦『大和』
第一戦隊第一小隊
『大和』『周防』
第二戦隊
『伊勢』『志摩』『大隅』
第六戦隊
『青葉』『石鎚』『衣笠』『古鷹』『加古』
第十三戦隊
『鬼怒』『長良』
第十四戦隊
『神通』『那珂』
第一水雷戦隊
『阿武隈』
三個駆逐隊12隻
第三水雷戦隊
『川内』
三個駆逐隊12隻
第一防空戦隊
『祥鳳』『瑞鳳』
船団護衛隊
八個護衛隊32隻
サンディエゴにはこの三個艦隊が向かい、サンディエゴ上陸船団には五十子の艦隊が護衛していた。
そして将和の艦隊は……今現在、ハルゼイの戦艦部隊とサンディエゴ沖での艦隊決戦の最中だったのだ。
「山口と小澤の状況は?」
「……スプルアンス、ミッチャーの機動艦隊を撃滅したと言っていますが……応援に来れるかは微妙かもしれませんわ。両艦隊とも損害はかなりのモノとの事ですわ」
サンディエゴ沖まで進出した四個艦隊と上陸船団だったが待ち構えていたのはヴィンランド海軍の西海岸に残された最後の水上戦力だった。スプルアンス、ミッチャーの機動艦隊が山口、小澤の機動艦隊と激突したのは昨日の事であった。
先に小澤の第二機動艦隊を発見したのはスプルアンスだった。スプルアンスは先手必勝とばかりに攻撃隊を送り第二機動艦隊を攻撃、この攻撃で空母『蒼龍』『雷龍』が撃沈、『飛龍』が大破するもその攻撃前にスプルアンス機動艦隊への攻撃隊を送り込む事に成功、空母『ランドルフ』『ハンコック』を撃沈する事に成功するのである。だが、ミッチャーの機動艦隊からの攻撃隊が飛来、大破していた『飛龍』はこの攻撃で撃沈、更には『鞍馬』が撃沈され『蓬莱』が大破するのである。
だが、山口の第一機動艦隊からの攻撃でミッチャーの機動艦隊は空母4隻を撃沈され壊滅したのであった。
第二機動艦隊はそのまま上陸船団と合流してサンディエゴを目指す。だが、その前衛にいた第一艦隊は上陸船団を阻止しようとするハルゼイの戦艦部隊が現れたのである。
「此処から先は通すわけにはいかねぇんだよ!!」
旗艦『ニュージャージー』の艦橋でハルゼイは吠える。既にスプルアンス、ミッチャーの機動艦隊が破れた今、西海岸を守る最後の艦隊がハルゼイの戦艦部隊であった。
ハルゼイの戦艦部隊は旗艦『ニュージャージー』の他にも『South Dakota』『Colorado』『Maryland』『テキサス』『アイダホ』の5隻を何とか揃えてはいたものの、最新鋭が『ニュージャージー』と『South Dakota』の2隻であり他3隻は速度が20ノット程度しか出ない旧式艦であった。
「『出雲』は『ニュージャージー』を狙え。他は任せる」
「ハッ」
「恐らく『ニュージャージー』にはハルゼイがいるだろう……『ニュージャージー』を叩けばこの海戦の勝利だ」
将和の命令を受けて『出雲』の50口径46サンチ三連装砲が『ニュージャージー』に砲撃を集中する。『ニュージャージー』の周囲に幾つもの砲弾が落下して水柱を噴き上げる。だが『ニュージャージー』に命中弾はまだなかった。
「……やるな……」
双眼鏡で『ニュージャージー』を見ていた将和はニヤリと笑う。他艦では『武蔵』が『South Dakota』と殴り合いをしており『武蔵』には40.6サンチ砲弾4発が命中していたが戦闘に支障は無かった。代わりに『South Dakota』は46サンチ砲弾3発が命中、後部三番砲塔が貫かれて炎上していた。
また『長門』『陸奥』はそれぞれ『Colorado』『アイダホ』『テキサス』と砲撃戦をしており『アイダホ』『テキサス』を炎上させていた。
それでも『ニュージャージー』は砲戦を継続していた。『ニュージャージー』から放たれた40.6サンチ砲弾が『出雲』の周囲に次々と落下してきて水柱を噴き上げる。グラグラッと揺れる、被弾したのだ。
「右舷三番両用砲被弾!! 三番両用砲員全員戦死!!」
「消火急げ!!」
「後部三番砲塔にも命中!! 旋回部に命中したので旋回不能!!」
「冷静に対処せよ。総員に告げる、長官の三好だ」
艦内無線を入れて艦内に将和の声が響き渡る。
「我が『出雲』は沈まん、何せ俺がいるからな。良いか、奴等に思い知らせろ。我等『大和』型四女の底力をッ。そしてこれだけは言っておく……『出雲』が……戦艦が簡単に沈むか!! 以上だ」
将和の激励を聞いた乗員達はやる気を出す。
「長官の日本海海戦で言った名言が出たぞ!?」
「そうだ、『大和』型四女の底力を見せてやれ!!」
「でも長官……『大和』沈んだよな……」
「おい馬鹿やめろ」
将和の激励を受けてなのか、『出雲』は第二十斉射目にて三発の命中弾を『ニュージャージー』に与えた。そしてこれが『ニュージャージー』には致命傷となったのである。
「速力7ノットまで低下!! 更に傾斜が30を越えました。ハルゼイ司令、これ以上は……」
「……クソッタレ!!」
カーニー参謀長からの報告にハルゼイは制帽を叩きつける。
「アタシは……アタシは負けたのか……」
「…………………………」
「セシリアに……何て言ゃあ言いんだ……畜生……」
そして涙を流しながらハルゼイは総員退艦を発令した。『ニュージャージー』の乗員達が海に飛び込む中、『South Dakota』も『武蔵』から四発が命中、遂に力尽きたのである。
それを見届けたハルゼイは長官室に入ろうとする。
「お止め下さい司令!!」
「離せカーニー!?」
「君達、司令を捕まえろ!! このまま退艦するわ!!」
「やめろカーニー!? アタシに生き恥を晒す気か!!」
「司令、貴女はこんなところでは死んではいけません!!」
「ガッ!?」
カーニーはハルゼイの腹を殴り気絶させる。その間にハルゼイを退艦させるのである。戦艦全てを撃沈させた将和は戦闘を停止させた。
「救助信号を掲げろ。ヴィンランド残存艦艇にも平文で打電せよ。『我、両軍ノ救助活動ヲ開始セリ』とな」
「ハッ」
斯くして日美両艦隊は救助活動を開始する。その過程でハルゼイとカーニーは『雪風』に救助されそのまま『出雲』に移動したのである。
「第一艦隊司令長官の三好将和だ」
「………フレンダ・ハルゼイ……畜生、男に負けたのか」
「というよりも男が海に出ているのが……救助された駆逐艦にも男はいましたし……」
「まぁそれはちょっと説明がいるからな……取り敢えずは彼処にいる彼女達にも会っていきなよ」
将和が指指す先には車椅子に座るセシリア・ニミッツがいたのである。
「セ、セシリア!?」
「久しぶりねフレンダ。ちょっと顔色が悪いわよ、心労かしらね」
ハルゼイは涙を流しながらニミッツに抱きつき、ニミッツも抱き締めるのである。それを尻目に救助活動を終えた第一艦隊はサンディエゴに向かうのである。なお、ヴィンランド残存艦艇は救助活動を終えるとハルゼイの指令で降伏するのであった。
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