カウンター・ストラトス   作:夢現図書館

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軋轢の教室

 

 

 楯無からの情報料を受け取り、尚且つ個人的な依頼を引き受けたミゾレ。依頼内容は自身の妹である簪の専用機の製造支援。事情の内容は企業としては有るまじき行為なのだが、一先ずその報復依頼は無かったので一旦、放置とした。

 

 そして、昨日にミゾレが間接的(ほぼ原因)に教室を半壊に追い込んでしまった為に視聴覚室が現在の1組の教室として使用されていた。

 

「ん……?」

 

——何だ……? 随分と賑やかしいな。

 

 朝となり視聴覚室に来たミゾレが見た光景は1組の生徒達が騒めいている光景であった。表立って騒いで居るのでは無く内心、騒めきを隠している様に見えたのだ。

 

「あ〜、ミゾっち〜」

 

「のほほんさんか、コレはどう言う事だ?」

 

「えっとね〜……ミゾっちがおじょー様に呼ばれての午後にね〜ちょっと、トラブった?のかなぁ」

 

「何故、疑問符なんだよ……俺の知らない所で惨劇でも起きたか?」

 

——俺が侵食体と遊んで居る間に教室で何かトラブったのか……平和的、には見えそうに無いな。

 

「あ、ミゾレさん。お早う御座います」

 

 そして、次は四十院 神楽が挨拶に来てくれた。

 

「ああ、おはようさん。で、昨日に何かあったのか?」

 

 少なくとものほほんよりは説明し易いだろうと自分が居ない間に起きた事を神楽に尋ねた。

 

「実は午後の授業の始めに織斑先生がクラス代表を決めると言い出しまして」

 

「クラス代表はね〜。各クラスの代表としてイベント事に代表選手として出場したりするんだよ〜」

 

——クラス代表を決める際に誰がするかで揉めたのか。代表となれば目立つから目立ちたがり屋は取りたくなるわな。

 

「その時に織斑先生が『他薦でも自薦でも構わない。ただしこの場に居ない者は除外とする』と言ってしまったモノですから、大半の方が……世界初の男性操縦者である織斑 一夏さんを推しまして……」

 

「その推薦に反発した〜セシリアって人が〜、怒り出して〜自分が相応しいって言い出したんだ〜」

 

「……その時の内容は正しく売り言葉に買い言葉。補足しますと本音さんの言うセシリアと言う方は、今年度の主席入学を果たしたイギリスの国家代表候補。そして両者共に一歩引かずの口論に発展しまして……」

 

「そいつは惜しかった。そんな光景ならばポップコーンかコーラを片手に眺めたくなるな……下手な3流映画よりも見応えあったろうに」

 

——パイセンが居たらポップコーンくれたのにな……。つーか、イギリスって……何処ぞの紅茶爆弾の顔を思い出すじゃねぇか……あのアマ、ドッキリヒモなしバンジーさせやがって……‼︎ その癖に会社にまで出張りやがって……‼︎ 彼処の執事、ちゃんと見てやがれよ‼︎ 保護者だろうがッ‼︎

 

「……笑い事ではありませんわ。国際問題に発展しかねない口論でしたのよ」

 

「え? そんなにヤバい暴言が出たのか?」

 

 ミゾレは観客気分で惜しい事をしたと思ったが神楽の表情からどうやら笑い話で済む様なやり取りでは無かったらしい。

 

「えっと〜、日本人をサルだの言ったり、イッチーがメシマズだのって、お互いの国を罵っちゃったんだ〜」

 

 覆水盆に返らぬ。吐いた唾は戻せない。

 方や代表候補生、もう片方は世界初の男性操縦者。重要度に差異はあれど注目(・・)を浴びる存在である事に変わりはない。

 

「……………」

 

——くだらねぇぇ……。国の面子って奴か……俺には理解出来ん話だ。

 

 ミゾレには愛国心と言うモノは無い。自分が何人であるかさえ自覚は愚か理解していない。帰属意識も無い。国に対して愛着心は皆無。

 そして、帰るべき故郷さえも初めから無いのだから。

 

「……最初は織斑先生は静観して居ましたが、口論の途中で割って入り『両者、ISでの模擬戦で決着を付けろ』と場を納めました。

 代表候補生のセシリア・オルコットさんと世界初の男性操縦者の織斑 一夏さんと言う対戦カード……と言う対立構図がクラス内で出来てしまいました」

 

 その構図は女尊男卑故に男性を敵視するセシリアを擁護する一派と物珍しさから一夏を推す一派に静かに分かれた様である。

 

「何方かと言うと何方が勝つかって話だろう?」

 

「うん〜、そんな感じかな。正直な所、セシリアって人の方が優勢だと思う〜」

 

「本音さんの言う通り、代表候補生に選ばれると言う事はそれだけISの搭乗時間も長く、相応の訓練を積んでいます。候補生と言うだけでも充分、エリートと呼ばれますわ。対する織斑さんは……ハッキリと申しましてズブの素人でしょう」

 

「それ、F1グランプリに自転車で挑む様な無茶な勝負じゃね?」

 

——出来レースも良い所じゃねぇか。それだと素人が何処まで喰らい付けるかって話になるが……逆の立場だと負けられない勝負になるぞ。

 

「……例えが的確〜」

 

 そう思わざるを得ない程、酷過ぎる戦力差。コレが戦略や戦術を駆使する集団戦ならば逆境を覆すやり方を行使出来るだろうが、一対一のガチンコ勝負となると途端に打てる手が限られて来る。

 

「ミゾレさん、仮に知らぬ間に推薦されていたら、如何なさいます?」

 

「そんなもん、事前に潰せるなら潰しておくに限るだろ? 戦いと言うのは自分に有利な環境をどれだけ用意出来るかに掛かっている。逆に不利な環境は避けるべきだからな」

 

 それは昨日、言っていた。わざわざ、相手の土俵で戦ってやる道理は無いと言う事である。逆に自分に有利な環境を構築するべきである。それが出来ないなら相手のパフォーマンスを崩しに掛かる。例えば相手が本領を発揮出来ない状態に追い込んだりとか、やり方は幾らかあるだろう。

 

「ミゾッチ、普通に卑怯だと思う」

 

「そうか? 使えるモノは全て使え、今出来る事は今しろ、やれる事をやるだけやれ。泣き言は戯言に過ぎん」

 

——そうしなければ、唯々死ぬだけだ。抗う相手は、全ての脅威だからな。相手は待ってくれない。待つ筈が無い。

 

「はい〜。皆さん、席に着いてくだ、ぴゃあ⁉︎」

 

 その時、真耶が教室に入って来るもミゾレの顔を見るなり素っ頓狂な悲鳴を上げた。

 

「……俺の顔を見るなり恐怖するのは止めてくれね? 流石に傷付く」

 

 真耶から見ればミゾレは既に恐怖の象徴と化していた様だ。その後、千冬が入ってきてまたしても一悶着が起きたが一先ず授業が始まった……。

 

 

 

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